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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/06/27 10:30

人材育成

OJT研修とは?意味や目的・効果を高める方法など詳しく解説

読了まで約5分

現場における実践的な育成方法であるOJT研修。
新入社員に実地的な技能を身に付けさせることができるため、多くの企業が取り入れ活用しています。

しかし、OJT研修を実施していても「思ったように人材育成ができていない」と悩みを抱えている企業は多いものです。
OJT研修で期待した結果を出し、自社の求める人材を育成するにはどのようなポイントに気を付けるべきなのでしょうか。

この記事では、OJT研修の基礎知識や実施内容、効果の高い進め方や注意点を解説します。

OJT研修とは

まずは、OJT研修の基礎知識を解説していきましょう。

OJTの意味

OJTとは「On the Job Training」を略した言葉であり、職務遂行に必要な知識やスキルを、実務を通じて新入社員に学んでもらう育成方法です。

研修やロールプレイングなどの座学によって知識を身に付けるのではなく、新入社員にまずは実務を経験させ、上司や先輩がその結果にフィードバックすることで新人を育成します。
業務を進めるコツや要点といった、座学では捉えることの難しい実践的な知識や経験が身に付くことが特徴です。
具体的には、先輩社員の営業に同行させて提案書の作成を任せたり、上司の指示のもとマーケティング施策の立案を担当したりといった内容を実施します。

組織によって異なりますが、OJT研修の教育担当者をトレーナー、チューナー、シスター、ブラザーと呼び、反対に新入社員をトレーニー、チューティーなどと呼びます。

OJTの目的と内容

OJTを実施する目的のひとつとして、新入社員の即戦力化があげられます。
座学で段階的に知識やスキルを身に付けていく方法と違い、OJTによって業務に必要な技能を直接学ぶことで新入社員を早期に独り立ちさせられるのです。

新入社員にとっては、伸ばすべき技能や目指すべきゴールが明確で仕事にやりがいを感じやすいというメリットもあります。
それだけでなく、実際に職場で使っているツールに慣れることや、仕事仲間とのコミュニケーションなども、即戦力としては欠かせません。

また、教育を担当者任せにせず、チーム全体の教育に対する意識を高める効果も期待できます。
チーム内の様々な社員が教育に関わることで監視体制ができ、場当たり的な指導を防止し、チームの責任感が高まるのです。

全社的に教育への意識が高まれば、OJTによる育成をプロセス化し、様々な場面で応用することも容易になるでしょう。
プロセスが確立すれば、様々な立場の社員がOJTを実施でき、現場主体で実践力の高い人材を育成できるようになります。

OFF-JTとの違い

OFF-JTとは、「Off The Job Training」の略で、実務の場を離れて特別に時間を取り、セミナーやロールプレイングなどの座学によって集団で知識を習得させる育成方法です。
実務の場でアウトプットすることが目的のOJTとは反対に、知識面でのインプットを中心とした方法といえます。

代表的な具体例としては、外部講師を招いて行うビジネスマナー講座や先輩社員とのロールプレイング、専門的な知識を持った社員による研修などです。
ほかにも、資格取得のための勉強やeラーニングによる自宅での学習などもOFF-JTのひとつとされています。

 

OJT研修のメリット

OJT研修の意味や内容がわかったところで、メリット・デメリットをそれぞれご紹介しましょう。
正しく理解し、正しい取り組みにつなげていくことが大切です。

また、OJT研修は、教えられる側だけでなく教える側の社員や会社にとっても大きなメリットが期待できます。

教えられる側のメリット
・座学では習得できない実践的なスキルが習得できる
・個人の特性に合わせた指導やフィードバックをもらえる

教える側のメリット
・OJTトレーナー自身のスキルアップにつながる

企業としてのメリット
・社員の早期戦力化
・社内コミュニケーションの活性化

 

OJT研修のデメリット

一方で、下記のようなデメリットもあります。

教えられる側のデメリット
・指導者の能力によって成果に差が出る
・全体像を俯瞰できず、業務に直結するスキル習得のみ

教える側のデメリット
・教育計画作成に大きな負担がかかる

会社としてのデメリット
・社員のリソースを業務ではなく教育に割くことになる

このようなデメリットに注意しつつ、計画的に指導を進めていきましょう。

 

OJT研修で必要な課題とは

OJT研修によって新入社員を早期に戦力化でき、現場の教育に対する意識を向上させることができます。
ただし、実際に会社で実践する場合の課題や注意点を理解しておくべきです。

OJTに取り組む際の課題や注意点を解説します。

OJTの取り組みを理解してもらう

教育を担当者任せにして場当たり的に実施しても期待した成果を得ることはできません。
また、現場で実地的な知識やスキルを身に付けるといっても、ただ先輩社員の仕事に同行して業務をこなすだけでは新入社員の理解が深まらず、体系的な知識が身に付かないのです。

OJT研修では、①担当者の理解、②育成計画、③教育の継続の3つのポイントを意識する必要があります。

①担当者の理解:トレーニング内容の目的やゴールを担当者が理解している
②育成計画:設定したゴールから逆算して計画を立てそれに基づいてトレーニングを進める
③教育の継続:反復して学ぶ機会があり、段階的にスキルを身に付けられる

OJT担当者としての意識をもたせる

OJTを担当する社員に新人育成の重要性や必要性を理解させ、ミッションに対する責任感を持ってもらうことも重要な課題です。

OJTにおける教育担当者は教育を専業とするわけではなく、自分の業務と教育を兼任することになります。
そのため、教育担当者の負担が増加してしまい、忙しさから教育がおろそかになりがちなのです。
担当者の指導が場当たり的になることを防止するため、教育担当としてのマインドセットを行う必要があります。

OJTを実施する意味や目的、達成してほしいミッションなどを共有し、教育へのモチベーション維持を働きかけましょう。

 

OJT研修の内容とやり方

実際のOJT研修ではどのようなことを実施すればいいのでしょうか。

一般的に、育成計画の策定・業務量と質の選定・業務の遂行・内省支援の4つのステップで行われます。
この4ステップそれぞれのポイントを解説し、OJT研修の実施内容と具体的なやり方を解説します。

1.育成計画の策定

OJTに限らず人材を育成する際には、育成によってどのような人材に育ってほしいのかゴールを明確にした上で、育成計画を立てることが重要です。
育成計画が明確になっていないと、関係者がそれぞれの主観で指導を行ってしまい、求めている成長が得られなくなってしまいます。

育成を体系化して、必要な技能を身に付けてもらうためにも、まずは育成計画の明文化を進めましょう。

育成計画で明確にすべきポイントは、以下の3つです。
①OJTを通して、どのような業務をできるようになってほしいのか
②その業務を遂行するために必要なスキル、経験、知識
③上記を獲得するためにどのようなタスクを・どのタイミングで・どういう方法で与えるか

2.業務量と質の選定

育成の担当者は、新入社員に与える仕事の量と質が本人のキャパシティーを超えないよう注意してください。
新入社員がこなしきれない量や難易度が高すぎる仕事を与えてしまうと適度な成功体験を積めず、モチベーション低下につながる可能性があるからです。

反対に難易度が低すぎて簡単に終えられる仕事ばかりでも、新入社員はやりがいを感じられません。
達成に少し努力が必要なハードルの高い仕事を全体の2割ほどで構成すると、挑戦と達成のバランスをとりやすくなります。
新入社員の力量を把握し、適度な仕事の量と質を見極めるよう心がけましょう。

3.業務の遂行

育成計画を策定し与える業務が決定したら、新入社員に業務を遂行してもらいます。

具体的な手順は以下の通りです。
①業務の内容、意義、やり方、ゴールを伝える
②指導者が業務を行っている様子を観察させる
③付き添い、指導しながら本人に同じ業務を行わせる
④一通りできるようになったら、本人だけで進める

4.内省支援を行う

OJTによって学んだことを定着させるため、振り返りや反省の時間を必ず確保してください。
内省によって今回の業務は成功だったのか、失敗だったのか、その原因はどこにあったか、定着率を格段に高められます。

結果と原因を明らかにしたら、次回の改善点や目標まで落とし込んでください。
次回はどのように行動を変えるのか明確になっていると同じ失敗を繰り返さず、より業務の精度が高まるからです。

実施と内省を繰り返すことで経験を知識やスキルを転換でき、より早期の独り立ちが期待できます。

OJT研修では、これら4つの段階を理解し、実際に指導する際のイメージを掴んでもらうことが大切です。

 

OJT研修の効果を高める方法とは

OJT研修の目的を達成し、求める人材をできるだけ早期に育成するためにはどのような方法があるのでしょうか。
OJTの効果を高めるポイントを3つ紹介します。

担当者に任せっきりにしない

OJTを実施する際は指導を担当者任せにせず、チームや部署全体で育成に関わる意識を持つようにしてください。
前述でも触れた通り、OJTの育成担当者は自身の業務と指導を平行して担当することが多く、負担が大きくなりがちです。
担当者だけに指導を任せていると業務過多になってしまい、指導がおろそかになる可能性があります。

育成担当者は育成を主導する立場であるものの、責任はチーム全体にあるのです。
担当以外のメンバーも積極的に関わり、全体で育てる体制が必要です。

目標から逆算して計画を立てる

育成計画を立てる際はゴールと期限を明確にし、逆算して細かな目標を作ると効果的です。

たとえば、入社から3カ月後に一人で営業に行ける状態を目指すなら、2カ月後は提案が自分で組み立てられる状態、1カ月後は営業マニュアルや商品説明が頭に入っている状態、半月後は自社商品の種類や特徴を把握している状態、といった具合です。

3カ月後や半年後などの大きな目標を設定したら、それを月ごと、週ごとの小さな目標へと細分化していきます。
やるべきタスクが明確になり着手しやすくなるだけでなく、達成しやすい小さな目標があると成功体験を重ねられ、モチベーションも維持しやすくなるからです。

リモート対応できる仕組みも用意する

コロナ禍における昨今では、研修のリモート対応も重要な課題となっています。
リモート勤務においてもOJTを実施できるよう、eラーニングやビデオ通話の環境を整備しておくことが大切です。

業務を進める前に必要な基礎知識や作業手順などを動画にまとめ、eラーニングシステムで配信すれば、よりスムーズに育成を進めることができます。
担当者の負担を軽減できるだけでなく、新入社員にとっても何をやるのか事前に把握でき、理解度が深まるでしょう。

また、リモートで研修を行う際は、ビデオ通話の利用が必須です。
画面共有などの操作方法やネット環境を事前に確認し、問題なくやりとりできるよう準備を進めてください。

 

OJT研修を取り入れ人材育成の効果を高めよう

OJT研修を取り入れることで新入社員の早期戦力化を図り、新人教育に対する現場全体の意識を高められます。
ただし、教育担当者が業務過多になりやすい方法でもあるため、負担が偏らないように配慮が必要です。

新人の育成はチーム全体の役目であるという意識を持ち、様々なメンバーが指導に携われるよう、社内の教育体制を整えていく必要があります。
戦力となる社員の育成や採用は多くの経営者の課題です。

教育体制の構築や採用計画の策定がうまくいかず、見直しを図っている経営者は、武蔵野の『経営計画書』を手に取ってみてください。
経営計画の立案における重要なポイントやコツが詰まっているルールブックです。

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