更新日:2023/12/14 15:35
環境整備
業務効率
業務効率化を図る方法とは?メリットや進め方を解説
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働き方改革が推進される昨今、多くの企業が取り組んでいる経営課題が「業務効率化」です。
必要性は理解しているものの、具体的にどのような施策を実施すればいいのかイメージが湧かず、改善に着手できていない企業も多いのではないでしょうか。
今回は、業務効率化を図るための方法や進め方、改善によって得られるメリットなどを詳しく解説します。
目次
業務効率化とは
業務効率化とは、業務上の「ムリ・ムダ・ムラ」を省いて非効率な業務プロセスを改善し、全体の生産性向上を目指す取り組みです。
業務効率化を進めることで、これまでと同じ従業員数・労働時間でも、生産量を増やしたり、クオリティを高めたりすることが可能になります。
急速に少子高齢化が進む日本では、多くの業界で深刻な人手不足に陥っています。
少ない労働力でもこれまでと同様の成果が求められる環境になったことから、業務効率化の重要性が高まっているのです。
生産性向上との違い
業務効率化と似た意味で使われる言葉として「生産性向上」があげられます。
生産性向上とは、少ない資源投入によって、より多くの生産物を得ることです。
一方、業務効率化は適切に活用されていない資源の削減や有効活用によって、これまでと同様の成果を得ようとする取り組みを指します。
つまり、業務効率化は生産性向上を実現する手段のひとつということです。
業務効率化のメリット
企業が業務効率化を推進すると、さまざまな効果が得られます。ここでは、代表的な5つのメリットを紹介します。
コスト削減できる
1つ目のメリットとして、コスト削減につながることがあげられます。
前述でも触れた通り、業務効率化を推進すると、プロセス上の「ムリ・ムダ・ムラ」が削減されます。
これまでムダに行っていた作業が削減されれば、そこに割いていた時間や労力を他のことに費やしたり、残業にかかっていた人件費をカットしたりできるようになります。
また、ムリやムラの削減は、従業員の負担軽減につながります。
余裕を持って作業ができるようになれば人的ミスが減り、やり直しや修正にかかっていた手間の削減にもつながるでしょう。
社員のモチベーションアップを図れる
業務効率化が推進されると、これまでよりも短い時間で同じ成果を産出できるようになり、長時間労働が是正されます。
従業員の負担によって成り立っていた業務プロセスが改善され、働きやすい環境が整備されるため、職場に対する満足度が高まり、社員のモチベーションアップが図れるでしょう。
利益率が向上する
業務効率化を図ると、コストを削減しつつ、これまでと同様の成果が出せるようになります。
つまり、少ない資源投入でもより大きな利益を出せるようになるため、利益率が向上するのです。
また、削減したコストや人的リソースを別の事業に投下するという選択肢が生まれます。
新製品開発や新市場の開拓など、新しいチャレンジをする余白が生まれて、組織全体の成長につながります。
優秀な人材確保に寄与する
前述の通り、業務効率化によって業務プロセスが改善されると、社員の負担が減り、働きやすい環境の整備につながります。
残業や休日出勤などが減るだけでなく、利益率が向上することで社員の待遇改善などを行う余裕もできるでしょう。
リモートワークなど新しい働き方を取り入れることもできるかもしれません。
働きやすい労働環境が整備されると、社員エンゲージメントが高まって既存社員の定着率が向上するだけでなく、採用市場においても求職者に自社の魅力を訴求しやすくなります。
その結果、優秀な人材の確保にもつながります。
働き方改革につながる
働き方改革とは、労働者がそれぞれの事情に合わせて柔軟な働き方を選択できることを目指す、国をあげた取り組みです。
2019年より「働き方改革関連法」が順次施行されて以来、会社規模によらず労働環境の改善が求められています。
働き方改革による変更点はいくつかありますが、1つの課題として長時間労働の改善があげられています。
残業時間の上限規制が導入されたことから、企業は労働時間を削減しつつ、これまでと同様の成果をあげる必要に迫られているのです。
業務効率化は、投入するリソースを削減しつつ、生産性を高めるための取り組みであるため、働き方改革を実現する上でも必須の経営課題といえるでしょう。
業務効率化の進め方
業務効率化の一般的な進め方を、4つのステップに分けて解説します。
現状把握・課題特定を行う
はじめに、現状の業務プロセスの状況を把握します。
例えば、以下のような項目について業務の棚卸しを行いましょう。
- 業務の種類
- 各業務の担当者
- 各業務に必要な作業員数
- 業務遂行に必要なスキル
- 所用時間や工数
このように、業務の現状を可視化すると、課題が明確になります。
課題が特定できてないまま改善を進めると、結局既存の業務プロセスにとらわれてしまい、根本的な原因にアプローチできません。
課題や問題点を漏れなく洗い出してから、次のステップに移りましょう。
改善案を検討する
課題の特定ができたら、どうすれば改善につながるか、具体策の検討に移ります。
例えば、特定の担当者に業務が偏り過ぎている場合には、その担当者の業務を棚卸しし、作業手順を平準化・マニュアル化して、どの社員でも担当できるように改善する必要があります。
また、作業工程そのものの改善やツールの導入だけでなく、作業の順番を入れ替えたり、人員を入れ替えたりしても、コストをかけずに効率化できるケースがあります。
業務効率化を進める
施策を実行する上では、優先順位を付けることが大切です。
優先順位の決定は、次の3つの視点から考えてみましょう。
- 業務改善の影響範囲
- 現状の工数
- 作業員数
大きな業務の改善は大幅なコストカットにつながる可能性が高い一方で、その分現場への影響や負担も大きくなりがちです。
マニュアル作成にかかる時間や新プロセスに移行する手間や負担などを考慮しながら、優先度を決定しましょう。
効果検証を行いPDCAを回す
改善施策は実行して終わりではなく、必ず効果検証をセットで実施しましょう。
プロセスを改善したつもりが現場に合っておらず、かえって非効率になっているケースもあるためです。
効果検証は、事前に測定基準を定めておき、定期的にモニタリングをすることが大切です。
せっかくの施策を形骸化させないためにも、常にPDCAを回しながら改善を続けましょう。
PDCAの関連記事はこちら
PDCAサイクルをうまく回すコツは?4つのステップやメリット・デメリットを解説
業務効率化のアイデア4選
プロセス上の課題を改善し、業務効率化を促進するための具体的なアイデアを4つ紹介します。
ITシステム・ツールを活用する
アナログな手順で行っている業務がある場合には、ITシステムやツールの導入を検討してみましょう。
例えば、業務に必要な書類やマニュアルを紙資料で保存している場合には、資料を電子化して一元管理できるデータベースツールの導入が考えられます。
管理の手間が省けるだけでなく、社員間の情報共有が容易になり、ミスが起こりづらくなります。
また、社内コミュニケーションにSlackやChatworkなどのチャットツールを導入するのも一手です。
より気軽なやりとりができ、社内コミュニケーションの促進に役立つでしょう。
AIやRPAで自動化する
日常業務の中に定型作業が含まれる場合は、自動化を図ると作業効率を大幅に高められます。
例えば、単純なデータ抽出や入力作業などはRPAツールを導入すると、自動で遂行させることが可能です。
また、生産ライン上で目視による不良品識別を行っている場合は、AIを活用した自動検品システムを導入するという方法があります。
このように、PRAやAIによって定型作業を自動化すると、作業が正確に進むだけでなく、クリエイティブが求められる「人間にしかできない作業」との棲み分けが行えます。
業務マニュアル・フローチャートを作成する
業務マニュアルやフローチャートを整備すると、新入社員の教育や引継ぎにかけていた手間を削減できます。
単に作業手順を文章化するだけでなく、図説や写真などを用いると直感的な理解を促し、資料の読みやすさ・わかりやすさが向上するでしょう。
また、マニュアルやフローチャートの作成は、業務担当者が持っている知識やスキルの棚卸しにつながります。
現在行っている業務手順の中でブラックボックス化している部分が明らかになり、特定担当者への業務の偏りや属人化を防止する効果が期待できます。
マニュアル化について詳しくはこちら
仕事のマニュアル化は必要?標準化の効果や作成手順を紹介
アウトソーシングする
アウトソーシングとは、外部の事業者に特定の社内業務を委託することです。
不足している人的リソースを外部から調達できるだけでなく、ノンコア業務にかかる手間を削減することで社員がコア業務に集中できるようになります。
アウトソーシングに向いている業務は、「欠かすことはできないが、社員が対応する必要はない業務」です。
例えば、請求書発行や経費精算といった事務業務、来訪者や問い合わせなどの受付対応、コールセンター業務、採用活動における応募者対応やエージェントとのやりとりなどがあげられます。
業務効率化した成功事例
身近な業務効率化の例として、社員の働く労働環境を整備し、生産性を向上させたケースがあります。
例えば、デスク周りの不要なものを削減し、物の置き場所を決めてすぐに使える状態にしておくだけでも、仕事のスピードアップにつながります。
会社員は年間150時間も物を探す時間に費やしているといわれており、整理整頓によってこの時間を削減することは、業務効率化に大きく寄与するでしょう。
また、日々の情報を見える化し、情報共有の体制を整えることも効果的です。
お客様に関する情報が部下から幹部に吸い上げられるようになり、経営陣は迅速な意思決定ができるようになります。
このように、物や情報の環境を整備するだけでも、業務効率化によるスピードアップや業績向上が期待できるのです。
複数のアイデアを試して業務効率化を推進しよう
業務効率化を推進すると、リソースを最適化してコストカットが図れるだけでなく、労働時間の削減などによって社員の働きやすさが向上し、仕事へのモチベーションアップや優秀な人材確保といった副次的効果も期待できます。
業務効率化というと、ITツールの導入やアウトソーシングなどコストのかかるイメージがあるかもしれませんが、普段の作業環境を整備するだけでも有効です。
まずは、デスク周りの整理や情報共有の体制構築など、身近な部分の環境整備から始めてみてはいかがでしょうか。
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