更新日:2023/10/06 13:48
経営
IR活動とは?企業が行うメリットや活用方法・評価を高めるポイントなどを解説
読了まで約4分
「資金調達につながるIR活動について知りたい」「企業がIR活動を行う効果やメリットを理解したい」と考えている経営者や代表者の方も多いのではないでしょうか。
適切なIR活動によって、有利な資金調達が実現する可能性があります。
そこで本記事では、IR活動の意味や目的、効果・メリット、活用方法・具体例を紹介します。
評価の高いIR活動のポイントについても解説するので参考にしてください。
目次
IR活動とは
まずはIR活動の基本として以下を紹介します。
・IR活動の意味・目的
・広報活動とIRの違い
後述するIR活動のメリットや活用方法をスムーズに理解するためにも理解しておきましょう。
IR活動の意味・目的
IRは「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の頭文字を取った言葉であり、「投資家向け広報」と訳されます。
IR活動とは、投資家や株主のような関係者に対して、自社の経営状態・財務状況や将来の展望など、投資判断に必要な情報の提供を指します。
具体的なIR活動として、企業説明会、決算説明会、アニュアルレポート(年次報告書)の発行、自社ホームページ、工場・施設の見学会での情報公開などがあります。
適切なIR活動によって、投資家や株主に「健全に運営されている企業」「信頼に足る企業」という印象を与える効果が期待できるでしょう。
広報活動とIRの違い
広報活動とIRに共通している要素は、ステークホルダー(利害関係者)への情報発信と適切な関係性の構築です。
一方、双方の違いには以下があります。
・広報=マスコミやメディアに対して自社の商品・サービスなどの情報を伝える
・IR=株主や投資家に対して株式・決算に関する情報などを伝える
このように広報とIRでは、情報を届ける相手と内容が異なります。
広報とIRの連携が取れている場合、社内での情報共有がスムーズです。
たとえば、広報のプロモーション活動の結果をIRと共有したり、IRが投資家とのコミュニケーションの結果を広報と共有したりといった連携です。
企業がIR活動を行う効果・メリット
企業がIR活動を行う効果・メリットとして以下が挙げられます。
・投資家とのコミュニケーションを深められる
・投資家からのフィードバックが得られる
・企業価値を向上できる
それぞれ解説していきます。
投資家とのコミュニケーションを深められる
積極的なIR活動への取り組みは投資家の信頼獲得につながります。
コミュニケーションを深められ、良好な関係を構築できるでしょう。
企業が経営の透明性・財務状況を示し、将来の見通しを伝えるという一連のプロセスにより、投資家の理解を得られるからです。
また、IR活動は現在の株主だけでなく、これから投資を始めたいと考えている新規投資家に対しても好印象をアピールできます。
投資家からのフィードバックが得られる
IR活動における企業説明会や決算説明会は、自社の経営・財務情報を投資家に提供する場です。
それと共に、投資家側から企業に対してさまざまな意見が寄せられるため、お互いのコミュニケーションが成立する場でもあります。
投資家とのコミュニケーションによって自社の市場評価を的確に把握できるだけでなく、有益なフィードバックを経営に反映することにより、企業価値の向上や株価の上昇が見込めます。
企業価値を向上できる
IR活動は経営状態や財務状況の情報提供だけでなく、社会貢献活動や環境保護活動といった非財務情報も含まれます。
それによってマーケットにおける企業価値がアップし、株価を押し上げる効果が期待できます。
実際にESGを重視して投資先を選ぶという動きが広がっています。
ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字をつなげたものであり、ESGに配慮した企業への投資が「ESG投資」です。
IR活動の活用方法・具体例
IR活動の活用方法・具体例には以下があります。
・株主・投資家へ説明会を実施する
・決算説明会・事業説明会を実施する
・コーポレートサイトにIR情報を掲載する
・商品・サービス説明会や関連施設の見学を実施する
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
株主・投資家へ説明会を実施する
追加投資や資金調達などを呼びかける際は、企業のミッションやビジョン、経営戦略、業績、成長予測をプレゼンテーションするための説明会を開催します。
場合によっては企業側が投資家宅を訪問することもあります。
株主・投資家とは対話によるコミュニケーションが重要なので、スモールミーティングを実施するケースもあります。
少人数で質疑応答を行うスモールミーティングは、お互いにとって理解を深めやすい方法です。
決算説明会・事業説明会を実施する
決算説明会や事業説明会はラージミーティング(大人数型のミーティング)と呼ばれています。
前述したスモールミーティング(少人数型のミーティング)と対比する言葉です。
本決算時は一斉に説明会を開催するケースが多いものの、必ずしも対面型とは限りません。
昨今はWeb上でのライブ配信も増えています。
ただしその際も、企業からの一方的な説明ではなく、インタラクティブな質疑応答が行われるのが一般的です。
コーポレートサイトにIR情報を掲載する
コーポレートサイトに掲載する主なIR情報は下記です。
・経営者のメッセージ
・ミッション
・ビジョン
・経営戦略
・社史・会社の沿革
・決算情報
・業績推移とハイライト
・組織体制
・研究開発、製品・サービス、技術に関する情報
・ディスクロージャーポリシー
・コンプライアンス関連
・株主還元、株式、株主総会に関する情報
・IRイベント、IRブログに関する情報
・説明会の質疑応答
・アニュアルレポート
・ニュースリリース
・プレスリリース
など
なお、課題としてESGに取り組み、積極的に情報開示している企業に関しては、収益力、ブランド力、企業価値の向上につながると評価される傾向があります。
商品・サービス説明会や関連施設の見学を実施する
自社が提供している商品・サービス、製品を作り出す工場などは将来の売上につながります。
そのため、株主・投資家に対して新商品・サービスの説明会を開催し、実際に体感してもらうことにより、企業の存在を身近に感じてもらえるでしょう。
その結果、企業の成長性への期待が高まる効果も期待できます。
評価の高いIR活動にするポイント
評価の高いIR活動にするポイントとして以下が挙げられます。
・経営者が積極的に参加する
・情報や意見をフィードバックできる仕組みをつくる
・投資家との対話やコミュニケーションを重視する
・充実した情報をわかりやすく伝える
それぞれ解説するので参考にしてください。
経営者が積極的に参加する
IR活動では企業のトップが積極的に参加し、経営戦略や事業目標を明確に伝えることが大切です。
それによって株主や投資家の信頼が向上します。
企業のトップはあらかじめ用意された原稿や資料をただ読むのではなく、株主や投資家の質問に対して、自身の言葉で力強く答えられるかどうかが試されます。
しっかりと説明責任を果たそうとする姿は株主・投資家に良い印象を与えますし、IR活動に真剣な企業として認識されやすいでしょう。
情報や意見をフィードバックできる仕組みをつくる
IR活動を通して得た情報や、投資家からの意見を経営に反映するには、社内にフィードバックの体制が築かれていなければなりません。
スモールミーティングやラージミーティングを開いて投資家から意見を聞いても、その後の改善に役立てなければ、「この企業はIRを経営に活用する意思がない」として、投資家に愛想を尽かされる可能性があります。
そのため、自社にフィードバック体制が築かれていない場合は早急な整備が必要です。
投資家との対話やコミュニケーションを重視する
IR活動は企業からの一方的な説明ではなく、株主や投資家との対話やコミュニケーションによる双方向性が望ましいとされています。
詳細な資料をもとにした説明も大切ですが、それ以上に株主や投資家は対応力に注目する傾向があります。
たとえば、投資家からの質問に対して企業のトップが明確な答えを伝えられず、株主からの意見に感情的な対応をした場合、イメージダウンは免れません。
そのため、予想外の質問に対しても慌てず、適切に対応するスキルが求められます。
充実した情報をわかりやすく伝える
IR活動をスムーズに進めるには、株主・投資家が求める情報を自社ホームページに明確に記載することが重要です。
どこに何が書かれてあるのかわかりづらければ、信頼性を損なう懸念があるからです。
自社のホームページが以下に当てはまっているかどうかを確認してください。
・情報をすぐに見付けられる構成になっている
・イラストや図解も含めた資料が用意されている
・業界用語や専門用語には注釈が付いている
・説明会の音声や動画ファイルが簡単に視聴できる
・個人投資家向けのIR情報ページがある
改善箇所に迷ったときは、株主や投資家の視点で考えることが大切です。
実際にホームページの感想を聞ける機会があれば、積極的に聞いてみることをおすすめします。
IR活動を充実させ企業価値を高めよう
IR活動とは、投資家や株主などに対して、経営状態や財務状況といった情報を提示することをいいます。
具体的なIR活動には、株主・投資家への説明会、決算説明会・事業説明会、コーポレートサイトへの掲載、商品・サービス説明会、関連施設の見学などがあります。
評価の高いIR活動を実現するコツは、経営者の積極的な参加、情報や意見のフィードバック体制の構築、投資家との対話やコミュニケーション、情報のわかりやすい伝達です。
IR活動を踏まえて資金調達の計画を立てるには、ツールの使用が効果的です。
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