更新日:2023/10/06 13:48
経営
業務効率
ナレッジ化とは?ノウハウとの違いや活用方法・蓄積させるポイントなどを解説
読了まで約4分
企業活動の中でさまざまな業務をスムーズに行うには情報が欠かせません。
これまでの業務で培われてきた情報を蓄積し、ナレッジ化することで属人化が避けられ、誰もがミスなく業務を遂行していくことが可能です。
本記事では、ナレッジ化について、ノウハウとの違いや活用方法、蓄積させるためのポイントについてお伝えします。
自社の業務の進め方や人材育成に課題を抱えている経営者の方はぜひ参考にしてください。
目次
ナレッジ化の基礎知識
社内情報のナレッジ化について、まずはナレッジの概要やナレッジをビジネスシーンで活用する意味、ノウハウとの違いについて解説します。
ナレッジとは
ナレッジとは、知識や知見を表す言葉であり、Knowledgeが語源です。
一般的な使われ方としては、新聞や雑誌、本などから得た知識ですが、ビジネスでは、企業に欠かせない有益な情報といった意味で使われます。
具体的には、システムの操作マニュアル、ルーティンワークを短縮化するコツなどを指し、多くの従業員が共有することで価値が高まるものです。
ナレッジが多く共有されるほど、業務効率化が進み、ひいては生産性向上にもつながるため、ナレッジを適切に管理すれば、企業が継続的に成長する可能性が高まります。
ナレッジをビジネスシーンで活用する意味
前述のとおり、ビジネスにおけるナレッジは企業に欠かせない有益な情報であり、単なる知識や知見ではありません。
従業員それぞれが持つ知識や経験、スキル、ノウハウなどを余すことなく収集し、テキストや数字で表し体系化した情報を意味します。
ナレッジが企業経営で重視されるようになった理由としては、蓄積されたナレッジを活用し、ビジネスに活かせば企業価値や競争力の向上につながる点が挙げられます。
また、少子高齢化による人手不足で人材育成にかけられる時間が減少している点もナレッジが重視される理由の一つです。
ナレッジとして情報を体系化すれば、効率的に情報を習得できるようになり、指導者の負担軽減にもつながります。
ナレッジとノウハウの違い
ナレッジに近い意味を持つノウハウの語源は、「Know-how」で技術を意味します。
ビジネスシーンにおいてノウハウは「システムを操作する」「商品を製造する」ための技術を指し、その技術(ノウハウ)を習得するために必要なのがナレッジです。
つまり、ナレッジを元に経験を積んだ結果、得られた知識がノウハウであり、有益なナレッジを得られる環境下においては効率的にノウハウを得られます。
このように、ナレッジとノウハウは互いに深い関係性を持っているのです。
ナレッジ化に関連する用語
社内情報をナレッジに変換することをナレッジ化といいます。
ビジネスシーンには、このナレッジ化に関連する用語が複数存在します。
その中でも頻繁に使われるナレッジ化に関連する用語を解説します。
ナレッジマネジメント
ナレッジマネジメントとは、企業や従業員個人が持っている知識・経験などの情報をナレッジ化し、業務で有効的に活用できるようにする経営手法です。
ナレッジを部署やチーム内だけではなく、全社的に活用できるように管理・共有することで、利益向上を目指す取り組みといえます。
なお、ナレッジマネジメントは、習得した知識や経験がSocialization(共同化)、Externalization(表出化)、Combination(連結化)、Internalization(内面化)を繰り返すことでマネジメントを行う「SECIモデル」が基になっています。
ナレッジベース(知識ベース)
ナレッジベースとは、業務に関する知見や社員の経験・ノウハウなどを見えるように蓄積し、データベース化したものを指します。
基本的にナレッジベースは、社内だけで共有することを目的としており、社外に公開することはありません。
情報漏洩の可能性が低く、社員が気軽に使える点で多くの企業がナレッジベースを所有しています。
ナレッジベースは、企業にとって重要な資産の一つであり、業務効率化や人材育成、経営戦略につながるツールとされています。
ナレッジシェア
ナレッジシェアとは、知識の共有を意味する言葉であり、企業や社員が持っている情報や知見、ノウハウを終結し誰もが活用できるようにシェアすることです。
ナレッジ共有やナレッジコミュニケーションとも呼ばれ、社内のナレッジ活用に欠かせないものといえます。
ナレッジシェアができる環境にない企業では、さまざまな情報や知識、ノウハウを持った従業員が退職、異動した場合、業務が滞ってしまうおそれがあります。
ナレッジの属人化を防ぐためにもナレッジシェアができる環境を企業が構築していくことが大切です。
ナレッジワーカー
ナレッジワーカーとは、ナレッジとワーカーを組み合わせた造語で、専門的な知識やスキルを活かし、企業価値の向上や新たな付加価値の創出を行う人材を指します。
企業にナレッジワーカーが求められるようになった主な理由は2つあります。
1つ目は現在、市場や消費者動向が急速に変化することで将来予測が難しくなっていることです。
2つ目は、商品やサービスのコモディティ化が進み、競合との差別化に新たな付加価値の創出が欠かせなくなっていることが挙げられます。
これらの課題を解決し、競合に対して競争優位性を持つには、専門的なスキルを活かせるナレッジワーカーが必要とされているのです。
ビジネスシーンでナレッジを活用する場面
ビジネスシーンでナレッジを活用する場面として、新入社員の入社時が挙げられます。
新入社員の入社時は、「システムの操作マニュアル」「ルーティンワークを短縮化するコツ」など業務を進めるうえで欠かせない多くのナレッジが活用されます。
新入社員にナレッジを共有すれば、指導者の負担軽減につながり、疑問点や不安点はいつでもナレッジで確認できるため、業務習得のスピードアップが可能です。
また、退職・異動で従業員がいなくなった場面でもナレッジを活用できます。
これまで在籍していた従業員の業務もナレッジがあれば、既存社員へスムーズに引き継ぐことができるでしょう。
ナレッジの蓄積が社内にもたらすメリット
ナレッジを蓄積することで社内にもたらす主なメリットとして以下が挙げられます。
・業務効率化を実現できる
・業務の属人化を防げる
・人材育成の強化につながる
それぞれ詳しく解説します。
業務効率化を実現できる
ナレッジを蓄積することにより、多くの業務で効率化が実現します。
その理由として、リサーチの時間削減が挙げられます。
システムやツールの操作方法などを毎回インターネットで検索するのは時間と手間のロスです。
検索できても自社の使い方とは異なる場合もあり、役に立つとは限りません。
しかし、ナレッジが蓄積されていれば、素早いリサーチが可能になり業務効率化につなげられます。
また、社内からの問い合わせ対応の時間を削減できることもメリットの一つです。
ナレッジが蓄積されていれば、不明点があった際でも担当者に質問する必要がなく、メールや電話で問い合わせる時間の削減が可能です。
また、担当者が何度も同じ質問を受けることがなくなるため、本来の業務に集中できます。
業務の属人化を防げる
業務の属人化が防げるのもナレッジ蓄積によるメリットです。
業務の属人化が進めば、担当者がいないと何をすべきか分からず業務が進まなかったり、ストップしてしまったりする可能性があります。
万が一、トラブルが発生すれば企業の信用を失ってしまう場合もあるでしょう。
そこで、ナレッジを蓄積して共有すれば、ナレッジが個人だけで留まることなく、組織として活用できるようになるため、属人化を防げます。
人材育成の強化につながる
ナレッジの蓄積・共有がなされ業務の属人化が防止されれば、業務の標準化が実現します。
その結果、従業員個々のスキル向上につながるでしょう。
その理由としては、これまで特定の従業員しか行わなかった業務を多くの従業員が携われるようになることで経験値が向上する点が挙げられます。
また、多くの従業員がさまざまな業務に携わりあらゆる業務のナレッジが蓄積されれば、それがノウハウの習得につながり、結果として効率的な人材育成が可能になるのです。
社内にナレッジを蓄積させるポイント
社内にナレッジを蓄積させるにはいくつかのポイントがあります。
その中でも重要なのは次の3つです。
・情報共有ツールを活用する
・マニュアルを用意する
・ナレッジ共有を可視化する
それぞれについて詳しく解説します。
情報共有ツールを活用する
蓄積されたナレッジは従業員の誰もがいつでも閲覧できる状態でなければなりません。
アナログ管理では活用の幅も限定されるため、SlackやChatworkのような情報共有ツールの導入がおすすめです。
ツールの活用でナレッジを適切に管理すれば、ナレッジの効率的な蓄積が実現します。
マニュアルを用意する
ナレッジは誰もが簡単に閲覧できるようにすると同時に、誰もが簡単に蓄積できるようにすることが重要です。
ただし、蓄積するためのルールが複雑だと共有したいナレッジがあっても記載をためらってしまうでしょう。
そのため、ナレッジを蓄積するためのマニュアルを用意することをおすすめします。
ポイントは、ナレッジを共有するのと同じ場所に用意することです。
前述した情報共有ツールにマニュアルの項目をつくり、記載することで迷った時にすぐマニュアルを参照できるようになります。
ナレッジ共有を可視化する
ナレッジ共有は始めたときだけ盛り上がり、しばらくすると誰も使わなくなっているケースも少なくありません。
そのため、定期的にナレッジの活用や蓄積を求めるようにしましょう。
また、社内報でもっとも参照されているナレッジを紹介する、役に立ったナレッジの評価制度をつくり高い評価を得たナレッジには賞品を出すといった取り組みもおすすめです。
ナレッジ共有の可視化を進めることが使用を促すことにもつながります。
ナレッジ化を業務効率化や人材育成の強化につなげよう
ビジネスにおけるナレッジとは、企業に欠かせない有益な情報を指すものです。
ナレッジを蓄積していくことで、業務の属人化防止、指導者の負担軽減、従業員の育成、業務効率化などさまざまなメリットが生まれます。
ただし、蓄積されたナレッジは適切に管理されなければ誰にも使ってもらえません。
情報共有ツールの活用やマニュアルの作成を行い、有益な情報を共有し、業務効率化や人材育成の強化につなげましょう。
人材育成を実現させるには、経営計画書の作成も効果的です。
武蔵野の経営計画書は社員一人ひとりに携帯させ、会社の基本姿勢や経営目標、経営方針などを浸透させる重要なツールです。
人材育成のツールとして社内のナレッジ化にも役立てられます。
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