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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/04/12 17:13

人材育成

採用

中小企業の人材確保方法とは?採用が難しい業界の雇用対策・取り組みを紹介

読了まで約3分

「人材確保の方法やコツ、取り組みの事例を知りたい」「人材確保がうまくいかない原因を把握したい」と考えている経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、人材確保の概要、人材確保で見直したいポイント、人材確保の事例について詳しく解説していきます。

人材確保の意味を正しく理解し、採用が難しい業界の雇用対策や取り組みを知りたい場合の参考になれば幸いです。

人材確保とは

人材確保とは、企業が事業を継続するために必要な人材を採用し、定着を図る一連のプロセスです。優秀な人材を採用しても、短期間で退職されては効率的といえません。したがって、労働条件や労働環境、人間関係などを改善し、社員が働きやすく、能力を発揮できる職場環境の構築が必要です。

厚生労働省の資料『人材確保に「効く」事例集』によると、人材確保の問題と解決策として以下の4つが挙げられています。

・採用管理
・定着管理
・就労条件
・理念・価値観

次の章で詳しく説明していきます。

参考:人材確保に「効く」事例集|厚生労働省

採用管理

採用管理とは、人材確保の入り口である母集団形成に該当します。具体的なプロセスは「募集」と「選考」です。

効率よく募集するポイントとして以下があります。

・求人内容と求人媒体の工夫
・求人条件の見直し
・魅力的な自社PR

求人内容や職場のイメージを具体的に伝えたり、採用したい人材が利用している媒体を検証したりといった工夫が重要です。勤務時間や休日といった労働条件そのものの見直しが必要になる場合もあります。また、募集条件を変えなくても、さまざまなWebツールやSNSを使いこなして自社PRを行うことも大切です。

また、選考活動を効果的に行うには、次のポイントも意識します。

・採用面接時の動機づけや見極め

採用面接時は単に丁寧な説明を行うだけでなく、まだ求人に対する興味が薄い候補者の動機付けをしたり、候補者の発言をそのまま鵜呑みにせずに適切に見極めたりするスキルが求められます。

定着管理

定着管理とは、採用した社員に長期的に働いてもらうための施策です。効率的な人材確保を実現するには、採用管理だけでなく、定着管理を実践することが大切です。

定着管理の具体的な要素には、「配置・配属」「評価・処遇」「教育訓練・能力開発」があります。

配置・配属に取り組む際は、中途採用者のオンボーディングを行うと共に、スキルや経験に応じた適切な部署へ配属を実施します。せっかく前向きな気持ちで入社したにも関わらず「周囲から自分は歓迎されていない」と感じてしまうと、早期退職につながる可能性もあるでしょう。

次に、評価・処遇の際は透明性の高い人事評価や具体的かつ選択肢の豊富なキャリアパスの設計と説明を心がけましょう。社員が納得できる公平な人事評価システムが機能していれば、定着率の向上が期待できます。入社後にどのようなキャリアを歩めるのか、いくつかの選択肢として自社ならではのキャリアパスを準備することも大切です。

3つ目の教育訓練・能力開発では、社員が主体的に学べる環境を整えることや、成長を支援する育成制度の策定が求められます。一般的には、実務を通じたOJT研修や階層別研修に加え、資格取得支援や外部研修、eラーニングなどの複数手法を活用します。

就労条件

就労条件とは、社員の待遇や職場環境のことです。就労条件の改善は効率的な採用や定着率の改善につながります。

就労条件の具体的な要素には、「労働条件」「労働環境」「人間関係」「福利厚生」があります。労働条件では、労働関係法令を遵守した正しい条件を設定し、労働の対価として社員の納得感がある報酬設計をします。労働条件や各社員との雇用条件は、就業規則の策定や労使協定など、必要なステップをふみながら専門家の意見をあおいで進めましょう。

労働環境では、労働負担の軽減措置や働きやすい制度の導入を意識します。業務フローの効率化による労働負担の軽減や、ワークライフバランスを考慮した休職・復帰制度の導入によって定着率の向上が期待できます。

人間関係の見直しの際は、社員同士のスムーズなコミュニケーションの支援やハラスメントの防止策を講じることが大切です。他にも、福利厚生の充実や理念浸透、組織文化の向上に取り組むことで効果的な人材確保が可能です。

 

人材確保で見直したい7つのポイント

自社の人材確保を進めるため、課題特定や施策実施などのタイミングで注意したいポイントについて解説していきます。

求人票・求人広告の見直し

人材採用の応募ページや求人票・求人広告など、まずは募集要項がまとまっている資料を確認しましょう。応募者が閲覧するページが最適化されていなかったり、必要な情報が不足していたりする場合、採用手法を変更しても効果を得られにくいでしょう。

例えば、以下のようなチェックポイントが考えられます。

・労働条件は漏れなく正しく記載されているか
・仕事内容は分かりやすいか
・応募条件(必須条件と任意条件)は明確か
・仕事内容や応募条件に見合った給与設定か
・働き方(出勤、在宅、ハイブリッドなど)は記載されているか
・社風、社員の特徴、福利厚生やその他PRは明確か

募集要項の見直しは、採用管理の改善につながります。

採用オペレーションや歩留まり改善

採用オペレーションや採用歩留まりの改善も重要です。採用オペレーションとは、主に書類選考から内定に至るまでの候補者対応のことです。応募書類の確認、応募者とのやり取り、面接日程の調整などが含まれます。

また、求人閲覧、応募、面接、最終面接と選考ステップが進む過程のどこで停滞しているのかを確認し、改善を促すことを「歩留まり改善」と呼びます。

採用オペレーションの改善はスピーディーな採用活動につながります。採用までのスピードが上がることにより、選考辞退者を減らす効果も期待できるでしょう。

採用手法の最適化

採用手法は多様化しており、代表的なものとしてハローワーク、転職サイト、紙媒体の募集広告、人材紹介会社の利用などが挙げられます。採用ターゲットと募集要項が明確でも、採用手法が最適化されていなければ、効果的な人材確保は難しいでしょう。

最適な採用手法を選択するには、採用ターゲットやペルソナ像を明らかにして、各手法の特徴や注意点をしっかり確認してから手法を決定します。業界・職種やその時々の採用ターゲットのスキル、条件によって使うべき手法は変動するため注意が必要です。

面接官教育の実施

面接官教育の実施も人材確保には重要です。面接官の対応が悪い場合、自社全体の印象が悪化する懸念があります。その結果、入社を拒否する候補者が増えるかもしれません。

このような事態を防ぐには面接官教育が重要です。その際は以下のポイントに注意して下さい。

・候補者を見極めと動機付けができるか
・一次面接、二次面接、最終面接など面接ごとの役割や判断基準を理解しているか
・面接官にフィードバックをしているか
・面接手法、質問は根拠をもって作成しているか

面接では候補者のスキルや人柄を的確に見極めることが大切です。また、面接官は企業の魅力やビジョンを明確に伝えた上で、候補者の入社意欲を高める必要があります。

さらに面接官同士のフィードバックや、明確な根拠に基づく面接手法や質問内容の設定も重要です。

面接官教育の実施は選考の改善につながります。

内定者フォローの実施

人材確保では内定者フォローもポイントです。内定者フォローとは、内定者とコミュニケーションを図りながら受け入れ体制を整えるプロセスを指します。

具体的な内定者フォローとして、担当者が事前に相談にのったり、社内イベントを開催したりといった内容が考えられるでしょう。

内定者フォローを怠った場合、採用辞退が増えるかもしれません。定着管理の配置・配属に支障が生じる可能性があるため、内定者の不安を払拭するフォロー体制を整えて下さい。

オンボーディング計画を立てる

オンボーディングとは、組織に新しく加わった人材のスムーズな適応を支援する取り組みのことです。離職防止にオンボーディングが重要な理由に以下があります。

・ミスマッチの解消
・従業員エンゲージメントの向上

入社後の早期離職は、仕事内容や企業文化とのミスマッチが主な原因です。オンボーディングを通して入社前から業務内容や理念、社風などを丁寧に伝えることにより、入社後のギャップを最小限に抑える効果が期待できます。その結果、ミスマッチによる離職を防止できるでしょう。

また、オンボーディングは「組織の一員として歓迎されている」という意識の醸成につながります。従業員エンゲージメント(自社への愛着心や貢献意欲)の向上が期待できるため、離職率の低下につながります。

入社後の定期面談や人材育成の推進

新入社員によっては、入社から一定期間経過した後、徐々に会社の内情が見えることでストレスを抱える懸念があります。解消するには定期面談が効果的です。

定期面談の頻度は個人や状況によって異なりますが、最低でも四半期に一度は実施すべきでしょう。1on1に積極的に取り組む会社では、毎週面談を実施するケースも見られます。定期面談では仕事の進捗や課題、キャリアプランなどを話し合うことで悩みを解消したり、離職につながる因子を早期発見したりする効果が期待できます。

また、適切な研修プログラムは社員のモチベーションや成長に貢献するため、定着率の向上につながるでしょう。

 

介護業界の人材確保事例

ここからは介護業界を例にとり、人材確保の事例をご紹介します。

某訪問看護ステーションには、深刻な人手不足という問題がありました。Webサイトで人材を募集しても効果が低い上に、離職率も高いという問題です。

そこでまずは求人募集の効果を上げるため、外部への発信を強化しました。具体的には、Webサイト内で事務所の強みをアピールしたり、関連雑誌に事務所の魅力を掲載したりなどです。

次に、定着率向上のため、長時間労働の削減とメンター制度を導入しました。長時間労働では退社予定時刻に帰れる仕組みを作り、メンター制度では先輩看護師が新人に寄り添うシステムを作りました。

このような対策により事務所の強みやアピールポイントが増え、残業時間を減らすことに成功。結果、人材の確保に成功することができました。

 

複数の視点で課題抽出をして人材確保を実現させよう

効果的な人材確保を実現するには母集団形成だけでなく、採用手法選定や面接の見直し、定着支援などさまざまな視点で取り組むことが大切です。

具体的には以下の7つを見直しましょう。

  1. 求人票・求人広告の見直し
  2. 採用オペレーションや歩留まり改善
  3. 採用手法の最適化
  4. 面接官教育の実施
  5. 内定者フォローの実施
  6. オンボーディング計画
  7. 入社後の定期面談や人材育成の推進

ただし、自社の人材確保の課題を客観的に把握するのは骨が折れる取り組みです。自社で人材確保の悩みを抱え込まず、外部コンサルタントへの相談もおすすめします。

株式会社武蔵野は中小企業の経営コンサルティングを行っています。人材確保に関して悩んでいる場合は、ぜひご相談下さい。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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