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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/05/19 15:35

経営

アカウンタビリティとは?意味や目的・果たすために必要なことなどをわかりやすく解説

読了まで約3分

アカウンタビリティは、「説明責任」と訳されることが一般的です。
しかし、実際には使用場面によって意味の捉え方が異なる場合があるため、経営者としてはアカウンタビリティについて正しく理解しておく必要があります。

本記事では、アカウンタビリティの意味や目的、使い方の例や企業が果たすために必要とされることなどについてわかりやすく解説します。
アカウンタビリティの重要性や具体的な使い方を理解したい方は参考にしてみてください。

アカウンタビリティとは

企業の代表者としてアカウンタビリティを果たすには、意味や目的、具体的な使い方を理解しなくてはなりません。
ここではまず、アカウンタビリティの概要や使い方について解説します。

アカウンタビリティを日本語に訳すと説明責任

アカウンタビリティは日本語で「説明責任」と訳されます。
個人、企業にかかわらず、特定の業務担当者や権限を持つ者がその事柄について、主にステークホルダーに対し詳細な説明をするといった意味で使われるのが一般的です。

ただし、冒頭でも言及したように、使用場面によって意味の捉え方は異なり、単純に説明することを意味するのではなく、説明後の具体的な行動や対策を指す場合もあります。

アカウンタビリティの意味

アカウンタビリティという言葉は、経済学から生じた考え方です。
元々は経営者が株主や投資家などのステークホルダーに対し、企業の状況や財務内容、主に財務諸表を中心とする会計情報を開示・報告する義務を指すものでした。

この場合のアカウンタビリティとは、「説明責任」とは異なり、会計情報の開示・報告といった意味で使われています。
当初、アカウンタビリティは説明責任といった意味を持つ言葉ではなかったのです。

しかし、その後、前項で挙げたようにステークホルダーに対する財務状況の報告以外でも、アカウンタビリティが使われるようになっています。
その結果、次第にステークホルダーに説明をする際の言葉として定着しました。

現在では、企業が自らの行動や選択、決定のもととなる考えなどを明言する意味でも使われるケースもあるため、アカウンタビリティは幅広い意味を持つ言葉と言えるでしょう。

アカウンタビリティの目的

企業としてアカウンタビリティを果たす主な目的としては、次の3点が挙げられます。

・ステークホルダーとの適切な関係性を構築する
自社の事業活動が社会に与える影響を正確かつ公正に説明することで、ステークホルダーからの信頼を得られ、適切な関係性の構築を実現できます。
その結果、長期的なビジネスを展開するための土台形成が可能になるでしょう。

・企業の健全性維持・社会的責任を全うする
環境問題や障害者雇用への取り組みなどの社会的責任について、自社の姿勢や向き合い方を開示し報告することで社会的責任の全うにつながり、健全性の維持に貢献します。

・企業経営の透明性を高める
企業はステークホルダーに対し、自身の業績や経営方針を開示・報告することで企業経営の透明性を高められます。
アカウンタビリティを果たすことで、ステークホルダーからフィードバックが得られるため課題や問題点を共有でき、より透明性の高い経営につながるでしょう。

アカウンタビリティの使い方の例

アカウンタビリティの概要や意味を理解しても、実際にどのような場面で使うべきかを理解しなければ意味がありません。

そこで、アカウンタビリティが必要な場面別に使い方の例をまとめましたので参考にしてください。

 

アカウンタビリティと似た用語との違い

アカウンタビリティの理解を妨げる要因として、似た意味を持つ用語がある点が挙げられます。
ここでは、アカウンタビリティと近い言葉として、コーポレートガバナンスとレスポンシビリティの意味と違いについて解説します。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスとは、透明性の高い企業経営を行うために欠かせない概念です。
東京証券取引所では、コーポレートガバナンスの基本原則をコーポレートガバナンス・コードとして次のように定めています。

1.株主の権利・平等性の確保
2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働
3.適切な情報開示と透明性の確保
4.取締役会等の責務
5.株主との対話

主にステークホルダーに対する説明責任を意味するアカウンタビリティとは異なり、より幅広い層との関係性構築に係わるのがコーポレートガバナンスです。

ただし、上記の3や5はアカウンタビリティにも求められるものであることから、アカウンタビリティはコーポレートガバナンスの一部だとも言えるでしょう。

レスポンシビリティ

レスポンシビリティとは、業務遂行の責任や義務といった意味を持つ言葉で、ビジネスでは、上司からの指示に対して業務を全うする責任を負うという意味をもちます。

そのため、ステークホルダーに説明をする義務を負うアカウンタビリティとは、責任を負う対象が異なります。

 

アカウンタビリティを果たさないことで起こり得るリスク

企業がアカウンタビリティを果たすことは重要ですが、アカウンタビリティを果たさなかった場合はどうなるのでしょうか。
ここでは、企業がアカウンタビリティを果たさなかった場合に起こり得るリスクについて解説します。

会社法の開示義務違反となる可能性がある

会社法において、株式会社は「定時株主総会の承認後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない」と定められています。

また、上場企業や一部非上場企業でも、金融商品取引法において原則として有価証券報告書や監査証明を受けた財務諸表の提出をしなければなりません。

これらに違反すれば罰則を受ける可能性があるため、財務情報のアカウンタビリティは必須と言えるでしょう。

投資家からの信頼や資金調達に影響を及ぼす

アカウンタビリティを果たさないことで資金調達にも大きな影響が及ぶ可能性があります。

投資家は、企業が開示する情報を基に投資判断を行うため、情報が開示されていない、開示された情報に納得できないとなれば、信頼できないとして投資を行いません。

投資家からの投資がなければ資金調達ができなくなるため、企業経営の大きな打撃となるでしょう。
とくに中小企業やベンチャー企業にとっては、資金調達は重要であり、投資家の信頼を得るためにもアカウンタビリティは欠かせません。

 

企業がアカウンタビリティを果たすために必要なこと

企業がアカウンタビリティを果たすためには経営者のみならず、全社での意識統一が欠かせません。
ここでは、全社でアカウンタビリティの重要性を認識するために必要なことを解説します。

社員にもアカウンタビリティの重要性を伝える

ステークホルダーに対し、アカウンタビリティを果たすには、社内においてもアカウンタビリティを果たすことが重要です。
そのためには、社員にもアカウンタビリティの重要性を伝えなければなりません。

具体的な方法としては、日々の業務報告の義務付けが効果的です。
単純に行った業務を報告させるだけではなく、成果が出た要因や上手くいかなかった場合には、失敗の要因と改善策までを報告させます。
これにより、アカウンタビリティの重要性を認識できるようになるでしょう。

また、企業活動での法令、基準、規範を定める内部統制の整備も欠かせません。
法令遵守の必要性や意味を理解することがアカウンタビリティの理解にもつながっていきます。

課題発生に向けての対策・改善ができる人材を育成する

アカウンタビリティは、説明責任だけではなく、説明後の具体的な行動や対策の実施も重要な要素の一つです。
そのため、何かしらの課題が発生した際には、迅速かつ適切な対策・改善を行える人材育成が欠かせません。

社員からの業務成果の要因や改善策を報告させると同時に、上司から適切なアドバイスを行うことで人材を育成していくことが重要となります。

適切な評価ができる体制を整える

アカウンタビリティの浸透は、ルールの策定や報告義務の設定だけでは実現が難しいため、社員がアカウンタビリティを実践したことによる定量的な評価体制の確立が必須です。

具体的には、業務の成果においてアカウンタビリティを果たしたうえでの成果であれば、通常の評価に加え、プラスの評価を行う。
仮に上手くいかなかった場合でもアカウンタビリティについての評価も加味して評価するとします。

これにより、アカウンタビリティの実施にモチベーションを持って臨めるようになり、結果として社内でのアカウンタビリティ浸透につながるでしょう。

 

【業種別】アカウンタビリティの事例

ここで、教育・福祉分野と医療・看護分野におけるアカウンタビリティの事例を紹介します。

教育・福祉分野におけるケース

教育分野におけるステークホルダーとは、学校に通う生徒やその両親、周囲で子供たちを見守る地域社会です。

福祉分野においては、介護施設、利用する高齢者や障害者とその家族、福祉関連業務を行う企業や地域社会が該当します。

これらに対し、向き合い方や責任についての説明が必要です。

医療・看護分野におけるケース

医療・看護分野においては患者やその家族に対し、治療方法や検査方法について、治療を行った結果についての説明責任が求められます。
多くの場合、患者の命に関わるため、わかりやすい言葉を用いて相手が納得できる説明を行うことが重要です。

 

アカウンタビリティを果たすためには社員の意識が必要

アカウンタビリティとは、個人、企業にかかわらず、特定の業務担当者や権限を持つ者がその事柄について、主にステークホルダーに対し詳細な説明をするものです。
「説明責任」と訳されますが、状況によっては、説明するだけではなく、その後の行動や対策までも含め、責任を果たすことを求められる場合があります。

多くの場合、アカウンタビリティは経営者に対して求められるものです。
しかし、全社で意識を統一して取り組んでいくことで、より透明性の高い健全な企業としてステークホルダーに信頼されるようになります。

また、社員の意識を統一するのに欠かせないのが経営戦略の明示であり、そのために必要なのが経営計画書です。

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