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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/12/19 13:45

人材育成

コミュニケーション

コンフリクトマネジメントとは?解決時のポイントやメリットを解説【対立/マネジメント】

読了まで約3分

コンフリクト(Conflict)とは、思想や利害の対立を表す言葉です。

社内の活性化は、人材同士の円満な関係だけでは生まれません。
ときには衝突も受け入れ、その過程を経てより良い方向へ進んでいくことも大切です。

組織を運営する上で、対立はネガティブに捉えられがちで、避けて通れないものです。

そこで、メンバー同士の意見の対立をあえて活用し、組織運営の活性化につなげようというマネジメント手法が、コンフリクトマネジメントです。
コンフリクトマネジメントを実施することで、メンバーからの意見が活発になったり、新たなアイデアが生まれるきっかけになったりするメリットもあります。

「若手メンバーの主体性がない」「組織が二分化している」とお悩みの方に向けて、今回は、コンフリクトマネジメントについてご紹介します。

コンフリクトマネジメントとは

コンフリクトマネジメントとは、メンバー同士のコンフリクトを上手く用いることによって、組織全体の成長を促すマネジメント手法です。
本来であれば、メンバー同士が対立すると、勝ち負けが生じるため、組織の成長にはつながりません。

そのため、対立は、組織においてネガティブに捉えられがちです。

しかし、対立しているメンバーの意見を聞き、双方が納得できるような着地点を提示することによって、新たなアイデアが生まれたり、人間関係が強固になったりするのです。

 

コンフリクトが発生する理由

組織運営において、意見の対立は避けられないものです。
ここでは、コンフリクトが発生する理由についてご紹介します。

条件の対立

条件の対立とは、「上司・部下間の上下関係における対立」「業務内容における差異」などが挙げられます。

ポジションや担当業務の内容が異なると、同じものを見据えた時であっても目指す方向性が異なることも。
このような背景から、コンフリクトが発生してしまうのです。

感情の対立

感情の対立とは、個人間の感情が原因となって起こるため、解決も一筋縄ではいかないことも。
業務を進めていく中で、相手に対して優越感や劣等感、不満を感じ、コンフリクトに発展することが一般的です。

認知の対立

認知の対立とは、個人の価値観や思考の違いが原因となるコンフリクトです。
同じ業務に携わっていても、仕事に対する価値観は人それぞれ。その結果、思わぬところでコンフリクトが発生することがあります。

 

コンフリクトにおいて生じる5つの態度

強制

日本では特に社会の中で強調や和の意識が欠かせない為、そういった考えを美徳とする風潮があります。その為、自分の意見を相手に押し付けるような強制的行為は、対立の要因となりやすいです。

妥協

相手の意見を優先しつつ、ある程度の範囲内で譲歩する態度です。お互いの意見が完全に通された状態ではないため、満足する結果ではなく、前向きな解決とは言えません。

服従

相手の言いなりになる状態で、強制とは反対の態度です。言いたいことを言えないため、不満が残ります。

回避

お互いに意見を譲らず話し合いが解決しない状態です。否定し合った状態のまま解決を先延ばしにしてしまうため、お互いにとって望ましくありません。

協調

お互いの意見を伝え合い、前向きに議論してWin-Winな状態を目指します。紹介した対立における5つの態度のうちこの協調が理想です。コンフリクトマネジメントで目指すべき着地点と言えるでしょう。

 

 コンフリクトマネジメントの実践手順

コンフリクトマネジメントを実際に行うためには、適切な順序で行うことが大切です。

下記の実践手順をご紹介します。

事前準備

事前の認識がない状態で進むと単に対立構造を生んでしまうだけです。また、コンフリクトが起きている状況自体にマイナスの印象を持つ人もいます。まずは「コンフリクトはプラスに作用することができる」という認識に変えていきましょう。

話し合いの場を設ける

事前準備を行ったうえで、まずは相手を尊重し、相手の話に耳を傾けることを忘れてはなりません。相手のことを考えながら、かつ自分の意見を伝えることで、建設的な話し合いができるでしょう。尊重した上で意見を出し合うことで、状況を明確にしていくことが重要です。

原因を見極める

対立している個人がどのような意見をもっているのか、どのような視点で考えているのかに着目し、「条件/認知/感情の対立」のどれが原因かを見極めていきます。

解決策を提示する

対立している個人間では双方が冷静さを失い、視野が狭くなっています。コンフリクトマネジメントでは広い視野が重要なため、客観的に見て考えられるあらゆる解決案を提示しましょう。解決案を考える際に、原因となる物事そのものにスポットを当て、意識を人ではなく原因に向かわせます。

協力して解決を目指す

解決策の中でお互いにとってのメリット、つまり着地点を1つ導き出せたら、それらを双方で共有します。認識の食い違いが影響して対立が起こっていた中で、共通認識をつくれるわけですから、事態を効率的に解決へと導けます。

 

コンフリクトを解決する際のポイント

コンフリクトを適切に処理しなければ、風通しが悪く、ギスギスした雰囲気の組織になってしまうことも。
ここでは、コンフリクトを解決する際のポイントについてご紹介します。

コンフリクトが発生した際は速やかに対処する

コンフリクトを解決するためにもっとも重要なのが、速やかに対処することです。
対処するのが遅くなればなるほど、組織内のストレスが大きくなります。

対立しているそれぞれのメンバーがどのような視点を持っているのか、まずは双方の話をしっかりと聞くことが大切です。

双方の話を聞いた上で解決策を提示する

コンフリクトの解決には協調が重要です。
対立している双方の話を聞き、双方の意向の一致点と相違点を明確にしましょう。

双方の考えを整理することによって、コンフリクトの原因や解決の難易度を図ることができます。

また、当人同士は感情的になっていることが多く、視野が狭くなっていることもあります。仲裁に入る人は、広い視野で物事を考えることが大切です。
コンフリクトマネジメントが目指すのは、お互いが協調して前向きな議論が行われる環境です。

 

コンフリクトマネジメントを行うメリット

「対立」と聞くと、ネガティブな問題に捉えがちですが、上手く活用することでメリットもたくさんあります。
ただし間違った方法ではマイナスに働く可能性もあります。

正しい方法や注意点などを理解して、効果的に活用しましょう。
では、コンフリクトマネジメントを行うメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。

メンバー同士が率直な意見を言い合うことができる

コンフリクトマネジメントを実施することで、意見の対立そのものがネガティブなものではないという認識に変わっていきます。
すると、「反対意見は悪いことではない」と考えるメンバーが増え、率直な意見を言い合うことができる環境が生まれるのです。

新しいアイデアが生まれるきっかけになる

コンフリクトマネジメントは、役職や年齢に関わらず、双方の意見を掘り下げて着地点を見つけ出していくため、「上司の言うことは絶対的」といった環境を打破することができるのです。

若手メンバーであっても、自分の意見をしっかりと聞いてもらえるため、新しいアイデアが生まれるきっかけになります。

 

コンフリクトマネジメントで必要とされるスキル

コンフリクトマネジメントを行う上で、必要とされる3つのスキルを解説します。

エモーショナルインテリジェンス

エモーショナルインテリジェンスとは、自分と他者の感情を上手く理解して、それを処理する能力のことです。この能力が高い人は、自分自身の感情のマネジメントを行いながら他人の感情を満たすこともでき、自分の言動を通じて相手に良い影響を与えられるでしょう。

コミュニケーション能力

自分が相手に伝えるメッセージとその伝え方を理解し、調整する能力が求められます。言葉遣いや話し方、聞き手の気配りによって対立を解消に導けます。双方の意見を深くまでヒアリングすることで、解決策を見出すことが大切です。

創造性

出来るだけ多くの解決策を思いつくことが、コンフリクトマネジメントの成功への近道であり、重要なポイントです。

そもそも解決案が思いつかないから対立している状況が多く、そこに第三者が冷静な視点と創造性を持って解決案を提示することで問題が解決されることが多いです。

 

医療現場におけるコンフリクトマネジメントの事例

医療現場では、医師や看護師、患者やその家族などの間でコンフリクトが多発しています。
そのため、医療関係機関ではコンフリクトマネジメントに力を入れており、「医療コンフリクトマネジメント」という現場に即した対応方法があり、看護師などが研修を通して学んでいます。

医療コンフリクトマネジメントにおいて必要なスキルは、「傾聴・忍耐・感情のマネジメント」です。
医療現場の例は看護師が研修で学ぶ内容ですが、一般企業でも応用することが可能です。

医療現場において、事前にリスクについて医師からどんなに説明を受けていても、悪い結果を知らされた患者は簡単に納得できません。

そのため信頼してもらう第一歩として、まずは相手の話をよく聞いて共感することが大切です。
胸の奥にある想いを聞き、患者の気持ちを理解しましょう。

そして相手が納得するまで無理強いせずに待つことが大切です。

ときには患者の感情に反して律する場面も必要ですが、相手の感情と自分の感情、双方をマネジメントし、良い関係を築きましょう。

 

コンフリクトマネジメントについて学べる研修

産業能率大学総合研究所 コンフリクト・マネジメント研修

「怒り」の感情をコントロールし、対立・葛藤を強調的に解決するスキルを習得します。部下やメンバー、部署間の対立の当事者が、相手と協働的・建設的に話し合い、合意形成を得るための考え方とプロセスをを身に付けることが目的です。

日本能率協会マネジメントセンター コンフリクト・マネジメント入門コース(e-ラーニング)

条件・認知・感情と3つの対立タイプに分けて解決するための基本的な方法・手順を習得します。
職場で起こりがちなケースをもとに、3つの対立それぞれの解決手法を身につけ、組織内のイノベーション、創造性、グローバル化、多様化への対応力を向上させます。

 

コンフリクトマネジメントを実施して風通しの良い職場作りをしよう

今回は、コンフリクトマネジメントについてご紹介しました。
コンフリクトマネジメントは、メンバー同士の意見の対立を活用し、組織の成長を促すマネジメント手法です。

コンフリクトマネジメントを実施することで、メンバー間で「反対意見を伝えることは、結果的に組織の成長につながる」という共通認識を持つようになり、誰もが意見を言い合えるようになります。

コンフリクトマネジメントを実施して、風通しの良い職場作りをしましょう。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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