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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/19 15:00

経営

人材育成

マイクロマネジメントはなぜ起きる?及ぼす悪影響や対策・具体例を解説

読了まで約4分

「マイクロマネジメントの意味や特徴を知りたい」
「マイクロマネジメントの具体例や悪影響、改善策について把握しておきたい」と思っている企業経営者・代表者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、マイクロマネジメントの概要、上司がマイクロマネジメントを行う心理的な理由、部下に対する悪影響、具体的な対策などを詳しく紹介していきます。

この記事を読むことで、マイクロマネジメントの理解を深めることができます。
職場環境を整える方法の一つとして参考にしてください。

マイクロマネジメントとは?

マイクロマネジメントとは、上司のような立場にあるリーダーが部下や新人の行動を管理しすぎた結果、過干渉になってしまうマネジメントをいいます。
基本的にはネガティブなイメージで使用される言葉です。

ここでは、マイクロマネジメントになる具体例、上司がマイクロマネジメントを行う心理的な理由、テレワーク普及との関連性などについて解説していきます。

マイクロマネジメントの具体例

マイクロマネジメントの具体例には下記のような内容があります。

・業務の進捗状況について頻繁に細かな点まで報告を求める
・提案書や企画書を必要以上にチェックする
・電話のかけ方や話し方、チャットの内容に細かく口を出す
・メールのCCに自分の名前を入れるように強要する
・業務内容やフローに関して、自分のやり方を押し付ける
・細かなミスを執拗に追及して責め続ける
・テレワーク環境において頻繁な現状報告を求める
・テレワーク中は必ずWeb会議システムのカメラをオンにさせて監視する
・現在どこにいて何をしているのかを詳細に把握しようとする

上記の事例に共通しているのは、部下の自主性に配慮しない過干渉です。
上司として適切なマネジメントは大切ですが、度を超えた管理は離職率の増加だけではなく、パワハラ、モラハラと見なされる可能性もあるので注意が必要です。

上司がマイクロマネジメントをしてしまう心理的な理由

上司が部下にマイクロマネジメントをしてしまう主な心理的理由として、不安な気持ちと自己顕示欲の2つがあります。

不安な気持ちの背景には、「部下のミスによって自身が責任を問われる」という考えが多いようです。

他にも、自分の若い頃と部下の姿が重なった結果、ミスをする前に細かく口を出している可能性もあります。
昔大きな失敗をしたことがある人は、部下に同じ失敗をさせたくない心理から、部下の行動を見張るようなマイクロマネジメントをしてしまっている可能性が高いです。

その場合のマイクロマネジメントの具体的な事例としては、頻繁な状況確認や細かいメールチェックなどが考えられます。

多くの場合、自己顕示欲の背景にあるのはプライドの高さと自負心です。
「自分が上司として指導しているから成功したのだ」と周囲に示すため、自身の仕事のやり方を部下に強要していることが考えられます。

自分の考え方が正しいと思い込み、部下に自分の価値観を押し付けてしまっている場合は注意が必要です。

その場合のマイクロマネジメントの具体的な事例としては、業務プロセスの強制や服装・持ち物のチェックなどがあります。

いずれにしても、無自覚にマイクロマネジメントを行う上司の心理状態は狭窄的といえるでしょう。
部下の人格を否定するような言い回しには気を付けましょう。

 

マイクロマネジメントが増加する外部要因とは?

マイクロマネジメントが増加する要因には心理的要因の他に、働く環境などの外部要因があります。

ここからはマイクロマネジメントが増加しがちな環境などを例に上げながら紹介していきます。

マイクロマネジメントの増加とテレワーク普及の関係性

マイクロマネジメントが増えている原因に職場環境の変化があります。最近増加傾向にあるテレワークの普及も原因の一端と考えられます。

テレワーク主体の労働環境では、同じ空間で顔を合わせる機会が限られます。
その結果、上司は部下に対して、「在宅でもしっかり仕事を進めているのだろうか」と不安になり、メールの即レス強制など、過干渉に陥るケースがあるのです。

特にリモートワークに不慣れな上司に多いといえるでしょう。

マイクロマネジメントの増加と仕事量の関係性

また、仕事量の増加もマイクロマネジメントに関係しています。
働き方改革の推進によって、長時間労働、有給休暇、フレックスタイム導入などが改善されましたが、そもそもの仕事量が変わらなければ、従来よりも短い時間で処理しなければなりません。

結果的に上司が部下の管理に時間をかけられず、手軽なマイクロマネジメントに手を出す状況が増えているのです。

マイクロマネジメントの増加と多様化する人材の関係性

他にも、人材の多様化による中途採用者の増加も挙げられます。

中途採用者は、前職の経験から抜け切れず、再就職した企業のルールや風土に慣れるまでに時間がかかるケースも少なくありません。
考え方が自社と異なる場合にも、真っ向から否定すると部下のモチベーションを下げてしまいます。

その結果、中途採用の部下に対して上司がマイクロマネジメントを行ってしまうことにもつながるのです。

また最近では、介護や子育てと両立しながら勤務する人や、再雇用によるシニア社員など、様々な事情や年代の部下を持つ機会が広がっています。
コミュニケーションを取るのが難しく、結果として過干渉に陥ってしまうことがあります。

 

マイクロマネジメントが部下に与える悪影響

マイクロマネジメントが従業員や部下に与える悪影響として、仕事のモチベーション低下、ストレスによるメンタルヘルスの悪化、上司の指示を待つだけの状態になってしまうことの3つがあります。
それぞれ詳しく紹介していきます。

仕事に対するやる気が失われる

上司が部下に対してマイクロマネジメントを行うと、部下の仕事への意欲や情熱が低下する可能性があります。

日常的に仕事の進み具合や処理方法まで細かく管理されると、部下は上司に信頼されていないと感じるものです。
上司に確認してからでないと何も行動ができず、モチベーションが低下してしまいます。

その結果、やる気を失って部下の成長が止まるというデメリットが考えられます。

たとえば、上司から連日のように「企画書はどこまで進んでいるんだ?」「本当に理解して仕事を進めているのか?」などと質問を受けていれば、常に上司の顔色をうかがって仕事を進めることになります。
仕事の進捗状況が滞った場合も、「まだ終わらないのか? だから忠告したじゃないか」と叱責されれば、必然的に部下のモチベーションは低下するでしょう。

特に真面目なタイプは、「自分には能力がないのだろうか。ダメな人間かもしれない」と自分を責めて落ち込む傾向があります。
その結果、メンタルヘルスの悪化を引き起こす可能性があります。

ストレスによるメンタルヘルスの悪化

上司のマイクロマネジメントによって、部下が「自分は信頼されていない」「常に監視されている」と感じると大きなストレスにつながります。

過度なストレス状態が続けば、うつ病などメンタル面の不調を引き起こすかもしれません。
うつ病やストレスが原因で部下の休職や退職を招く可能性もあります。

休職者や退職者が増えれば、企業全体のパフォーマンスが低下するでしょう。
代わりの人材を確保するために派遣会社を利用し、求人募集を続ければコストもかかります。

前述したように、行き過ぎたマイクロマネジメントはパワハラやモラハラに該当する危険があり、訴訟問題に発展するリスクもあるため上司として気をつけなければなりません。

上司の指示を待つだけの状態になる

マイクロマネジメントが実施されていると、部下は上司からの指示に従うだけになり、自分自身で判断する力が身につかなくなります。
上司としては、「部下に任せるとミスが起こる可能性が高い。だから細かな部分まで指示を出そう」と考えるケースもありますが、指示待ち人間は咄嗟の判断が難しい傾向です。

その際に「なぜそんな判断もできなかったの?」と責めても逆効果となり得ます。

指示を待つだけの状態は部下のキャリア形成を妨害するだけでなく、優秀な人材ほどマイクロマネジメントをきっかけに退職する可能性もあります。
「この職場では自分の力を発揮できない」と感じるためです。

 

上司が行うべきマイクロマネジメント対策とは?

上司に必要なマイクロマネジメント対策には、進捗確認や報告ルールの見直し、必要な役割の認識、部下へのマネジメント方法の見直し、権限の委譲の4点があります。
それぞれ解説していきます。

進捗の確認や報告のルールを見直す

進捗状況の確認や報告ルールを見直すことが大切です。

たとえば、部下から上司へあらかじめ業務報告するタイミングを決めておく、定期的にミーティングを開くなどの方法があります。
これにより、上司が部下に対して進捗状況を何度も確認する必要がなくなり、上司としても、業務に集中できるという利点があります。

業務報告のタイミング以外にも、「トラブルが発生したときはすぐ上司に報告する」「判断に迷ったときは上司に相談する」などのルールを事前に定めておくことで、部下は迷いなく仕事に取り組みやすくなるでしょう。

このように、報告ルールとタイミングを決めることでマイクロマネジメントを防止でき、部下にとっても業務スケジュールを組みやすいというメリットがあります。
つまり、上司と部下の双方にメリットがあるのです。

上司として必要な役割を認識する

マイクロマネジメントの状態が続いている場合、上司として果たすべき本来の役割を認識し直す必要があります。
つまり「木を見て森を見ず」に陥ってはいけないということです。

上司の役割は組織の成果を最大化することです。
そのために自身が管理する部門の数値目標を達成し、部下のやりがいや達成感の実現を計る必要があります。

要するに、目標を達成するために部下のモチベーションを維持させることが大切なのです。

マイクロマネジメントでは本来の目的を見失いがちになり、短期的な視点でマネジメントしてしまうという弊害があります。

そもそもの上司の役割である、組織の成果の最大化を意識することによって、部下との接し方を見直すきっかけになるでしょう。

部下へのマネジメント方法を見直す

マイクロマネジメントを改善するには、上司から部下へのマネジメント方法を必要に応じて変更することも大切です。
マイクロマネジメントは上司の方針も大きいと考えられるからです。

たとえば、些細なミスで部下を責めたり、出来てあたり前という思い込みをなくしたりすることが大切です。

また、一通り指導した後は部下の仕事を見守りつつ、業務方法や権限を部下に任せるなどの対策が必要となります。
そのためにも普段から、上司自身が「どのようなマネジメントを行っているのか」を正確に把握し、見直しが必要な部分は積極的に改善する姿勢が大切です。

部下へ権限を委譲する

業務の一部を、部下へ権限移譲することもマイクロマネジメントの改善に役立ちます。
部下の業務に介入しすぎるあまり、上司がプレイングマネージャーとなり、生産性やパフォーマンスが低下してしまうことがあります。

判断を部下に任せることで、上司の判断を仰がなくても行動できるようになり、自ら考え仕事に取り組むようになり、部下自身の成長にもつながるでしょう。

部下を信頼し任せることができなければ、いつまで経っても状況は変わりません。

権限移譲をすることで部下の主体性を育み、マイクロマネジメントから脱しましょう。

 

マイクロマネジメント対策はハラスメント防止にも有効

会社組織におけるマイクロマネジメントとは、上司による過干渉のマネジメントです。
その根底に不安と自己顕示欲があり、テレワークの普及など職場環境の変化も影響しています。

マイクロマネジメントによって部下のモチベーションが低下し、メンタルヘルスの悪化につながるリスクがありますが、改善するには上司自身の気づきが必要です。

本来上司の仕事は、組織全体を俯瞰し、戦略や方針を考え組織を管理することですが、マイクロマネジメントによって大きな悪影響を与えております。

そのことを上司自身に気付いてもらうためには、具体的に、進捗確認や報告ルールの見直し、自身の役割の認識、部下へのマネジメント方法の見直しの3点がポイントです。

株式会社武蔵野では、全国の中小企業に向けたマネジメントや社員教育の指導を行っております。
無料でダウンロードできるコンテンツや様々なセミナーをご用意しておりますので、ぜひご相談ください。

 

  • 上司が部下にマイクロマネジメントをしてしまう理由は?

    主な心理的理由として、不安な気持ちと自己顕示欲の2つがあります。自己顕示欲の背景にあるのは、多くの場合プライドの高さと自負心です。
    詳しくはこちらをご覧ください。

  • マイクロマネジメントを対策するには?

    マイクロマネジメント対策には、進捗確認や報告ルールの見直し、必要な役割の認識、部下へのマネジメント方法の見直し、権限の委譲の4点があります。
    詳しくはこちらをご覧ください。

執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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