更新日:2024/07/23 11:00
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組織風土改革を進めるには?成功のポイントや事例をわかりやすく説明
読了まで約5分
企業における組織風土とは、企業の構成員が共有している共通の思考パターン・行動パターンのことです。組織風土のあり方は企業の意思決定に大きく影響します。
働き方改革の広がりや、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展など、企業を取り巻くビジネス環境が変動している昨今、企業の競争力を高めるためにはスピード感のある戦略実行が求められます。
企業の組織風土を改革し、社員1人ひとりが協力しあって問題解決に取り組める職場環境づくりを目指しましょう。
この記事では、組織風土改革の必要性やポイントについて解説します。
目次
組織風土とは
組織風土とは、組織を構成するメンバーの価値観や考え方、多くの社員が無意識のうちに普段の業務や行動に影響を受けており、組織風土は企業の成長を左右します。
組織風土は企業によって大きな違いがあります。
共通認識となっている独自のルール、規範、習慣などのことを指します。例えば、急成長を遂げるベンチャー企業では、スピード感を重視し、失敗を恐れずトライアンドエラーを繰り返しながら新しいことにチャレンジするという組織風土が根付いているケースが多くあります。
これに対し大企業では、成長だけでなく組織の安定を重視し、厳格な判断基準のもとに動き、何事にも慎重になりがちです。このように組織風土は企業によって大きく異なります。
では、組織風土はどのように形成されるのか、影響を与える要素について見ていきましょう。
組織風土が企業に与える影響は?4パターン別に解説
企業の組織風土は、経営層が持つビジョンや企業のたどってきた歴史、社員1人ひとりの個性などによって、次の4パターンに分類されます。
ブリリアンス型:社員が明るく活発で、問題解決能力が高い
ブリリアンス型の組織風土は、組織風土改革で目指すべきゴールの1つです。
社員1人ひとりが当事者意識を持ち、高いモチベーションを持って仕事をしています。
社員同士のコミュニケーションが活発で、チームワークが良いため、イレギュラーな事態が発生してもスピーディーな問題解決が可能です。
人間関係のストレスがほとんどなく、離職率が低いのもブリリアンス型の組織の特徴です。
仲良しクラブ型:チームワーク力は高いが、成果に直結しない
仲良しクラブ型の組織風土は、ブリリアンス型の組織風土と同様、社内の雰囲気が良いのが特徴です。
しかし、仲良しクラブ型の組織風土は、一見すると社員同士の仲が良いものの、共通の目標やビジョンを欠いています。
イレギュラーな事態が発生したとき、チームワークを発揮できず、成果や業績に結びつかないケースも少なくありません。
仲間に嫌われないようお互いに遠慮しあうため、指摘やアドバイスが少なく、組織全体の成長性もそれほど高くありません。
ギスギス型:成果への意識は高いが、職場の雰囲気が良くない
ギスギス型の組織風土では、高い成果を目指す意識が強いため、個々の社員の業績は高くなる傾向にあります。
成果主義的な人事評価制度を採用する企業に多く見られる組織風土です。
しかし、社員同士のコミュニケーションはほとんどなく、ギスギスした雰囲気が蔓延します。
問題やトラブルが発生したとき、チームワークをほとんど発揮できず、スピード感のある意思決定は期待できません。
従業員が疎外感やストレスを感じやすく、離職率が高くなる傾向にあります。
腐敗型:社員同士のコミュニケーションがなく、成長意欲もない
腐敗型の組織風土がある企業は、今すぐ組織風土改革が必要です。
腐敗型の組織風土には、個々人が成果を目指す意識もなければ、チームワークやコミュニケーションもありません。
社員同士がお互いに無関心なため、会社全体にどんよりと暗い雰囲気が漂っており、内部不正の温床となっているケースもあります。
組織風土改革を進める2つのアプローチ
ブリリアンス型の組織風土を目指すうえで、どのように組織風土改革を進めればよいのでしょうか。
組織風土改革の2つのアプローチを解説します。
ハードアプローチ:目に見える部分を変え、行動変容を促す
ハードアプローチとは、会社の制度・ルール・組織体制など、会社組織の目に見える部分(ハード)から変えていく手法です。
組織構成員の行動を制限する枠組みをつくり、行動変容を促します。
代表的なアプローチが、人事考課制度や業績評価基準の見直しです。
とくに成果主義的な人事制度が「ギスギス型」の組織風土改革を生み出している場合は、ハードアプローチが有効です。
たとえば、社員とのコミュニケーションを大切にする「パフォーマンス・マネジメント」や、
業績のランク付けを行わない「ノーレイティング」の導入が考えられます。
ソフトアプローチ:目に見えない部分を徐々に変えていく
ハードアプローチと違い、社員の薫陶や問いかけにより、内側から会社組織を変えていくのがソフトアプローチです。
ハードアプローチよりも時間はかかるものの、社員自身の内発的動機づけによって、行動変容を促せます。
ソフトアプローチの代表的な例が、自由でオープンな議論を促す「オフサイトミーティング」です。
一旦職場を離れ(off-site)、社員同士で肩肘張らない議論をしてもらうことで、社内コミュニケーションを活性化させ、チームワークを改善します。
組織風土改革を成功させるポイント
組織風土改革を成功させるには、社員の意識を変革する必要があるため、時間をかけた丁寧なアプローチが求められます。成功させるポイントを解説します。
・改革の目的や必要性を浸透させる
組織風土改革は、改革の目的や意義を繰り返し伝えて社員の理解を得る必要があります。
しかし社員の意識に浸透させるのは一朝一夕でできることではないため、段階的な施策を講じ、徐々に浸透させていきましょう。
まずは、経営層から社員に現在企業が抱えている問題を伝え、解決するために組織風土の改革が必要であることを理解してもらうことが大切です。
また、社内研修を実施したり、社内報などの社内広報活動を通じて定期的な発信を繰り返すことも効果的です。
・コミュニケーションを増やし現状を把握する
組織風土改革を成功させるためには、十分なリサーチを行い現状を把握することが必要です。
リサーチの方法として、事業部毎などまとまって社員に集まってもらい、改革責任者とディスカッションを行う方法が有効です。
自由に意見やアイデアを発言できる場を設けることで、社員が感じている問題点を把握することができます。
その際に、出された意見を上位者が批判しないようにしましょう。
日常的な対話のなかで、組織風土改革に通じるコミュニケーションを意識的に増やすことで、改革への意識が浸透するのです。
組織風土改革の成功事例
キリン
キリングループは、従業員一人ひとりが主体的に挑戦する組織風土を持ったエンゲージメントの高い組織を目指しています。
そのために、従業員一人ひとりがキリングループの目指すビジョンや方向性に対する理解・共感を深めていき、キリングループの一員であることに誇りを持って働けるように様々な施策を展開しています。
・働きがい改革
働き方(How)の見直しに留まらず、自らの仕事そのもの(What)の意義や目的を見直し続けています。一人ひとりが「働きがい」を実感することにより、「生産性」「創造性」「個の充実」を高めることで、会社と従業員双方が持続的な成長を実現しています。
・インターナルブランディング
キリングループは、2019年2月に長期経営構想「KV2027」を策定し、グループの経営理念体系も刷新したことを受けて、2019年以降、経営理念や目指す姿、価値観「“One KIRIN” Values」に関する様々な浸透施策を展開しています。
各グループ事業会社での浸透度の違いや状況に合わせた新たな施策の展開を検討し、従業員一人ひとりがキリングループの目指すビジョンや方向性に対する理解・共感を深めていき、キリングループの一員であることに誇りを持って働ける環境整備を進めています。
参照:https://www.kirinholdings.com/jp/drivers/hr/organizational_climate/
湖池屋
湖池屋では、2016年の社長交代以降、新生・湖池屋としてリブランディングと組織風土改革に取り組んでいます。新生湖池屋として生まれ変わるために、人材面では「指示待ち脱却」「思考力と主体性を身につける」ことを目指しました。
・ブランドブックの作成
新社長就任に合わせ、社員へのメッセージを盛り込んだブランドブックを作成しました。「イケイケGOGOコイケヤ」という、かつてのコマーシャルのフレーズにあわせて、「新しいほうへ、難しいほうへ、面白い方へ、イケイケ!」と訴え、原点に立ち戻ってどんどんチャレンジした結果、次々に新しい商品が産まれました。
・部署間連携
「商品開発」「営業」「製造・物流」など部門間に壁がありうまく連携がとれていなかったことから、部門間連携の会議体を立ち上げ、コミュニケーションを深化させる仕組みを作りました。
固定的な「担当」という概念を取り払い、タスクフォース単位でプロジェクトを回す取り組みを増やした結果、お互いの仕事を理解し部門をまたいで協力しあう風土が強化されました。
参照:https://jinjibu.jp/article/detl/tonari/2402/
組織風土改革を進め、スピード感のある戦略実行を
ビジネス環境の変化に対応し、意思決定をスピードアップするためには、組織風土改革が必要です。組織風土には、ブリリアンス型・仲良しクラブ型・ギスギス型・腐敗型の4つの類型があります。
社員一人ひとりが当事者意識を持ち、目標達成に向けて一致団結するブリリアンス型の組織風土を目指し、組織風土改革を進めましょう。
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執筆者情報
佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役
1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。
経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。
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