更新日:2023/05/19 15:55
人材育成
ジェネラリストとは?必要とされる理由や特徴・育成方法を解説
読了まで約4分
組織のさまざまな場面で活躍する「ジェネラリスト(ゼネラリスト)」。
総合職や管理職の採用・育成においてよく耳にする言葉ですが、具体的な定義までご存じない方も多いのではないでしょうか。
ジェネラリストは、バランスの良い人員配置を実現する上で、欠かせない存在です。
この記事では、ジェネラリストの基礎知識や、採用・育成するメリットや向いている職種、育成方法などを紹介します。
目次
ジェネラリスト(ゼネラリスト)とは
ジェネラリストとは、さまざまな分野の知識やスキルを持った人材を指す言葉です。
ビジネス用語としては、企業において特定の職種や分野にとらわれず、多角的な知識や視野をもとに複数の部署を横断して社員をまとめ上げる人材を指すことが多いです。
または、状況に応じて自分の役割を変化させられる人や、柔軟に複数に役割を兼任して活動する人のことをジェネラリストと呼ぶ場合もあります。
具体的には、総合管理職や現場監督、プロデューサーなど、社内の状況を広く認識し、臨機応変な立ち回りが求められる職種や役職ではジェネラリストが活躍します。
スペシャリストとの違い
スペシャリストは、特定の分野において深い専門性を持っている「専門家」のことです。
専門的な知識やノウハウ、資格などを有しており、それらを活かして高い成果をあげることがミッションです。
専門分野では頼りになる存在ですが、対応範囲が狭く、柔軟な対応が難しいという側面もあります。
一方、ジェネラリストは幅広い知識や経験を持って分野を限定しない対応を得意とする存在であり、スペシャリストとは相対する言葉です。
具体例をあげると、研究職やITエンジニア、医療従事者、経理などは専門性が求められるスペシャリスト、総務や人事、営業などは総合的な知識が必要なジェネラリストとしての立ち回りが求められる職種です。
ジェネラリストの特徴
職場でジェネラリストとして活躍する人には、どのような特徴があるのでしょうか。
ジェネラリストの代表的な特徴を紹介します。
幅広い職種・業種の経験がある
ジェネラリストには、特定の職種や業種の経験だけでなく、分野を横断した複合的な経験が必要になります。
そのため、最初からジェネラリストを目指してきたというよりも、転職や転勤、ジョブローテーションを通じてさまざまな業務や役職を経験してきた結果、ジェネラリストとしての適性を身に付けた人が多いです。
企業によっては、将来の管理職や幹部候補を生み出す目的で複数の部署や職種を経験させ、戦略的にジェネラリストを育成するケースもあります。
コミュニケーション能力が高い
ジェネラリストは、多様な部署に在籍して一から関係性を構築する経験を多く積んでいるため、高いコミュニケーション能力を持っている傾向があります。
ジェネラリストには、組織の状況を総合的に把握して、社員をまとめ上げる役割を求められることが多いです。
さまざまな部署と関係性を構築し、意見や要望をくみ取るために、このコミュニケーション能力が役立ちます。
また、プロジェクトを推進する場合には、各部署のスペシャリストの協力を得ながら、連携を図らなければなりません。
それぞれの部署や職種の立場・事情に理解を示し、落としどころを見つける能力が求められるため、調整力や交渉力が高い人も多いです。
臨機応変に対応できる
幅広い経験があるからこそ、予想外のトラブルや予期せぬ課題に遭遇した際に、臨機応変な対応ができることもジェネラリストの特徴です。
組織を運営していると、不測の事態に遭遇することは避けられません。
例えば、社会情勢の急激な変化による景気の低迷、病気や身内の不幸による急な欠員などにより、プロジェクトが計画通りに進まないケースは多々あります。
ジェネラリストは、幅広い知識や経験を活かして、プロジェクトに関係する複数部署の立場や役割を把握し、臨機応変な対応を得意としています。
客観的かつ多角的な視点で物事を見れる
ジェネラリストは、複数の職種や業種を経験しているため、物事を俯瞰して客観的・多角的に見る力が強い傾向もあります。
スペシャリストの場合には、特定部署での経験やスキル取得に特化していることから、他の部署や職種の立場に立って物事を見る意識が希薄になりがちです。
一方、ジェネラリストは複数部署での職務経験を積んでいるため、それぞれの部署の視点に立って広い視野で組織を見渡すことができます。
そのため、特定部署の意見や立場に偏らず、プロジェクトに関係する複数部署の事情を考慮しながら、事態を俯瞰して判断することが得意です。
全体最適を考えて公平な判断を下せることから、管理職や経営幹部などの役職で重宝されています。
ジェネラリストを採用・育成するメリット
社内でジェネラリストとなる人材を採用・育成すると、組織には以下のようなメリットがもたらされます。
- 社内コミュニケーションが活性化する
- 部門を横断したプロジェクトが円滑に推進する
- 業務改善が促進される
ジェネラリストは高いコミュニケーション能力を保有しているため、部署のメンバーと円滑な人間関係を構築することが得意です。
相談しやすい雰囲気を持っているため、チームのムードメーカーとして組織を活性化する素質を持っています。
また、複数部署での業務経験を活かして、部署を横断するプロジェクトのマネジメント役や、業務プロセスの改善を担うこともできます。
社内のさまざまな部署や役職がどのように関連しているのか把握しているため、全体最適を考え、それぞれの部署や職種が最適に機能するようマネジメントすることが得意です。
ジェネラリストが活躍できる分野
ジェネラリストの持つ特徴やスキルは、どのような分野やポジションで活用できるのでしょうか。
ここでは、ジェネラリストが活躍できる代表的な分野を紹介します。
管理職/マネジメント
管理職やマネジメント職は、ジェネラリストの特性を活かせる代表的なポジションです。
管理者やマネージャーには、現場の状況を俯瞰し、メンバーとコミュニケーションを取りながら総合的に判断ができる能力が必要です。
そのため、プレイヤーとして高い成果を上げている社員が管理職として優秀とは限りません。
特定の職務を遂行する能力と、管理者として求められる能力とは異なるためです。
管理職やマネジメント職には客観的な視点や人間関係を構築する能力が求められるため、ジェネラリストの能力を最大限に活かせるポジションといえます。
バックオフィス(総務・人事)
社内の組織構造について総合的な知識を持ち、多数の役割を兼任する必要があるバックオフィス部門も、ジェネラリストに向いています。
例えば、一口に総務といっても、庶務や法務、労務、人事など、複数の業務知識を身に付けなければなりません。
また「採用担当者」のように、採用計画の策定や候補者との日程調整、募集部署との連携、内定者フォローなど、多様な業務を兼任しなければならないポジションもあります。
さまざまな部署と連携をとり、マルチタスクをこなす必要があるバックオフィス部門は、ジェネラリストの特性を活かしやすいといえるでしょう。
コンサルタント
特定分野の知見を活かして助言や提案を行うコンサルタントは、一見スペシャリストのように感じられるでしょう。
しかし、助言や提案を行うには、クライアントの事業内容や業界事情を深く理解し、客観的な視点でアドバイスを行わなければなりません。
案件ごとにクライアントの業界や抱える課題は異なるため、多様な知識を保有している必要があります。
臨機応変な対応力や知識収集への好奇心が求められる職種ですので、ジェネラリストに向いているといえます。
ジェネラリストに必要な知識
前述でも触れた通り、多様な部署と連携をとったり、立場の異なる社員と信頼関係を構築したりするジェネラリストには、高いコミュニケーション能力が求められます。
チームメンバーが「話しかけやすい、相談しやすい」と感じられる雰囲気づくりや、部署を横断して繋がりを作る能力などは、早期から訓練して身に付けるべきでしょう。
また、広い視野を持って物事を客観視する能力も必要です。
組織をマネジメントする上では、特定の社員の意見に左右されず、さまざまな立場から事態を把握し、解決策を検討しなくてはなりません。
表面的な事象だけでなく根本にある原因を見極め、対処する力が求められます。
このように、複数の知識やスキルを身に付け、さまざまな部署の役割に理解を示す必要があるため、学習意欲や好奇心が旺盛であることも重要な素質といえます。
ジェネラリストの育成方法
最も効果的な育成方法としては、ジョブローテーション制度があげられます。
ジョブローテーションを取り入れれば、複数の部署で幅広い業務経験を身に付け、多様な環境で人間関係を構築するスキルを磨けるためです。
また、ジョブローテーションは組織全体や事業構造の理解促進にもなり、管理職や幹部候補としての土台作りにもつながります。
ジェネラリストとして必要な知識やスキルを研修で身に付けることも大切です。
研修での学びは、現場での実習と異なり、体系的な知識習得につながります。
具体的には、リスクマネジメントや部下の教育指導、チームビルディング、リーダーシップなどの研修があげられます。
組織課題や人材育成は武蔵野に相談を
ジェネラリストは、分野や職種を限定せず幅広い業務経験や知識を保有し、オールマイティに立ちまわることを得意とする存在です。
部署を横断して関係性を構築し、プロジェクトを円滑に推進する能力が高いことから、管理職や幹部候補として活躍するケースが多くなっています。
ジェネラリストの育成にはジョブローテーション制度や研修の導入が効果的です。
自社でどのような課題を解決したいのか洗い出し、必要な経験やスキルを身に付けたジェネラリストを計画的に育成していきましょう。
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