更新日:2022/09/05 11:08
経営
マーケティングミックスとは?構成要素や活用するポイントを分かりやすく解説
読了まで約4分
マーケティングミックスとは、マーケティングにおいて具体的な実行施策を立案するための方法です。
マーケティングミックスを理解し施策の検討に取り入れることで、自社製品の強みや弱みを明確にし、戦略に即した効果の高い施策を策定できるようになります。
本記事では、マーケティングミックスの意味や代表的なフレームワーク、活用するポイントなどについて解説します。
目次
マーケティングミックスの意味とは
マーケティングミックスとは、様々なマーケティング施策を組み合わせることで、効果の最大化を目指す戦略です。
一般的に、マーケティングは次のような手順で進められます。
- 市場・競合・自社の観点から環境を分析し、機会を発見する
- STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)から戦略を立案する
- 戦略をもとに施策を策定する
- 実行と評価
マーケティングミックスは、主に3番目の「施策の策定」で活用されます。
戦略を実現するにはどのような施策が有効なのか検討するときに、複数の要素の最適な組み合わせを考えるマーケティングミックスが役立つためです。
組み合わせる要素を洗い出す際には、フレームワークが使われます。マーケティングミックスで使われるフレームワークとしては、「4P」と「4C」が挙げられます。
マーケティングミックス(4P)の構成要素
マーケティングミックスで用いられる代表的なフレームワークの一つが「4P」です。
4Pは、1960年代にアメリカのマーケティング学者であるエドモンド・J・マッカーシーによって提唱されました。
マーケティングにおいて検討すべき要素を、企業側の4つの視点を軸に分析するものです。
主に売り手側の目線で商品やサービスを販売するために使用されるフレームワークと言えます。
マーケティングミックス(4P)の構成要素は以下の4つです。
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- プロモーション(Promotion)
4つの視点について、以下で詳しく解説していきます。
製品(Product)
「製品」は、自社の商品やサービスにおける製品戦略のことです。製品のコンセプトや製品価値とも言い換えられるでしょう。
具体的には、商品本体や機能、造形や色味などのデザイン、パッケージの素材や見た目、商品を使うにあたってのサポートや保証などが含まれます。
ほかにも、ソフトウェアやオンラインサービスのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)なども該当します。
価格(Price)
「価格」は、商品やサービスの価格設定です。
提供している製品価値に対して、価格設定が適切かどうか、消費者にとっての価値が最大化されるのはどのくらいの価格帯なのかを検討する工程になります。
価格設定は安ければ安いほどいいというわけではありません。
例えば、高級路線の製品戦略をとっている場合、価格設定があまりに安すぎると、顧客が品質に不安を抱いてしまうこともあるのです。
顧客のニーズや製造コスト、競合の動向などを考慮しながら期待する利益が確保できる価格を設定します。
流通(Place)
「流通」は、商品やサービスを流通させる市場やチャネル、販売経路や手段などです。
インターネットが発達した現代では、無数の販売チャネルが存在します。現物を店頭販売するだけでなく、大規模なECプラットフォームを利用して広く流通させたり、自社のECサイトのみで限定的に販売したりすることも可能です。
販売する市場やチャネルの選択肢は、大まかに以下の4つに分類できます。
- チャネルを限定せず、広範囲に流通させる
- 特定のチャネルで限定的に流通させる
- 特定のチャネルで独占販売する
- 状況によって複数チャネルを使い分ける
ブランディングや販売規模によって、適切なチャネルを選択することが大切です。
プロモーション(Promotion)
「プロモーション」は、商品やサービスの存在や特徴、魅力をターゲットに知らせ、購入を促進したり、ファンを育成したりする活動のことです。
広告の出稿や広報活動、SNS、キャンペーンの実行などが該当します。
最近では、マスメディアだけでなくSNSや大規模ECプラットフォームの利用など、メディアも多様化しています。
広く宣伝して社会的な知名度を高めるだけでなく、自社のターゲット層がどのようなメディアを利用しているのか研究し、効率的に接触機会を創出できるメディアを選択することが重要です。
マーケティングミックス(4C)の構成要素
4Pと並んで代表されるフレームワークが「4C」です。
4Cは、1990年代にアメリカの経済学者であるロバート・F・ラウターボーンによって提唱されました。
ロバートは、インターネットの発達により多様なオンラインサービスやソフトウェアが登場したことで「マーケティング施策の策定において必ずしも4Pが適合しなくなっている」と感じたことから、新しいフレームワークを開発したのです。
4Pが企業側の視点を用いるのに対し、4Cでは消費者側の4つの視点を軸に分析を行います。
- 価値(Customer Value)
- コスト(Cost)
- 利便性(Convenience)
- コミュニケーション(Communication)
価値(Customer Value)
4Cにおける「価値」とは、商品やサービスに対して顧客が個人的に感じる価値のことです。
「使いやすい」「安い」「軽い」といった製品の性能や価格、メリットに関することだけでなく「かっこいい」「愛着が湧く」「このブランドが好き」といった主観的な価値も該当します。
つまり、自社の製品が顧客にとってどう重要なのか、どの部分が魅力を生み出しているのか理解することが重要なのです。
製品を購入すると顧客がどのような体験価値やベネフィットを得られるのかを深掘りし、言語化する必要があります。
コスト(Cost)
4Cにおける「コスト」とは、製品の価値に対して顧客が負担してもいいと感じる妥当なコストを指します。
価格だけでなく、店舗までの移動やECサイトの会員登録など、購入のために発生する手間や時間も「コスト」に含まれます。
顧客が製品に対して大きな価値を感じていれば、多少の手間があっても購入を実行してくれるでしょう。
一方、さほど価値を感じていない場合、手間が多いと面倒に感じられ、途中離脱が発生してしまいます。
購入までのステップが多すぎないか、プロセスが複雑でないかなど、消費者の目線で検討を重ねる姿勢が重要です。
利便性(Convenience)
「利便性」は、商品やサービスの入手しやすさです。
実店舗だけでなくオンラインでも購入が可能か、在庫が十分で入手しやすいか、問い合わせの導線はわかりやすいかといった点が検討項目になります。
例えば、普段から利用しているコンビニエンスストアで毎日のように目にする商品なら「試しに買ってみようか」と手に取ってもらえる可能性が高まります。
反対に、欲しいと思っていた商品でも常に在庫切れで入手が困難な場合、顧客は途中で諦めてしまう可能性があるでしょう。
この視点はBtoBマーケティングでも同様と言えます。
問い合わせや決済のプロセスに不便があると離脱のリスクが高まるため、プロセスの簡略化やカスタマーサポートの強化などが必要です。
コミュニケーション(Communication)
「コミュニケーション」は、問い合わせ窓口やWebサイトのFAQ、メルマガ、展示会など、顧客との接点になり得る要素です。
以前はテレビや新聞などのマスメディアによる一方的な情報伝達が主流でしたが、近年では双方向のコミュニケーションが重視されるようになっています。
特に、LINEやTwitterなどのSNSを活用したやりとりは多くの企業が取り入れています。
コミュニケーションを強化すると顧客との関係性が構築され、自社や製品のファンの育成にもつながるでしょう。
マーケティングミックスを活用する4つのポイント
マーケティングミックスを活用し、戦略を実現してマーケティングを成功させるにはどのような方法があるのでしょうか。
マーケティングミックスにおける4つのポイントを紹介します。
4Pと4Cを組み合わせて活用する
4Pと4Cは、どちらか一方を選択して実行するのではなく、どちらも取り入れて使い分けることで効果を最大化できます。
例えば、マーケティングにおける具体的な実行施策を検討するときは、企業視点から各要素を検討する4Pが適しています。
一方、商品価値を高めたり、販売市場を拡張したりすることが目的となる場合には、顧客視点を取り入れる4Cが最適です。
このように、4Pと4Cは併用することで抜け漏れなく施策を検討できます。
順序としては、4Cを先に検討してから4Pに移行する形が一般的です。
顧客視点から製品価値を深掘りし、それをどのように訴求するかという流れで検討を進められます。
構成要素のバランス・相乗効果を考える
4Pや4Cによって検討した各要素のバランスがとれているか、要素の相乗効果があるかを考慮することも大切です。
例えば、こだわりの材料を使った高級路線の商品を開発し、ブランド戦略に則って価格帯も少し高めに設定したとします。
その商品が多くの人の目に触れ、手軽に入手できるようにしたいと考え、住宅街にあるスーパーで販売したらどうでしょうか。
顧客の利便性は向上しているのかもしれませんが、店舗のニーズと商品のターゲット層がマッチしておらず、売上につながらない可能性が高いです。
洗い出した各構成要素が軸となる戦略に見合っているか、施策全体で統一がとれているかを確認するようにしてください。
STP分析を組み合わせる
施策の検討に入る前に、STP分析を行うと自社の現状や立ち位置を正確に把握することができます。
STP分析とは、次の3つの要素から自社を分析する方法です。
- セグメンテーション(Segmentaiton):市場の細分化
- ターゲティング(Targeting):ターゲット市場の決定
- ポジショニング(Positioning):市場における自社の優位性の設定
STP分析を行うと、ターゲティングや自社の強み・弱みが明確になり、適切な戦略を立てるのに役立ちます。
STP分析によって基盤となる戦略を強固にすることで、マーケティングミックスにおいて具体的な実行施策を策定できるようになるのです。
BtoBでは5Pも構成要素に加える
4Pに「人(Person)」を加えた「5P」を用いた分析も効果的です。
「人」には、商品やサービスを売り買いする社員や顧客だけでなく、ステークホルダーも含まれます。
製品の開発や販売は自社だけで完結するものではなく、取引先や株主など様々なステークホルダーが関わります。
そのため、ステークホルダーの利害も見直す必要があったことから「5P」が登場したのです。
特に、BtoBマーケティングでは製品価値や市場・ターゲットの設定だけでなく、ステークホルダーの視点でも検討を進めるべきでしょう。
分析において「5P」を用いると、さらに製品の満足度を高められます。
マーケティングミックスを事業戦略や施策に活用しよう
マーケティングミックスは、マーケティングにおける具体的な実行施策を策定するための手法です。
4Pや4Cによって洗い出した各要素を組み合わせることで、実効性の高いマーケティング施策が立案できます。
施策を検討する際は各要素を単体で見るのではなく、組み合わせの整合性や相乗効果を考えることが重要です。
基盤となる戦略に反していないか、打ち消し合うような組み合わせになっていないかに注意しながら、施策の検討を進めましょう。
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