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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2022/12/26 11:00

人材育成

働き方

女性管理職は単に増やすだけではダメ?真に女性が活躍できる職場作りの方法【リーダー育成/社会的評価】

読了まで約3分

政府の目標を受けて、「我が社も女性管理職を増やそう」と意気込んでいる会社は多いことでしょう。
その一方で「管理職を打診したが、女性社員が皆及び腰で、誰も受けてくれなかった」といった悩みを抱えているところも決して珍しくありません。

匿名のアンケート調査では、「管理職になりたいか」という問いに、半数以上の女性が「なりたくない」と答えています。男性社員の多くが出世を望んでいるのとは対照的です。
管理職になりたくない理由として、最も多い答えが「自信がない」でしたが、それに続く答えとして、育児や家事と両立ができない、給与が下がるといったものが上がっています。

女性は管理職になることを望んでいない?

現在の日本では、共働きの家庭が年々増え続け、2017年の国税調査では既婚者家庭の64.6%が共働きという結果が出ています。
その一方で、家事や育児の負担は女性の方が多いままです。
管理職になればやるべきことも増え、家庭のために使える時間が短くなるのが困るということなのでしょう。
また、女性管理職の前例が少なく、目標やロールモデルになる女性がいないというのも管理職になるのをためらう理由にあげる人もいます。
つまり、「管理職になってもどうやって働いていいか分からず、負担ばかりが増していくイメージ」を持っている女性が多いのです。

また、男性社員との軋轢を不安がる女性社員もいます。男性社員の中には、女性社員の下で働くというだけで不満を感じる人もいます。
特に、年配の男性ほどその傾向が強いでしょう。
管理職として仕事を真面目に取り組みたくても、部下がついてこなければ結果を出すことはできません。
以前、そのような例をみたことがある女性社員ならば、なおさら自分が管理職になっても負担ばかりが増えると思いがちになります。

それに加えて、日本の会社は失敗に厳しい傾向があります。
女性管理職の前例がない職場で、女性管理職となり何か失敗をした場合、「これだから女性は」と失敗したことではなく、性別で批判される可能性があります。
男性管理職の失敗に厳しく対処する傾向がある会社の場合は、特に「もし失敗したらどうしよう」という恐怖感が先に立つこともあります。
その結果、「自分には管理職には務まりません」と尻込みしてしまうのです。

 

そもそも女性管理職はなぜ必要?

女性管理職が求められる理由には、女性の活躍機会を増やし男女平等に社会参画できる機会を作ると同時に、労働人口の確保という一面があります。
少子高齢化により、国内の労働人口は減る一方であり、女性が管理職として活躍することで、労働人口やリーダーの数を引き上げる考えです。
女性は、優秀な人でも管理職登用のチャンスが少ないだけでなく、非正規雇用の割合も男性と比べ高い傾向にあります。
そこで、女性が充分に活躍できる機会を作ることで、非正規雇用などで発揮できない能力を引き出し、優秀な人材を確保していくことが求められています。

政府は多様な職場での女性活躍を促進するため、女性がいきいきと活躍する企業に対して、女性が活躍する職場を評価する「えるぼし認定」と、
子育て中の女性へのサポート体制を評価する「くるみん認定」の認定マークを付与しています。
それぞれ自社の商品や広告、求人案内などに表示することができるため、採用時のアピールにも有効的です。

こうした制度の整備がもととなり、女性が活躍できる職場であること・育児と仕事の両立がしやすい職場であることがますます重視されるようになりました。

 

企業や会社での女性管理職の割合や比率について

現在の日本の女性管理職の割合

帝国データバンクのデータによると、2021年の女性管理職の割合は平均8.9%、同調査では過去最高の結果です。
2020年と比べて1.1ポイント増え、前年からの増加幅も過去最大となりました。
このことから、少しずつではあるものの、年々女性管理職が増えていることがわかります。

しかし世界的にみると、日本の女性管理職比率は依然として低いため、より一層意識して取り組んでいく必要があるといえます。

企業や会社での女性管理職の理想比率

政府は2003年に「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的位置に女性が占める割合を少なくとも30%程度になるよう期待する」という、
いわゆる「2020年30%」の目標を設定しました。

企業も女性管理職登用を進めてきましたが 、目標達成への道は険しく、
30%という水準の実現に向けて「将来指導的地位に成長していく人材を着実に増やす」ように注力していくことになりました。

厚生労働省が掲げる目標

平成11年に、男女平等を推進するべく「男女共同参画社会基本法」が施行されました。

2015年12月25日に閣議決定した「第4次男女共同参画基本計画」の中では、「あらゆる分野における女性の活躍(第1~5分野)」が特に強調されています。
男性中心型の労働慣行を見直す必要性があること、ポジティブ・アクションの重要性、女性がもっと安心安全に暮らせる環境の整備。
そして防災・復興、国際社会における日本の評価のためにも、女性に活躍してもらうことが重要だと記されています。

多くの企業が就労機会を均等にすることを試み、女性の活躍の場が以前よりも広がっていることは事実です。
特に育児や介護などのライフイベントによって退職を余儀なくされる女性が多い中、福利厚生の面や昇格の環境を整えることで、
これからの女性管理職の増加への期待も大きくなるといえます。

 

女性管理職が少ない理由

会社が女性社員を育ててこなかった

日本の会社の多くが1990年代まで、「女性社員は男性のサポートをする」という考え方を持っていました。
女性の仕事は男性のサポート業務が主で責任ある仕事を任せてもらえない、結婚や出産を機に退職するように遠回しにすすめられる、といったことも、当たり前のように行われてきたのです。
その結果、女性社員は正社員であっても男性社員のように仕事での経験を積むことができず、評価もされてきませんでした。
また、女性の勤続年数は男性よりも短くなりがちなため、管理職を任せられる中堅社員がほとんどいない、という会社も珍しくありません。

そのような会社で、単に「政府が目標を掲げたから」といって、女性管理職を増やそうとしてもうまくいきません。
また、男性社員も女性社員の下で働くことに慣れていないので、ぶつかり合いが起こることもあるでしょう。
実際、「女性が活躍する会社を目指して女性の管理職を増やしたが、男性から不満が出て、かえって職場の空気がギスギスしてしまった」という例もあります。
また、女性管理職の下で働くことを、外れや、負け組といった見方をする空気ができている場合、女性管理職も男性社員も両方が働きにくくなっているでしょう。

さらに、今まで男性管理職しかいなかった会社では、管理職の負担がかなり重く、勤務時間が一般的な社員よりも長時間にわたるところも珍しくありません。
一例をあげると、小売店や飲食店の店長などです。男性社員ならば、「仕事第一で家庭を顧みない」という働き方をしても、周囲は認めてくれるでしょう。
しかし、女性社員が仕事第一で家庭を顧みなくなった場合、周囲から非難されがちです。
「管理職になったのだから、仕事に一層打ち込んでほしい」という会社の意見と、「妻で母なのだから、家庭をないがしろにするなんてとんでもない」という意見の板挟みになってしまう女性も多いことでしょう。
その結果、せっかく会社が女性管理職のポストを用意しても、誰も引き受け手がいないということになります。

また、男性管理職と同じノルマや成果を求めるのも女性管理職が育ちにくい原因でもあります。
社会はまだ女性よりも男性の信用の方が高く、女性よりも男性の方が仕事で成功しやすい傾向があります。
同じ仕事をしていても、男性の方が成果を上げやすいのです。
それなのに、男性と同じ成果を求めれば、女性は何倍もがんばらなければなりません。

 

女性管理職を増やすメリット5つ

企業にとって女性管理職の登用を積極的に行うことで、どのようなメリットがあるのかを解説します。

既存の女性社員のモチベーションアップ

女性が管理職として働き、活躍する姿は部下のモチベーションアップに非常に効果的で、将来にわたるキャリアプランを思い描きながら働くことができます。
月経や出産・育児に関する悩みを日々抱えながら働く女性にとって、昇進・昇格にも心理的な負担を感じている従業員も少なくありません。
たくさんの女性が管理職として活躍していれば、「あの先輩のように働きたい」と目標とする人が身近にいることで、仕事に対するモチベーション向上にも繋がります。
また離職率も減り、女性のリーダー育成がしやすい環境になります。

採用力の強化

女性管理職比率を上げる取り組みや、女性活躍を積極的に公表している企業は、社外へのアピールにもなり、「女性にとって働きやすい職場」という企業イメージの向上につながります。
昨今の就職活動で求職者が企業で見るポイントのひとつとして、「ダイバーシティに関する取り組み」があります。性別にかかわらない優秀な人材の獲得にも効果があるでしょう。

また、男女共同参画局がミレニアル世代向けに調査した結果によると、
就職先を選定する際に、企業の「多様性・平等性・受容性についての組織方針」に対して、約9割の女性が重要であると回答しています。

女性目線での新しい考え方や企画をすることができる

ライフイベントの影響を受けやすい女性が管理職になることで、組織にとってもさまざまな視点での気づきが得られます。

ハーバードビジネススクール教授のロザベス・モス・カンター氏は、「黄金の3割」という理論を提唱しています。
これは、「組織の少数派が3割を超えると意思決定に影響力が現れるようになり、少数派の意見が組織に変化をもたらす」という理論です。
女性管理職が3割以上になれば、より多様な視点の提案が活かされるようになり、組織においても変化が生まれます。

ダイバーシティの推進・促進につながる

近年、人材や雇用形態の多様化がすすむとともに注目されているのが「ダイバーシティ経営」です。
ダイバーシティとは、性別や年齢などに囚われない多様性を指します。

出産・育児などのライフイベントも仕事も両立したい女性、定年退職後も現役時代のノウハウを活かして働きたい高齢者などの多様な人材を雇用することで、
より柔軟性の高い組織となりダイバーシティ推進につながることが期待できます。

 コミュニケーションが円滑になる

男性と女性が平等に管理職として活躍していれば、部下とのコミュニケーションにおいても同性同士で密に取り合うことが可能になります。
また部署全体の風通しが良くなり、管理職も部署全体の現状を把握できてサポート体制も充分に用意することができます。

 

女性が活躍できる職場の作り方

では、どうすれば女性の管理職を増やしながら、女性に負担がかからずに活躍できる職場を作ることができるのでしょうか?
この項では、その手順を紹介していきます。

会社で女性管理職が増えなかった理由などの課題をピックアップする

会社で今まで女性管理職が増えなかったのはなぜか、その理由を考えてみることが大切です。今までは「当たり前だった常識」がこれからの時代は通用しないこともあります。
女性社員からなぜ管理職になりたくないかなど、聞き取り調査をするのも一つの方法です。
この場合、女性社員の過剰な負担にならないように気をつけましょう。
女性社員のやる気がないからだ、など決めつけてはいけません。

女性管理職を増やすメリットを考える

女性管理職を増やすことで、どのようなメリットがあるか考えてみることも大切です。
単に政府が目標としているから、女性が活躍する会社と宣伝した方が世間受けがいいから、というだけでなく、
女性を管理職としてどんな仕事を任せられるか、それが会社に対してどんな利益になるかを考えてみましょう。
そうすれば、女性管理者にどんな仕事を任せればいいのかも分かってきます。

管理職の働き方を考える

女性社員が「管理職になると家庭と仕事の両立ができない」と考えている場合、管理職の働き方を考えてみる必要があります。
たとえば、管理職は残業代がつきません。
そのため、部下を先に帰して管理職が残りの仕事を片付けることが慣例になっているところもあるかもしれません。
管理職の長時間勤務が当たり前になっている会社は、男性社員にも負担が大きいはずです。
「家庭と仕事の両立がうまくいかない」という意見を「努力が足りない」と思わず、なぜ両立できないのか考えてみてください。

男性社員の不安や不満が残らない人事を心がける

女性管理職を増やしたいから、という理由だけで人事を行うと、男性社員から不満が出やすくなります。
なぜ、女性管理職を増やすのか、会社の方針やメリットなどを明確にしましょう。そうすれば、納得してもらいやすくなります。
また、女性管理職に対する不当な態度は毅然とした態度で対応することが大切です。
女性管理職だから言うことをきかない、といった空気を会社の中で作らないようにしましょう。

女性が働きやすい職場を作る

女性の場合、男性よりも望む働き方にばらつきがあります。
男性社員同様にバリバリと働き出世を望む人もいる一方で、家庭との両立をしたいという人、仕事より家庭に重きを置きたいという人もいるでしょう。
大切なのは、どの働き方も尊重することです。
たとえば、家庭と仕事を両立したい人に無理に管理職のポストを与えてもうまくいきません。
「女性だから管理職にする」ではなく、「女性の中でやる気があって管理職についてがんばりたい」という人を管理職にすることが重要です。
そうすれば、やる気を出して何事にも前向きに取り組んでくれるでしょう。
「女性も管理職を目指せ」というばかりでろくにフォローもせず、男性と同じ働き方をしなければならない、という空気を作れば、女性管理職は結果を出しにくくなります。

女性社員を育成する土壌を作る

男性社員の場合、新入社員として入社してから経験を積みながら、少しずつ重要な仕事を任されて管理職へとステップアップしていきます。
しかし、前述したように女性社員の場合、このステップアップができない会社が珍しくありません。
いつまでも男性社員のサポートに徹することを求められ、責任ある仕事を任せてもらえないとなれば、やる気があって出世意欲が高い人は転職したり退職したりしてしまうことも多いでしょう。
また、いつまでもサポート役に徹してきた女性社員にいきなり管理職になれと命じても、うまく仕事ができる可能性は低いのです。
それなのに、「やはり女性はダメだ」というレッテルを貼られれば、管理職になるのを尻込みするのは当たり前です。
女性管理職を増やしたければ、女性社員の育成にも力を入れましょう。

目標を明確にする

単に女性管理職を増やす、だけでは目標があいまいすぎて計画が立てられません。また、無作為に女性管理職を増やしても、現場が混乱するだけでしょう。
ですから、「このような目標を達成するために、女性管理職を今までより何名増やす」といった目標を立てるのがおすすめです。
そうすれば、任せる仕事もはっきりしやすく、女性管理職の候補も立てやすいはずです。

 

女性管理職を増やすだけでは意味がない

女性管理職を増やすことは確かに大切です。ただし、ポストを作りそこに女性を就けるだけではうまくいきません。
女性管理職を打診しても女性社員がなかなか応じてくれない場合は、まずその理由を考えて見ましょう。
そのうえで、女性社員が働きやすい職場を作ろうと努力することが、女性が活躍できる職場を作ることになるはずです。

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