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株式会社武蔵野経営サポート事業部

MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/10/25 14:07

経営

マーケットインとは?プロダクトアウトとの違いやメリット・デメリットを解説

読了まで約3分

「マーケットインの考え方やプロダクトアウトとの違いを知りたい」「マーケットインのメリット・デメリットを理解したい」と考えている経営者の方や代表者の方は多いのではないでしょうか。
マーケットインを理解することにより、商品・サービス開発の課題が解決する可能性があります。

本記事では、最初にマーケットインの概要を説明した後、マーケットインのメリットとデメリット、プロダクトアウトとの比較について紹介します。
最後にマーケットインの成功事例も解説するので参考にしてください。

マーケットインとは

まずはマーケットインの考え方、および対義とされるプロダクトアウトとの違いについて解説していきます。
後述するマーケットインのメリットやプロダクトアウトとの比較を理解するためにも押さえてください。

マーケットインの考え方

マーケットインは顧客メインの販売戦略であり、ビジネスシーンで使われるマーケティング用語の一つです。
消費者のニーズを徹底的に理解して商品・サービスを開発するという考え方に基づいています。

マーケットインには、消費者が本当に求めている商品・サービスを開発し、求めている分だけ市場に提供するという特徴があります。
言い換えると「売れないものではなく、売れる可能性が高いものを作って提供する戦略」です。
そのためには、市場調査や顧客フィードバックの収集が重要になります。

後述するスマートフォンや朝専用の缶コーヒーなど、マーケットインの視点で成功した商品・サービスも多く、ビジネスの基本として理解しておきたい戦略です。

このようにマーケットインは、消費者中心のアプローチによって市場での成功を追求する戦略であり、要望・ニーズを的確に把握することがポイントと言えます。

プロダクトアウトとの違い

プロダクトアウトとは、企業の思想や技術に沿った商品開発のことです。
マーケットインは顧客・消費者をメインに据えた戦略でしたが、プロダクトアウトは企業側の考え方をメインとし、作りたいものや作れるものを基準に商品開発を行います。

マーケットインを重視した企業が増加傾向ではあるものの、プロダクトアウトが時代に適合していないわけではありません。
一般的に既存ニーズを捉える戦略はマーケットインですが、新規ニーズを開拓するのはプロダクトアウトという役割の違いがあります。

したがって、マーケットインとプロダクトアウトのいずれかに偏らず、双方のバランスを取ることが企業にとって重要と言えるでしょう。

 

マーケットインで期待できる3つのメリット

マーケットインで期待できるメリットとして以下の3つが挙げられます。

1. 顧客ニーズに合った商品を提供できる
2.
売上予測を立てやすい
3.効率よく商品開発できる

それぞれ解説していきます。

1. 顧客ニーズに合った商品を提供できる

マーケットインは事前に顧客ニーズを徹底的に調査する戦略です。
実際に顧客が必要としている商品や悩み解決につながるサービスを把握できるため、自社製品の企画開発や販売活動にフィードバックできます。

例えば資格試験の通信講座において、自社のラインナップにはないものの、ニーズが高い資格がほかにある場合、その資格の対策講座を作成して提供するという流れがマーケットインです。

顧客側としても、「欲しい商品を購入できた」という満足感を得やすいため、企業に対する信頼度の向上が期待できます。
その結果、新規客がリピーターになる可能性も高いでしょう。

2. 売上予測を立てやすい

マーケットインは最初に市場ニーズを把握した後、商品・サービスの開発や提供を行います。
したがって、ある程度までは売上予測を立てやすい戦略です。
商品開発の段階から一定の売上を見込めることは事業計画の作成にも役立ちます。

また、市場リサーチの結果に基づき、ターゲットとなる消費者の年齢層や居住地、性別などを予測できるため、効果的なマーケティング活動の展開が期待できます。

3. 効率よく商品開発できる

マーケットインは市場調査の結果をもとに商品開発を進める戦略です。
それにより、自社が選択すべき施策や開発目標をスムーズに設定できます。
試作費や広告宣伝費を必要な箇所に投下できるため、不必要なコストをかけずに効率的な商品開発が可能です。

例えば飲食業であれば、マーケットインによって「顧客が好む味」や「顧客が求めやすい金額」が分かるかもしれません。
その調査結果に沿った展開が現実的であれば、スムーズに商品開発しやすいでしょう。

 

マーケットインで起こり得る3つのデメリット

マーケットインで起こり得るデメリットには以下の3つがあります。

1.大ヒット商品が生まれにくい
2.競合他社が類似商品を開発する可能性がある
3.自社のブランドイメージが変わる可能性がある

それぞれ解説するので参考にしてください。

1. 大ヒット商品が生まれにくい

マーケットインでは顧客がイメージできる範疇の商品・サービスしか作り出せません。
リサーチをもとに商品開発を行うため、顧客の想像を超える商品や、インパクトを与えるサービスにはなりづらいのです。
イノベーションの創出につながる画期的な商品・サービスの開発も難しいでしょう。

したがって、大ヒットと呼ばれるような爆発的な売上は得づらいというデメリットがあります。

2. 競合他社が類似商品を開発する可能性がある

マーケットインは市場ニーズを重視しているため、オリジナルな技術が不要な製品開発につながる可能性があります。
そのような製品は他社も容易に開発・提供しやすいため、競合が増えるかもしれません。

さらに、他社が自社製品の弱みを克服した改良モデルを販売する可能性も考えられます。
その結果、自社よりも他社のほうが多くの売上を獲得するかもしれません。

このような問題に対処するには、一過性の商品開発に終わることなく、市場調査と分析を継続的に実施し、顧客ニーズに合致した製品に改良し続けることが大切です。

3. 自社のブランドイメージが変わる可能性がある

マーケットインの考え方に基づき、自社の優位点や技術力を発揮せずにニーズを優先した結果、ブランドイメージと異なる商品を開発・提供してしまうかもしれません。
自社のブランドイメージが変わることにより、リピート客が離れる懸念があります。

例えば、技術力と品質の高さに定評があるアパレル商品を提供し、顧客から支持を得ていたにもかかわらず、マーケットインを取り入れて「多少質を落としてでも簡単に開発できる商品を提供しよう」と考えたとします。

この場合、技術力と品質の高さを理由に購入していた顧客は、「今までのブランドイメージと変わってしまった」と失望して離れる可能性が高くなるでしょう。

 

マーケットインと比較してプロダクトアウトは時代遅れなのか?

プロダクトアウトよりもマーケットインを重視する企業が増えています。
消費者の選択肢が多い時代なので、「需要を外しては競争の舞台にさえ上がれない」と考えているためです。
したがって、マーケットインのほうが優位性は高いと考える企業が多いのでしょう。

では、プロダクトアウトの考え方は時代遅れなのでしょうか。
そうではなく、マーケットインも、プロダクトアウトも、両方のいいとこ取りがベターです。
マーケットインだけでは自社独自の技術が犠牲になりかねませんし、プロダクトアウトだけでは市場ニーズを捉えた製品の開発・提供という要素が薄くなります。

あくまでも企業の目的は、他社ではなく自社の商品・サービスを選んでもらうことです。
そのためにマーケットインとプロダクトアウト双方の視点から、自社の戦略を見直すことが大切と言えます。

 

マーケットインの成功事例

最後にマーケットインの成功事例として、スマートフォンと朝専用の缶コーヒーの事例を紹介します。
どちらも実際にマーケットインを導入する際のイメージにつながるので参考にしてください。

成功事例1.スマートフォン

iPhoneはプロダクトアウト型の製品でしたが、その後にさまざまな日本の企業がスマートフォンの開発に乗り出しました。
その根底にiPhoneの大ヒットを参考にしたマーケットインの考え方があると言われています。

iPhoneによってニーズが高いと示されたタッチスクリーンや、洗練されたデザインなどを基本とし、さらに追加機能を備えたスマートフォンを各企業が開発・提供した事例です。

成功事例2.朝専用の缶コーヒー

朝専用の缶コーヒーもマーケットインに基づく戦略です。
市場調査によって「ビジネスマンは朝の必需品として缶コーヒーを求める声が多い」と分かったため、朝専用の缶コーヒーが開発されたという経緯があります。

時間に追われるビジネスマンにとって、本格的なコーヒーを自宅で味わうのは現実的ではありませんでした。
ニーズがあるのは、仕事の準備をしながら手間暇かけずに飲める缶コーヒーだったのです。

朝の時間帯に合うコーヒーを開発するため、朝にサンプリングを実施したという綿密な調査もあり、顧客ニーズを捉えた大ヒット商品となっています。

 

商品開発はマーケットインとプロダクトアウトのバランスが重要

マーケットインは顧客ニーズを徹底的に理解し、商品やサービスを開発・提供するというビジネス上の戦略です。

マーケットインで期待できるメリットとして、顧客ニーズに合った商品の提供、容易な売上予測、効率の良い商品開発の3つがあります。
一方のデメリットには、大ヒット商品を生む困難さ、競合他社による類似商品の開発、自社のブランドイメージの変化があります。

マーケットインと対比する用語としてプロダクトアウトがあります。
プロダクトアウトとは、企業の思想や技術に沿った商品開発のことです。
大切なのは、マーケットインとプロダクトアウトのバランスを取りながら、自社の商品・サービスが顧客に選ばれるような戦略を立てることです。

マーケットインとプロダクトアウトを成功させるには、マーケティング部門だけでなく、全社的な取り組みとして実施する必要があります。
そのために効果的なのは、武蔵野が提供する経営計画書です。

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