更新日:2024/05/31 12:00
コミュニケーション
アサーションとは?意味やタイプ、職場のコミュニケーション向上方法
読了まで約3分
人とのコミュニケーションは仕事を行う上でネックになりえる要素であり、つい自分の意見を主張しすぎてしまったり、逆に引っ込み思案だったりで悩んでいる方は多いでしょう。
そんな方におすすめしたいのは、「アサーション」という方法・スキルです。
本記事では、アサーションとは何かということや、アサーティブになるためのトレーニング方法などについて解説します。
目次
アサーションとは?
アサーション(assertion)とは「自己主張」という意味を持つ言葉であり、英語だと主張・断言といった強いニュアンスを持っています。
ただ、コミュニケーションスキルとしてのアサーションはそこまでの強い印象ではなく、「相手と対等な立場に立って適切に自己主張を行う」ぐらいのニュアンスで用いられます。
相手を傷つけずに自分の意思はしっかり伝えるという、ビジネスシーンにおいては非常に重要なコミュニケーション方法・スキルと言えるでしょう。
アサーションが注目される背景
近年、アサーションへの注目が高まっております。その背景として、職場におけるハラスメント対策や、テレワークの増加が挙げられます。
「改正労働施策総合推進法」(通称パワハラ防止法)の施行により、企業のハラスメント対策が強化されるようになりました。
ハラスメント対策にはコミュニケーションの活性化が不可欠なことから、注目を集めているのが「アサーション」です。年齢や立場を超え、相手を尊重しつつ自分の意見も率直に伝えるコミュニケーションが広がれば、対等な意見交換や人間関係の円滑化といった効果が期待でき、ハラスメントもなくなるでしょう。
また、新型コロナウィルスの影響により、テレワークが増加しました。これまで直接対面してコミュニケーションを取っていたのが、オンラインでは相手の表情が掴みづらく感情が読めなかったり、コミュニケーションに苦慮する人が増えています。
オンライン上でも円滑にコミュニケーションを取る為、相手の状況や自分の言葉に目を向けるアサーティブコミュニケーションの需要が高まっています。
アサーションの3つのタイプと具体例
アサーションでは、コミュニケーションのタイプを「アグレッシブ」「ノン・アサーティブ」「アサーティブ」の3つに分類しています。
以下では、それぞれのタイプのコミュニケーションについて説明します。
アグレッシブ(攻撃的)
アグレッシブは「攻撃的な」という意味であり、相手の意見を耳に入れずに自分の価値観を押し付けてしまうようなタイプのコミュニケーション方法のことを指します。
コミュニケーションというよりは一方的な押しつけであることも多く、良くも悪くも目立ちやすいタイプと言えるでしょう。
・思ったことを何でもズバズバ言う
・大声を張り上げたり自己主張が強い
・自分の意志を全うするため悪意が伴うこともある
・マウンティングを好み、常に相手より優位に立とうとする
ドラえもんに登場する「ジャイアン」をイメージするとわかりやすいでしょう。
ノン・アサーティブ(非主張的)
ノン・アサーティブは逆に、自分の意見を発することに自信が持てずに、常に相手の意見を聞こうとしてしまうタイプです。非主張的、または受け身的とも言われます。
自分を押し殺してコミュニケーションを行っていることが多いので、対人関係でストレスを抱えやすいのも特徴です。
・自己主張が控えめで物静か
・曖昧な言い方でかわすことを好む
・言い訳が口癖になっている
・過剰なストレスによりうつ状態になりやすい
ドラえもんに登場する「のび太くん」をイメージしてください。
アサーティブ
アサーティブは、アグレッシブとノンアサーティブのいいとこ取りをしたようなタイプで、自己主張をしつつ相手の気持ちを推しはかることもできます。
場の空気を重んじたり、TPOに応じた適切な表現をしたりすることも得意で、非常に円滑にコミュニケーションを取ることができます。
・自分の気持ちや考えを率直に伝えられる
・相手の意見に耳を傾ける
・場の空気を重んじる
・双方納得のいく結論を出そうとする
ドラえもんに登場する「しずかちゃん」をイメージしてください。相手の気持ちを大切にしつつ、はっきりと自分の意見を伝える姿が浮かぶのではないでしょうか。
アサーティブになるための3つのトレーニング方法
臨床心理学者の平木典子氏は、著書の中で具体的に以下5つのアサーション権を挙げています。
・私たちは、誰からも尊重される権利がある
・私たちは、他人の期待に応えるかどうか決める権利がある
・私たちは誰でも過ちを犯し、それに責任を持つ権利がある
・私たちは、支払いに見合ったものを得る権利がある
・私たちは、自己主張しない権利もある
参考:平木典子著「アサーション・トレーニング さわやかな〈自己表現〉のために」
上述したように、アサーティブなコミュニケーションには多くのメリットがあります。
アサーティブになるためのトレーニング方法としては、以下のような方法が挙げられます。
1. 「自分」を主語にしてメッセージを伝える
主語を「相手」にしてしまうと、「あなたはどうしていつもそんなに報告が遅いの?」というように、攻撃的で相手を傷つけかねないコミュニケーションになってしまう可能性があります。
このようなケースでは主語を「自分」にして、「もう少し報告が早いと私は助かるよ」といったようにコミュニケーションを取ることで、相手を責めることなく行動の改善を自然と促せるでしょう。
2. できるだけ肯定的な言葉を用いるようにする
仕事において、「~できない」というような否定的なことを言わなければならないときはもちろんありますが、そのような場合でもできるだけ肯定的な言葉・内容をセットにするだけで、相手に与える印象は大きく異なります。
「その納期では厳しいです」とだけ伝えるよりも、「その納期では厳しいですがあと2日間猶予をいただければなんとかできそうです」というように伝えることで、相手も受け入れやすくなるでしょう。
3. 「お願い」の表現を用いる
部下に何かの指示を出すような場合、「~しておいてくれ」というような伝え方では取り付く島がありませんし、反発を招いてしまう可能性があります。
「~しておいてくれると助かる」というような伝え方をすれば、部下としても受け入れやすいですし、厳しそうな場合でも代替案を提示しやすくなります。
アサーションを取り入れることで円滑なコミュニケーションが可能になる
アサーションは、お互いに心地よく円滑なコミュニケーションを取るための重要なスキルです。
自然とアサーティブなコミュニケーションができている人は心配ありませんが、そうでない人はアサーティブになるためのトレーニングを行って、より円滑なコミュニケーションを取れるように心がけましょう。
株式会社武蔵野では、「環境整備」という仕組みを通して、従業員同士のコミュニケーションを図っています。
決められたルールや方法にしたがって毎日30分間の掃除を繰り返し行うことで、小さな変化に気づく習慣が身につき、仕事のムダに気付きます。その結果、仕事の効率化が図れて業績アップにつながります。
また、社員のコミュニケーションの向上やルールを守る習慣づくりを通して、企業文化が育まれます。
社内にアサーティブなコミュニケーションを増やしたいと考えている方は、ぜひこちらから弊社のコミュニケーション術をダウンロードしてください。
執筆者情報
佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役
1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。
経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。
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