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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/06/15 15:30

環境整備

整理・整頓・清潔を目指す3S活動とは【5S活動との違いや効果とは】

読了まで約3分

主に製造業で導入されていることが多い3S活動。
整理、整頓、清掃の3つを安全のために掲げ、様々な現場で取り入れられています。

一方、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5つを掲げたものが5s活動です。

本記事では、3S活動と5S活動の違いや取り入れた際の効果について解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも「3S」「5S」とはどのような活動?

3S活動とは?意味と具体的な活動

3S活動とは、整理、整頓、清掃の3つをスローガンとして掲げる取り組みです。
それぞれの頭文字のSをとって、3Sと呼ばれております。
工場などを経営する製造業を始め、安全のために様々な現場で取り入れられています。

整理

具体的に、まず、「整理」とは、職場に不要となるものを置かないようにすることを示します。
過去の業務で使用していたものでも、現在の仕事と関わりのないものであれば不要なものです。
また、今後使う予定のものであっても、念のためと余計に在庫を抱えることは限られたスペースを狭めてしまう原因となります。
使わないものは処分する、在庫品は最低限にとどめることは整理作業の基本です。

そのため、3S活動における「整理」では、何が必要で、何が必要ではないかをきちんと区別し、必要のないものはすべて処分する作業が必須となります。

整頓

次に、「整頓」とは、必要なものを使いやすい場所に配置することです。
会社に置かれているものは複数の人で共有して使用することも多いですよね。
自宅であれば、自分さえ置き場所を把握しておけば特に不自由することはありません。
家族が使用する場合でも、そのときに口伝えすれば問題ないケースは多いことでしょう。
しかし、たくさんの人が働く会社の場合、使用者が使いたいときにその都度、置き場所を聞いて回ることは面倒なものです。
さらに、使用を急ぐときもあるため、誰でもすぐに置き場所がわかるような状態にしておくことは利便性を考慮しても重要となります。

また、きちんと整頓して保管されていると、在庫数を把握しやすく、無駄な購入を減らせてコスト削減につなげられる点も魅力です。
加えて、紛失も防ぎやすいため、無駄に買い足す必要も少なくなります。

清掃

最後に、「清掃」とは、職場内をきれいな状態にすることです。
ゴミやホコリ、汚れなどがないように清潔に保つことは、衛生面だけではなく、従業員の精神面においても大事なポイントとなります。
ホコリだらけの環境よりも、清潔な職場のほうが気持ちよく仕事ができると感じる人は多いからです。

さらに、点検作業を習慣化できる点も、清掃を行うメリットのひとつとして挙げられます。
掃除をするときには、ホコリを取るためにものを移動したり、汚れがないか細かなところまでチェックしたりするものです。
そのため、普段目にしないような場所にも目が行き届くようになり、設備や管理状態に故障や異常がないかを定期的に確認できるようにもなります。

5S活動とは?3S活動との違い

先程の3Sに「清潔(Sanitizing)」「しつけ(Sustaining through Discipline)」の2つを足したものが、5S活動と呼ばれています。
まずは3Sを徹底することで、自ずと職場は「清潔」になり、従業員の「しつけ」となります。

重要なのはSの数ではなく、日々実践継続することです。
中小企業では、管理する項目ができるだけ少ない方が良いとされています。

 

3S活動や5S活動により期待できる効果とは

3S活動や5S活動というと製造業の現場で行われる取り組みというイメージを持っている人も少なくありません。
しかし、これらの活動は、どのような業界、業種でも意義のある活動です。
取り組みを実行することによって主に次の4つのメリットに期待が持てます。

コストの削減

オフィスを借りている場合、家賃は毎月必ずかかるランニングコストです。
金額も決して小さいものではありません。
家賃を安く抑えられれば、会社にとっては大きなコスト削減につながります。

3Sや5S活動を実行すると、大きな経営コストとなる家賃を減らすことが可能です。
ものが多ければ、それを収納する棚やキャビネットなどが増え、必然的に広いスペースが必要となります。
同じ条件でスペースの広いオフィスを借りれば、通常であれば、その分、家賃は高くなるものです。

しかし、不要なものをすべて処分し、必要とするスペースを減らすことができれば、家賃の安いオフィスに移転することもできるようになります。
また、不要なものに場所を取られ、置き場所がないからと別に倉庫などを借りている場合には、不用品の処分をすることで倉庫を解約することもできるでしょう。
さらに、オフィスをそのまま利用する場合でも、ただのもの置き場として使うより、生産性のあることのために空間を生かすほうがビジネスには有効です。

業務の効率化

ものが無駄に多く、きちんと整理されていない職場では、時間や従業員の労力が非効率に使われやすくなります。
在庫品がたくさんあったり、ものがわかりにくい場所に置かれていたりすると、探す作業に不要な時間を取られてしまう場合があるからです。
また、無駄な作業を行っている従業員に対しても、しっかり給料が発生していることを忘れてはなりません。
従業員に同じ給料を支払うなら、効率的な仕事をしてもらったほうが会社としては有益です。

さらに、日ごろから整理整頓をきちんと行っておくようにしておけば、作業の始まりもスムーズとなります。
たとえば、机が散らかっていれば、作業をする前に片付けから始めなければならず、時間の無駄です。
必要なものをすぐに見つけることができ、作業するスペースが常に確保できている職場は、作業がスムーズに進み、業務効率が上がります。

安全で快適な職場環境づくり

製造の現場だけではなく、事務などを行うオフィスでも、整理整頓は安全な職場づくりにつながります。
周囲にものが積み上げられていれば、地震があったときや、誰かが軽くぶつかってものが崩れ落ちた際に、ケガや事故が起きてしまう可能性があり危険です。

デスク周辺の足元や通路などの床にものが置かれていれば、移動の妨げや躓きの原因にもなり得るでしょう。
スムーズに移動できる作業動線を維持しておくことは、安全対策になるとともに、業務の効率化にもつながります。

また、不清潔な職場や圧迫感を感じる空間で仕事をすることは、誰しもあまり気持ちのよいものではありません。
仕事に集中できず、モチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。
加えて、職場がきれいに保たれているかどうかが、会社の評判に影響を与えることもあるため要注意です。
取引先などの来客があった際に、整理されている職場は、仕事に対してもきちんとしているイメージを持たれやすくなります。

反対に、散らかっている会社は、仕事に対しても管理能力が低いという印象を持たれてしまう場合もあるため気を付けなければなりません。
従業員の仕事に対する意識や集中力を高めるためにも、取引先や顧客からの信用度を上げるためにも、3Sや5Sの取り組みは重要となるのです。

社員教育にもなる

3S活動や5S活動は従業員全員が主体的に参加してこそ効果が高まる取り組みです。
活動を行うにあたり、各従業員が自らで何をどのように実行すべきかを考える機会を持つことは、自主性の育成にもつながります。

社員たちに自然と問題解決の思考がつき始め、これまでいつも受け身だった社員が、だんだんと自主的に考えて動くようになり、指示待ちだった社員は自ら何かを生み出す人材に変わります。

また、どのようにすれば職場をきれいに保てるかなど、常に問題意識を持ち、改善に向けた方法を考えるなかで、問題解決力の向上を図ることも可能です。
さらに、活動を実行するためには、従業員同士で協力し合うことも必要となります。
ものを元の場所に片付けない人や散らかす人が数人いるだけでも、場所探しの手間は発生し、きれいな職場づくりは実現しません。

活動を通して、これまで気づかなかったことに気づくようになる「気づきの力」が磨かれることに加えて、従業員同士が協力関係を築き、団結して物事に取り組めるようになれば、組織力の強化にも期待が持てます。

PDCAサイクルが身に付く

3S活動を日々繰り返し行う中で、全員で問題を突き詰めて改善策を話し合い、計画を立て、実行します。
実行した後は、上手くいったかどうかの振り返りと検証を行います。
上手くいかなかった場合には、その原因は何だったのかをみんなで話し合い、再度計画を立てて実行、改善を繰り返します。

このプロセスによって、自然とPDCAサイクルが身に付いていきます。
社員が自主性を持って活動することで、成功体験をさせることができ、モチベーションを高めることができます。

コミュニケーションの向上

日々の3S活動の中で話し合いを繰り返すことにより、コミュニケーション不足が解消され、報告・連絡・相談がよりスムーズにできるようになります。
また、部署を越えて活動を行うことで、他部署の人ともコミュニケーションを取る機会が増え、部署を超えたコミュニケーションやホウレンソウがスムーズになります。

社内の風通しもよくなり、組織全体の雰囲気が明るくなるでしょう。
日頃からコミュニケーションが取れていれば、何かあった際にも社員同士が協力し合い、一致団結して問題を解決しようとする風土になってくれます。

 

取り組み方の流れとポイント

5S活動のベースとなるのは3S活動です。
そのため、先に整理、整頓、清掃の順で3S活動をしっかりと実行してから、残りの2Sへと進みます。

不要なものの選別を行い排除して、必要なものは誰もがわかる決められた場所に置き、共有して使いやすいようにすることが最初のステップです。
その後、清掃により安全で安心できる職場環境をきちんと整えたら、残りの2Sでその状態を維持できるように努めます。

3Sや5Sをきちんと実行するためには、始める段階で活動の目的を明確にし、従業員全員で共有することがポイントです。
さらに、目標を定め、実現に向けた方策を立てます。

方策に従い活動を進めていきますが、その途中で、必要に応じて柔軟にルールや方策の見直しをすることも大事です。
正しく見直しを行うためには、その過程を「見える化」し、現状を常に把握できるようにしておくことも大事となります。

目標や指標をどこまで達成し、どこで行き詰っているかをグラフや表、数値などで示しておくようにしましょう。
整理されたきれいな職場づくりだけが3S活動や5S活動の目的ではありません。

 

3S活動は仕事の一環

単なる片付けや掃除、整理されたきれいな職場づくりだけが3S活動や5S活動の目的ではありません。
組織を変えていくには、一人ひとりの小さな習慣を変えていくことから始めなければいけません。

活動を通して従業員が成長し、組織力を高めることも取り組みを行う大事な狙いとなるため、目標達成までのプロセスも大切にしましょう。

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