更新日:2022/10/28 17:31
経営
競合分析とは?活用できるフレームワークや分析方法・事例やツールなどを解説
読了まで約4分
自社が属する市場のなかで継続して利益を上げ続けていくにはさまざまな施策が求められます。
そのなかでも重要な施策の一つが競合分析です。
自社の強みや弱みを客観的に把握するのは容易ではありませんが、競合分析により、競合と比較すれば自分たちの強みや弱みが明確になります。
本記事では、競合分析の概要、目的、主なフレームワークを解説したうえで、具体的に競合分析を行う方法を解説します。
また、競合分析を効率的に行うためのツールも紹介するので、競合分析の実施を検討されている方はぜひ、参考にしてください。
目次
競合分析とは
競合分析の種類ややり方を知る前に、まずは競合分析の概要や目的について解説します。
競合分析の概要
競合分析とは、同業種の企業をあらゆる観点から分析をすることで強みや弱みを比較し、自社が競争優位を確保するための戦略を導き出すものです。
具体的には、競合する商品やサービスの機能、内容、価格のほか、市場シェア、認知度、SNSや比較サイトなどでのクチコミ、顧客評価などを分析します。
これらを一社ではなく複数の競合で比較・分析し、客観的に自社の商品やサービスの強みや弱みを明確にしたうえで、強みを強化し弱みを補うための戦略立案を行うものです。
競合分析の目的
競合分析を行う最大の目的は、客観的な視点での自社が持つ強みと弱みを把握し、マーケティング戦略立案の根拠を得ることにあります。
例えば、自社商品のなかで低価格だとしても、競合は同機能でさらに低価格の商品を出しているかもしれません。
また、自社が強みだと考えている機能が実は市場で求められていない可能性もありえます。
そのため、競合との比較により分析をすることで、客観的な立ち位置を知るのが競合分析の目的といえるでしょう。
競合分析の実施により、具体的に期待できる主な効果としては次のようなものが挙げられます。
- 自社が属する業種、市場での自社の立ち位置
- 自社が強みと考えているものに市場ニーズがあるか
- 自社の強みを発揮できる新たな市場の発見
競合分析で利用できるフレームワーク
競合分析を行うには、フレームワークの利用がおすすめです。
ここでは、競合分析によく使われている4つのフレームワークを紹介します。
3C分析
3C分析とは、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」をそれぞれ分析することで、自社の立ち位置、強み、弱みを把握し、戦略立案に役立てるためのフレームワークです。
それぞれを分析するポイントを見てみましょう。
- 顧客(Customer)
分析のポイントは、自社商品もしくは競合商品を購入している顧客の属性やニーズなどです。
新たに参入を検討している場合は、現状の商品に顧客は満足しているか、自社の強みを生かせば参入は可能かどうかなどを分析します。 - 競合(Competitor)
競合商品の市場シェア、クチコミや評価などを分析します。
また、商品やサービスだけに限らず、企業自体の市場での認知度や人気なども併せて分析することで、自社の立ち位置も見えてくるでしょう。 - 自社(Company)
自社が競合と比べて顧客からどのような評価を受けているか、自社商品の何が求められているのか、自社商品を購入しない理由は何なのかを分析し、強みと弱みを把握します。
4C分析
4C分析とは、「顧客価値(Customer Value)」「顧客視点でのコスト(Cost)」「顧客視点での利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」と顧客視点での分析を行うフレームワークです。
それぞれの分析ポイントを見てみましょう。
- 顧客価値(Customer Value)
顧客が自社商品や競合商品を購入する際、どのような価値を求めているのかを見るものです。
機能、価格、使い心地などさまざまな視点から顧客のベネフィットを見つけ出します。 - 顧客視点でのコスト(Cost)
顧客が納得して商品を購入する価格を見るものです。
顧客が納得して購入できる価格にするためには何をすればよいか。
また、自社が設定した価格に納得してもらうにはどのような価値の提供が必要かを見定めます。 - 顧客視点での利便性(Convenience)
商品の購入方法、支払い方法など顧客が求める方法で商品を入手できているかどうかを見るものです。
EC、実店舗などさまざまな方法でのテストを行い、最適な方法を模索します。 - コミュニケーション(Communication)
オンオフに関わらず顧客とのあらゆる接点で適切な対応ができているか、良好な関係性構築ができているかを見るものです。
オンラインでのコミュニケーションが当たり前となった今、できる限りリアルタイムに適切な対応ができるかどうかがポイントになります。
4P分析
4P分析とは、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販促(Promotion)」の主に企業側の4つの視点から分析を行うフレームワークです。
それぞれの分析ポイントを見てみましょう。
- 製品(Product)
販売している商品の機能や品質、デザインが妥当か、顧客のニーズに合っているかどうかを分析します。 - 価格(Price)
販売している商品の価格は妥当か、競合商品と比べて高過ぎないか、安過ぎないかを分析します。 - 流通(Place)
販売している商品の場所は適切か、流通ルートにロスはないか、納品スピードが遅くなって在庫切れを起こしていないかを分析します。 - 販促(Promotion)
顧客に商品を認知してもらうための販促活動が適切に行われているか、販促内容に問題がないかどうかを分析します。
SWOT分析
SWOT分析とは、自社の内部環境と外部環境に分けて分析をするものです。
具体的には次のように分類し、たとえば、「強み」と「機会」から戦略を立てたり、「弱み」と「脅威」から最善の防御策の立案を行ったりします。
競合分析のやり方
競合分析は、適切な順番で進めていかないと思ったような効果を得られません。
ここでは、実際に競合分析を行う際の方法について、順を追って解説します。
1.競合分析の目的を設定する
なぜ、競合分析をするのか、その目的を明確にします。
例えば、「価格と品質ではすでに競合よりも優位性を持っているため、さらにシェアを拡大するにあたって脅威があるかどうかを知りたい」「販促活動に弱みがあることはわかっているため、競合の販促事例を知りたい」などです。
ほかにも「新しい市場に参入するために現状の市場動向を知りたい」「顧客とのコミュニケーション強化のために、どのメディアを活用すればよいかを知りたい」なども競合分析の目的として考えられます。
2.分析する競合他社を選ぶ
目的設定をしたら次は分析をするための競合を選定しましょう。
業種や商品、目的にもよりますが、一般的には5~10社程度が妥当です。
競合を選定する際のポイントは、自社と同じカテゴリの商品で価格帯やターゲットが似通っているかどうかを基準にします。
また、もう一つ重要なポイントはビジネスモデルが似通っているかどうかです。
例えば、サブスクリプションサービスの場合でも、一定期間だけ無料と一部機能だけ無料では比較対象にはなりません。
自社が一部機能のみ無料のタイプであれば、競合も同じタイプの企業を選定しましょう。
3.フレームワークを利用して分析する
競合の選定をしたら、競合分析を行う目的を基に利用するフレームワークを選び、情報収集、分析へと進んでいきます。
例えば、販促活動に弱みがあることがわかっているのであれば4P分析を活用し、顧客とのコミュニケーションに課題を感じているのであれば、4C分析の活用が良いでしょう。
強みや弱みがわかっていない状態であれば、3C分析により、まずは現状把握を行い、そこで発見した課題を基に別のフレームワークを使う方法もあります。
4.競合他社の商品やサービスをリサーチする
競合商品、サービスのリサーチをします。リサーチする項目は商品、サービスによって異なりますが、たとえばテレビの競合調査の場合にリサーチする項目は次のとおりです。
- 価格
- サイズ展開
- ディスプレイ技術(液晶、有機ELなど)
- 解像度(8K、4K、フルHDなど)
- デザイン
- 対応インターネットサービス
- リフレッシュノート
これらを競合別にリサーチし、Excelを使い一覧表示させて比較分析を行います。
ポイントはできるだけ多くの情報を収集することです。
情報量が少ないと強みや弱みを正確に把握しきれなくなる場合もあるため、カタログやウェブサイトなどあらゆる場所から情報収集を行ってください。
5.競合他社のウェブ戦略をリサーチする
競合の情報収集は商品やサービスだけではなく、ウェブ戦略の情報収集、分析も欠かせません。
ウェブサイトの表示内容、UI、問い合わせのやり方、ECサイトでの対応のほか、SNSやブログ、広告の分析なども行います。
ウェブ戦略をリサーチするポイントは、実際に問い合わせや商品購入をしてみることです。
また、特定の検索キーワードで何位に表示されるかも定期的にチェックすると良いでしょう。
6.比較対象の定量分析・定性分析を行う
競合分析のための情報収集を終えたら、比較対象との定量分析・定性分析を行います。
まず、商品の価格、販売数、ウェブサイトの訪問者数、ECサイトでのコンバージョンレート(購入に至る訪問者の割合)など定量分析により、自社の強みと弱みを把握しましょう。
次にSNSでのコミュニケーションの回数、クチコミの質や内容、評価サイトの投稿数などの定性分析です。
これにより、顧客との距離や商品の話題づくりなどに競合とどのような差があるのかを明確にします。
定量・定性分析を終え、客観的な自社評価、競合との違いを把握したら、実際に弱みを解決し、強みを伸ばすための戦略立案を実施しましょう。
競合分析に使えるツール
競合分析を効率的に行うには、ツールの活用がおすすめです。
ここでは、主にウェブ戦略のリサーチに便利な2つのウェブサービスを紹介します。
Ahrefs(エイチレフス)
Ahrefsは、競合サイトの被リンク分析や検索エンジンで上位に表示されるコンテンツ、想定流入キーワードに加え、SNSでの反応を把握できるサービスです。
利用できるサービスの数によって月額費用がかかりますが、もっとも安いプランであれば月額99ドル(2022年10月現在)で利用できます。
出典:SEOの被リンク分析・競合調査ツール|Ahrefs(エイチレフス)
Similarweb(シミラーウェブ)
Similarwebは、ウェブサイトの競合分析ができるアクセス解析サービスです。
競合他社が運営するサイトのアクセス状況がわかります。
無料トライアルがあるため、試しに利用してみて使い勝手がよければ有料サービスに移行ができます。
ひとまず競合分析を試してみたい場合におすすめのサービスです。
競合他社をリサーチし自社戦略に活かそう
競合分析は市場内での自社や自社商品の現状や強み、弱みを知り、戦略を立案するために欠かせない施策の一つです。
ただし、適切な順番で適切なフレームワークを利用しないと、思ったような成果は得られません。
今回、紹介したフレームワークや手順を参考に競合分析を実行することをおすすめします。
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適切な競合分析を行えれば、より現実的な経営計画書作成が可能です。
ぜひ、競合分析の後は、経営計画書の作成を行い、自社戦略立案を実現させましょう。
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