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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/11 16:59

経営

販売戦略とは?営業戦略やマーケティングとの違いや成功事例を紹介

読了まで約4分

「商品力には自信があるのに、思ったように売上が伸びない」といった事態に直面している場合、販売戦略の見直しが必要かもしれません。
自社製品の強みを活かし、売上目標を達成するためには、市場動向や消費者ニーズ、競合各社の商品力などを把握し、効果的な販売戦略を立てることが重要です。

この記事では、販売戦略に関する基礎知識や、戦略立案に活用できるテンプレート、分析に用いるフレームワークなどを紹介します。

販売戦略とは

販売戦略とは、自社の商品やサービスを「どのようなターゲットに・どの販路を用いて・どのようにアプローチするか」を明らかにし戦略としてまとめたものです。
具体的には、ターゲット層のニーズを把握し、自社製品の強みや魅力を洗い出して適切なアプローチ方法を検討します。

販売戦略を立てると、限られた自社のリソースを有効活用できるだけでなく「なぜ売れたのか/売れなかったのか」の仮説検証が可能になります。
再現性のある販売施策が確立され、安定した成果をあげられるようになるのです。

営業戦略との違い

販売戦略と似た概念として「営業戦略」があげられます。
営業戦略とは、売上目標を達成するための中長期的な戦略です。
営業エリアの拡大や人員の動かし方など具体的な営業活動に着目し、成約率などの目標達成に向けた計画を立てます。

売上拡大を目指す点では販売戦略と同様ですが、販売戦略は市場における自社の優位性獲得に着目します。
例えば、新規顧客に対してどのように商談を進めるかといった具体策は営業戦略の一環ですが、販売戦略には含まれません。

マーケティングとの違い

マーケティングと販売戦略も、混同されやすい概念です。

経営学者のドラッカーは「マーケティングの理想は、顧客のニーズを理解して製品やサービスを顧客に合わせることで、自然に商品が売れる仕組みを作り、販売を不要にすること」と述べています。
つまり、ドラッカーの定義によれば、まずは消費者のニーズを理解し、その市場において確実に売れる商品を生み出すことがマーケティングであるといえます。

一方、販売戦略はすでにある自社商品の強みを活かしたり、新たな市場を開拓したりして販売につなげる活動ですので、アプローチの方向性が異なります。

 

販売戦略の立て方

販売戦略を立てる際は、自社や競合、業界の現状を正確に把握し、自社の課題や弱みを明確にして対策を立てることが大切です。
ここでは、販売戦略の立て方を3ステップに分けて解説します。

市場・競合・自社分析

まずは、ターゲットとなる市場や競合各社のシェア率など、自社のおかれた状況を整理します。
市場の分析では、社会情勢や流行、業界動向など客観的なデータをもとに市場全体の状況を把握することが大切です。
また、競合分析では業界全体のランキングだけでなく、各社の強み・弱み、商品力や組織力などを整理していきます。

外部環境が把握できたら、その中における自社の立ち位置を分析します。
競合と比較したときの自社製品の強み・弱みを言語化していくのですが、ここでも客観的な視点を保つことが重要です。

第三者視点の調査や販売データ等を活用し、自社の立ち位置を正確に把握するよう心がけます。

なお、分析にはフレームワークを活用するのが効果的です。
実際に利用できるフレームワークは後述で紹介します。

課題の整理

自社を取り巻く現状や立ち位置を把握したら、そこから販売における課題を導き出します。
例えば、他社製品と比べたときの商品力・差別化要因の不足、利益率の低さ、リピーターの不足などです。
市場全体の動向や競合各社の製品と比較すると、より自社の改善点がはっきりするでしょう。

また、消費者アンケートや社内ヒアリングを実施する方法も有効です。
消費者アンケートでは自社製品の足りない部分や捉えられていないニーズを直接把握でき、社内ヒアリングでは業務プロセス上のボトルネックが明らかになります。

アクションプランの策定

洗い出した自社の課題や改善点に対して、具体的な販売方法や販売経路などのアクションプランを検討していきます。
施策の検討においては、ターゲット層のニーズ、見込み客の商品認知度、リピーターの顧客層、リピーター数、顧客単価、利益率などのデータが必要になります。
また、現状のデータから目標指数を導き出し、KPIやKGIを設定してもいいでしょう。

これらの検討には、販売戦略策定のテンプレートを使うと客観的かつ効率的に進められます。
代表的なテンプレートについては、次章で解説します。

 

代表的な販売戦略テンプレート

販売戦略の策定に使える代表的なテンプレートを5つ紹介します。

ランチェスター戦略

ランチェスター戦略とは、弱者の立場から自分に有利な状況・戦況を作り出す戦略方法です。
もとは軍事理論として誕生したものですが、1970年代から販売戦略のひとつとして応用されるようになりました。

ランチェスター戦略では、市場シェア1位を獲得している企業と、それ以外の企業とでは異なる販売戦略をとるべきだと考えます。
広い市場で強者企業と競争するのではなく、ターゲットとする市場を絞り、消費者ニーズに対して的確な商品を提供して差別化を図ることで、その市場での強者になることができるというのが基本的な戦略です。

ニッチ化戦略

ニッチ戦略とは、競合他社が手を付けていない小さな市場・狭い市場をターゲットにし、その市場の独占を狙う販売戦略です。
競合のいない市場において消費者ニーズを捉えた商品を提供し、市場シェアの独占を狙います。

規模の大きな市場は多くの見込み客が期待できる一方、競合も多く強固な商品力をもっていなければシェアを獲得することは困難です。
ニッチ戦略では、小さな市場を対象とするものの、その分競合がいないため他社との競争に巻き込まれにくいのがメリットです。
市場が小さくても、先行者利益を独占できれば大きな利益を見込めます。

コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略は、競合他社と比べて安い価格で製品を提供したり、原価を押さえて利益率を高めたりして競争優位性を確立する販売戦略です。
著名な経済学者であるハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱し、ビジネスシーンに広まりました。

具体的な手法としては、大量生産による単価の低減や生産プロセスの効率化、仕入れルートの見直し、人件費や設備費の削減などがあげられます。
他社と同程度の品質の製品をより安価に提供することで、リピーターの獲得を狙います。
一般的に大企業がよく選択する方法ですが、ニッチ市場を狙う中小企業でも採用することがあります。

サンドイッチ戦略

サンドイッチ戦略とは、価格帯の異なる「松竹梅」の3つの製品を用意し、より利益率の高い製品に誘導する戦略です。
価格の違う3つのプランがあると、中間のプランを選びやすいという日本人の特性を利用しています。
例えば「月額5万円のプレミアムプラン」「月額3万円のベーシックプラン」「月額1万円のミニマムプラン」を用意すると、中間の「ベーシックプラン」が選ばれやすくなるのです。

つまり、最も販売に力を入れたい中間プランの利益率を高く設定し、かつ他のプランよりも品質を高くすることで、全体の利益率を高めるとともにリピーターを獲得しやすくなります。

バンドル戦略

バンドル戦略(バンドル効果)とは、利益率の高い製品と低い製品を組み合わせて販売することで利益を底上げする戦略です。
代表例としては、飲食店のセットメニューがあげられます。
例えば、一定の販売数が見込めるハンバーガーやポテトに、利益率は高いものの単品での販売数が少ないドリンクをセットにすることで利益率を高めています。

全体の販売数を平準化することで在庫調整がしやすくなる点もメリットです。
また、顧客にとっても、単品販売よりお得感が感じられるという付加価値があります。

 

販売戦略の分析に役立つフレームワーク

的確な販売戦略を立案するには、自社を取り巻く外部環境を正確に分析することが大切です。
分析に活用できる代表的なフレームワークを紹介します。

3C分析

3Cとは「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の頭文字をとった言葉で、自社を取り巻く環境要因を分析するマーケティング手法です。

「どのような市場や顧客ニーズがあるか」「どのような競合がいるか、各社の強み・弱みはなにか」「自社の強み・弱みはなにか、評価はどうか」の3つの観点から分析と検討を重ねて、自社が成功するための要因を見出します。

3C分析とは?意味や必要性・やり方・事業戦略に活用するコツを解説 – 経営コンサルティングの株式会社武蔵野

STP分析

STP分析は、アメリカの経済学者であるフィリップ・コトラーによって提唱されたフレームワークです。

STPは「Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取った言葉で、この3つの指標に基づいて市場を分析し、自社を取り巻く現状や顧客ニーズを把握します。

STP分析とは?マーケティングで活用できるフレームワークを紹介 – 経営コンサルティングの株式会社武蔵野

SWOT分析

SWOTは「Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)」の頭文字を取った言葉です。
SWOT分析では、内部環境・外部環境について、この4つの視点を軸にプラス面やマイナス面を多面的に分析し、課題解決につなげます。

マーケティング戦略において活用されるフレームワークですが、企業の経営分析に活用されるケースも増えています。

SWOT分析とは?分析例・意味や方法・活用目的などを紹介 – 経営コンサルティングの株式会社武蔵野

VRIO分析

VRIO(ブリオ)分析とは「Value(経済的価値)、Rarity(希少性)Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)」という4つの指標を用いる手法で、経営学教授のジェイ・B・バーニー氏が提唱したフレームワークです。

主に、自社の競合優位性や経済資源を把握するためのフレームワークで、施設・設備や不動産などの有形資産、ブランド・特許などの無形資産、営業スキルなどの組織的能力といった経営資産に着目し、自社の強み・弱みを分析します。

VRIO分析とは?メリットや問題点・やり方や事例をわかりやすく解説 – 経営コンサルティングの株式会社武蔵野

 

販売戦略の成功例

ファーストフードチェーンのマクドナルドでは、食材の調達や製造、販売において徹底的なコスト削減により低価格での商品提供を目指す「コストリーダーシップ戦略」を採用しています。
全国の店舗でメニューや商品の提供方法、クオリティを画一化して無駄なコストを省いており、その結果「手頃な食事といえばマック」というイメージ定着に成功しています。

また、需要が高いものの利益率が低いハンバーガー類と、利益率が高いポテト・ドリンク類をセットにして販売する「バンドル戦略」を取っており、顧客にお得感を与えながら利益率を高めています。

 

販売戦略立案の相談は武蔵野へ

販売戦略の立案には、自社を取り巻く環境や競合について客観的な分析が求められます。
その際、販売戦略のテンプレートやフレームワークを活用すると有効です。本記事で紹介した手法を参考に、まずは自社の置かれた現状を正確に把握するところから始めてみてください。

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