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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/11/30 17:13

経営

ボトムアップとは?採用するメリット・デメリットやトップダウンとの違いなどを解説

読了まで約3分

企業経営において、「ボトムアップとトップダウンのどちらを採用するべきか」という議論が交わされることがありますが、それぞれ特徴あるのでどちらが良いのか一概には言えません。
組織力や競争力向上のためには、自社に合ったスタイルを選択することが大切です。

本記事では、ボトムアップについて解説します。
ボトムアップの意味やトップダウンとの違い、ボトムアップを採用するメリットとデメリット、成功させるポイント、適している例を詳しく解説するので参考にしてください。

ボトムアップとは

ボトムアップ(bottom up)を直訳すると「底上げする」という意味があります。
企業経営におけるボトムアップとは、上層部(経営層)が現場で働く従業員の意見を吸い上げ、意思決定に活用するスタイルを指します。
「下意上達」と表現されることもあります。

 

トップダウンとの違い

トップダウン(top down)とは、上層部が決めた内容を従業員などの下層部に指示するスタイルを指します。
「上意下達」と表現されることもあります。一見、トップダウンは独裁的かつ高圧的と見なされがちですが、優秀な経営層が揃っている場合に効果的です。

ボトムアップが従業員の意見を重視することに対して、トップダウンは上層部主導という違いがあります。
ただしボトムアップもトップダウンも経営と現場をつなぐ考え方という点は共通しています。

 

ボトムアップを採用するメリット

ボトムアップを採用する主なメリットは以下です。

  • 現場の意見が取り入れられやすい
  • 主体的な意思を持つ人材の育成につながる
  • 組織のモチベーションアップにつながる

それぞれ解説していきます。

現場の意見が取り入れられやすい

ボトムアップによって現場の意見を取り入れやすくなります。
第一線で働く従業員は顧客との距離が近いため、積極的に意見やアイデアを採用することにより、商品やサービスの品質向上が期待できるでしょう。

また、現場の意見に耳を傾けることで、「現在どのような問題が発生しているのか」がダイレクトにわかるため、経営層は自社の課題を解決しやすくなります。

主体的な意思を持つ人材の育成につながる

ボトムアップが機能すれば、従業員の意見や提案によって組織が変化します。
目に見える形で結果が出ることにより、従業員は組織の成長を自分事として捉えられるため、主体的な意見を持って行動する人材の育成につながります。

従業員にとって、「自分たちの意見が採用されている」という満足感は大きいものです。
仕事に対するやりがいを感じることで主体的に業務に取り組むようになるため、スピーディーな成長が期待できます。

組織のモチベーションアップにつながる

ボトムアップがスムーズに機能している企業では、従業員の意見によって組織が変わったり、製品の開発につながったりします。
「上層部に自分たちの声が届いている」「実際にアイデアが導入されている」と実感できることで、従業員全体のモチベーションアップにつながります。

さらにモチベーションがアップすることにより、生産性の向上や離職率低下も期待できます。
特に優秀な従業員にとって、「自分の意見が会社に受け入れられない」という不満は大きなストレスとなり、退職を考えるきっかけになりかねません。
ボトムアップを採用して意見を聞き入れる姿勢を示すことにより、優秀な人材の流出を防ぐ効果が期待できます。

 

ボトムアップを採用するデメリット

ボトムアップを採用するデメリットには以下があります。

  • 組織の意思決定に時間がかかる
  • 優秀な従業員がいなければネックになることがある
  • 組織的な改革にはつながりにくい

組織の意思決定に時間がかかる

ボトムアップを導入している企業は、従業員の意見を聞いたうえで上層部が評価して採用するかどうかを決定します。
そのため意思決定が遅れる傾向があり、ビジネスチャンスの損失につながるというリスクがあります。
会議を行う機会が増えたり、施策を実行するまでに日数がかかったりすることも少なくないでしょう。

優秀な従業員がいなければネックになることがある

ボトムアップは従業員の意見を取り入れるため、社内に優秀な人材がいなければ有益なアイデアを集めるのは難しくなります。
自分たちが楽に働けるアイデアばかり従業員が提案してくるケースが増えると、企業活動のネックになることも考えられます。

ボトムアップを採用するうえで、若い従業員や部下の能力によって左右される傾向があることは、事前に把握しておく必要があります。

組織的な改革にはつながりにくい

企業規模によっても異なりますが、ボトムアップは組織全体の改革には向きません。
従業員の意見は長期的なミッションやビジョンよりも、自分が所属している部門や、目の前の短期的な業務に偏る傾向があるからです。

ただし経営陣が現場の仕事を兼ねていたり、創業したばかりで従業員数が少ない場合は、ボトムアップによって全社的な改革が可能なケースもあります。

 

ボトムアップ経営を成功させるポイント

ボトムアップ経営を成功させるポイントには以下があります。

  • 従業員が意見を出しやすい雰囲気をつくる
  • 意見を集めたらフィードバックを行う
  • 状況によってはトップダウンも採用する

従業員が意見を出しやすい雰囲気をつくる

そもそも従業員が意見を出しづらい雰囲気があるとボトムアップは上手くいきません。
「発言を否定されるかも」「率直な意見は上司に嫌われるかも」という思いが根底にある場合、周囲に同調した意見しか生まれません。

ボトムアップのメリットを高めるためにも、従業員が意見を出しやすい雰囲気づくりが必要です。
ただし、表面上はストレートな意見を求めていても、経営幹部が従業員の意見を軽視していたり、アイデアを全く採用しなかったりした場合、ボトムアップが機能しないことがあります。
従業員が自由に意見を出すには心理的な安全性が高い組織であることが重要です。

意見を集めたらフィードバックを行う

ボトムアップでは、現場の意見を集めて終わるのではなく、従業員の提案を評価し、不採用になった理由をフィードバックすることが大切です。
「以前に提出した意見がどうなったのかわからない」「ただ表面的に聞かれただけかもしれない」と従業員が感じれば、モチベーションの低下につながります。

従業員の意欲を下げずにボトムアップを機能させるには、採用したアイデアを共有することが大切です。
採用に至らなかったアイデアに関しても、今後採用する可能性があるのかどうか、もしくはなぜ不採用になったのかを明確に伝える必要があります。

状況によってはトップダウンも採用する

ボトムアップとトップダウンは両極端な考え方ではありますが、双方の特徴を組み合わせたトップダウンデモクラシーという方法が注目されています。

トップダウンデモクラシーのやり方として、まずは上層部がトップダウン型で組織変革の必要性や目的を社内に伝えます。
次に従業員が能動的にアイデアを出した後、最終的に上層部が意思決定を行います。

トップダウンのように一方的ではなく、ボトムアップの要素も取り入れているため、従業員は納得しやすいという特徴があります。

 

ボトムアップ・トップダウンに適している例

最後にボトムアップとトップダウンに適している例を紹介します。
ボトムアップに適している企業がトップダウンを採用したり、逆にトップダウンに向いている企業がボトムアップを採用すると機能しないケースがあるため、自社に合った方法を選択することが大切です。

ボトムアップが適している例

ボトムアップが適しているのは多角化経営を行っている企業です。
数種類の業種を同時に経営している場合、上層部だけで細部を把握するのは容易ではありません。
各現場で働く従業員の意見を吸い上げることにより、スムーズに機能しやすくなります。

また、人材育成に力を入れたい企業もボトムアップが適しています。
ボトムアップは従業員一人ひとりの意見を重視するため、経営を自分に関係する事柄として捉えられるようになります。

その結果、能動的に業務に取り組むという意識が芽生え、判断力がアップし、飛躍的な成長が期待できます。

トップダウンが適している例

トップダウンが適しているのはカリスマ性があり、豊富な実績やハイレベルなスキルを併せ持つ経営者がいる企業です。
優秀な経営者がリーダーシップを発揮するには、トップダウン型の意思決定が必要になります。

また、短期間で急成長を目指している企業もトップダウンが向いています。
特にベンチャー企業やシェア拡大を狙っている場合、ボトムアップでは時間がかかりすぎるため、上層部主導のトップダウンが適しています。

また、経営不振から脱却したい企業にもトップダウンが効果的です。
不祥事によって組織の構造改革が必要だったり、社会情勢の変化で売上が低下したりといったケースでは、トップダウンによってスピーディーな対策を取る必要があります。

 

ボトムアップを採用し組織課題の改善につなげよう

ボトムアップとは、従業員の意見やアイデアを吸い上げて意思決定を行う経営スタイルを言います。
主なメリットとして、主体的な人材の育成や組織のモチベーションアップなどがある一方、意思決定による時間のロスや、全社的な改革の困難さなどはデメリットです。

ボトムアップを成功させるには、意見を出しやすい雰囲気づくりやフィードバックが大切ですが、状況によってはトップダウンも考えるとよいでしょう。
ボトムアップとトップダウンを組み合わせたトップダウンデモクラシーという選択肢もあります。

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