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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/06/22 15:08

経営

資金繰り

黒字倒産とは?原因や回避する方法・事例をわかりやすく紹介

読了まで約4分

「黒字倒産がどのような状態かを理解したい」「黒字倒産の原因や防止方法、注意点について知りたい」と考えている経営者は多いのではないでしょうか。

商品が売れて、帳簿上は利益が出ている黒字状態にもかかわらず、さまざまな支払いや資金が不足してギリギリという企業が存在します。

本記事では、最初に黒字倒産の定義を説明した後、黒字倒産の理由や避ける方法などを解説していきます。
最後に黒字倒産の企業例についても紹介するので参考にしてください。

黒字倒産とは

黒字倒産とは、損益通算上は黒字で利益が出ているにもかかわらず倒産することです。
帳簿上は黒字でも、何かしらの支払いが必要な状態で倒産となります。
たとえば、売掛金入金の回収が間に合わない、在庫を抱えてしまうなどが考えられるでしょう。

あくまでも帳簿上は問題がないため、黒字倒産のリスクには気付きづらいという特徴があります。
黒字倒産が特に多いのは成長期の会社です。
急激な売上の増加に伴って売掛金や在庫が増えるため、資金繰りが追い付かず、黒字倒産に至るという流れです。

黒字倒産を回避するには、自社の入出金状況を正確に把握し、キャッシュフローがプラスになるように事業活動を進めることが大切です。

 

会社が倒産するとはどんな状態?

そもそも倒産とはどのような状態を指すのでしょうか。
経営に行き詰まり、営業活動を断念することも倒産といえますが、ここでは法的整理と私的整理の2種類を取り上げるので参考にしてください。
なお、倒産という言葉自体は法律で定められているものではありません。

法的整理(清算型・再建型)

法的整理は清算型と再建型に分かれます。
清算型は財産を清算して事業を終了させる整理方法です。
一方、再建型は事業を継続させつつ、第三者を介して再生を目指す整理方法となります。

清算型は破産手続と特別清算手続に分かれます。
破産手続は破産法による手続で、特別清算手続は会社法で定める株式会社が債務超過の場合に適用される手続です。

また、再建型は民事再生手続と会社更生手続に分かれます。
民事再生手続は民事再生法によるもので、会社更生手続は会社更生法で定める株式会社を対象とした手続です。

私的整理(取引停止処分・任意整理)

債権者と債務者の間で協議し、倒産の整理方法を選択するのが私的整理です。
私的整理には取引停止処分と任意整理があります。

取引停止処分は、不渡りを一定期間に一定回数出した場合の処分です。
任意整理は協議の上での清算処理をいいます。

なお、私的整理にも清算型と再建型がありますので、詳細は弁護士などの専門家に問い合わせるとよいでしょう。

 

黒字倒産の理由

黒字倒産のよくある理由として、以下2つのケースを解説します。

  • 売掛金入金が遅く、資金不足になる
  • 不良在庫を抱えている

ケース1:売掛金入金が遅く、資金不足になる

黒字倒産に至る1つ目のよくある理由は、収支管理ができず支払いサイクルが回らないことです。
収益化できる仕入れ数を見極められないことが大きな原因と考えられます。

たとえば、80万円の商品をA社に販売したものの、売掛金(代金を後払いで回収する権利)の入金が4カ月後とします。
一方で、商品を製造するための材料費20万円の支払いが2カ月後としましょう。

この場合、帳簿上は80万円-20万円で60万円の黒字が出ているものの、売掛金が入金される前に材料費の支払いが必要です。
つまり、売上80万円の中から材料費の20万円は支払えないということです。

もし2カ月後に20万円の現金が手元になければ、材料費の支払いは遅延します。
A社だけでなく、B社、C社も同じ支払いサイクルであれば、必然的に黒字倒産のリスクが高くなります。

ケース2:不良在庫を抱えている

黒字倒産に至る2つ目のよくある理由は、不良在庫を抱えていることです。
この場合、損益計算書(会社の一定期間の経営成績)は黒字でも、キャッシュフロー計算書(現金の増減を基準にした計算書)では赤字というケースがあります。

たとえば、単価1万円の商品を200個仕入れた場合、売上原価は200万円です。
同じ商品を2万円で80個販売した場合は160万円の売上になります。
このとき、損益計算書における売上原価は、200万円ではなく80万円(1万円✕80個)と計上します。
利益は160万円-80万円で80万円の黒字です。

一方、キャッシュフロー計算書では、売上原価がすべて記録されます。
先ほどの例では、売上原価200万円、売上160万円です。この場合は160万円-200万円で40万円の赤字となります。

このように、損益計算書では黒字にもかかわらず、キャッシュフロー計算書では赤字という事態も起こりかねません。
その状態が継続すると黒字倒産のリスクが高くなります。

 

黒字倒産を避ける方法

黒字倒産を回避するためのポイントには以下の5つがあります。

  1. 収支管理の徹底
  2. 回収・支払いサイトの調整
  3. 過剰な在庫を抱えない
  4. 資金調達力(借入)の強化
  5. キャッシュフロー経営の知識を強化

それぞれ解説していきます。

1.収支管理の徹底

黒字倒産を避けるには、当然のことながら収支管理の徹底が大切です。
そのために資金繰り表(現金収支をまとめた表)を作成して入金と出金を管理しましょう。

たとえば、商品を販売した際は「何月何日までにいくらの入金があるのか」、仕入れた際は「何月何日までにいくらの支払いが必要なのか」を明確に管理します。

特に売掛金の項目に注目してください。
売掛金の回収が遅れていたり、回収不能になったりすると、たとえ帳簿上は黒字でも資金繰りが苦しくなるかもしれません。
そのような点に気づくためにも、資金繰り表が大切です。

2.回収・支払いサイトの調整

サイトとは代金を支払うまでの猶予期間を意味する言葉です。
そのため、回収サイト(代金を回収する猶予期間)は可能な限り短く調整し、逆に支払いサイト(代金を支払う猶予期間)を長く設定することが重要です。

取引先に対して、回収サイトの場合は前受け払い、支払いサイトの場合は後払いや分割払いを中心に交渉するとよいでしょう。

注意点として、一般的に創業から日が浅い会社は信用力に乏しいため、交渉が難航する可能性があります。
交渉を続けると契約に至らないリスクもあるため、取引先の対応を見ながら慎重に進めることが大切です。

3.過剰な在庫を抱えない

先に紹介したとおり、不良在庫は黒字倒産の要因になりやすいものです。
業種業界によっては一定量の商品在庫が必要ですが、現金化されるまでの回収サイトを意識した調整がポイントになります。

そのためには、徹底した在庫管理が重要です。
売上と仕入れのバランスを取るために、「どの商品がどのくらい売れ残っているのか」や「どのくらい損失が膨らんでいるのか」を把握しましょう。

4.資金調達力(借入)の強化

仕入れ費用や人件費などにあてる資金を補うために、いつでも資金調達できる体制を整えることが大切です。
キャッシュが必要なときに必要な分を外部から調達できれば、資金不足を避けられます。

そのためには金融機関との関係性を強化してください。
メインで取引している金融機関に自社の情報を提供したり、複数の金融機関と取引回数を増やしたりといった方法が考えられます。

5.キャッシュフロー経営の知識を強化

キャッシュフローの理解や、資金繰りの知識を身に付けなければ経営は苦しくなります。
前述したように帳簿上の数字と、事業活動に必要なキャッシュが必ずしも一致するとは限らないからです。

帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、手元の現金が足りない状況も十分に考えられますし、放置すると黒字倒産のリスクが高くなります。

特に創業直後は資金繰りが不安定なケースが多いため、帳簿上の数字だけではなく、手元資金がマイナスにならないように注意しなければなりません。
そのためにキャッシュフロー経営の知識を強化しましょう。

もしご自身の知識だけでは不安な場合、外部のコンサルティングサービスを頼るという選択肢があります。

 

黒字倒産の企業例

黒字倒産の企業事例として、江守グループホールディングスと日本綜合地所を紹介します。

江守グループホールディングスは東証一部上場の商社でしたが、2015年4月末に破綻しました。
子会社の不正取引による特別損失計上以外にも、大口取引先からの代金回収の遅延が原因と考えられています。
直近まで好業績にもかかわらず破綻した黒字倒産の事例です。

また、日本綜合地所は2008年3月期に過去最高益を計上した不動産販売会社でしたが、2009年2月に会社更生法の適用を申請しました。
資金繰りが苦しくなり、建築代金の支払いなどに対応できなかったことが原因と考えられています。
直近で過去最高益を記録したにもかかわらず黒字倒産に至った事例です。

このように規模の大きな会社でも、実際に黒字倒産が起こっています。

 

資金繰りを意識して適正なキャッシュフロー経営を行おう

黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず倒産することです。
主な理由として「売掛金入金が遅いための資金不足」と「過剰な不良在庫」が挙げられます。

黒字倒産を回避するには以下を意識してください。

  • 収支管理の徹底
  • 回収・支払いサイトの調整
  • 過剰な在庫を抱えない
  • 資金調達力(借入)の強化
  • キャッシュフロー経営の知識を強化

なお、自社の資金繰りに不安がある場合は、武蔵野のコンサルティングサービスにぜひ相談してください。
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実践的なプログラムによって経営者のビジネスをサポートしています。

また、金融機関との付き合い方や収支管理のためには経営計画書の作成が重要です。
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