中小企業の業績を最短距離で伸ばすなら株式会社武蔵野の経営コンサルティング

株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/04/16 16:21

人材育成

人材と人財の違いとは?使い方や効果・注意点など分かりやすく解説

読了まで約4分

「ヒト・モノ・カネ・情報」は、経営資源を構成する4要素です。その中でも、人材や組織を指す「ヒト」は、会社にとって欠かせないものとして、最近では「人材」の、「人財」と表現する会社も少なくありません。

本記事では、「人材」と「人財」の意味や「人財」を使う効果、使い方の注意点、「人財」と表現する企業が増えている理由などについてお伝えします。「人罪・人在」など、の「じんざい」との違いについても解説しますので、人材育成に携わる経営者や会社の代表者は、ぜひ参考にして下さい。

 人材と人財の違いとは

人材と人財の最大の違いは代替が利くかどうかです。「ヒト」は会社にとって欠かせない経営資源の一つであり、人材と人財どちらも重要であることには変わりありません。

一般的に「人材」とは業務をこなすための能力を持つ人を指す一方、「人財」は業務をこなす能力に加え、会社に「財」をもたらす、宝のような存在を指します。

ここでは、「人材」と「人財」、それぞれの意味や使い方について解説します。

人材の意味

人材の「材」は、原料、材料などの意味がある他、「持って生まれた能力」といった意味も持っています。会社においては、業務をこなすためのスキルや専門知識があり、個人の成果に限らず、組織力を高めることもできる主体性や協調性を持った人といえます。

ただし、スキルや専門的な知識は、学習や経験によって誰もがある程度は取得可能です。もし新たに専門的な知識やスキルを持った人が現れれば、業務を取って代わられる可能性も十分にありえます。

ただし、人材は代替可能だから使い捨てにできる資源だということではありません。人材は業務をこなす能力や才能を持った人を指すため、間違えた解釈をしないように注意が必要です。

人材の使い方

ビジネスの現場において「人材」は次のような形で使われます。

・人材不足は今の業界の大きな課題である
・競合との差別化を図るため、人材育成に注力する
・社員のスキルアップを支援する人材開発プログラムを実施する

人材の「材」は才能を意味することから、育成や開発など、特に「ヒト」のスキルに関する言葉に使われることが多いです。また、人材不足や人材採用など会社の採用活動においても、「人材」がよく使われます。

人財の意味

人財の「財」は、財産や富といった意味です。つまり会社における人財とは、会社に財産をもたらす有益な人を指します。

人財は英語では「Human Capital(人的資本)」と訳されます。従来、人は会社において経営資源の一つでした。しかし近年、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出して会社価値向上を目指す経営手法である「人的資本経営」が注目されるようになっています。

「財」には会社が人に投資することによって得られる利益といった意味もあることから、「人材」ではなく代替の利かない「人財」が重視されるようになっているのです。

人財の使い方

「人財」は次のような形でよく使われています。

・人財を大切にすることで、会社は持続的な成長を実現する
・多様な人財が活躍できる環境を整備し、イノベーションを促進する
・弊社の「人財育成プログラム」は、社員の可能性を最大限まで引き出します

「人財」を使った言葉には、スキルや知識に加え、人としての価値を大切にしたいといった思いが込められています。そのため、会社にとって人の重要性や価値を社内外にメッセージとして伝えたい場合に使われる傾向があるといえるでしょう。

 

「人材・人財」と「人罪・人在」の違い

「じんざい」という言葉には、「人材」や「人財」の他、「人罪・人在」などもあります。ここでは、「人罪」と「人在」、それぞれの意味や「人材・人財」との違いについて解説します。

人罪

人罪の「罪」とは、法律や道徳などの社会規範に反する行為を意味するものです。会社にとって「人罪」とは、社内規範に反する行為を繰り返し行い、周囲に悪影響を与える人を指します。また、モチベーションが低く、やる気のない社員を指して「人罪」と呼ぶ場合もあります。

「人罪」は会社のイメージを毀損したり、他の社員への迷惑行為など会社に不利益を与えたりする可能性もあり、場合によっては人員整理の対象となる存在です。

「人財」は会社に対して財をもたらすのに対し、「人罪」は会社に不利益を与えるため、「人財」と「人罪」は対極にいる存在といえるでしょう。

人在

人在の「在」とは、「そこにある、いる」といったことを意味するものです。会社における「人在」とは、指示されたことだけを行う、自ら成長を目指さないなど単純に会社に存在するだけの人を指します。人罪のように周囲に悪影響を及ぼす可能性は低いものの、会社に大きな利益をもたらす存在でもありません。

年功序列による終身雇用が一般的だった時代と比べ、少子高齢化の影響がある現在では少ない人材で最大の成果を上げる必要があります。その中で、そこにいるだけの「人在」は会社に必要ないと判断されるケースも少なくありません。

「人財」が会社にとって代替できない存在であるのに対し、「人在」はすぐにでも取って代わられる存在です。ただし、「人罪」とは異なり、モチベーションを高め、適材適所を実現させることができれば、「人在」から「人財」に成長する可能性があるでしょう。

 

採用活動で「人材」を「人財」と表現する効果と注意点

これまで採用活動においては、「人財」ではなく「人材」が使われてきました。しかし、最近では採用活動に「人財」を使う会社も増加しています。ここでは、会社の採用活動で「人財」を使うことの効果や注意点について解説します。

「人財」と表現する効果

「人財」という言葉を使うことで「人を大切に扱う会社」というメッセージを社内外に伝えられます。採用活動でも「人材」ではなくあえて「人財」を使えば、求職者が会社に持つイメージの向上につながる可能性が高まるでしょう。

近年、パワハラや長時間労働の慢性化などが問題視されています。これらは個人の問題ではなく、組織全体で取り組まなければならない課題です。採用活動でも「人財」を使い、「社員を大切にしている会社」というアピールを行うことは、優秀な人材獲得につながる施策の一つといえます。

「人財」と表現する注意点

あえて「人材」ではなく、「人財」を使うことで人材獲得につながる可能性があります。ただし「人材」を使うことで求職者に悪いイメージを持たれてしまうわけではありません。

また「人財」を使って社員を大切に扱っている会社をアピールしても、実態が伴っていなければ意味がありません。言葉ありきではなく、本当に社員を大切に扱う環境が整備されていることが重要です。

 

人財や人材を組織に定着させる4つのポイント

「人財」「人材」と使い分けることに関わらず、社員は会社にとって欠かせない存在です。「人財」と呼べる人材をどれだけ雇用できても、「人財」に育成しても離職されてしまっては意味がありません。ここでは、「人財」や「人材」を組織に定着させる4つのポイントを解説します。

1.社内の交流を深める

「人財」や「人材」を組織に定着させるポイントの一つが社内交流の活性化です。2023年1月にHR総研が発表した「「若手人材の離職防止」に関するアンケート」の結果によると、若手社員の離職防止への取り組みで最も多かったのは「社内コミュニケーションの活性化(42%)」です。

また、実際に効果があった施策でも社内コミュニケーションの活性化が高い数値(60%)となっています。(※)

※参考:HR総研「「若手人材の離職防止」に関するアンケート」(参照:2024-02-20)

社内交流を活性化させる施策例としては、予約の必要なく気軽に打ち合わせを行うためのミーティングルームや社内カフェの設置が挙げられます。また、フリーアドレス制の導入も部署を超えた社員同士の交流活性化に効果的です。テレワークの社員向けとして、Web会議システムやチャットツールを導入することでも効果が期待できるでしょう。

2.経営者や上司が社員の声をしっかりと聞く

「人財」や「人材」を大切に扱うには、経営者や上司の意見を押し付けるだけではなく、社員の声をしっかりと聞くことも欠かせません。

社員から見れば自分の意見を取り入れてもらえることで業務に対するモチベーションアップにつながります。また、会社から見ても社員の不満や現状の課題点に早く気付けるようになり、労働環境の早期改善が可能です。

経営者や上司が社員の声を聞くための施策として、定期的な1on1ミーティングの実施、ランチミーティングや社内イベントの開催などがあります。

3.スキルに合わせた適切な人材配置を行う

社員はそれぞれの知識やスキルを持っているため、得意・不得意とする業務も異なります。不得意な業務ばかりを与えてしまえば、モチベーションが上がらず離職の可能性も高まるでしょう。会社としても高い成果を期待できなくなるため、それぞれのスキルに合わせた適切な人材配置が重要です。

適切な人材配置のポイントは、1on1ミーティングの場で社員の希望を聞くことや、業務の適正を見極めるジョブローテーションの実施などです。また、社員のスキルや経験、志向などの情報を一元管理し、分析できる「タレントマネジメントシステム」の導入も効果的です。

4.労働環境の改善・整備を行う

労働環境の改善も「人財」や「人材」の定着に欠かせません。労働環境が悪ければどれだけ優秀な「人財」や「人材」でも離職してしまう可能性が高まります。労働環境の改善・整備のポイントは次の通りです。

・照明や空調、オフィス機器など設備面の充実
・業務をスムーズに進められるシステム・ツールの導入
・資格取得支援や研修の実施などスキルアップにつながる教育体制の整備
・ハラスメントやメンタルヘルス防止対策を目的とした相談窓口の設置

ひと口に労働環境といっても、オフィス環境、職場の人間関係、スキルアップ支援、ハラスメントやメンタルヘルス対策などさまざまです。社員の意見をしっかりと聞きつつ、快適に働ける環境といった観点で改善を行う必要があります。

 

人材から人財への育成は会社の成長につながる

「人材」とは、業務に関する知識や才能は持っているものの代替可能な人、「人財」とは知識や才能を持ち会社に財産をもたらすかけがえのない人を指します。どちらの言葉も社員が会社にとって欠かすことのできない存在です。

ただし、代替ができない人財を増やすことが会社の成長につながります。「人材」をいかに「人財」に育成していくかが重要なポイントといえるでしょう。

「人材」を「人財」に育成するには、まず「人財」を会社に定着させることが必須です。そのポイントは、常に社員の声に耳を傾け、交流を欠かさないことが求められます。それぞれのスキルや得手不得手に応じた人材配置や快適に働くための労働環境の改善・整備も必要です。

また、経営者の理念や経営方針の浸透も有益な「人財」を育成する上で重要なポイントとなります。会社が何を目的に何を目指すのかの理解を深めることが会社に財産をもたらす「人財の育成」にもつながるからです。

「人財」の育成におすすめなのが、武蔵野の「経営計画書」です。経営計画書には、経営目標や企業理念を記しているため、社員が会社のことを理解するのに役立ちます。武蔵野の経営計画書は、社員が常に携帯できる手帳型サイズなのでいつでもすぐ読み返すことができ、迷わず主体的に業務に取り組むことが可能です。「人財」を育成して会社の成長を実現させるためにも、まずは無料お試しをご利用下さい。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

武蔵野のサービスに
ご興味が出てきた方

CONTACT