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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/25 14:10

経営

イノベーションとは?定義や使い方・必要性をわかりやすく解説

読了まで約4分

急速に少子高齢化が進行する日本において、多くの企業が経営戦略に取り入れている「イノベーション」。
イノベーションを推進することで、社会に重大な変革をもたらす事業を生み出し、市場における優位性を確立できるだけでなく、持続的な企業成長を目指すことが可能です。

今回は、イノベーションの定義や意味などの基礎知識、企業がイノベーションに取り組む必要性、実際の企業事例などを紹介します。

イノベーションの定義

イノベーション(Innovation)とは、既存の商品やサービス、ビジネスモデルに新しい技術や仕組み、発想を取り入れて新たな価値を生み出し、社会に有益な変化をもたらすことです。

日本語では主に「技術革新」と訳されますが、定義としては技術分野以外での革新も含みます。
例えば、社会が抱えている課題を解決する新たな手法の開発や発想の転換などもイノベーションです。

イノベーションは、会社が成長を維持するために必須の要素と捉えられており、大企業だけでなく中小企業にとってもイノベーションの創出が重要な経営課題のひとつとなっています。

 

さまざまなイノベーションの意味

イノベーションは、提唱者によって定義や意味が異なります。ここでは、代表的な3つの理論を紹介します。

ヨーゼフ・シュンペーター「5種類のイノベーション」

ヨーゼフ・シュンペーターは20世紀を代表する経済学者で、イノベーションを中心とする独自の経済理論を提唱したことで知られています。
シュンペーターは1912年に発表した著書「イノベーションを核とした経済発展理論」において、イノベーションを「価値の創出方法を変革して、その領域に革命をもたらすこと」と定義しました。

また、イノベーションは以下の5種類に分類できるとしています。

・プロダクト・イノベーション
これまでにない、全く新しい製品を開発すること

・プロセス・イノベーション
仕事場に新しい生産方法を導入し、業務効率や生産性の向上を図ること

・マーケティング・イノベーション
新しい市場を開拓して、販路を広げること

・サプライチェーン・イノベーション
原料の供給源の最適化して、原料調達から製品提供までのプロセスを一新すること

・オーガニゼーション・イノベーション
組織そのものの変革を図ること

これら5つのイノベーションは、どれも企業経営において一般的に行われている経済活動であり、特別な内容ではありません。
つまり、斬新な技術やアイデアの創出だけをイノベーションというのではなく、既存の製品やサービスへのアプローチを変えたり、組織の最適化を図ったりすることもイノベーションのひとつであるというのが、シュンペーターの理論です。

クレイトン・クリステンセン氏「持続的イノベーションと破壊的イノベーション」

アメリカの実業家・経営学者であるクレイトン・クリステンセンは、企業におけるイノベーションの第一人者であり、多くの書籍を執筆しています。

クリステンセンは、1997年に出版した著書「イノベーションのジレンマ」において「持続的イノベーション/破壊的イノベーション」というモデルを提唱しました。

・持続的イノベーション

既存市場において、すでにユーザーとなっている消費者の満足度をさらに向上させることで、「創造的イノベーション」ともいう。
例えば、消費者の意見や要望を取り入れて、商品やサービスの改良・改善を行うことなどを指す。

・破壊的イノベーション

既存の発想にとらわれず、新たな考えや価値観を取り入れて新商品や新サービスを生み出すこと。
既存の商品やサービスの価値を低下させる一方で、新たな市場を生み出す。

また、クリステンセンは著書の中で、大企業ほど新市場に目を向けなくなり、持続的イノベーションを選ぶ傾向があると指摘しています。
これを「イノベーションのジレンマ」といい、成功している企業ほど新市場への参入が遅れて、ビジネスチャンスを逃す可能性があると言及しています。

ヘンリー・チェスブロウ「クローズドイノベーション/オープンイノベーション」

ハーバード大学教授のヘンリー・チェスブロウは、2003年に発表した著書「オープンイノベーション」において、イノベーションの規則性について説明する「オープンイノベーション/クローズイノベーション」という概念を説いています。

・オープンイノベーション

社内リソースだけでは達成不可能な事業を、社内外問わず利用できるリソースを的確に活用して、市場拡大や目標達成を目指すこと。
ここでいうリソースとは、ヒト・モノ・カネなど、事業を行う上で不可欠な資源を指す。
デジタル技術の進歩や市場のグローバル化により、大企業でも社内リソースのみでイノベーションを起こすことが困難になったため、活発に利用されるようになっている。

・クローズイノベーション

社内リソースのみで研究や開発を完了させる、クローズドな環境で行われるイノベーション。
日本企業においては、高度経済成長期から1990年代までこのモデルが開発の主流だったが、グローバル化による市場競争の激化や製品ライフサイクルの短期化、開発費の高騰などにより、この手法でのイノベーション創出が困難になっている。

 

企業がイノベーションに注目する背景

多くの企業が重要な経営戦略としてイノベーションを目指す背景には、次の3つの理由があげられます。

労働人口減と市場縮小が続くため

日本では急速な少子高齢化が進んでいることから、人口減少による国内市場の縮小が懸念されています。

少子高齢化が進むと、医療や介護など一部の分野では需要拡大が期待されるものの、多くの分野では人口減少による需要縮小が見込まれています。
さらに、労働力人口が減少するため、企業の経済成長に必要不可欠である労働力の投入が追いつかず、供給面でも経済機会の損失につながるといわれています。

現在の市場で従来通りの経済活動を続けても、成長に歯止めがかかる可能性が高くなっており、イノベーションによる成長維持を目指す必要性があるのです。

利益拡大・企業の成長のため

イノベーションを起こせば、莫大な経済効果を得て企業を大きく成長できる可能性が高いのも理由のひとつです。

前述でも触れた通り、現代の日本は人口減にともなう需要の縮小から、十分な利益を確保して企業成長を維持することが難しい状況となっています。
しかし、イノベーションを起こして全く新しい市場を開拓できれば、一定期間はその市場を独占でき、大きな利益を獲得できます。
さらに、革新的な製品を生み出した会社として企業ブランドを確立すれば、安定した利益確保を目指せるでしょう。

そのため、イノベーションは企業が成長を維持するために必要不可欠な手段と認識している企業が多くなっています。

技術革新のスピードが速く顧客ニーズも多様化しているため

技術の急速な進歩により、次々とIT・Web関連の製品やサービスが開発されるようになったことも一因です。

例えば、スマートフォンの登場により、これまで一般家庭に広く普及していた固定電話やガラケーの所有率が大幅に下がって、シェアの大部分が奪われました。
このように、従来よりも商品サイクルが格段に早くなった現代では、既存の技術や製品が突然古いものになってしまう事態が頻発しているのです。

多彩な商品やサービスが次々と登場していることから、顧客のニーズも多様化しており、それに応えるためにもイノベーションの必要性が高まっています。

 

イノベーションを経営・ビジネスに取り入れるメリット

前述した通り、イノベーションを起こして新たな市場を開拓できれば、その市場を独占して大きな利益を得られる可能性があります。
開発した製品やサービスの海外需要を見込めるならば、国内に留まらず海外で独占的地位を確立することも不可能ではありません。
国内市場の需要減という障壁にとらわれず、グローバル企業として成長を目指せるのです。

また、イノベーションによってこれまでにない技術を開発したり、生産ラインやサプライチェーンを刷新したりすると、業務効率や生産性の大幅な向上が期待できます。
組織の生産力が高まれば、人手不足による業務過多の解消にもつながるでしょう。

 

イノベーションの成功事例

イノベーションによって社会や業界に革新をもたらし、市場における優位性を確立した事例として、代表的な2社を紹介します。

メルカリ

不用品を売りたい人と購入したい人をマッチングするフリマアプリ「メルカリ」は、リユース業界の大手プレイヤーとして独占的な地位を築いています。

従来の店舗型リサイクルショップは、品質の良い中古品を仕入れるための仕入れ費用に加え、店舗の維持費や人件費などのコストがかかる上に、在庫を抱えていました。

一方、メルカリは個人間取引に対してプラットフォームを提供する存在であり、運営コストを削減しながら取引に対する手数料を徴収するだけで十分な利益を得られます。
アプリのUI/UXにもこだわり「だれでも指先一つで手軽に商品を出品できる」という体験を消費者に提供したことから、業界のパイオニアとして顧客の囲い込みに成功しています。

富士フイルム

富士フイルムは、写真フィルムの製造・販売をコア事業として成長してきたものの、写真のデジタル化にともない、たった10年間で市場が10分の1に縮小するという事業環境の激変を経験しています。

そこで、同社はフィルム製造技術を活用した化粧品や医薬品、再生医療事業などに着手し、各分野で安定した地位を獲得することに成功しました。
市場の変化と潜在的なニーズを見極めて事業構造を大胆に刷新し、企業成長を維持している事例です。

 

イノベーションを推進して市場の優位性を獲得しよう

労働力人口の減少により、国内市場の縮小が懸念される現代の日本では、成長を維持するために必要な経営戦略としてイノベーションを推進する企業が増えています。
イノベーションを起こすことで利益拡大が図れるだけでなく、業務効率や生産性の向上による人手不足の解消なども期待できます。

新たな技術の創出だけでなく、生産ラインやサプライチェーンの改革でもイノベーションを起こすことは可能です。
市場での優位性を獲得し、継続的な利益創出や企業成長につなげるためにも、まずは自社の事業構造や生産プロセスの見直しを図ってみてはいかがでしょうか。

自社の経営における優位性獲得や経営活動の改善にお悩みの場合は、外部のコンサルティングを頼ってもいいでしょう。
武蔵野では、経験豊富なスタッフが課題を丁寧にヒアリングし、最適なプランをご提案いたします。
まずはお気軽にご連絡ください。
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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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