更新日:2023/03/16 13:00
経営
コアバリューとは【価値観/組織活性化】
読了まで約3分
従業員の活力や一体感がない会社組織は、企業の中核的な価値観である「コアバリュー(core values)」が欠けています。
自社ならではの企業文化を構築するうえで、コアバリューの策定は欠かせません。
コアバリューを策定すれば、自社のブランド価値を対外的にアピールし、効果的なブランディング戦略を打ち出すことも可能です。
この記事では、コアバリューをつくるメリットや策定方法について解説していきます。
目次
コアバリューとは?企業文化を育む4つの価値
コアバリュー(core values)とは、企業における中核的な価値観のことです。
企業文化を育み、自分で考えて行動する「当事者意識」のある社員を育てるうえで、コアバリューの策定は欠かせません。
企業が持つ価値(バリュー)には、大きく分けて4種類あります。そのなかでも、社員全員が共有し、
社員の行動を望ましい方向に導く価値観や行動理念が、企業のコアバリューに当たります。
コアバリューを会社全体で共有し、社内の結束を高める経営方法を「コアバリュー経営」といいます。
従業員が会社への帰属意識を持ち、活き活きと仕事に取り組む会社組織をつくるためには、コアバリューの策定が必要不可欠です。
コアバリューを策定する2つのメリット
コアバリューを策定するメリットは、「組織活性化」「企業ブランドの確立」の2点です。
1. 組織活性化につながる
コアバリューを策定し、従業員全体に向けて発信することで、組織活性化につながります。
従業員の一体感を高めるには、共通の目標・ゴール・価値観を設定する必要があります。
企業の中核的価値となるコアバリューの策定は、従業員を1つにまとめる手段として最適です。
社内の一体感が高まることで、当事者意識を持って働く社員が増え、自ら考えて行動できる活性化した会社組織が生まれます。
また、社員のモチベーションが改善し、早期離職の防止にもつながります。
2. 企業のブランディング戦略になる
コアバリューを策定することは、企業のブランディング戦略にもなります。
自社の中核を成す価値観、製品・サービスへの考え方、環境問題や社会問題への意識を対外的にアピールすることで、
消費者のロイヤルティ(自社への信頼、愛着)を高めることが可能です。
「△△社といえば○○」といったブランドイメージを確立するうえで、コアバリューの策定はとても効果的な手段です。
コアバリューを策定する3つのプロセス
一般社団法人コアバリュー経営協会のガイドラインをもとに、コアバリューを策定するための3つのプロセスを解説します。[注1]
[注1] 一般社団法人コアバリュー経営協会:コアバリューとは
1. 経営者がたたき台をつくる
トップダウン方式で、創業者・経営者がコアバリューの原案を作成します。
創業の際の思いや、企業として達成したい目標など、社員の行動規範となるべき価値観を盛り込みましょう。
2. 現場の意見を取り入れる
コアバリューの原案を作成したら、次に現場の意見を取り入れましょう。
コアバリューは会社全体で共有すべきものであり、現場のコンセンサスが得られなければ効果を発揮しません。
「コアバリューの作成にかかわるチームや委員会をつくる」「コアバリューを掲示し、フィードバックを募る」など、
なるべく会社全体を巻き込む形で、現場で働く社員の意見を吸収しましょう。
3. あれもこれもと増やさない
現場の意見やフィードバックを受け取ったら、コアバリューの絞り込みを行います。
あれもこれもとコアバリューを盛り込んでも、すべてを実践するのは不可能です。
コアバリューの候補のなかから、企業のアイデンティティとして絶対に外せないもの、従業員全員に実践してもらいたいものを選び抜き、ブラッシュアップしましょう。
コアバリューの個数の目安は10個以内です。10個程度であれば、現場の人々にとって覚えやすく、日々実践することができます。
コアバリューを策定する際の注意点
コアバリューを策定する際の注意点として、組織に浸透するまで時間がかかることが挙げられます。
どんなに素晴らしいコアバリューを掲げていても、従業員がしっかりと認識し行動しなければ意味がありません。
単に壁に貼っている目標になってしまっては効果もありません。
組織の全メンバーに浸透するように、戦略や日常業務へ速やかに反映させることが大切です。
そのため設定できた時点で、まずは経営陣からそして管理職と模範となるべき人が体現し続けて文化を醸成していきましょう。
コアバリュー策定のポイント
コア・バリューを策定するにあたって、有意義な実りあるディスカッションにするために、以下のポイントを押さえていきましょう。
会社で称賛される行動の根底にある価値観を見極める
会社で称賛される、あるいは奨励されている在り方・行動・考え方の根底にある「価値観」は何かを見極めます。
会社の名物社員を思い浮かべ、その行動や価値観を参考にする
社内で皆から尊敬されている・お手本にされている社員をひとり思い浮かべます。
その人のどんな在り方・行動・考え方が尊敬されているのか、お手本にされているのかなど、その根底にある「価値観」を参考にします。
会社における「常識」の根底にある価値観を見極める
うちの会社ではこうするのが「常識」という例を挙げます。その「常識」の根底にある「価値観」は何かを見極めます。
パーソナルコアバリューの重要性
会社のコア・バリューに対して、個人がそれぞれ持っているべきなのが「パーソナル・コア・バリュー」です。
経営陣やリーダーが自分自身の「パーソナル・コア・バリュー」を明確に定めていることが重要です。
自分にとっての「パーソナル・コア・バリュー」の大切さ、「パーソナル・コア・バリュー」が自分の日々の生き方に与える影響を認識・実感してはじめて、
会社の「コア・バリュー」の重要性を理解し、その会社ぐるみの実践を推し進めることができるのです。
コアバリューの活用事例
コアバリューを掲げて経営を行うことで、定着率や顧客満足度の向上という成果を収めている企業が存在します。
コアバリュー経営で有名な企業の事例を見ていきましょう。
Zappos
アメリカ合衆国に本拠地を構える、靴を中心としたアパレル通販会社「Zappos」のコアバリューは、「サービスを通して、WOW(驚嘆)を届けよ」です。
いかにして顧客に感動を与え満足度を高めるか、ということに重きを置いていて、コールセンター業務では従業員自身に裁量を委ねています。
顧客の雑談に付き合ったり、顧客のために外部のサイトでも靴を探したりなどと、通常のコールセンターでは考えられないような親切な対応を取ることで、
顧客満足度は高まり、口コミでの高い評価が広がりを見せています。
オリンパス株式会社
医療や映像、科学の分野で事業を展開する企業「オリンパス株式会社」では、「誠実・共感・長期的視点・俊敏・結束」のコアバリューを掲げています。
世界中で130名を超えるアンバサダーを募集し、話し合ってもらうことで策定しました。
定期的に発刊される社内報を通じてコアバリューの浸透を図った点は、他社であまり見られない特徴です。
Airbnb
民泊仲介サービスを行っている「Airbnb」は、「一緒に働く仲間を大切にする」というコアバリューを、社員採用する前に掲げました。
採用ではコアバリュー面接官を配置し、入社希望者の人間性やコアバリューに共感できるかどうかを見極めるようにしています。
その為、確固たる企業文化が育まれ、企業価値が維持されているのです。
コアバリューの策定が組織活性化につながる
「従業員のモチベーションが低い」「社内のコミュニケーションが乏しい」場合は、コアバリューを策定しましょう。
社員全員で同じ価値観を共有することで、会社組織に一体感が生まれ、組織活性化につながります。
また、コアバリューを対外的に発信すれば、製品やサービスのブランディング戦略にもなります。
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