更新日:2023/11/28 13:00
経営
人材育成
ラインマネージャーとは【組織/マネジメント】
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会社の組織にはいろいろな形態がありますが、そのなかのひとつに指揮命令系統が統一されている、「ライン組織」と呼ばれる組織があります。
指揮命令系統が統一されているライン組織においては、その管理を行う「ラインマネージャー」が担う役割は非常に大きなものになります。
本記事では、ラインマネージャーとは何かやラインマネージャーが重視される理由、ラインマネージャーに求められる能力について、解説します。
目次
ラインマネージャーとはライン組織における管理者のこと
ラインマネージャーとは、指揮命令系統が統一されているライン組織における管理者のことを指します。
ライン組織とは、最上部から最下部までがひとつの指揮系統のもとに、ツリー構造でつながっている組織のことです。
例えば、社長・部長・課長・係長・一般社員というような並びのことです。
そのようなライン組織において、意思決定権限を持つ責任者のことをラインマネージャーといいます。
ラインマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いとは
プロジェクトマネージャーは、ラインマネージャーの所属組織の中に属します。
プロジェクトマネージャーが現場で細かな調整・管理などの作業管理責任者であるとすれば、ラインマネジャーはその上の立場でプロジェクトに関わるすべての業務を管理する責任者に該当します。
ファーストラインマネージャーとセカンドラインマネージャーの違い
ラインマネージャーは、ファーストラインマネージャーとセカンドラインマネージャーに大きく分けることができます。
ここでは、それぞれの違いについて詳しく解説します。
ファーストマネージャーは課長・係長のポジションに近い
ファーストラインマネージャーは、自身も現場で業務を行いながら、現場に近い管理業務や現場スタッフ・チームメンバーに対するマネジメントを行います。
既存の役職で言えば、課長や係長といった役職に近いポジションと言えるでしょう。
セカンドラインマネージャーは部長職以上の役職に該当する
セカンドラインマネージャーは、ファーストラインマネージャーの上位管理者にあたり、
複数のファーストラインマネージャーを統括してライン全体を管理しています。
組織全体のマネジメントを担っており、既存の役職で言えば部長職以上の役職が該当します。
ラインマネジャーの仕事内容
ファーストラインマネジャー
主な仕事内容は、部下の管理や現場における意思決定、部下の育成・評価などが業務となります。
ファーストラインマネージャーには、一定の意思決定権が与えられている場合が多い傾向にあります。現場の責任者として状況を的確に把握し、問題が生じたときには即座に判断して適切に対処する必要があります。
またチームマネジメントも重要な役割です。日頃の業務管理だけでなく、育成のためのトレーニングを行ったり、適切な評価を行い上層部に伝えたりしなければなりません。
セカンドラインマネジャー
セカンドラインマネージャーは、ライン全体の業務管理、組織全体の労務管理、ファーストラインマネージャーの取りまとめが主な仕事内容になります。
ファーストラインマネージャーと異なり、ライン組織全体を俯瞰する立場にあるため、常に業務全体の最適化を図る役割を担っています。
労働時間や報酬面の管理を行いながら、労働環境を適切に管理することもセカンドラインマネジャーの任務です。企業としてコンプライアンスが遵守されているかどうかも、常にチェックします。
またファーストラインマネージャーの取りまとめも、セカンドラインマネージャーが行います。部署間の連携を円滑に行い、それぞれが役割を担っていける環境を整えます。
ラインマネージャーが重視される理由
ラインマネージャーが重視される背景には、昨今のビジネス事情があります。
高度に複雑化し多様化した環境においては、企業は変化に対して迅速かつ柔軟に対応しなければなりません。
また、変化に対応した後でも、個人や組織としては最大限のパフォーマンスを発揮することが求められます。
そのため、調整能力や業務の選択・判断能力といった高度なマネジメント能力を持つラインマネージャーが、必要不可欠な存在となっているのです。
ラインマネージャーの主な役割とは
ラインマネージャーは意思決定権を持っており、重大な責務を担う非常に重い立場です。
組織やプロジェクトにおいて、部下を指導し育成しながら現場で指示を出し、進捗を進めていくことが主な仕事です。
例えば、プロジェクトの進捗を見ながら各部署へ指示命令を出さなければならないため、各部署のメンバーに分かりやすく伝達する能力と、現場の状況を正確に把握し適切に対処する能力が求められます。
また、部下やチームメンバーのマネジメントも欠かせない仕事です。一人ひとりに合わせた細やかな対処が必要です。
プロジェクト全体の状況判断はもちろん、想定外のトラブルへの対応力も求められます。
ラインマネージャーの役割は、幅広く多岐に渡ります。
ラインマネージャーに求められる能力・スキル・資質
ラインマネージャーにはさまざまな能力が求められます。そのなかでも必要不可欠なのが、以下に挙げるような能力です。
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- 判断力
- 管理力
以下、それぞれの能力について詳しく説明します。
リーダーシップ
管理職である以上、リーダーシップは必要不可欠です。
ラインマネージャーが担う役割のひとつには「部下の成長」もあるので、部下の能力を最大限に発揮させるためには、リーダーシップをしっかりと発揮する必要があります。
コミュニケーション能力
ラインマネージャーは現場の人間とも関わりますし、部門の管理者や経営層などの上のレイヤーの人間とも関わります。
さまざまな人と意思の疎通を円滑に行って業務をスムーズに進めるためにも、コミュニケーション能力は欠かせない能力のひとつです。
判断力
ライン組織では想定外のトラブルなどが発生してしまうと、トラブルを起こした部分だけではなく、組織全体の業務がストップしてしまうこともあります。
問題が起きた際にどう対処すべきかを迅速に判断して、できるだけ早く正常な業務に戻れるようにするためにも、ラインマネージャーは判断力を備えていなければなりません。
管理力
ラインマネージャーは多くのメンバーを部下として持つ必要があるので、それぞれのメンバーに対して適切な管理を行わなければなりません。
うまく管理ができないとメンバーのモチベーションや生産性が下がってしまい、エンゲージメントの低下にもつながってしまいます。
ラインマネジャーの育成方法
育成対象の決定
プレイヤーとマネジメントでは適性がまったく異なる為、優秀なプレイヤーでもマネジメントができるとは限りません。適性がない人をラインマネージャーに任命すると、結果的に機能しなくなる恐れがあるので注意が必要です。
ラインマネージャーに求める役割やスキルを明確にし、育成対象を決定していきましょう。
育成計画の立案
次に、ラインマネージャーを育成するための計画を立案します。
研修だけでは、ラインマネージャーに必要なスキルなどが身に付くわけではありません。スキルや姿勢を身に付けるためには「知識のインプット → 実務での実践 → 振り返りによる学び → 次の実践」というサイクルを回すことを意識して設計しましょう。
研修およびサポートの実施
ラインマネージャー業務をスムーズに開始できるよう、OJT等の研修も実施します。学びと実践のサイクルを回し、実践を通じて知識を定着させることがポイントです。
ファーストラインマネージャーにおいては、セカンドラインマネージャーによる1on1やフィードバックなど、マネジメントを通じた育成も非常に有用な方法の1つとなるでしょう。
ラインマネージャーはライン組織において必要不可欠な人材
ライン組織において、ラインマネージャーが担う役割は非常に大きなものです。
課長・係長職に相当するファーストラインマネージャーも、部長職以上に相当するセカンドラインマネージャーも、リーダーシップやコミュニケーション能力、判断力、管理力などで高い能力が求められます。
ラインマネージャーの能力次第で組織としての生産性も大きく変わりかねません。
そのため、ラインマネージャーの任命は慎重に行う必要があるのです。
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執筆者情報
小山 昇 / 株式会社武蔵野 代表取締役社長
1948年、山梨県に生まれ、東京経済大学卒業。
1977年、株式会社ベリーを設立し社長に就任。
1989年、現職に就任。
1990年、株式会社ダスキンの顧問に就任。
1992年、顧問を退任し現在に至る。
全国の経営者でつくる「経営研究会」主催。
株式会社武蔵野は2000年日本経営品質賞、2010年国内初日本経営品質賞2度目の受賞。
現在パートナー会員750社以上の会員企業をアドバイス。
日本経営品質賞受賞の軌跡、中小企業のIT戦略、実践経営塾、実践幹部塾と、全国で年間1900回以上のセミナーを行っており、訪問社数も年間約120社を超える。
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