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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/05/19 15:47

経営

BCP対策とは?目的や策定の流れ・取り組みのポイントなどをわかりやすく解説

読了まで約4分

地震や水害などの災害、新型コロナウイルス感染症の流行などの緊急事態に備えてBCP対策を策定する企業が増えています。
緊急時に起こり得るリスクを最小限に抑えるためにBCP対策は欠かせません。

この記事では、企業の経営者や担当者様に向け、BCP対策の概要や目的、策定の流れやポイントなどを詳しく解説するので参考にしてください。

BCP対策とは

まずはBCP対策の意味、主な目的と得られるメリットについて説明します。
BCPとBCMの違い、BCPと防災との違いについても解説していきます。

BCP対策の意味

BCPは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉です。
BCP対策とは、企業が緊急事態に伴って発生する被害やリスクを最小限に抑え、事業活動を継続するための対策や方法をまとめたプランを指します。

緊急事態時に事業活動がストップすれば、取引先や顧客が離れて倒産する可能性があります。
そのような事態を回避する計画がBCP対策であり、企業のリスクマネジメントとして不可欠です。

なお、BCP対策は東日本大震災によって大きく注目されました。
その後、新型コロナウイルス感染症の拡大により、さらにBCP対策の重要性は高くなっています。

BCP対策の主な目的と得られるメリット

BCP対策で最重要とする目的は緊急時の迅速な対応です。
事前に対応方法を決定することにより、緊急事態の影響を最小限に抑えられる可能性があります。
深刻なダメージを受けた場合も迅速な復旧が期待できます。

また、BCP対策によって企業イメージの向上や、取引先への信頼がアップする可能性があります。
不測の事態に備えていることをアピールできるからです。

経営戦略の見直しにもBCP対策は役立ちます。
経営幹部がディスカッションを重ねるなかで、重要な業務と重要ではない業務が明確化するからです。
その結果、自社のコア業務がわかるようになり、経営戦略の見直しにつながります。

BCPとBCMの違い

BCMは「Business Continuity Management」の頭文字を取った言葉であり、事業継続マネジメントを指します。
BCPが事業継続に向けた計画であるのに対して、BCPの体制をマネジメントする役割がBCMです。
BCPはBCMの一部分とも言えます。

具体的なBCMの流れとしては、方針の策定、分析・検討、事業継続戦略・対策の検討と決定、計画の策定、事前対策および教育・訓練の実施、見直し・改善と進んでいきます。
その要素のなかで計画の策定に関わるのがBCPです。

BCPと防災との違い

BCPと防災は目的が異なります。
防災は事前に災害を防ぐことによって、人、建物、資産への被害を防止するという目的があります。
一方でBCPは、企業が災害に遭っても事業を継続できるかどうかや、スムーズな復旧という目的を重視しています。

また、防災には災害対策という明確な目的がある一方で、BCPは災害に限らず、さまざまなリスクに備えるという違いがあります。
「必ずしも防災が機能するわけではない」と認識したうえで計画を立てるのがBCPです。

 

BCP対策でマニュアル化する必要性が高い事態と対策

BCP対策では、リスクや非常事態に備えた対応のマニュアル化が大切です。
ここでは具体的な非常事態として、自然災害、セキュリティ、内的要因の3つを解説します。

自然災害に対する対策

自然災害で想定される事態は地震や台風、竜巻などによる建物の損壊、噴火による火災などさまざまです。

また、起りやすい災害の種類や被害の大きさは所在地によって異なります。
たとえば、内陸地域よりも水害想定区域のほうが被害に遭う可能性は高いと言えるでしょう。
降雪地帯であれば、大雪による被害も想定しなければなりません。
雪の影響で交通機関がストップすることも往々にしてあります。

自然災害への対策として大切なことは、起こり得る被害を具体的にシミュレーションしたうえで自社設備の強化や勤務時間の変更などを事前に策定することです。

セキュリティ対策

セキュリティ対策で想定される具体的な事態には、企業情報の流出、データの改ざんと消失、サイバー攻撃などがあります。
このような事態に対策を講じていなければ、事業活動が全面的にストップするかもしれません。
特に顧客情報の流出は、企業の信頼性が大幅に低下するリスクがあります。

対策として、セキュリティ体制の強化だけでなく、被害に遭ったシーンを具体的に想定したうえで、連絡の優先度やフローを考える必要があります。
たとえば、顧客情報が流出した場合は最優先で顧客に謝罪するとともに、自社のホームページに謝文を掲載するといった流れです。

データの改ざんと消失が発生した場合の復旧方法も検討しましょう。
重要なデータに関しては、アクセスできる社員を限定したうえで別のファイルに保管する方法もあります。

内的要因による対策

内的要因で想定される具体的な事態には、商品のリコールや自主回収、自社で運用するSNSの炎上、人為ミスによる情報漏洩、社員の不祥事などがあります。
このような事態への対策としては、イレギュラーな要素を可視化しつつ、「実際に問題が発生した際にどう対応するべきか」のマニュアル化が大切です。

たとえば、謝罪文のテンプレートの用意や、連絡が必要な利害関係者の優先順位の明確化、会見が必要な場合のフロー整備なども策定します。

 

BCP対策策定の流れ

BCP対策を策定する際の流れは次のとおりです。

1.自社の方針を定めて社内共有する
2.社内体制を整備する
3.復旧する事業の優先順位を定める
4.復旧業務の事前案を策定する
5.BCP発動基準と社内体制を整備する
6.BCPをマニュアル化し共有する

それぞれ詳しく解説していきます。

1.自社の方針を定めて社内共有する

最初のステップはBCPにおける自社の方向性と社内共有です。
緊急事態発生時に「どのような災害やリスクを対象にするか」を事前に検討して絞り込みます。

その際は発生確率や頻度、事業への影響度合いを考慮したうえで、優先度の高いものから対応していきます。
ミッション、ビジョン、事業の継続性、社員の安全面、取引先の信用を考慮することも大切です。

方針の策定で最低限決めるべき内容には以下があります。

・目標と企業価値
・BCP策定のスケジュール
・複数名の策定担当者
・周知方法と教育方針
・改訂スケジュール

2.社内体制を整備する

BCP対策の策定はプロジェクトチームで進めるのが一般的です。
作業を調整するために事務局を設置する場合は、総務部が担当するケースもあります。

BCP対策は全社的に取り組む必要があるため、可能な限りさまざまな部門からチームメンバーを集めることが望ましいでしょう。
その後に取引先や協力会社との連携も検討します。

具体的な社内体制の整備方法として、全社員への周知方法を考えなければなりません。
スムーズに情報共有するために、社内システムや連絡のフローを整えることが大切です。

3.復旧する事業の優先順位を定める

複数の事業を手掛けている企業では、復旧する事業の優先順位を検討する必要があります。
その際は売上高、利益率、顧客数といった観点から確認しましょう。

特に優先的な復旧が必要なのは、売上への貢献度が大きい事業や、業務が遅延すると甚大な被害が発生する事業です。
多数のユーザーが継続利用している商品・サービスに関しても流通や提供がストップすることにより、企業イメージの大幅なダウンにつながりかねません。

このような企業の存続に関わる主要事業は、早急に復旧させる必要があります。

4.復旧業務の事前案を策定する

復旧する事業の優先順位を決定した後に事前案を策定します。
その際は経営資源が被災したときに「どのように代替品を用意するか」のシミュレーションが大切です。
緊急事態から復旧するための時間と費用、補助制度、保険制度を把握することにより、必要な資金や社員といった代替資源を検討しやすくなります。

また、費用対効果と照らし合わせながら考えることもポイントです。
たとえば、アウトソーシングやテレワーク導入にどのくらいコストがかかるのか、コストに見合った効果が期待できるのか、などを検討しながら事前案を策定していきます。

5.BCP発動基準と社内体制を整備する

緊急事態への対応は一刻を争います。
BCPの発動基準が曖昧な場合、早急に取り掛かることができずに損害が大きくなります。
そのため、事前に「どのような条件が出揃ったときにBCPを発動するのか」を明確にすることが重要です。

また、BCPが発動した際の社内体制の整備もポイントになります。
あらかじめ定める内容として、誰が最終判断を行うのか、誰から誰へ支持が与えられるのか、支持を受けた側はどのように行動するのか、などを具体化しましょう。

6.BCPをマニュアル化し共有する

最後のステップはBCPのマニュアル化と共有です。
すべての社員が共通情報に素早くアクセスできるようにBCPを文書化しておきます。
緊急時の対応手順をわかりやすくマニュアル化することにより、社員は迅速な行動を起こしやすくなるでしょう。

なお、中小企業庁がBCP様式類としてフォーマットを用意しています。
フォーマットを使用することでスムーズに作成できる可能性があるので参考にしてください。

参考:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」

 

BCP対策取り組みのポイント

BCP対策に取り組むポイントには以下があります。

・継続的にテストと改善を行う
・社員にBCPを周知し定着させる
・自社の状況に合った対策を策定する

それぞれ解説していきます。

継続的にテストと改善を行う

BCP対策の精度を高めるには、継続的なテストと改善が大切です。
策定内容に沿ったテストを実施してBCPの問題点を検証・分析し、必要があれば改善を重ねます。

実際にBCPが効果を発揮するかどうかは緊急事態に遭遇してみないとわかりませんが、緊急時をイメージしたテストを繰り返ししながら意識を高めていきましょう。
また、BCP発動後は問題点を振り返り、必要な課題があれば計画を更新していくことが大切です。

社員にBCPを周知し定着させる

緊急事態で社員が迅速に行動するには、BCPを定着させる必要があります。
そのための教育方法として、研修(勉強会)とeラーニングが挙げられます。

研修(勉強会)は社内で実施するだけでなく、BCPをテーマにした外部研修への参加でも効果が見込めます。
eラーニングはパソコンやタブレット、スマートフォンを使用した学びのことを指します。

その他、重要事項をまとめた携帯カードも有効な方法です。
BCPの基本方針や具体的な行動をカードに記すことにより、社員は緊急時に適切な行動を選択しやすくなります。

自社の状況に合った対策を策定する

BCP対策にテンプレートはないため、他社のBCP対策が自社に機能するとは限りません。
自社に合った対策を策定し、トレーニングを繰り返しつつ、実現可能なBCP対策を作り上げることが大切です。
そのためには、検証と改善を重ねて精度を高める必要があります。

具体的なトレーニング方法としては、グループ討論、発動を想定したシミュレーション、バックアップデータの取り出しなどがあります。
防災訓練への積極的な参加も大切です。

 

BCP対策は企業の義務!オフィス環境の見直しが大切

BCP対策とは、緊急事態時の被害を最小限に抑えつつ、事業活動を継続する方法をまとめた計画のことです。
緊急時の迅速な対応以外にも、企業の信頼性向上や、経営戦略の見直しという目的があります。

実際にBCP対策を策定する際は方針決定からスタートし、最終的にマニュアルを社内で共有することが大切です。
取り組むポイントとしては、継続的なテストと改善、BCPの周知と定着、自社の状況に合った対策の3つがあります。

社員の暮らしを守るため、BCP対策の適切な運用が企業に求められています。
そのためにはオフィス環境の見直しが重要です。

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