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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/11 16:58

人材育成

働き方

人材不足の原因と対策について|業界による差や現状を解説

読了まで約4分

少子高齢化が進む日本は、慢性的に人材が不足しています。
実際に、人材が足りないと感じる企業の割合は年々増加しており、多くの企業が採用活動に苦戦しているのが現状です。
どうして日本はここまで人材不足が続いているのでしょうか。

今回は、人材不足を引き起こしている原因や業界ごとの現状、企業が行うべき対策などを解説します。

人材不足と人手不足

人材不足と似た言葉として「人手不足」があげられます。
これらは一般的にほぼ同義の言葉として使われていますが、ビジネスシーンでは以下のような違いがあります。

  • 人材不足:企業で求められている特定の技能や経験、ノウハウを持った人員が不足している状態
  • 人手不足:単に労働力が足りていない状態

このように、人手不足は単純に労働力が不足しており、業務を遂行するのに手が足りない状態を指します。
一方、人材不足は特定のスキルや経験をもった人員が不足してる状態を指すため、全体的な労働力は充足している場合もあります。

 

人材不足の現状

日本社会は慢性的な人材不足であるといわれていますが、具体的にどのような状況なのでしょうか。
実際のデータをもとに労働市場の現状を紹介します。

2030年には644万人不足

急速に少子高齢化が進む日本では、労働力の主力となる15~65歳の人口が減少の一途を辿っており、人手不足に拍車をかけています。

パーソル総合研究所では、中央大学と共同開発した予測モデルにより、2030年時点での人手不足の状況を推測しています。
その結果、7,073万人の労働需要に対して6,429万人の労働力しか見込めず「644万人」の人手不足が発生すると明らかになりました。
特に、サービス業や医療・福祉業など現在でも人手不足が続く業界では、さらに人手不足が深刻になることが予想されています。

正社員の人材不足は51.4%

2023年4月に行われた帝国データバンクによる企業の動向調査によれば、正社員について人手が足りないと感じている企業の割合は51.4%と、4月としては過去最高の値を示しました。
業種別に見ると、「旅館・ホテル」が75.5%と最も高く、次いでIT人材が不足している「情報サービス」が74.2%と続きます。

非正社員については全体値で30.7%となり、4月としては4年ぶりに3割超の水準に上昇しました。業種別では「飲食店」が85.2%と唯一8割を超えており、サービス業での深刻な人材不足が伺えます。

医療・福祉業界の人材不足が顕著

先ほど紹介したパーソル総合研究所の未来推計によれば、「医療・福祉」分野において2030年の時点で187万人もの人手が不足すると予測されています。
少子高齢化により介護ニーズは右肩上がりに上昇する一方、賃金水準の低迷や労働環境の過酷さ、雇用管理の不十分さなどを理由に採用難が続いているためです。

また、特に非正規社員の供給が追いついておらず、現状でも慢性的に人材が不足している「サービス業」では400万人の不足が予想されており、最も人材不足が深刻化する分野となりそうです。
ほかにも「卸売・小売業」で60万人、製造業で38万人の人材不足が予想されています。

地方企業の人材不足の深刻化

日本が全体的に人手不足に陥る中でも、地方の中小企業における人材不足は深刻さを増しています。
厚生労働省が行った動向調査によれば、地方圏の中小企業において、三大都市圏を上回って人手不足感が上昇している傾向があるとわかりました。
大企業とのギャップは小規模企業で最も大きくなっており、特に正社員での人手不足が顕著です。

この背景として、都市圏への労働力流出により、地方の労働力人口が急速に減少していることが考えられます。

 

日本の人材不足の原因

近年の日本はどうしてこれほどまで深刻な人材不足に陥ってしまったのでしょうか。
主な3つの原因を取り上げます。

少子高齢化

最も大きな原因は、急速な少子高齢化です。
日本の総人口はすでに減少局面を迎えており、高齢化率は増加の一途を辿っています。
厚生労働省の推計によれば、2040年には総人口のうち65歳以上の割合が35%、2070年には39%に達すると予想されています。

15歳から64歳以下の割合は、1990年に70%だったものの、2020年には60%、2040年には55%まで減少する予想です。
一方、労働力人口も比例して減少しているかというと、実は2019年まで増加傾向にありました。
労働力人口は15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口を指しますので、シニア層が労働市場へ流入するようになり労働力人口が増加しているのです。

しかし、そのうち15歳~64歳の労働力人口は減少が続いているため、業種や業態によっては人材不足がますます深刻化すると考えられます。

参考:第1 就業状態の動向 1 労働力人口

人材のミスマッチ

雇用や産業の構造が大きく変化し、社会全体で人材のミスマッチを生み出していることも原因のひとつです。

厚生労働省の一般職業紹介状況に関する資料を見ると、サービス職の有効求人倍率は2.82倍、介護職が3.38倍、土木職が5.60倍など、慢性的な人手不足の業界がある一方、運搬・清掃・包装等の職業では0.77倍、会計事務職が0.67倍、一般事務職が0.35倍など、人材余剰が発生している職種も見られます。

このように、求職者の持っているスキルや経験と企業の求める採用条件にミスマッチが生じる「構造的失業」によって、希望する職業に就労できない求職者と、求める人材を採用できない企業が発生しているのです。

DX推進の遅れ

DXへの取り組みが遅れている企業が多いことも、人材不足の原因になります。

経済産業省は、古くから利用されているレガシーシステムの老朽化やブラックボックス化を指摘しており、これらによって生じる莫大な経済損失が懸念されています。
そのための取り組みとしてDXが推進されていますが、前述でも触れた通り、IT業界は慢性的な人手不足です。

DXを推進しようにも、高度な専門技術を持ったIT人材の確保が難しく、人材の取り合いが発生して、結果的に人材不足に拍車をかけてしまいます。

 

人材不足に陥る企業の特徴

多くの企業が人材不足を課題にしていますが、その中でも人材不足になりやすい会社には共通点があります。
人材不足に陥る企業の代表的な特徴を紹介します。

労働負荷と賃金・評価が見合っていない

業務内容や労働時間に対して、賃金や待遇などの労働条件が見合っていない企業は、離職率が高くなりやすい傾向があります。

例えば、残業や休日出勤が常態化しており労働時間が長すぎる、休日が少なく有給も取りづらいなど、過重労働は従業員を疲弊させてしまいます。
また、チームマネジメントや専門的な技能が求められる業務など「質」の高さを求められる仕事も、従業員の心身に負担がかかります。

それに対して十分な報酬や人事評価があれば従業員も納得がいくかもしれませんが、不満を抱くような待遇では会社に定着してはくれないでしょう。

業務効率化やDX推進に消極的

業務を効率化するためのツール導入やDXへの取り組みに消極的な姿勢を見せると、従業員が不満を抱く原因になるかもしれません。

近年では、デジタル技術を活用して業務プロセスの効率化を図る企業が増えています。
DXを推進すると、普段の業務プロセスのうちノンコア業務に割かれる時間を削減でき、従業員の負担解消につながります。
従来通りの業務プロセスにこだわっていると、従業員から「古い体質の企業」というイメージが強くなるだけでなく、企業の将来性に対する不安感にもつながります。

仕事へのモチベーションやエンゲージメントの低下にもつながりますので、DXに対して極度に消極的な姿勢を見せるのは避けた方がいいでしょう。

 

人材不足を解消する方法

それでは、人材不足を解消するにはどのような対策をとればいいのでしょうか。
企業が人材不足を解消する一般的な方法を3つ紹介します。

新たな人材活用法を検討する

まずは、女性やシニア層、外国人労働者、障害者など、従来の労働市場では接触機会の少なかった人材を活用する方法があげられます。
特に、育児・出産により離職している20~40代の女性や、一度定年を迎えたもののまだ働く意思のある高齢者を活用できれば、労働力人口を大幅に底上げできると考えられています。

また「長く働いてくれる正社員を採用すべき」という固定観念を改め、フリーランスや副業人材と協業していく方法も有効です。

人事制度の見直しをする

少子高齢化により、若手労働者の確保がますます困難になることを考えれば、現在在籍している従業員の離職防止も重要です。
特に、昨今は育児中の従業員やシニア層の活用を重視して、テレワークの導入や時短勤務制度の整備、男性育休の推進、有給休暇の取得率アップなど、柔軟に働ける雇用制度を整備・構築する企業が増えています。
ほかにも、副業・複業の認可やリスキリング支援など、取り組めるテーマは数多くあります。

従業員にとって働きやすく、やりがいを感じられる社内体制が実現すれば、多様な人材の活用だけでなく、離職防止にもつながるでしょう。

業務効率化の取組みやアウトソーシングの活用

従来の業務プロセスを見直し、業務を効率化して従業員の負担を減らす取り組みも大切です。
工数やコストがかかりすぎている箇所を洗い出し、根本的な改善ができれば、従業員の働きやすさが向上するだけでなく、コスト削減や競争力強化にもつながります。

社内リソースのみで改善活動を推進するのが難しければ、専門家やコンサルティング企業など外部パートナーを活用してもいいでしょう。
また、ノンコア業務についてはアウトソーシングを利用し、社内リソースの有効活用を図る方法も効果的です。

 

人材不足の理由を見直して改善に取り組もう

日本社会は深刻な人材不足に陥っており、多くの企業が採用活動に苦戦しています。
しかし、新たな人材活用に力を入れ、柔軟な働き方ができるよう社内の労働環境を整備すれば、今以上の人材不足を防ぐことは可能です。
まずは自社の労働条件や業務プロセスを見直し、改善点を洗い出すところから始めてみましょう。

社内リソースのみで経営改革を行うのが難しい場合には、信頼できる外部パートナーを頼ってもいいでしょう。
経営コンサルティングの武蔵野では、企業の人材不足に関する課題を支援する幅広いサポートを用意しています。
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