更新日:2022/02/19 10:33
経営
上昇トレンドの中でも見極めが大切 方針転換のタイミングとは【ニーズ/需要・供給】
読了まで約2分
ステーキハウス「KENNEDY」はなぜ破産したのか
東京都内を中心に、ステーキハウス「KENNEDY(ケネディ)」を展開していた、
ステーキレストラン経営会社の「ステークス」は、ステーキブームという追い風の中にあったにもかかわらず倒産に追い込まれました。
一体何が「ステークス」を倒産に至らしめたのでしょうか。
ステーキハウス「KENNEDY」を創業
1998年に個人経営のステーキ店として「KENNEDY(ケネディ)」1号店はオープンしました。
翌1999年には、「Cafe感覚で気軽にごちそう」をコンセプトとして、2号店「ステーキKENNEDY駒沢店」をオープンします。
アメリカンスタイルのステーキが手軽に楽しめるということで人気を博し、2002年には法人化をしました。
2004年12月期には年売上高約3億9000万円を計上。
2005年からの2年間は子会社のナカジに店舗運営を移して、ステークスは備品の仕入販売や、店舗不動産の転貸などを主に行っていました。
この頃に創業者の娘がステークスとナカジ双方の代表に就任。
しかし実質的に実権を握っていたのは、創業者である父で、店舗の展開や管理、金融機関や各種納入業者への支払い等の交渉にかかわっていました。
娘は代表就任後に店舗の屋号を 「steak&cafe KENNEDY」に統一。
水色にオレンジのロゴをトレードマークとして、新たな店舗の出店を加速させました。
2006年12月期に約5億9300万円だった年売上高は、翌2007年12月期には急激に約10億8700万円まで伸びました。
2009年には店舗数を28店まで拡大して、同12月期は約14億4700万円の年売上高を計上することとなりました。
マスコミにも取り上げられるようになり、「首都圏で100店のチェーン展開を目指す」と、当時の社長は語っています。
店舗数拡大の裏で経営に陰りが
順調に店舗の拡大を行っていたステークスでしたが、急速に店舗を拡大したがために、質の高いサービスの提供が困難になっていました。
経営の管理方法や、人材育成の課題が次々と表面化してきたことを受け、一時新たな出店を取り止めます。
その代わり、ステーキ半額セールを打ち出し集客を図って、2012年に再び出店を再開しました。
その後、ディナーのステーキ全品が50%割引になるクーポン券を、それぞれの店舗の近隣地域にポスティングしたり、
子供向けのプレートを無料にしたほか、飲料も割引をするなど、多くのキャンペーンを行い集客を図りました。
そのおかげか、2014年12月期に年売上高約17億6700万円を計上し、店舗数は40店にものぼりました。
しかし、キャンペーンを始めた当初は、話題となりましたが、頻繁且つ定期的に行われることで新鮮さがなくなり、消費者の関心は薄れていきました。
そうして「半額でなければ食べに行かない」という利用者の数が増えていったのです。
さらにステークスに大きな打撃となったのが、2013年に銀座に1号店をオープンしたのち、
急速に都心で店舗数を伸ばしていった立ち食いステーキチェーン「いきなり!ステーキ」の台頭です。
立ち食いでレストランを営業するということは、運営側にとって収容人数の増加、店舗面積の縮小、
賃貸コストの削減のほか、回転率アップなど、多くのメリットがあります。
立ち食いがトレンドとなってきていた時に、その流れをいち早く取り入れた「いきなり!ステーキ」は、多くのリピーター客を確保し、
事業は大きな成果を上げていました。
ステーキブームの中での倒産
一方のステークスは、2014年にフレンチの要素を取り入れた店舗を3店舗出店しますが、大きな成果をあげることができず、
不採算店舗が徐々に増えていきました。
2015年には「5年で150店舗体制、年売上高100億円を目指す」という中期経営計画を画していましたが、
ステーキブームの波に乗り切ることができず、倒産する前の2年間で3割の店舗を閉鎖し、2015年には赤字へと転落しました。
なぜステーキブームの中で倒産に追い込まれたのか
ステークスが犯した一番の失敗は、「半額クーポン」や「クーポン」を定期的に出し続けたことにあります。
それによって顧客は、「別に今日食べに行かなくても、またすぐ手に入るクーポンを使って食べに行こう」という考えになり、
クーポンが手元にないときにお店を訪れようという気にならなくなってしまったのです。
外食産業は厳しいものです。時代のニーズに応え、起こりうるブームを敏感にキャッチして、迅速に行動に移さなくてはなりません。
方向転換のタイミングを考えあぐねていたステークスに、さらに追い打ちをかけたのは「いきなり!ステーキ」の登場です。
今までになかった「立ち食いで良質なステーキを食べる」というコンセプトは瞬く間に多くの人に受け入れられました。
そのように、多くの要因が重なり合って、時代の流れを読み切れなかったステークスは倒産という憂き目に遭ってしまったのでした。
まとめ
現在では、コンビニやスーパーなどでも、健康的で良質なお惣菜などを購入することが可能です。
そのために、外食業界は、ますます縮小していっています。
そのような厳しい業況の中で、勝者として勝ち残っていくためには、
業界や消費者のニーズを研究し、変化が起こる前に行動をしていくことが重要となってくるでしょう。
株式会社武蔵野では、「経営計画書」の無料お試し資料をプレゼントしています。
経営計画書とは、会社の数字・方針・スケジュールをまとめた手帳型のルールブックです。
750社以上の企業を指導する株式会社武蔵野 代表取締役社長 小山昇の経営哲学が詰まった
経営計画書の作成手順・作成フォーマットがセットになった充実の内容となっています!
ぜひ、こちらからダウンロードしてください。
この記事を読んでいただいている方におススメのセミナー