更新日:2021/11/24 21:22
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残業を削減しても業績を上げるには?成功事例から学ぼう【働き方改革/生産性向上】
読了まで約3分
目次
1.昔とは違う!残業に対する考え方
高度経済成長期においては、働く人の多くは長時間労働をしていました。
残業は当たり前、家に帰るのは深夜、そして早朝には出社するといった人が一般的でした。
しかし、現在では、そのような長時間労働はよくない働き方だとされています。
社会の変化とともに、法律の上でも、時間外労働の上限規制が定められました。
時間外労働は月45時間、年間360時間までという上限が定められ、特別な事情がない限りはこれを超えることはできません。
この対策は大企業だけではなく、中小企業にも適用されています。
長時間労働は、働く本人の健康を損なうだけではなく、社会生活や家庭生活にも大きな影響を及ぼします。
例えば、父親が長時間労働をしていると、核家族であれば、子育てを担うのは母親一人になってしまいます。
そうなると母親である女性の社会進出も難しくなるでしょう。
子育てを一人で行うということは負担も大きく困難です。
家族人数の少ない現代の家族では、父親が子育てに参加をしなければ、子育ては成り立たない事態になっています。
母親が無理を押して一人で子育てをする状態に「ワンオペ育児」という名前がつけられたのも、
ワークライフバランスの改善を求める気運によるものではないでしょうか。
若い世代では、労働に対する考え方そのものが変わってきています。
たくさん働いてインセンティブを得たり、収入を増やしたいと考えたりするよりも、
仕事はそこそこでいいから、自分の自由な時間をしっかり確保したいという考え方を持っている若者は多いです。
終身雇用制が当たり前ではない社会になっていますので、若い労働者は、余暇を確保できる企業を選んで就職したり、
転職したりすることも当たり前になっています。
残業するのが当然だったかつての働き方は、これからの働き手には受け入れられません。
経営側としては、できる限り従業員に残業をさせない経営を目指す必要があるのです。
そうでなければ、優秀な労働力を得ることが難しくなってしまうでしょう。
2.残業を減らしたら、業績は下がるのか?
残業の削減を考えるに当たって、経営者として一番心配になるのは、業績がどう変化するかということだと思います。
単純に労働時間を減らすということは、労働力を減らすことに直結しますので、結果として業績が悪化するのではないかということは、
誰もが心配することでしょう。
ただやみくもに残業を禁止したり、制限をしたりするというやり方では、働き方改革はうまくいかないことが目に見えています。
残業の単なる制限、禁止といった方法しか考えつかないという経営者にとっては、残業の削減という改革は取り組みにくいものです。
しかし、働き方改革をうまく進めることができれば、これを機に企業としても業績を伸ばすことが可能になります。
まずは、従業員の労働時間を削減したとしても、企業がこれまでどおりの業績や業務を維持できるということが大前提です。
そのために、組織全体を見直したり、業務の必要性を吟味したりすることが必要になります。
見直しがうまく進めば、効率化が図られて、働き方改革を進めたことでむしろ業績が向上するという可能性も十分に考えられるのです。
「労働時間を減らすなんて考えられない」と、働き方改革に着手できないでいる他社をリードすることもできるでしょう。
3.残業削減と業績向上を実現した事例とは
では、実際に業務の見直しや改善を行って、残業を減らすと同時に業績も向上させたという事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
どんな点に注目して改革を進めれば、働き方改革を成功させるのみならず、業績まで伸ばすことができるのか、
成功した他社の事例から学びたいものです。
A社(金属屋根部品の製造等)
外部の専門家から長時間労働を指摘されたことを受けて、業務システムを新しくし、
受注状況を踏まえた最適な生産計画を作成できるようにしました。
見積もりシステムを新たに開発し、インターネットで公開することで、一般の顧客が見積もりをとることも可能にしました。
その結果、かつては3日かかっていた作業を5分で済ませることができるようになり、残業時間を大幅に削減できたという事例です。
B社(建設、リフォーム)
顧客第一をモットーにしていたものの、そのためにプランや見積書の作成に時間がかかりすぎていたそうです。
そこで、マンションのリフォームを5プランにまとめて、モデルルームをつくったことで、顧客もスムーズに選べるようになり、
見積書が作成しやすくなったそうです。
結果として、残業時間が削減できた上に、顧客にも好評だったという事例です。
C社(飲食)
従業員の定着率に課題があったそうですが、毎日100食限定のランチを提供する店として、
売り切れ次第終了とする仕組みにしたところ、残業をなくすことができたということです。
短時間で売り切るために従業員の接客が向上したり、短時間勤務を希望する人が求人に多く応募してくれるようになったりしたという成果もありました。
D社(情報通信・ソフトウエア開発)
社員とその家族のための環境改善が課題だったそうですが、有給休暇をとるほど、
また時間外労働が少ないほどボーナスに上乗せする仕組みを導入したことで、残業時間を5割減らすことができた事例です。
E社(建築、土木、ハウジング工事等)
若手の入社希望が少なく、人手不足だったそうですが、あらかじめ社員に残業計画表を作成させ、
見込みの残業時間が一定を超える場合には追加人員を投入して業務を平準化することで、残業時間が半分以下にまで削減でき、
有給休暇の取得も増えたということです。
F社(自動車整備、修理等)
鉄工、油圧修理、塗装などの作業が属人化しており、休暇が取得しにくい状況だったそうですが、全ての作業に対応できる多能工を育成することで、
会社全体としての利益が上がり、残業時間も大幅に削減できたということです。
G社(清酒の製造)
若手の育成を進めることが課題だったそうですが、定期的に職場や職務を変更するジョブローテーション制度を取り入れたところ、
業務が効率化できて、残業時間も大きく減ったということです。
自治体から、若者の採用や育成に関して優れた企業であるという認定も受けています。
H社(卸売)
社員の仕事と家庭の両立を支援することに課題があったそうですが、
年間の行事を洗い出し、行事に合わせた1年単位の変形労働時間制を取り入れたことで、勤務時間を柔軟にすることができ、
全体の残業時間も減少したそうです。
I社(服飾品小売)
女性従業員が多い中、女性の活躍を十分に支援できていない職場環境を改善したかったそうですが、
店舗ごとに1カ月単位の変形労働時間制を取り入れ、忙しい日は勤務時間を長く、そうでない日は短くしたことで、
全体の残業時間を削減することに成功した事例です。
4.残業を減らすことは、生産性向上のチャンス!
働き方改革に成功した企業の事例を見ると、かつては当たり前だった長時間労働が、
生産性の向上とは必ずしもイコールではないことがわかってきました。
重要なのは、社内で本当に必要な業務は何か、別の方法を取り入れれば効率化できるのではないかといった経営者の視点です。
残業を減らすなんて業績が心配だという旧来の考えにはとらわれず、業績向上のためにも、働き方改革を積極的に進めていくことが望まれます。
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