更新日:2023/04/14 09:56
業務効率
働き方
業務を平準化するには?属人化を防ぎ業務改善する方法
読了まで約4分
業務が特定の時期に集中してしまう、属人的になっているという悩みを抱えている企業経営者や経営幹部の方も多いのではないでしょうか。
そのような業務体制やプロジェクト進行の悩みは、業務の平準化によって改善できるかもしれません。
本記事内で平準化の概要やメリット、進め方などを詳しく解説するので参考にしてください。
目次
平準化の意味
平準化には「一定期間における社員・組織の業務量や作業負担を均等にする」という意味があります。
それによって社員の労力やストレスを均一にする効果も見込めます。
日本工業標準調査会(JISC)では平準化(標準化)を、「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」と定義しています。
多様化とは、人やグループごとに業務のプロセスが分かれている状態を指します。
それぞれが独自のやり方で仕事を進めている状態です。
複雑化とは、多様化によって第三者が理解できない業務プロセスが確立している状態です。
結果的に優秀な社員への依存度が高くなります。
無秩序化とは、仕事の規則が無くなり、必須業務とやらなくてもよい業務のボーダーラインが曖昧な状態を言います。
粗悪な商品・サービスを生むだけではなく、情報漏洩のような企業にとって致命的なダメージが発生するリスクもあるでしょう。
平準化できていない状況とは
平準化できていない状況には以下があります。
- 業務量が社員ごとに異なる
- 特定の時期に仕事が偏る
- 人によりできること・できないことの差がある
- マニュアル作成がされていない
1つずつ解説していきます。
業務量が社員ごとに異なる
複数の社員が関わっているにもかかわらず、特定の社員に作業量が偏るケースです。
考えられる要因には以下の2つがあります。
- 社員間のコミュニケーション不足
- 業務分担の割り振りが機能していない
1のケースでは、社員間の伝達不足により、一人ひとりの役割分担が均等にならない可能性が高くなります。
2のケースでは、タスクを振り分ける仕組みが整っていないため、上司(依頼者)から特定の部下(作業者)に依頼が集中しやすくなります。
上記いずれのケースにおいても、業務量が社員ごとに異なるため、平準化からは程遠い状況です。
特定の時期に仕事が偏る
季節や時期により、発生する業務量に「偏り」や「ばらつき」があるケースです。
仕事内容などに応じて期間は異なるものの、たとえば給与計算なら1ヶ月における偏り、新卒採用なら1年における偏りが考えられるでしょう。
また、不測の事態で業務量が変化するケースも該当します。
事故や災害などが発生した際は対応に追われるのが通常です。
前者の「期間における偏り」は平準化できる可能性がありますが、後者の「不測の事態」に関しては平準化が難しいかもしれません。
人によりできること・できないことの差がある
業務が属人化しているケースです。
属人化とは「特定の業務が、特定の担当者以外に対応できない、他に内容を把握している人がいない状態」のことを指します。
属人化の原因は多岐に渡りますが、主に次のような状況で多く起こります。
- 業務プロセスが可視化されていない
- 他の社員を教育する時間がない
- ベテラン社員などが自身の立場を守るため意図的に行っている
- 平準化の必要性を理解しながらも、そもそも仕事量が多くて取り組めない
特定の社員への依存度が高い場合は属人化しているかもしれません。
そうなると平準化からは程遠い状況です。
マニュアル作成がされていない
定型化できる業務のマニュアルが作られていないケースです。
業務の進め方にルールがないため、社員によって作業時間や業務量が偏っている可能性があります。
あまりにも不規則な業務対応はマニュアル化が難しいものの、ルーチンワークなどはマニュアルで平準化しやすいでしょう。
なお、マニュアルに関する詳細については、以下の記事を参照してください。
仕事のマニュアル化は必要?標準化の効果や作成手順を紹介
平準化のメリットとは
平準化のメリットには以下があります。
- 個人とチームの業務が効率化するため、対応可能な仕事が増える
- 仕事量が増えても品質や納期への影響を受けづらい
- 業務の質や生産性が上がる
- ノウハウがスムーズに蓄積される
- 社員が前向きな姿勢で業務に取り組みやすい
平準化によって効率的に業務を遂行できるため、対応可能な業務が増えても品質や納期への影響を受けづらく、質の向上を見込めます。
また、マニュアルによってノウハウが蓄積できるうえに属人化が解消されるため、社員が前向きな姿勢で仕事に取り組めるというメリットがあります。
平準化の進め方
平準化は以下のステップで進めるとよいでしょう。
- 業務・作業の棚卸し
- 作業者へのヒアリング
- 非定型業務の定型化
- 業務プロセス間の確認
- 無くす・減らす・変える・まとめる
- PDCAサイクルによる進行管理
それぞれ解説していきます。
業務・作業の棚卸しをする
まずは現在の状況を把握するために、業務・作業の棚卸しを行います。
各タスクの洗い出しとともに、業務の流れが分かるよう可視化するのがポイントです。
事故や災害のようなイレギュラーな対応も含め、各社員のタスクを細かくリストアップしましょう。
その際は作業手順書の作成も検討してください。
各ステップごとの業務内容や担当社員を一覧で確認できます。
棚卸しによって把握したいのは、無駄な業務プロセスや属人化などの課題です。
現在の組織、チームのどこに問題があるのかを理解することにより、平準化できる業務も検討しやすくなります。
作業者にヒアリングする
棚卸しによって業務プロセスを明らかにした後、作業者に対して「属人化している仕事はないか」「担当者ごとに偏りはないか」など、ヒアリングを通して確認します。
具体的には次のような質問を行います。
- 各期間によって作業の偏りがあるかどうか
- 繁忙期と閑散期の作業工数はどうか
- 平均的な作業工数はどうか
- 作業ごとにかかる工数はどうか
- 業務に対して不安や不満があるかどうか
上記をヒアリングすることにより、業務の偏りと原因を理解しやすくなります。
季節や社員ごとの作業量も把握できるでしょう。
「不安や不満があるかどうか」を聞くことで、社員の内面的な部分から本質的な原因も探りやすくなります。
非定型業務を定型化する
非定型業務とは、定量的な表現が難しい業務です。
「どのように進めればよいのか」が明確ではない業務とも言えます。
たとえば、部門間のイレギュラーなスケジュール調整、営業スタッフによる個別の商談、部下の育成などが挙げられます。
このような非定型業務には平準化が難しいものもありますが、先入観を排除したうえで、可能な限り定型化を検討することが大切です。
基本的に業務の偏りが多い企業には、多数の非定型業務が存在しているものです。
非定型業務を定型業務に変えるにはマニュアルの作成がポイントです。
マニュアルによって属人化を防止できるだけでなく、正しい見本を示せるというメリットがあります。
業務プロセスの間を確認する
業務と業務のつながりを確認することにより、平準化できるにもかかわらず、見落としていた作業が見つかる可能性があります。
特に非定型業務の前後に注目してください。
たとえば、営業担当による商談の平準化は難しくても、商談前のアポ取りや、商談後のアフターフォローは平準化できるかもしれません。
部門間のイレギュラーなスケジュール調整は難しくても、その前に「イレギュラーな事態が起こった際の対応」を平準化できる可能性もあります。
また、一見無関係に思える業務でも、意外なつながりがあるかもしれません。
業務Aの変更によって業務Cに支障が生じる可能性があります。
そうなると平準化の効果が薄れるため、業務間のつながりを把握することが大切です。
無くす・減らす・変える・まとめる
業務プロセス自体を見直し、無駄を排除することも平準化には効果的です。
特に定型業務で威力を発揮します。
「無くす」「減らす」「変える」「まとめる」の順に考えるとよいでしょう。
- 無くす:業務自体を無くす
- 減らす:作業工数や処理する量を減らす
- 変える:業務の一部や全部を変更する
- まとめる:複数の業務を統合する
「無くす」は最もシンプルな方法です。
過去に重要だった業務でも、現在は「ただ惰性で続けている」といった作業があれば、思い切って無くすことを考えてみてください。
「減らす」は作業工数や処理量をシステムで代用する方法などが考えられます。
「変える」は担当者を変更したり、まったく別のアプローチに変えてみたりといった内容です。
「まとめる」は関連業務を1つにまとめるなどの方法があるでしょう。
PDCAサイクルで進行管理をして日々確認する
業務を見直して平準化した後も、日々の進捗状況を可視化して継続します。
その際はPDCAサイクルの実施がポイントです。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の反復で客観的に状況を把握できるので、平準化が崩れるサインに気付きやすくなります。
平準化を保つためにPDCAサイクルを積極的に導入し、日々確認してみてください。
平準化して業務効率化を進めよう
平準化とは「社員・組織の業務量や作業負担の均一化」という意味がある言葉です。
平準化できていない組織では、業務量が社員ごとに異なったり、特定の時期に仕事が偏る場合があります。
業務内容の平準化によって、生産性の向上だけでなく、社員の安心感にもつながります。
そのためには業務・作業の棚卸しからスタートし、作業者へのヒアリング、非定型業務の定型化などを経ながら平準化を実施しましょう。
その後はPDCAサイクルによる進行管理も大切です。
より社内の状況を見直し、業務効率を高めたい場合は、社外コンサルティングサービスも検討してみてはどうでしょうか。
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