更新日:2021/09/06 15:43
経営
定年延長における課題とは【人件費/役職定年/再教育】
読了まで約2分
1.人件費についての課題
これまで多くの日本企業では、定年を延長するのではなく、定年を迎えたシニア人材を再雇用して仕事を続けてもらっていました。
再雇用になると、年収がそれまでの5割から7割ほどになるケースが一般的でしたので、企業としては人件費を抑えつつ、
優秀な人材を囲い込むことができていたわけです。
ただし、これでは世代間の年収に不均衡が生まれ、年収が低いシニア人材が仕事をするモチベーションを得にくいという問題がありました。
また、本当に優秀な人材は、より高い年収で他社に引き抜かれてしまう場合も少なくなく、企業にとっても人材流出のリスクがあったのです。
定年延長をして、例えば定年の年齢を70歳まで引き上げれば、これらの問題は少なくとも一時的には解決できますが、
その代わりに人件費が高騰するという課題を抱え込むことになります。
すなわち、定年延長には、これまでのように再雇用になったからといって給与を一気に引き下げられなくなる分、
コストアップにつながるという課題があるのです。
そのため、定年延長を検討するに際しては、まず増えるコストに見合うリターンが得られるかどうかを慎重に見極めなければなりません。
もし、その人にしかできないような高度な仕事を定年延長したシニア人材に任せたいのであれば、十分なリターンは得られるかもしれません。
一方、誰でもできるような単純作業を任せるのなら、割に合わないでしょう。
人件費を増加させてまで本当に定年を延長する必要があるかどうかを正しく見極めるというのが、経営者の腕の見せ所となるのです。
2.役職定年についての課題
企業の中には、リーダー層の新陳代謝を図るために、定年に加えて役職定年を設けているところが少なくないでしょう。
例えば、60歳の定年を迎える前に、58歳で部長などの役職から外れるようになっているといった制度がこれに該当します。
定年を延長した場合には、この役職定年をどうするかが大きな課題となります。
役職定年をそのままにしておいた場合、役職から外れたことによってモチベーションを失ってしまう人が少なからず出てしまうというのは避けられません。
しかし役職定年の年齢を引き上げると、若手や中堅の社員がその割を食ってなかなか役職に就けなくなってしまうというジレンマに陥るのです。
そのため、経営者としては、シニア人材の仕事へのモチベーションを維持しつつ、
若手・中堅も腐らせないためにはどのようにすればよいのかという企業課題を解決しなければなりません。
適切なソリューションを見つけ出すのは必ずしも簡単ではありませんが、役職定年の年齢は変えない代わりに、
シニア人材に対しては前向きに取り組める新たなミッションを課すといった取り組みなどが考えられるでしょう。
同一労働同一賃金の考え方が一般的になりつつある中、役職定年後もそれなりのサラリーを得たいのであれば、
高度な仕事に取り組むべしという考え方は、社員からの理解も得やすいはずです。
3.再教育についての課題
テクノロジーの進歩とともに仕事のやり方が急激に変わってきています。
かつては仕事というと、毎日通勤電車に揺られてオフィスに出社するというのが当たり前でしたが、インターネットが普及した現在においては、
わざわざ会社に行かずに家で仕事をするというリモートワークも珍しいものではなくなってきています。
また、業務で使用するシステムもますます高度化していきますので、
シニア人材の中には、そういった時代の流れについていけなくなってしまう人が出てきてしまうというのは避けられません。
若い頃は優秀な営業マンだった人が、気が付いたらお荷物になってしまっているというケースは少なくないのです。
シニア人材が時代の流れに取り残されないようにするためには、きちんと再教育を受けられる制度を整える必要があります。
これまでしっかり働いてきたのだから任せておいて大丈夫と思うのではなく、
彼らに長く活躍し続けてもらうためにどういった研修が必要になるのかを考えるのも経営者の大事な役割なのです。
もっとも、この課題は、必ずしも経営者だけで解決できるようなものではありません。
人事部門の協力はもちろんのこと、場合によっては人材コンサルタントのようなプロのアドバイスを受ける必要もありますので、
望ましい研修制度の在り方については、社内でプロジェクトを設けてじっくりと検討したほうがよいでしょう。
4.定年延長は企業の競争力を維持するための手段
以上で見てきたように、定年延長を行う上では様々な課題を解決しなければなりません。
いずれも一筋縄ではいかないものばかりですが、うまく解決できれば企業の競争力を維持するだけでなく、さらに高めることも可能です。
労働人口の減少によって定年延長は避けられないテーマになっております。
企業経営に従事されている方は、ここで紹介した内容を踏まえて、じっくり検討してみるとよいでしょう。
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