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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/03/04 09:49

経営

事業戦略とは?意味や戦略立案の方法・フレームワークを紹介

読了まで約3分

限りある経営資源を最大限に活用して事業目標を達成するためには、事業戦略の策定が欠かせません。いざ事業戦略を立てる際に、何から手を付けばいいのか分からないという人も多いでしょう。

今回は、事業戦略を立案する具体的なステップや活用できるフレームワーク、事業戦略を成功に導くポイントなどを解説します。

事業戦略とは

事業戦略とは、各事業の目標を達成するために、具体的な施策や方針を定めた戦略です。ヒト・モノ・カネといった有限の経営資源を最大限に活かして、どのように自社の優位性を確立するかを検討します。

旅行で例えるなら、「○○駅に到着する」という目標に対して「電車で行くのか、車で行くのか」「どのルートを通るのか」などを決定するのが事業戦略に当たります。

また、決定した戦略を実現する具体的なアクションを「戦術」といいます。事業スタートにあたって社員にどのようなスキルを学ばせるか、OJTを実施するのか、eラーニングを取り入れるかといった行動プランやタスクが戦術です。適切な事業戦略を立てる際には、戦略と戦術の混同を混同しないよう注意が必要です。

経営戦略との違い

事業戦略が事業ごとの指針であるのに対し、経営戦略は企業全体が達成すべき指針を指します。経営戦略は、企業が目指すべき姿を実現するための基本方針で、事業戦略よりも中長期的・多角的な視点で策定されるのが特徴です。

また、各事業戦略は経営戦略をもとに決定されます。経営戦略との整合性がとれるよう事業の方向性が決定され、各事業の成功が結びつくことで企業全体の成長につながります。

 

事業戦略のフレームワーク例

事業戦略を立てる際には、既存のフレームワークを活用すると効率的です。事業戦略の策定に役立つ代表的なフレームワークを紹介します。

3C分析

3Cとは「Customer(市場・お客様)、Competitor(競合)、Company(自社)」の頭文字を取った言葉で、この3つの視点から自社を取り巻く環境を分析するフレームワークです。主に、マーケティング戦略やお客様ニーズを考える際に活用されます。

3C分析を用いると、自社を取り巻く環境要因を客観的に分析することが可能です。課題の原因だけでなく、成功要因を特定でき、事業戦略の最適化に適しています。

詳しくは、こちらの記事で解説していますので、併せてご覧下さい。

3C分析とは?意味や必要性・やり方・事業戦略に活用するコツを解説

SWOT分析

SWOTとは「Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)」の頭文字をとった言葉です。SWOT分析では、この4つの視点から内部環境・外部環境それぞれのプラス面・マイナス面を分析し、課題の解決につなげます。

SWOT分析の目的はニーズが多様化する市場で生き残るため、自社商品・サービスの差別化を図ることにありますが、ビジネスチャンスや危険性を分析できることから、戦略立案にも役立てられます。そのため、事業戦略の効果検証やブラッシュアップにも活用可能です。

SWOT分析とは?分析例・意味や方法・活用目的などを紹介

差別化戦略

差別化戦略とは、アメリカの経営学者マイケル・ポーターによって提唱された理論の一つです。競合他社との差別化を図り、自社の優位性を確立することで、利益率の向上を目指します。

具体的には、他社が真似できない自社商品の価値を明確化して「高くても売れる仕組み」をつくります。主に、独自の魅力が確立しているブランドメーカーが採用することの多い戦略です。

差別化戦略とは?メリット・デメリットや実践方法などわかりやすく解説

コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略は、差別化戦略と同様にマイケル・ポーターが提唱した理論の一つで、市場において優位性を得るための戦略です。商品原価を抑えることで低価格を実現し、単なる安売りではない高利益率の商品販売を目指します。

商品コストを抑えられるため資源に余剰ができ、新商品の開発や既存商品の改善などにもつながる戦略です。

コストリーダーシップ戦略とは?意味やメリット・発揮する方法や事例を紹介 

STP分析

STPは「Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)」の頭文字をとった略語で、この3つの要素をもとに市場やお客様を分析して戦略立案に役立てるのがSTP分析です。

STP分析を行うと、市場において武器になる自社の強みが明らかになり、自社がとるべき立ち位置が明確になります。競合との不要なバッティングを避けられるため、中小企業こそ活用すべきフレームワークです。

STP分析とは?マーケティングで活用できるフレームワークを紹介 

VRIO分析

VRIO(ブリオ)とは「Value(経済的価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)」の頭文字をとった言葉で、経営学教授のジェイ・B・バーニーが確立し、世間に浸透させた分析手法です。

VRIO分析は、主に自社の競合優位性や経済資源を知る際に活用されます。自社の持っている経営資源が可視化されるため、事業に投入するリソースの最適化が期待できるのです。

VRIO分析とは?メリットや問題点・やり方や事例をわかりやすく解説 

 

事業戦略の立て方

事業戦略を立てる際は、基本的に次の3つのステップで実施します。

目標を設定する

まずは、事業の遂行によって達成したい目標やビジョンなどを設定します。その事業で社会にどのような変化をもたらしたいか、お客様のどのようなニーズを満たしたいかなどを検討しましょう。

また、定量目標を設定しておくと効果検証がしやすくなります。例えば「新製品の売り上げ○億円を達成する」など具体的な数字を盛り込んだ目標を立てると、最終的に戦略や計画をどの程度達成できたのか把握しやすく、次の事業戦略策定に活かせます。

現状分析・課題抽出を行う

目標が定まったら、次に自社の現状を分析して、解決すべき課題を洗い出します。

現状分析では、内部環境だけでなく自社を取り巻く外部環境を把握し、市場における自社の立ち位置を明確化することが大切です。この際、3C分析やSWOT分析、STP分析などのフレームワークを用いて、状況を整理してもいいでしょう。

分析が正確でないと、その後に策定する戦略が現状に沿っていないものになる可能性があるため、事業戦略において最も重要なプロセスといっても過言ではありません。主観に基づいた楽観的な分析にならないよう、フレームワークを活用して客観的に分析するよう注意しましょう。

戦術を策定する

現状分析により自社の課題が明確になったら、事業戦略の方針を策定します。

事業戦略では、分析から明らかになった自社の強みを活かし、どのように課題を乗り越えて理想の状態に近づけるのか具体的な手段を盛り込みます。例えば「新商品のユーザー認知度○%」「商品原価○%削減」といった戦略が考えられます。

戦略は、できるだけ複数案を出しておくことがおすすめです。1つの戦略がうまくいかなかった場合に、すぐ次の戦略を実行できるよう、複数の戦略を洗い出しておきましょう。

 

事業戦略を成功に導くポイント

最後に、事業戦略を計画通り遂行し、成功に導くためのポイントを紹介します。

経営戦略や人材戦略と紐づけた目標設定をする

事業戦略は、その事業単体で考えるのではなく、企業全体の経営戦略と紐づけることが重要です。各事業は経営戦略の達成に向けた役割となるため、経営戦略と乖離した事業戦略を立てても経営目標やビジョンの達成に直結しません。

同時に、事業を担う人材戦略とも関連付けて考えましょう。人材は経営資源の一つであり、どの事業にどのくらいの人材を投入するかは人材戦略に沿って決定されます。人材戦略も踏まえて事業の方向性を定めると、全社が一体感を持って課題解決に取り組めます。

変化に柔軟に適応する

事業戦略は一度決めたら終わりではなく、世間の情勢や市場動向などに合わせて柔軟に改良することが大切です。

昨今は、不確実性の高いVUCA時代ともいわれており、感染症の世界的流行やデジタル技術の発展、市場のグローバル化など、さまざまな外部要因によりマーケットに予測不可能な変化が生じやすいです。外部要因の変化を素早く捉えて、事業の方向性を修正しなければ、ビジネスチャンスをつかみ損ねる可能性があります。

機会損失を未然に防ぐためにも、事業戦略は柔軟に変化させ、改良し続ける意識が求められます。

フレームワークを行って満足しない

事業戦略の策定に必要な環境分析にはフレームワークを活用すると効率的ですが、分析して終わりにならないよう注意が必要です。あくまでも、戦略策定に必要な情報を揃えるための手段です。フレームワークの実施そのものが目的ではありません。

フレームワークから得られた結果は分析や戦略策定に活かしてこそ意味があるので、手段と目的をはき違えないよう注意しましょう。

 

経営計画書は事業戦略に役立つツール

事業戦略は、限られた経営資源を最大限に活かして自社の市場優位性を確保し、事業目標やビジョンを達成するために具体的な方向性を定めるものです。

事業戦略の策定にはフレームワークを活用すると効率的ですが、フレームワークを実施して満足しては本末転倒です。フレームワークの分析結果を戦略策定に反映させ、社会情勢や市場動向を捉えながら事業戦略を改善し続ける意識を持ちましょう。

事業戦略に役立つツールとして、武蔵野の「経営計画書」もおすすめです。経営計画書は経営方針や会社(=社長)の価値観を社員に浸透させるための道具で、具体的な事業戦略を策定する上でとても重要です。お試し版を無料でダウンロードできますので、ぜひご活用下さい。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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