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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/05/26 16:20

経営

コンプライアンスや行動規範とは?各企業の事例をご紹介【CSR/社会的責任】

読了まで約4分

企業経営において行動規範は、社員一人一人の行動の軸となり、重要な意味のある概念です。
企業の価値観などを共有するためにも、適切な行動規範を作成して浸透させることが大切です。

この記事では、行動規範の概要や作成のメリット、浸透させる方法などを各企業の事例をもとに紹介していきます。

行動規範とは何か

企業は行動規範において、適用される法律、基準、法的リスクに注意を払っています。
企業の行動規範の詳細は様々です。行動規範で取り上げられているテーマも大きく異なります。

内容的には通常、次のような分野を扱っています。

  1. リーダーシップと社会的交流
  2. 第三者(取引先、仕入先、一般の方)との取引
  3. プレゼントや招待状の扱い
  4. 寄付金の配分と協賛の決定
  5. 情報(営業秘密・機密データ)の取り扱いについて
  6. グローバルな文脈での経済活動(人権・労働・社会基準)
  7. 自然に対する責任(環境保護、資源消費)

グローバルに活動する企業、特に発展途上国で事業を展開する企業は、国際協定を遵守することを約束しなければなりません。

ほとんどの企業は国際機関のガイドラインに従っています。

下記がその一例です。

  1. 国連世界人権宣言の原則
  2. 国連グローバル・コンパクト
  3. 多国籍企業のためのOECDガイドライン
  4. 国際労働機関(ILO)の中核的労働基準
  5. 国連児童の権利条約
  6. 国連女性差別撤廃条約

コロナ禍によるアジア系への差別、警察官と黒人男性の問題など、差別への問題が加速すると考えられます。

 

行動規範の原則

国連グローバル・コンパクトの原則は、基本的には、企業が独自の行動規範でも取り上げている最も一般的な分野を網羅しています。

  • 人権(世界人権宣言に基づく):人権の保護、人権侵害への加担の禁止
  • 労働(ILOの原則に沿った):結社の自由の保護、強制労働、児童労働、差別の廃止
  • 環境:生態系と責任ある行動を支持し、環境にやさしい技術を推進
  • 反汚職:恐喝や贈収賄を含むあらゆる形態の汚職を防止

大企業では行動規範を担当する部署は、企業の社会的責任(CSR)やコンプライアンスを担当する部署と同じです。
労働組合がある場合は、行動規範の作成に関わり、運営にも関わってきます。

行動規範の範囲は様々で、数ページのものから40ページを超えるものまであります。
ほとんどの行動規範は、お互いの間や管理者の間で、そしてビジネスパートナー、サプライヤー、一般の人々などの第三者との間で、
望ましい行動になるように記載されています。

 

行動規範作成のメリット

行動規範を作成することで起きる企業のメリットについて解説していきます。

企業文化が醸成される

企業文化とは、自社に浸透している価値観や行動指針、考え方のことです。
企業文化を作るうえで、原点となるのが行動規範になります。

行動規範が浸透している状態は、仕事をする上での基準や価値観が共通言語になっている状態を指します。
共通言語の存在は、セルフマネジメントの促進、意思決定スピードの向上、人材育成の効果性を高めることに繋がります。

従業員の主体性が高まる

行動規範が社内に上手く浸透すれば、社員はさまざまな場面において迷わずに意思決定することができるようになります。
自信を持って意思決定ができない状態では、都度上司などに確認を取る必要があるため、業務に対して消極的になってしまいがちです。

行動規範が明確であれば、自身の意思を持って主体的に業務へ取り組んでくれるでしょう。

企業のブランド力が高まる

行動規範を作成した後、社内だけではなく社外にも周知を行います。
行動規範を正しく遵守し続けることによって外部からの評価が向上し、企業ブランドが高まります。
企業の信頼度向上に結びつき、結果として企業活動の拡大にも期待できます。

採用力が上がる

行動規範が明確になることで、企業に合った人材を確保する採用力が高まります。
企業の文化や考え方を反映したものであるため、求職者は自身の考え方と擦り合わせてから選考への参加を決定できます。

企業の雰囲気に合った求職者と出会うためにも、行動規範を明確に言語化して発信する必要があります。

 

行動規範作成のポイント

簡潔な表現を心がける

なるべく簡潔な表現を心がけることが、行動規範の作成における重要なポイントとなります。
行動規範は社内全員を対象としているものであるため、内容が複雑で分かりづらいとその効果を充分に発揮することが出来ません。

文章量に配慮するのはもちろん、使用する言葉などもなるべく簡単なものが望ましいです。
どの社員が見ても理解できて、なおかつ常に意識しやすいような簡潔な行動規範を作成するのが理想的です。

ミッションやビジョンと行動規範を連動させる

行動規範を作成する際に、まず企業が掲げているミッションとビジョンを改めて明確にする必要があります。
行動規範は、組織内で大切にする価値観であり、ミッションやビジョンを実現させるための考え方や行動を示すものでもあります。
ミッションとビジョンとの連携がうまくできていないと、企業の目標を達成することが難しくなってしまうので、関連づけて作成していきましょう。

 

行動規範を社内に浸透させる方法

行動規範を作成した後、いかに社内に浸透させるかがとても重要になっていきます。以下の4つを意識して取り組みしていきましょう。

繰り返し発信する

一度きりの周知では、行動規範に込められた思いを全て理解することは難しいです。
難しいからこそ、繰り返し発信をし続けることがとても重要です。

全社朝礼や会議の冒頭で、行動規範を取り上げて解説するとと同時に、
社内に掲示するなど常に意識できる環境を構築することを意識して施策に盛り込んでおきましょう。

経営者のメッセージを社員に伝える

行動規範を定めた最終責任者は経営者です。
行動規範を作成した後、経営者が、どのような思いを込めて作成したのか従業員に説明し、理解してもらうことが必要です。
分かりやすい言葉を使い、その思いを率直に伝えることで、意義や意味、背景を従業員が理解することがとても重要です。

推進活動を実施する

さらに、より浸透を推進していくためには経営者だけではなく、社内やチーム全体として推進活動をおこなっていくことが大切です。
そのためには促進する体制を整え、そのメンバーを中心に促進活動を実施する必要があります。

推進体制の中で計画書を策定し、掲示物の準備、社内への説明や解説など、その計画書に準じた活動を行うことで実施します。

行動規範に反する行動には適切に対処する 

もし行動規範に反する行動が行われた場合には、しっかりと是正・対応することが求められます。
行動規範に反する行動にマネジメント層がどう判断するか、どう対処するかは、行動規範を浸透させるうえで重要なカギになります。

 

行動規範の企業事例

A社の例:お互いの行動

A社の行動規範は、「オリエンテーションの枠組み」として意図されており、特に「誠実に行動するための特別な要件」に取り組まれています。
また行動規範は、グループの価値観を理解していることを表現するという目的があります。

特に管理職は、行動の要件に関してはロールモデルと考えられています。
これについては「私たちを特別な存在にするもの」という見出しで記載されています。

A社はその行動規範の中で、「行動の要件の遵守」という見出しの下で、「不正行為や違反は制裁の対象となる」と指摘しています。
また、違反を指摘する人も行動規範があることにより、負の結果を恐れずに済むはずです。

そのような環境を作り支える「風土・文化」を作っています。

B社の例:第三者への対応

B社では行動規範の中で、
ビジネスパートナーとの世界的な協力関係を構築するためのインテグリティ(誠実、真摯な対応)に関するガイドラインを定めています。

これらは、以下のようなガイドラインです。

  1. 会計・報告の基準
  2. インサイダー取引の禁止
  3. 利益相反
  4. 公正な競争
  5. 贈収賄と汚職
  6. プレゼントと特典
  7. マネーロンダリング
  8. 貿易規制
  9. データ保護

C社の例:情報の取り扱いについて

メディア企業であるC社の行動規範は、その製品のためなど、同社に関連する法律や規制にも対応しています。
C社は情報や知的財産の取り扱いを重要視しており、この点も行動規範に記載されています。

下記が一例です。

  1. ジャーナリズム報道の独立性
  2. 広告と編集内容の分離、誤解を招くような広告はありません。
  3. プライバシー、情報、意見、写真の取り扱い
  4. 知的財産の保護

D社の例:決定の手引き

D社の行動規範では、従業員が衝突の原因となる可能性のある意思決定を行う際に役立つ簡単なガイドラインやチェックリストを提供しています。

疑問に思ったら、従業員はガイドラインやチェックリストを確認して進めるようにしています。

  1. 私の判断は合法的で倫理的に正しいのか、会社のビジョンや価値観、ルールに沿っているのか
  2. 会社の利益を考えて、他の利益から自由に判断してもいいのか
  3. 自分の良心で決断できるのか、第三者の精査に耐えられるのか、他の人の模範となるのか
  4. 自分の決断の潜在的なリスクを理解し、会社の良い評判は維持されるのか

 

適切な行動規範の作成と運営が重要

いかがでしたでしょうか。

行動規範とは、企業における行動規範や行動規則をまとめたものです。本質的な価値観や基本的な信念が込められています。
行動規範は、企業理念やビジョンに基づき、より具体的な指針や規定の基礎を形成しています。

代表は羊牧場のオーナーです。部門長は羊飼いです。
マネージャーは牧羊犬です。従業員は羊です。羊は色々な方向を向いています。
迷った時に正しい方向へ導くのは牧羊犬の役目で、牧羊犬に指示を出すのは羊飼いである部門長です。

不測の事態に拠り所となるものの真価が発揮されるでしょう。

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