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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/05 16:05

人材育成

効果的なメンター制度を構築するためのポイントとは?制度について徹底解説【早期離職/人材育成/メンタリング】

読了まで約3分

メンター制度とは、新入社員に対して先輩社員が定期的にメンタリングを行うことです。
しかし、既にメンター制度を導入している企業の中では、制度自体が形骸化していたり、
あまり制度の効果を感じられなかったりといったことも起きているのではないでしょうか。

今回は、効果的なメンター制度を構築するために知っておきたいことについてご紹介します。

メンター制度とは

メンター制度とは、上司とは別に年齢が近い先輩社員が新入社員をサポートする制度のことです。
メンターとなる先輩社員は新入社員とは異なる部署に所属する社員を選び、業務で生じた悩みの解消や今後のキャリア形成を目的に、
定期的にメンタリングを行っていきます。

メンター制度に近い制度に「OJT」や「ブラザー・シスター制度」などがありますが、これらの制度とメンター制度の違いについて、
以下で詳しくご紹介します。

OJTとの違い

OJT(On the Job Training)とは、新人社員に対して実際の現場で業務をこなしながら仕事を覚えてもらう人材教育のことです。
OJTは新入社員と同じ部署に所属する直上司にあたる社員が担当することが一般的です。
メンター制度はキャリア形成を含めた幅広い支援活動が目的であることに対して、OJTは人材教育であることが両者の大きな違いといえます。

ブラザー・シスター制度との違い

ブラザー・シスター制度とは、年齢の近い先輩社員が新入社員に対して業務指導や精神面でのサポートを行う制度のことで、
選ばれる先輩社員は新入社員と同じ部署に所属していることがメンター制度との大きな違いに挙げられます。

ブラザー・シスター制度における先輩社員は、新入社員の普段の業務姿勢や成績を近くで見ているため、精神的なサポートはもちろん、
業務面に関してより具体的なアドバイスを行うことが可能です。

 

メンター制度の目的

若手社員を対象としたメンター制度を導入する企業は近年増加傾向にあります。
メンター制度はどういったことを目的に導入されているのでしょうか。

若手社員の早期離職防止

現在、3年以内に退職する新入社員の割合は、3割強といわれています。
若手社員の離職理由の中には「仕事の悩みを打ち明けられる先輩がいない」「上司が厳しくアラートを上げにくい」など、上下関係に関するものもあるようです。

このような若手社員が抱える悩みを解消するために、業務で利害関係が生じることがない他部署の先輩社員をメンターとしてつけることで、
悩みの解決が促され、
組織に馴染みやすくなり、人材の定着につながる効果があるのです。

人材育成を重視した企業文化の構築

福利厚生や給与体系が整っていたとしても、働く社員のやる気がなかったり離職率が高かったりすると企業が成長していくのは難しいでしょう。
メンター制度では、先輩社員が若手社員のキャリア形成や悩みの解消などのサポートを行うことが目的になっているため、
「あの時先輩を頼って良かった」「メンタリングによって問題解決のヒントが得られた」という認識を持つ社員が増え、
人材育成を重視する企業文化を醸成することができます。

社員のキャリア形成支援

メンター制度は先輩社員が後輩社員に対してサポートを行いますが、サポートをしていく中で先輩社員もさまざまな気づきを得られることがあります。
特に女性は自身のキャリアが結婚や出産といったライフイベントに左右される傾向があり、若手社員もこうしたことに課題を感じやすいものです。

このような若手社員の悩みに対して、真摯に向き合うことで先輩社員もキャリアを見直すきっかけとなるでしょう。

 

メンター制度のメリット

メンター制度は、新入社員、先輩社員どちらにもメリットがあります。

新入社員のモチベーションが保たれる

新入社員は職場環境や人に慣れていないため、一人で不安を抱え込むことが少なくありません。
メンター制度によって気軽に相談できる先輩がいることで職場になじみやすくなり、早期離職の防止にもつながります。
また、不安が解消されることで仕事への意欲を維持しやすくなるメリットもあります。

社内コミュニケーションが活性化する

メンターを担当する先輩社員は、新入社員の上司や先輩社員とも緊密なコミュニケーションを取ることが必要です。
部署の異なる社員同士が「新入社員の育成」という同じ目的を持つことによって、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。

メンター社員が成長する

メンター社員は新入社員に教えることで、あらためて自分自身を見つめ直したり学び直したりするなど、メンター自身の成長にもつながります。
また、多様な考え方や視点を身につけるきっかけにもなり、将来管理職として活躍するためのマネジメント力を磨くことができます。

 

メンター制度のデメリット

メンター社員の負担が増える

メンターとなる先輩社員にとっては、通常の業務にプラスされる任務になるため、業務上の負担が大きくなります。
メンターを務める期間は業務量の軽減、周囲がフォローするなど、メンターのサポートをする仕組みが必要です。

メンターの指導能力にばらつきがある

メンターの指導能力には個人差があり、新入社員の成長に差が出てしまうことがあります。メンターへの事前研修やレクチャーを行い、なおかつ途中で状況をヒアリングを行っていきましょう。

相性によって悪い結果を招く

メンターと相性が合わないと、相談をするどころかストレスを感じる結果になってしまいます。

逆効果とならないためにも両者の相性をよく検討し、新入社員がメンターに不満や疑問を持った場合に備え、同じ部署の上司や先輩にも相談できる環境を作り、場合によってはメンターを変更するなどの仕組みを整えておきましょう。

 

メンター社員に求められること

入社したての若手社員は社内に頼れる人がいない状態であることがほとんどであるため、メンター社員は心強い存在となり得るでしょう。
では、メンター社員にはどのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。

客観的な助言ができる

若手社員が抱える悩みや疑問は人それぞれです。中には思わず首を傾げてしまうような相談を受けることもあるかもしれませんが、
若手社員の話を頭ごなしに否定することなく客観的な助言をすることが求められます。

メンター社員が直接的な回答を提示するのではなく、解決の糸口となるようなヒントをいくつか提示してあげることで、
若手社員が考えるきっかけとなり成長につながるでしょう。

コミュニケーション能力がある

メンター制度を形式的なもので終わらせてしまうことがないように、若手社員と会話のキャッチボールを適切に行うことが大切です。
例えば、若手社員があまり自分から話すようなタイプではなかった場合は、メンター社員が会話を始めるきっかけとなるような話題を提示してあげるなど、
会話を広げるような努力が必要になります。

また、メンター社員は話すことだけではなく、若手社員の話を真剣に聞く「傾聴力」も大切です。
傾聴力とは、相手に肯定的な関心を寄せながら、共感的理解を示す力のことです。
若手社員が話しやすくなるための工夫の一つとして、意識的に取り入れてみることをおすすめします。

成功・失敗の経験がある

メンター制度を行う目的の一つに、メンタリングを通して先輩社員の経験を参考にし、若手社員が自分の業務に生かすことが挙げられます。
そのため「入社以来特に成功、失敗体験がない」という社員をメンターに抜擢してしまうと、若手社員は参考にできるものが見つからないだけではなく、
メンター制度自体に意義を感じなくなってしまうことも。

メンター制度をより効果的なものにするためには、メンター社員自身の成功体験や失敗体験を用意しておくことが必要です。
若手社員は「どのように仕事を進めていくべきなのか」「社内にはどのようなポジションがあるのか」といった疑問を抱えていることが多いため、
ロールモデルとなる先輩社員を見つけることで、若手社員のキャリア形成に役立つでしょう。

 

メンター制度導入の流れ

メンター制度を導入していくにあたり、5つのステップで進めていきます。

目的の明確化

何をゴールとしていくのか、目的を明確にします。その際、効果測定方法についても設定していきましょう。
ただし、数値での効果は、短期間で表れるものではないことや、メンタリング以外の要素にも大きく影響されやすいことに、注意が必要です。

運用ルールの決定

メンターが迷うことのないよう、あらかじめ運用ルールを決めておくことが大事です。
特に守秘義務や両者の相談窓口、メンタリングの実施時刻は、必須でルール設定しておくと良いでしょう。

対象者の選定およびマッチング

選定方法には、指名・自薦・他薦があります。
マッチングをおこなう際は、双方に関する個別の情報をアンケートやヒアリングなどで収集し、ミスマッチを防いでいきます。

また選定する前後では、関係する部門の部門長や、両者の上司に対して目的や詳細ルールの説明会を開催します。

事前研修の実施

選定・マッチング後、制度の意義やルール、実施する上での心構えを伝える事前の研修を開催します。
合同で研修を実施し、研修の場を顔合わせに利用するのもよいでしょう。

メンタリングの実施

メンタリングを実施してみて、双方に進捗フォローを行うことで、現場の問題点を吸い上げることができ、以降の制度運用の改善にもつなげることができます。
また導入後、メンター同士の意見交換会を開催し、メンタリングの成功例や課題について情報を共有するのも良いでしょう。

 

効果的なメンター制度を構築するためのポイント

メンター制度を既に導入していても、制度の効果をあまり実感できていない組織があることは事実です。
そのような状態に陥らないために、ここでは効果的なメンター制度を構築するためのポイントについてご紹介します。

メンタリングで行う会話の内容を準備する

メンター制度を誤った形で導入している企業にありがちなのが、事前準備をしていないということ。
ただメンター社員と若手社員を紐付け、やり方を現場に任せてしまうとそもそもメンター制度をどのように進めていいのかわからず、路頭に迷ってしまいます。

こうした状況を避けるために、メンター制度を導入する際はメンター制度の意義や目的をメンター社員にきちんと伝えたり、
必要となるコミュニケーションスキルを習得する研修をあらかじめ実施したりすることが大切です。

そして実際にメンタリングを始める前に、その日に話す内容とゴールを決めておくことで、メンター制度が表面的な雑談で終わってしまうことを防ぎます。

徐々に信頼関係が生み出されるようなプロセスを設計する

メンター制度で選出されるメンター社員と若手社員のペアは初対面であることがほとんどです。
若手社員が抱える悩みを引き出せるかどうかは、信頼関係の構築が重要になるため、初回からあれこれと悩みを引き出そうとするのではなく、
若手社員が徐々に心を開いてくれるようなメンタリングを行うことができるようにプロセス設計を行うようにしましょう。

具体的には、メンタリング開始からある程度回数を重ねるまでは心理的な距離を縮めるためにテーマを決めずに会話をしたり、
会話がスムーズに行われるようになったら「次回のメンタリングまでに〇〇をする」と若手社員に小さなハードルを科したりすることなどが挙げられます。
信頼関係を構築した上で、徐々に若手社員が抱える課題を解決していけるようなプロセスを組むことで、より効果的な制度にすることができるでしょう。

また、メンター制度を効果的なものにするために面談の内容をまとめたシートを作成したり、若手社員へ定期的に進捗確認を行ったりすることもおすすめです。

 

メンター制度を成功させるためには若手社員とメンター社員の信頼関係が大切

メンター制度を導入している企業は年々増加傾向にあるため、
中にはメンター社員になったことがある方や、若手社員時代にメンター制度に参加した経験があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし一部の企業ではメンター制度の設計が上手くいかず、制度が形骸化してしまっていることもあるようです。
メンター制度を成功させるためには、若手社員とメンター社員が信頼関係を構築できるような歩み寄りの姿勢が大切になります。

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