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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/12/14 14:19

経営

産業変革期で注目の残存者利益とは?成功ポイントや企業の成功事例など詳しく解説

読了まで約1分

自社の基幹事業が衰退していく市場では早急な対策が欠かせません。
衰退していく市場でも利益を上げる方法として残存者利益の獲得が挙げられます。

本記事では残存者利益の概要や先行者利益との違い、衰退や収縮していく市場の見極め方を解説したうえで、残存者利益を獲得するためのポイントをお伝えします。自社製品・サービスの売上・需要・将来性などに課題を抱えている経営者や代表者の方はぜひ、参考にしてください。

残存者利益とは

残存者利益の獲得を成功させるため、まずはビジネスでの残存者利益の意味、先行者利益との違いについて解説します。

ビジネスでの意味

ビジネスでの残存者利益とは、多くの企業が市場を独占しようとして起こる過当競争や縮小傾向にある市場で、競合が撤退した後に生き残った企業が市場を独占することで得られる利益を指します。

残存者利益は供給が需要を上回り飽和状態になった市場や、需要が落ち着いてしまい衰退していく市場で発生しやすい傾向があります。
需要が多かった頃には複数の企業が参入し、競争をしていたものの、市場が衰退していけば利益を上げることが難しくなるため、経営判断として撤退せざるを得ません。

しかしそのなかでも生き残る企業は少なからず存在します。
その生き残った少数の企業によって寡占もしくは一社で独占状態をつくり出し、利益を得るのが残存者利益または残存者利得と呼ばれるものです。

先行者利益との違い

残存者利益と混同しやすい用語に先行者利益があります。
残存者利益は縮小もしくは衰退していく市場のなかで生き残った企業が寡占、独占状態をつくり利益を得るものです。
これに対し先行者利益は生まれたばかりまたは自社でつくり出した市場で、競合他社よりも早く優位な立場を確立して利益を得る状態を指します。

後から競合が参入してきた時にはすでにその市場で消費者から高い認知を得ているため、価格競争に巻き込まれる可能性が低いことが先行者利益の状態をつくり出すメリットです。

ちなみにすでに先行者利益を得ている市場に後から参入し、先行者の失敗から成功方法を学び、より良い製品・サービスを提供することで得られる利益を後発者利益といいます。

後発者利益では、先行者利益ほどの大きな利益は得られませんが、利益を上げている企業がいる安定した市場を確認してから参入するため、大きな失敗をする危険性を抑えられます。

 

残存者利益を実現する衰退市場を見極める3つのポイント

残存者利益を実現するには、残存者利得が発生する可能性の高い衰退市場の見極めが欠かせません。
ここでは衰退市場を見極めるために必要な3つのポイントを解説します。

1. 人口構造の変化

人口構造の変化は衰退市場を見極めるうえで重要なポイントの一つです。
例えば、少子高齢化が続く日本の現状において、乳幼児向け製品やサービスの市場は年々縮小傾向にあると考えられるでしょう。

そもそも、自社製品・サービスのターゲットにしている年齢層の人口が減少していけば、購入者数が減っていくのも当然の結果となります。
人口構造の変化に伴わない市場は衰退していく可能性が高いと見極められます。

2. ライフスタイルの変化

ライフスタイルの変化によって衰退していく市場も少なくありません。
例えば新型コロナウイルスの感染拡大により、巣ごもり需要が生まれEC市場が拡大した一方、飲食店やレジャー施設などの市場は大幅に縮小しました。

ほかにもテレワークを導入する企業の増加により、在宅用のデスクやチェアなどの家具市場は拡大しましたが、鉄道やバスなどの交通機関の需要は減り、市場は衰退傾向にあります。

3. 産業構造・経済の成熟化の変化

産業構造や経済の成熟化の変化により、これまで主流であった市場が衰退に進むケースも考えられます。
例えば、動画のサブスクリプションサービスが登場したことでレンタルビデオ市場は大幅に縮小しました。

また、ビジネスの世界ではデジタル化が進みペーパーレスが当たり前となりつつあることから、紙の書類を整理するファイルやフォルダといった文具市場は衰退傾向にあります。

 

残存者利益が成功する理由

残存者利益が成功する主な理由として挙げられるのは、残存者利益型ニッチ戦略を狙える点と市場の衰退が企業の衰退ではないという点です。
ここではそれぞれについて詳しく解説します。

残存者利益型ニッチ戦略を狙える

残存者利益型ニッチ戦略とは、衰退傾向にあっても購入者がゼロにならない限り市場は存在するため、最後の一社になることを狙う戦略です。

人口構造やライフスタイル、産業構造の変化により、多くの市場が隆盛を迎えいずれは衰退していきます。
市場が縮小していけば参入していた企業は淘汰されていきますが、それでもニーズがある限りは供給が必要であり、最後の供給者になればその市場の独占が可能です。

具体例としてレコード製造会社の事例を紹介します。
レコード盤はCDの登場により衰退市場となりましたが、ある製造会社では、元々レコードの材料を製造することから始まったということもあり、創業者の強い意志でレコード製造を継続しました。
「注文が最後の1枚になるまで続ける」という思いでレコードの製造を続け、現在では音質にこだわるマニアが増えたこともあり、レコードも増産基調にあります。

市場の衰退が企業の衰退ではない

衰退市場であっても需要がゼロでない限りは供給する商品・サービスの改善、革新により利益を上げ続ける可能性もゼロではありません。
市場が衰退しているとしてもそれは企業の衰退ではないため、企業に体力がある限りさまざまな施策に挑戦できるでしょう。

また、衰退市場でビジネスを行うメリットとして強力な新規企業が参入する可能性が低い点が挙げられます。
そもそもそれまで参入していた企業が淘汰された市場であるため、思い切った革新も可能です。

具体例として呉服産業が挙げられます。
呉服市場のピークは1980年代で1兆8戦億円の市場規模を誇っていましたが、2021年には2,110億円と約9分の1にまで落ち込んでいます。

しかし、逆に考えれば約2,000億円の市場があるということであり、改善や革新を実行することでまだまだ利益を得ることは可能です。

実際、ある着物の製造販売を手掛ける企業では、若い女性をターゲットにファッション感覚で楽しめる低価格で着られる着物を小物とセットで提案しました。
その結果、大幅に売上向上を実現しています。

 

残存者利益の獲得を成功させるポイント

残存者利益の獲得を成功させるポイントは、次の3点です。

  • 自社の基幹事業をもとに多角化する
  • 商品・サービスのブランディングを行う
  • 海外進出を検討する

それぞれについて具体的に解説します。

自社の基幹事業をもとに多角化する

残存者利益を得られるとしても知見のない市場に突然参入するのは簡単ではありません。
そこで、自社の基幹事業をもとに多角化することで新たな市場をつくり出せば、知見を活かしつつ利益を上げられる可能性も高まるでしょう。

前述した呉服市場であれば、海外からの観光客向けにレンタル浴衣サービスをしたり、観光土産として販売したりすることが考えられます。
同じ市場でもターゲットを変えることで新たな需要を見出すことが可能です。

商品・サービスのブランディングを行う

ブランディングとは、自社商品やサービスに独自性のある付加価値を創造することで競合との差別化を図ることを指します。
すでに衰退傾向にある市場でも最適なブランディングにより新たな需要を獲得することが可能です。

例えば、すでに衰退市場であるフィルムカメラですが、近年、スマートフォンのカメラでは得られないフィルム独特の質感が人気となっています。
そこである企業は現代風にアレンジしたうえで、フィルムだからこその良さをアピールすることによってブランディングを確立しました。

昨今のSNSの普及により、以前に比べて企業の情報発信を簡単に行えるようになっています。
積極的な情報発信を継続することでブランディング向上の可能性が高いといえるでしょう。

海外進出を検討する

日本では衰退市場でも海外に目を向ければ大きな需要があるケースは少なくありません。
例えば日本の伝統工芸品は海外の日本が好きな海外ユーザーの需要を獲得できる可能性があります。

また、日本ではデジタル化が進んだことで需要が減少しているアナログ家電も海外地域によっては高い需要が見込まれるでしょう。

 

残存者利益の獲得に成功した成功事例3つのポイント

残存者利益の獲得に成功した大手精密化学メーカーの事例から、特に重要なカギとなる3つのポイントについて解説します。

1. 既存商品の技術を取り入れた自社製品の大ヒット

大手精密化学メーカーの主力商品であったフィルムは、デジタルカメラの登場により衰退の一途をたどっていました。
しかし、同社はフィルムを使った新たな商品を使い、マーケティング戦略を駆使して大ヒット商品を生み出したのです。

その商品とはインスタントカメラ(撮ったその場でプリントできるカメラ)で、画質は通常のフィルムカメラに比べてかなり落ちます。
しかし、同社は撮影した写真がすぐに見られるコミュニケーションツールとしてアピールし、若年層を中心に大ヒット商品に育てました。

また、スマートフォンの画像をプリントできるモバイルプリンターもインスタントカメラ同様、コミュニケーションツールとして大きな人気となっています。

2. 既存市場に新規技術を導入した多角化の成功

また、同社は元々持っていた技術やコネクションを活かし、既存市場に新規技術を導入して多角化に成功しています。

具体的には、医療業界への進出です。
元々、レントゲンフィルムやデジタルX線画像診断システムの提供を行っていたことから、その技術を活かしレーザー内視鏡や医療用画像情報ネットワークシステムなどの開発を行い、新技術を医療業界に提供することで多角化に成功しました。

3. 既存技術の新市場に参入による成功

さらに同社は既存技術を活かし、新市場に参入することでも成功しています。
既存技術とは、フィルム製造技術や光学レンズ技術のことです。この技術を応用して液晶用フィルムや携帯電話用プラスチックレンズを新市場に提供しています。

同社は元々BtoB企業でしたが、これらの技術を活かした新商品によってBtoC市場に参入し、大きな成功を得ています。

 

市場衰退の危機から残存者利益の成功獲得を目指そう

残存者利益とは、衰退市場において競合が撤退した後に生き残った企業が寡占もしくは独占することで利益を得られる状態です。
自社の基幹事業が衰退市場である場合はもちろん、残存者利益の獲得を目指し、あえて衰退市場に参入する場合もあります。

残存者利益を獲得するポイントは、自社商品・サービスを改めて見直し、消費者ニーズに応じた質の向上、新たなターゲットの設定を行ったうえで提供することです。
そこで重要になるのは、顧客や市場の変化を的確に捉えること、そして自社の現状の数字をしっかりと把握することにあります。
そのために役に立つのが武蔵野の経営計画書です。

武蔵野の経営計画書は、会社のビジョンや方針を明確にするツールであり、社長の姿勢や方針が書かれたものです。
経営計画書を正しく活用することで会社の課題を改善し、成長につなげられます。

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