更新日:2023/04/14 09:57
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ヒューマンエラーの要因をわかりやすく説明!種類・対策法も
読了まで約4分
社員によるトラブルが続いており、「人材マネジメントのやり方を変えたほうがいいのだろうか…」と悩んでいる経営者や経営陣、人事担当者も多いのではないでしょうか。
ヒューマンエラーの要因を知ることでトラブルを防止できる可能性があります。
本記事では、最初にヒューマンエラーの概要を説明した後、ヒューマンエラーの種類、要因、事例の順に解説していきます。
ヒューマンエラーの防止策も紹介するので参考にしてください。
目次
ヒューマンエラーとは?言葉の定義
ヒューマンエラーとは、人が要因のミスのことで、人為的ミスとも言います。
些細なミスから深刻なものまで幅広く種類があります。
具体的には、行うべきことを行わなかったり、反対に行わない方が良いことを行ってしまうなど、人間がもたらす行為によって予測しない事態が発生してしまうことがヒューマンエラーです。
前者はオミッションエラー、後者はコミッションエラーと呼ばれますが、詳しくは次の章で解説します。
ヒューマンエラーの種類は2つ
ヒューマンエラーの種類はオミッションエラーとコミッションエラーですが、先ほどの表現を言い換えると以下の通りです。
- オミッションエラー:意図せず起きてしまうエラー
- コミッションエラー:意図した行動によって起きるエラー
意図せず発生するもの(オミッションエラー)
オミッションエラーの代表例は確認不足や物忘れなどの「うっかりミス」です。
その要因として、仕事に慣れていなかったり、理解不足だったりなどが考えられます。
特に入社直後の社員に起こりやすいエラーと言えます。
ただしベテラン社員の場合も、疲れや焦りのような心身の不調によって発生する可能性が高くなります。
意図した行動によるもの(コミッションエラー)
コミッションエラーは判断間違いや手抜きなど「誤った行為によって起きるミス」です。
その要因として、業務の順序を誤認して進めたり、慣れすぎた業務を片手間で進めたりなどが考えられます。
いずれにしても、本人の意図的な行動によって発生するミスです。
特にベテラン社員に起こりやすいエラーと言えます。
なお、コミッションエラーは「実行エラー」と呼ばれることもあります。
ヒューマンエラーに含まれないもの
「機械の不具合によるもの」や「手順に問題がなかったもの(マニュアルが間違っていたもの)」はヒューマンエラーに含まれません。
機械の不具合は人が原因ではなく、マニュアルに沿って発生したエラーも、使用ツールの問題などが原因と考えられるからです。
ただし後者の場合、自社でマニュアルを作成していればヒューマンエラーに分類されます。
マニュアル作成時の確認不足や検討不足が原因となるためです。
ヒューマンエラーのさまざまな要因
ヒューマンエラーが発生する要因には何があるのでしょうか。
ここでは、代表的な12の要因を具体例を交えて解説するので参考にしてください。
認知ミス
「きっと〇〇だろう」「〇〇に違いない」という固定観念や先入観が原因のヒューマンエラーです。
具体例として「上司への報告は明日でもいいに違いない」「A社への発注数が毎回変わらないから、今回も同じ数でいいだろう」などがあります。
判断ミス
正しく認知していたにもかかわらず、判断が不適切だったために発生するヒューマンエラーです。
具体例として「上司の許可なくB社からの追加発注を了承した」「顧客からの問い合わせに対して、3日以内に資料をお届けしますと回答したが、実際は間に合わなかった」などがあります。
不注意
確認不足や見落としなどによるヒューマンエラーです。
前述したオミッションエラーの代表例と言えます。
具体例として「うっかりミスで誤発注してしまった」などがあります。
知識・スキルや経験不足
業務知識や経験不足が原因のヒューマンエラーです。
特に新入社員に起こりやすいミスです。
具体例として「社内ツールを誤って使用した」「計算過程を間違えてC社に見積もりを出した」などがあります。
慣れによる手抜き
仕事に慣れることで「手を抜いて楽をしたい」「作業時間を短くしたい」という思いが原因のヒューマンエラーです。
特に新人から脱した社員が起こしやすいミスです。
具体例として「最終チェックを軽視してトラブルが発生した」「マニュアルを無視して業務を進めたところ、手順の変更に気付かなかった」などがあります。
疲労
働きすぎなどの疲労が原因のヒューマンエラーです。
定期的に繁忙期が訪れたり、残業が多かったりする会社は注意が必要です。
具体例として「残業続きで疲労が蓄積した結果、単純ミスを連発した」などがあります。
組織の集団欠如
集団の雰囲気が起因となるヒューマンエラーです。
個人よりも社風などが強く影響します。
具体例として「マニュアル通り進めるよりも、利益や早さを優先してしまった」などがあります。
連絡不足
社員同士の連絡不足によるヒューマンエラーです。
複数人が関わる業務において、情報共有が欠けている場合に起こりやすくなります。
具体例として「業務フローの変更を共有できていない社員がいた」といった理由で起こるミスなどが挙げられます。
場面行動本能
場面行動本能とは、物事への過度な集中で視野が狭くなり、重要な部分を見落とすことを言います。
特に新入社員に多いヒューマンエラーです。
具体例として「ミスをしないようにと意識しすぎた結果、大切な部分に気付かず問題が発生した」などがあります。
パニック
不測の事態やプレッシャーが原因で起こるヒューマンエラーです。
一般的に精神的に追い込まれると正常な業務処理が困難になります。
具体例として「タスクを抱えすぎたことでパニックになりミスをした」などがあります。
コミュニケーション不足
社員同士のコミュニケーション不足によるヒューマンエラーです。
前述した「連絡不足」と似ていますが、より幅広い概念です。
具体例として「他の社員が担当していると思い込んでいた」といった理由で起こるミスなどが挙げられます。
心身の機能の低下
加齢などの心身機能の低下に伴って、記憶力や認識力が低下することで発生するヒューマンエラーです。
具体例として、「若い頃よりも判断に時間を要した結果、顧客からクレームを受けた」などがあります。
ヒューマンエラーの事例
ヒューマンエラーによって起こりやすい事例として、「情報漏洩」と「業務中のケガ」があります。
情報漏洩は「発注書や請求書を別な会社に送付した」「社内管理システムのIDとパスワードをネット上に公開してしまった」などが挙げられます。
個人的なミスにチェックシステム・セキュリティ対策の甘さが加わることで発生しやすい問題です。
情報漏洩には「企業の信頼が失墜する」などの大きなリスクがあります。
業務中のケガは「階段から転倒してケガをした」「高い場所から荷物を落として通行人にケガをさせてしまった」などがあります。
集中力が途切れていたり、注意力が散漫になっていたりすることで起こりやすい問題です。
業務中のケガには「大きな事故につながる」というリスクがあります。
上記のような事態を防ぐには、ヒューマンエラーの対策が必要不可欠です。
ヒューマンエラーを防ぐには
ヒューマンエラーの主な防止策には以下の3つがあります。
- マニュアルの作成
- ヒューマンエラーが発生しにくい組織体制をつくる
- 過去のヒューマンエラーをチェックする
それぞれ解説していきます。
マニュアルの作成
マニュアルとは、社員全員が均一なレベルで仕事を進められるように手順やルールをまとめたものです。
作成のポイントとして、「全くの初心者でもマニュアル通りに作業できるかどうか?」を考えるとよいでしょう。
そのためには専門用語や社内用語を減らす努力や、図、写真、動画の多用が必要かもしれません。
マニュアルが社内にあれば、誰でも目に見える形でノウハウを共有できるため、「判断ミス」「不注意」「知識・スキルや経験不足」などのヒューマンエラーを防止しやすくなります。
特に手順がわかりづらい業務に対して、マニュアルは効果的です。
マニュアル化の詳細に関しては、以下の記事もご覧になってください。
仕事のマニュアル化は必要?標準化の効果や作成手順を紹介
ヒューマンエラーが発生しにくい組織体制をつくる
ヒューマンエラーが発生しにくい組織体制をつくるには、社員からの報告が大切です。
現場レベルの多様な事例を集めることにより、再発に向けた防止策を講じられます。
そのためには、「ヒューマンエラーとはどういうものなのか」という認識を組織内ですり合わせる必要があります。
社員一人ひとりに「自分のミスがヒューマンエラーに該当するかどうか」を判断してもらうためです。
ただし、社員がヒューマンエラーと認識した場合でも、組織によっては報告しづらいものです。
「ミスを知られて叱られたくない」「失敗した自分は恥ずかしい」などという気持ちが働くためです。
その場合、上司から部下だけでなく、部下から上司に対しても気軽に指摘できるような「風通しのよい組織体制」に変えていく必要があります。
過去のヒューマンエラーをチェックする
過去のヒューマンエラーをリスト化して共有したり、お互いにチェックを行ったりすることも防止につながります。
同一の業務に携わっている社員にとって、ヒューマンエラーは自分にも起こる可能性があるリスクだからです。
リスト化やお互いのチェックを行う際は、ミスをした社員を責めないことが大切です。
責めることで心を閉ざしてしまう可能性があるからです。
ヒューマンエラーの要因を理解し対策を講じよう
ヒューマンエラー(人為的ミス)は、認知ミスや不注意など、さまざまな要因で発生します。
「情報漏洩」や「業務中のケガ」のような事態につながるリスクもあるので注意が必要です。
ヒューマンエラーを防止するには、マニュアル化やリスト化などを積極的に行うとよいでしょう。
風通しのよい組織体制に変更することも大切です。
なお、組織体制の見直しの際は、外部機関に相談するのも有効な手段です。
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