更新日:2022/10/28 17:31
経営
クロス分析とは?意味や目的、エクセルでの集計方法などわかりやすく解説
読了まで約3分
近年、インターネットを利用して、商品やサービスの満足度などのアンケートやリサーチを行う企業が増加しています。
しかしシンプルな「満足している」「満足していない」といった二者択一のアンケート結果だけでは、回答者の傾向や属性まではわかりません。
そのようなわかりづらい内容も、クロス集計を活用することで可視化できます。
クロス集計はビジネスシーンでよく活用されている集計方法の1つです。
本記事では、クロス集計の概要や種類、メリット、デメリット、クロス集計のやり方などを詳しく解説していきます。
目次
クロス集計とは
最初にクロス集計の意味と、クロス集計が実際に使われている例を紹介します。
まずは基本ポイントを押さえてください。
クロス集計の意味
クロス集計は、複数の問いを掛け合わせてアンケート結果などを集計する方法です。
設問に対して「はい」「いいえ」で回答するだけではなく、性別や年代別に集計することで、より細かな傾向を把握できます。
なお、3つの設問を掛け合わせたものを3重クロス、4つの設問を掛け合わせたものを4重クロスといいます。
クロス集計に対して、1つの問いに限定して集計する方法を単純集計といいます。
例えば「利用結果に満足していますか?」という問いに対して「はい(満足している)」と「いいえ(満足していない)」の2つに分ける方法です。
単純集計の結果は、一般的に円グラフや帯グラフで表示します。
クロス集計が使われている例
クロス集計は様々なシーンで使用されています。
ニュースや各メディアの調査結果では、単純集計の「はい」「いいえ」だけではなく、男女別、年代別、未既婚別、子どもの有無別、地域別、職業別などに分けて報じられるケースが見られます。
例えば、年代別であれば「20代」「30代」「40代」「50代」に分けたり、地域別であれば「関東」「関西」「四国」「九州」などに分けたりして結果を表示しています。
他にも、家計簿を月別や品目別に分けて付けたり、経理における支店別、売上別、販売別の集計をしたりする場合もクロス集計に含まれます。
このように「〇〇別」という言葉が入っている場合、クロス集計の可能性が高いです。
アンケート分析で使われるクロス集計の種類
アンケート分析で使用されるクロス集計の種類には、設問間クロス集計、多重クロス集計、属性クロス集計の3種類があります。
設問間クロス集計
設問間クロス集計とは、設問の回答内容ごとに分析する方法です。
例えば、商品に関する満足度を「よい」「よくない」で答えてもらった後、その理由として「使いやすさ」「値段」を掛け合わせるなどが考えられます。
「よい」と回答した人の理由で「使いやすさ」が多く、「よくない」の理由で「値段」が多い場合、商品の使いやすさが評価されている一方、値段は評価されていないことがわかります。
このように設問間クロス集計は回答者別に絞り込むことが可能です。
現状把握だけではなく、今後の課題も可視化しやすいという特徴があります。
多重クロス集計
多重クロス集計とは、3つ以上の設問を掛け合わせる方法です。
前述したように3つの場合は3重クロス、4つの場合は4重クロスと呼ばれます。
例えば、「映画にはよく行きますか?」という質問と「年代別」「男女別」の2つを掛け合わせたものが3重クロスです。
同じ質問に対して例を挙げると、「年代別」「男女別」「子どもの有無別」の3つを掛け合わせれば4重クロスになります。
多重クロスによって、より詳細な分析が可能になりますが、項目が増えるにしたがって母数は減るため、回答数が少ない場合は注意が必要です。
属性クロス集計
属性クロス集計は回答者の属性ごとに分析する方法です。
男性に多い傾向や、職業による違い、居住地ごとの特徴を把握したい場合などに使用されます。
例えば、サービスに関する満足度に「満足している」「満足していない」で答えてもらった後、先ほどの「男女別」「職業別」「居住地別」や、「未婚・既婚別」「家族構成別」を掛け合わせる方法です。
属性クロス集計によって、各属性ごとの傾向がわかるため、「どのような人が回答しているのか」を細かく把握できます。
クロス集計表の見方
クロス集計表の各クロス項目は、表側と表頭が交差する点となっています。
基本的に項目ごとの度数や行に対する割合も示されます。
それぞれの意味合いは次のとおりです。
- 表側
クロス集計表の左側の縦軸(列)のことです。
一般的に「男性」「女性」などの分析軸が記載されています。 - 表頭
クロス集計表の最上部の横軸(行)のことです。
一般的に「満足している」「どちらともいえない」「満足していない」などの分析対象が記載されています。 - 度数
各項目の回答者数のことです。 - 割合
各項目の度数を全体の度数の合計で除したものです。
行の合計に対する割合は「横%表」、列の合計に対する割合は「縦%表」と呼ばれます。
通常は「横%表」で表示されます。
例えば「男性」の度数500名のうち、「興味がある」と回答した人が300名であれば、割合は300÷500×100=60%となります。
クロス集計のメリット
クロス集計のメリットとして、可視化と集計のしやすさが挙げられます。
調査結果を表で可視化できるので直感的に理解でき、エクセルやツールで集計しやすいためスムーズに導入できます。
それぞれ解説していきます。
結果を表でわかりやすく可視化できる
クロス集計は統計結果をわかりやすく可視化できるというメリットがあります。
例えば、「弊社の商品Aを購入したお客様の87.1%が満足と回答している」という単純集計の告知だけでは、比較基準や調査の詳細がわからないため、消費者に疑念を抱かれやすいものです。
しかし満足度と共に「男女別」「利用年数別」「年齢別」といったクロス集計の結果をグラフなどで可視化すれば、男性よりも女性のほうが満足している、利用年数が長い人のほうが満足している、若年層の満足度が高いなど、詳細な情報を伝えることができます。
単純集計よりも説得力があるため、消費者もスムーズに受け入れられるでしょう。
あまりにも複雑な表やグラフの場合、逆にわかりづらくなる懸念がありますが、クロス集計はシンプルすぎず、複雑すぎないため、直感的に理解できます。
エクセルやツールで集計しやすい
クロス集計では、アンケートの調査結果をまとめる際にエクセルのピボットテーブルを使用できるため集計しやすいというメリットがあります。
ピボットテーブルとは、複雑な数式や関数を使用せずに大量のデータを自動集計できる機能です。
統計用ソフトなどの専用ツールもありますが、エクセルでも十分に分析可能です。
独学での習得が難しい場合は、数日の講習を受けることで使えるようになります。
エクセルでの集計方法については後述します。
クロス集計のデメリット
クロス集計はメリットとともにデメリットを把握することが大切です。
具体的なデメリットとして、深い分析の難しさと多重クロス集計の罠があるので解説します。
深く分析することが難しい
クロス集計は深く分析することが難しいというデメリットがあります。
統計調査はデータを分析するだけではなく、調査の計画を立てることも大切であり、最初に「どのような仮説を検証したいのか」を意識して設計する必要があります。
つまり、仮説を立てる段階で、仮説に沿った設問が決まるため、発展的な分析が難しいということです。
例えば、商品の満足度調査で「男性と女性で満足度が異なるだろう」という仮説のみを立てれば、必然的に掛け合わせる項目は「男女別」になるため、「年齢別」や「地域別」の分析はできません。
クロス集計で新たな仮説を検証する場合は、従前のデータを再利用するのではなく、新たな調査を実施する必要があります。
多重クロス集計の罠にはまるリスクがある
一度のクロス集計から深い知見を引き出そうとすると、前述した多重クロス集計の罠にはまるリスクがあります。
例えば「年収別」と「男女別」でクロス集計を計画した後、さらに細かく分析するために「各年収別」を「男女別」に分けたり、「地域別」や「年齢別」のような新項目を追加したりといったケースです。
細分化を重ねるとクロス集計が複雑になり、可視化が困難になります。
解決方法として、まずはシンプルな仮説に基づくクロス集計表を作成し、追加で分析したい場合は、新たに仮設を立てて設計すると良いでしょう。
最初からクロス集計表に時間をかけすぎると、手段と目的を取り違える懸念があります。
【エクセル】ピボットテーブルを使ったクロス集計のやり方
エクセルのピボットテーブルを使ったクロス集計の手順は以下です。
- クロス集計するためにデータを準備する
- ピボットテーブルを選ぶ
- データの範囲を選択
- 列・行・値を選択
- 完成
まずはクロス集計表の元となるデータを用意し、メニュー欄にあるデータからピボットテーブルを選びます。
次にデータの範囲を選択し、作成ボタンをクリックするとピボットテーブル作成シートに切り替わるため、画面右側のエディタ内の「列・行・値」の追加欄から候補を選択するとクロス集計表が完成します。
クロス集計でデータを有効活用し経営戦略に役立てよう
クロス集計とは、複数の設問を掛け合わせてアンケート結果などをまとめる手法です。
具体的な種類に設問間クロス集計、多重クロス集計、属性クロス集計の3つがあります。
クロス集計のメリットとして、可視化と集計のしやすさがある一方、深い分析が難しい点や、多重クロス集計の罠にはまるリスクに気を付ける必要があります。
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