更新日:2023/08/23 15:00
経営
経営課題とは?自社が抱える問題点の見つけ方や解決策を解説
読了まで約4分
目まぐるしく変動するビジネス市場の中で、企業は常に様々な経営課題の対応に追われています。
問題があることはわかっていても、具体的にどんな対策をすればいいのかわからない、
原因がイマイチ把握できていないという経営者も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では多くの企業が抱える代表的な経営課題について、具体的な解決策とともに解説していきます。
加えて、現代における経営課題の背景や、経営課題の見つけ方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
【2022年調査結果】経営課題の背景
一般社団法人日本能率協会(以下JMA)が2022年に行った調査『日本企業の経営課題 2022』 では、企業が抱える経営課題についてアンケート調査が実施されています。
「現在の課題」として、トップ3の項目は昨年・一昨年と変化はありませんが、1位の「収益性向上」、2位の「人材の強化」は昨年よりも比率が上昇しました。
また、 「3年後の課題」については、過去3年間の推移を見ると、1位の「人材の強化」は昨年と比較して比率が増加しており、比較的直近において重視度が高い課題と捉えられていることがわかります。
続いて、「5年後の課題」については、「CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決」が減少し、「売り上げ・シェア拡大」「株主価値向上」が増加しています。
「株主価値向上」が、現在・3年後・5年後の課題でいずれも上昇しています。
これは、企業の社会的責任が問われるようになり、株主をはじめとしたすべてのステークホルダーに対して高い意識が求められている中で、経営層の中にも意識が浸透してきていることの表れであると考えられます。
出典:一般社団法人日本能率協会『日本企業の経営課題2022』 (PDF)
企業における経営課題とは?
会社規模や時代背景によって発生する経営課題は様々ですが、その中でも代表的な課題を7つ紹介します。
人材の確保の問題
日本は、他国と比べても急速に少子高齢化が加速している国のひとつです。
15〜65歳の労働力人口は1995年をピークに、総人口も2008年をピークに減少の一途を辿っています。
2060年時点の労働力人口は、1995年のピーク時からほぼ半減すると予想されています。
そのため、優秀な人材の確保は全ての企業にとって長期的な課題となっているのです。
優秀な人材を確保するための有効な手段としては、第一に労働環境の改善が挙げられます。
適正な労働時間や人事評価制度の構築を行うことで、
ライフイベントにより離脱する社員の獲得など、これまでの労働市場では活躍できなかった層を取り込むことが可能になります。
人材育成課題の把握
人材を育成する力が不足していることを課題と感じる企業も多いものです。
せっかく優秀な人材を採用しても、育成がうまくいかないと仕事にやりがいを感じられず、モチベーション低下を招いてしまいます。
人材育成がうまくいかない背景として挙げられる事柄は主に3つです。
- 育成する側の人材不足
- 教育・研修制度が未構築
- 育成する目的が不明瞭まずは、育成する目的はなんなのか、どんな人材を育てたいのか、ゴールを明確にすることが重要です。
期待するゴールに応じて、研修制度や評価制度など必要な体制を構築していきましょう。
生産性向上に関する解決策
2022年の日本国民の時間当たり労働生産性は49.9 ドルで、OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中27位です。
米国(85.0 ドル/8,534 円)の 6 割弱ほどの水準ですが、経済成長率が上向いたことで前年と比べると労働生産性が上昇しました。
しかし、順位でみるとデータが取得可能な 1970 年以降、最も低い順位になっています。
長時間労働の慢性化やIT技術導入の遅れにより、業務効率が低迷していることも理由の一つです。
目下の対策として、労働時間の削減や労働環境の削減など、パフォーマンスを最大化するための施策が求められます。
他にも、社員のITスキル向上や書面の電子化など、IT技術の導入も効果的でしょう。
技術力や開発力の強化
ビジネス市場のグローバル化が進んだことで、国内だけでなく海外企業とも技術を競うことが当たり前になりました。
さらに、IT技術が次々と刷新されるようになり、新しい技術情報を常にキャッチアップする必要も出てきています。
人材確保の困難さも相まって、技術力・開発力の不足を感じる企業も増えているのです。
技術力や開発力を保ち続けるには、インプットとアウトプットを同時平行で続けられる体制が重要です。
スキルアップやトレーニングを奨励する制度を作るだけでなく、社内セッションなどアウトプットの場を設けるのもおすすめです。
ブランド力や顧客満足度の向上
ブランド力が高まると、競合企業と明確な差別化が実現し、自社のファンを増やすことができます。
「指名買い」してくれる顧客が増えるため、結果として広告宣伝費などのコストカットになり、収益性を高めることができるのです。
ブランド力を高めるには、第一にターゲットを明確にすることが重要です。
そこから、ターゲットにとって自社はどんな価値を提供できるのかなど、自社の強みを明らかにしましょう。
また、ブランド力向上と表裏一体の関係にあるのが顧客満足度です。
市場調査から顧客の自社に対する期待を汲み取り、応え続けることで顧客の信頼を勝ち取ることができます。
顧客満足度が向上すると、自然とブランド力強化にもつながります。
コストダウンの実現
売上を最大化するためには、コストを最小限に抑えなければいけません。
そのため、コスト削減も企業にとって永遠の課題といえます。
経営におけるコストは、給料などの「人件費」、賃料や通信費、光熱費などの「オフィスコスト」、
求人広告費や研修費などの「採用コスト」の3つに分けることができます。
闇雲になんでも削減しようとするのではなく、現状を分析して、削減できるコストを洗い出すことが必要です。
着手しやすい施策としては、書類の電子化やリモートワーク導入によってオフィスコストを下げる、
日常業務を平準化・プロセス化して効率アップするといった方法がおすすめです。
営業力・販売力等の強化
売上目標を達成するためには、営業力・販売力の強化が必須です。
単にコミュニケーション能力を鍛えるだけでは自社の製品を売り込むことはできません。
自社のターゲット層と需要、そこに対する自社の強み・弱みを深く理解し、顧客と信頼関係を構築していく能力が求められます。
営業力・販売力の課題においての問題点は主に3つあります。
- 顧客情報がチームで共有されていない
- 営業・販売手法が属人化している
- ターゲット層と自社のポジショニングが明確化していない
まずは狙うべきターゲットを明確に設定し、細やかな情報をチーム全体で共有する体制を作っていきましょう。
自社が抱える経営課題の見つけ方
自社が抱える経営課題を見つけ出すためには、①経営資金 ②社員の成績 ③組織の状況 ④業務フローを「可視化」することが効果的です。
それぞれの方法について、解説します。
経営資金の可視化
経営の資金繰りにおいてどこにネックがあるのか、削減すべきコストはどこなのかを把握するためには、
財務状況や金銭の流れを可視化することが大切です。
問題を直感的に共有できるだけでなく、先々の資金不足に対して早めの対策を打ち、「黒字倒産」を回避することも期待できます。
経営資金を可視化するには、実際の入金や支払いの動きを記録する「キャッシュフロー計算書」を作成するといいでしょう。
中小企業に作成義務はありませんが、帳簿では見えづらい、手元にある現金の状況を正確に把握することができます。
社員の成績の抽出
従来は多くの企業が「年功序列」に基づく評価制度を採用していましたが、
昨今では社員の成績や業績を明確にし、成果に応じた評価をする企業が増えています。
成績を見える化することで、パフォーマンスの高い社員の行動特性を洗い出し、採用や育成に役立てることができるのです。
逆にパフォーマンスの悪いチームや部署を分析することで、労働環境や業務内容の問題を発見することもできます。
評価制度を設計する際は、評価者の主観によってバラつきが出ないよう、評価指標が明確な制度を構築するようにしましょう。
組織状況の可視化
社内の人員配置や稼働状況といった組織状況を可視化すると、人員の偏りや不足している能力を洗い出すことができます。
多くの企業では組織図を作成していると思いますが、体制変更が続いて更新が追いついていないという企業も多いものです。
特に、規模が大きい企業や支店が多い企業は、組織の全体像を把握することが難しくなってきます。
現場の状況を正確に把握するには、仮説を立ててヒアリングすることがおすすめです。
目的を設定せずにただアンケートを実施するのではなく、どういう観点でどんな課題を解決したいのか決めて仮説を立て、
検証するようにアプローチするといいでしょう。
業務フローの確認
業務フローを見直すことで、業務内の属人化している箇所を発見し、作業効率を高めることができます。
業務に属人化している部分があると、社員毎に業務量の偏りが出たり、特定社員の退職によってサービス運用に支障が出たりする可能性があります。
業務フローの見直しは効率化のボトルネックを洗い出すだけでなく、サービスのリスクヘッジや質の向上にもつながるのです。
洗い出した業務の流れは、社員が直感的に理解できるよう、フローチャート形式でマニュアル化するといいでしょう。
自社が抱える経営課題の解決策
これまで紹介したように、規模や業態に関わらず多くの企業が様々な経営課題を抱えています。
経営課題を乗り越え、成長させるための具体的な解決策を解説します。
経営計画書の作成と確認
経営計画書とは、会社が今後どこを目指していくのか、どんな未来を描いているのかを示す計画書です。
具体的には、ミッションや経営理念、経営方針といった大きな目標から始まり、中長期の経営目標や数値目標といった具体的な目標が記載されます。
経営計画書を作成する意義は、以下の3つです。
- 現実と理想を比較し、行動を修正することができる
- 社員の定着率が向上する
- 社外関係者からの信頼がアップする
経営の主軸が固まることで事業の一貫性が保たれ、社内外からの信頼獲得につながります。
また、策定した経営計画を主軸として、次項で紹介する人事制度に結び付けていくことが重要です。
人事評価制度の見直し
優秀な人材を社内に定着させ、目標達成に必要な技術や経験を持つ人材として育成していくためには、適正な人事評価制度の構築が必要不可欠です。
人事評価は査定や人材配置を行うためだけに存在するのではありません。
社員の業務や日頃の行いが会社の示す方向性と合致しているのかを社員に示すものでもあるのです。
そのため、結果だけではなく評価のプロセスを見直すことも大切です。
単に評価指標に沿って判定を下すのではなく、経営目標達成のため社員に何が求められているのか、
そのためにどういう行動が必要なのかを明確に示すようにしましょう。
指針が明確になると、人材の成長促進にもつながります。
インフラリソースの見直し
コロナ禍によってリモートワークが急速に普及したことにより、通信回線や施設などのITインフラの見直しを行う企業が増えています。
出社が当たり前だった従来の働き方と大きく環境が変化したため、リソース配分を見直す必要が出てきているのです。
例えば、これまで社内インフラに注力していた分をクラウドサービスやオンラインサービスにシフトするといった対応が考えられます。
無駄を削減することで、コア業務にかけるリソースを確保し、事業成長スピードの促進や労働環境の改善を目指すことができます。
経営計画に沿って経営課題の解決を
自社の経営課題を洗い出すには、①経営資金 ②社員の成績 ③組織の状況 ④業務フローの4つの項目を「可視化」することが効果的です。
課題を解決するための施策を考える際は、まず経営の方向性を示す「経営計画書」を作成しましょう。
闇雲に様々な施策を試すのではなく、経営目標を達成するために何が必要なのかを考え、効果のある施策を選ぶようにしてください。
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