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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/07/11 16:57

評価制度

働き方

能力主義とは?意味やメリット・デメリットをわかりやすく解説

読了まで約3分

「能力主義の定義を知りたい」「能力主義を取り入れるメリットや注意点を把握したい」と考えている経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。

社員の評価制度を見直し、より成果を追求する方法として能力主義は効果的です。
しかしメリットとデメリットを正しく理解したうえで、「自社で能力主義を採用するかどうか」を検討する必要があります。

本記事では、最初に能力主義の概念を説明した後、能力主義のメリットとデメリット、成果主義との違いなどを詳しく解説していきます。

能力主義とは

能力主義とは、学歴や年齢などではなく、業務を処理するうえで必要な能力に着目する評価制度です。
能力として知識、勤勉さ、業務への姿勢が含まれる以外にも、成果に至るプロセスが対象になるケースがあります。

客観的に評価できる能力もあれば、評価者の主観に頼らざるを得ない能力もあります。
ただし主観的な要素でも、会社が求めるレベルを定義することにより、ある程度までは客観的な評価が可能です。

 

能力主義のメリット

ここでは能力主義の特徴を理解するため、以下3つのメリットについて解説します。

  • 優秀な人材を確保しやすい
  • 必ずしも成果と比例せず評価される
  • 生産性アップや定着率改善が期待できる

優秀な人材を確保しやすい

能力主義は成果よりも能力重視で採用できるため、ポテンシャルの高い人材を集めやすいというメリットがあります。

たとえば資格試験の対策スクールの例で考えてみましょう。
後述する成果主義の場合、コマ数(講義数)が評価基準の1つになります。
宅建試験なら宅建専任講師、行政書士試験なら行政書士専任講師が、「どれだけ多くコマ数に対応できるか」によって評価が決まりやすいということです。

一方の能力主義の場合、単にコマ数だけでは評価されず、多数の資格を教えられるかどうかが評価基準の1つになります。
宅建だけでなく、行政書士、社労士など、様々な種類の講義を受け持つことができれば評価されやすいということです。

このように能力主義は、潜在的に優秀な人材を集めやすいといえます。

必ずしも成果と比例せず評価される

成果主義であれば、成果(結果)を出さないと評価されません。
一方、能力主義であれば、成果が伴わなくても能力に応じて評価されるケースがあります。

たとえば、スキルの高い人材がシステム開発部で働いていたとしましょう。
その後、異動によって別の部署に配属され、最初は成果を上げられなかったとします。
この場合、成果主義であれば評価が下がりますが、能力主義では「元々のスキルの高さ」があるため、評価が下がりづらいということです。

成果にこだわらなければ、新規事業や長期事業に関わりやすいという点も魅力です。

生産性アップや定着率改善が期待できる

能力主義は知識やスキルを高めることで評価されるため、社員は自己研さんに励み、意欲を保ちやすいといえます。
結果的に生産性の向上や離職防止が期待できるでしょう。

たとえば成果主義の場合、勤務態度が悪く不真面目な営業社員でも、数字を残せば評価されます。
一方の能力主義では、勤務態度のよさや真面目さも評価されるということです。

短期的に考えれば、勤務態度に問題があっても数字を残せる社員のほうが貢献しているかもしれません。
しかし中長期的に考えると、不真面目さによって顧客からクレームを受ける可能性がありますし、他の社員にとってマイナスの存在になりかねません。

一方、勤務態度がよい社員は顧客から信頼されやすいため、会社全体の信頼性と生産性がアップし、真面目な姿勢によって他の社員にプラスの影響を与えやすいでしょう。

 

能力主義のデメリット

能力主義にはメリットがある一方、デメリットも存在します。
ここでは「評価基準の設定難易度の高さ」「終身雇用が前提」という2つのデメリットについて解説します。

評価基準の設定難易度が高い

能力主義の評価基準には「業務への姿勢」や「勤勉さ」「成果が発生するまでの過程」のように客観的な判断が難しい要素が含まれます。
そのため能力主義では、公正な評価基準を設定しづらいというデメリットがあります。

たとえば、「部下が仕事に前向きかどうか」は上司の捉え方次第で異なるかもしれません。
お気に入りの部下への評価が甘くなることもあるでしょう。
その場合に、他の社員が不公平感を感じた結果、離職率が上がるリスクも考えられます。

能力主義を適切に進めるには、評価者の育成と研修が重要といえます。

終身雇用が前提となる

能力主義は職能給で評価されます。
社員が育つまでは実際の働きよりも低い賃金を支払い、育った後に高い賃金を支払うという流れが一般的です。
途中で退職した場合、今までの働きがリセットされるという不利益があったため、かつては最初に就職した会社で社会人生活を全うする人間が多かったのです。

つまり能力主義(職能給)は、生涯労働でバランスを保つ終身雇用制度が主流であり、過去の日本の労働環境に見合った制度とも受け取れます。

短期間で転職を考える社会人が多い現代では、やや見合わない制度という点がデメリットになり得るでしょう。

 

成果主義との違い

能力主義と成果主義には「年齢や学歴に関わらず評価する」という共通点があるものの、相違点も存在します。

前述したように能力主義における能力は、必ずしも具体的な成果に限りません。
業務を遂行するうえで有用な知識、技術、姿勢なども含まれます。
一方で成果主義における成果とは、基本的に個人の業績に直結するものです。

また、能力主義は係長、課長、部長などの役職やポジションによっても評価されやすい制度です。
一方の成果主義は社内における立場よりも、「どのような業績を残したのか」「どのくらい高いパフォーマンスを発揮したのか」を重視します。
入社から間もない社員でも、結果を残せば評価されやすい制度といえます。

このように能力主義と成果主義では、評価の判断基準に違いがあります。

 

成果主義のメリット

ここまで能力主義のメリットとデメリット、成果主義との違いについて説明しましたが、より能力主義を理解するためにも「成果主義のメリット」を解説します。

具体的なメリットには以下があります。

  • 年功序列(年功主義)からの脱却
  • モチベーション向上
  • 人材育成・採用

年功序列(年功主義)からの脱却

年功序列制度では、勤続年数に応じて給与・賞与のアップや昇進を行います。
1960〜70年代の高度経済成長期に生まれた制度であり、労働力の安定的な確保という観点から多数の会社が採用していました。
しかしバブル崩壊と日本経済の長期低迷により、年功序列制度の維持が難しくなったという経緯があります。

成果主義を導入することで年功序列から脱却しやすくなります。
成果主義は勤続年数ではなく、生産性や数字をベースに評価するためです。
つまり「同じ会社で働けば働くほど評価されやすくなる」という年功序列とは大きく異なるため、成果主義の採用が効果的と考えられています。

モチベーション向上

成果主義は明確な評価を得られるので目標を立てやすく、仕事のやりがいや自己実現感がアップします。
意欲的かつ自発的に行動する社員も増えるでしょう。
その結果、社員個人のモチベーションだけではなく、会社全体のモチベーションが向上する効果も期待できます。

逆に仕事で結果を残しても評価されなければ、社員は前向きな姿勢を保ちづらいものです。
「努力してまで会社に貢献しなくてもいい」と考えた結果、現状維持で満足する社員が増加し、会社全体のモチベーションは低下します。

人材育成・採用

成果主義は優秀な人材を確保しやすいというメリットがあります。
「会社に貢献した分はしっかり評価されたい」と考える傾向があるからです。
自身のスキルを最大限に発揮できる職場を求めている優秀な人材にとって、成果主義は魅力的な要素に映ります。

逆に年功序列制度を採用している会社の場合、優秀な人材は「個人で業績を上げても昇給や昇進が難しい」と考えるため、選ばれる可能性は低くなります。

 

成果主義のデメリット

成果主義のメリットを説明しましたが、反対にデメリットも存在します。
ここでは「公平な評価の難しさ」と「離職率の高さ」というデメリットについて解説します。

公平な評価が難しい場合がある

能力主義と同様に、成果主義も公平な評価が難しいケースがあります。
たとえばマーケティング部や営業部は数字で成果を把握できますが、コンプライアンスを担う法務部や、長期間の研究が必要な部門では成果を測定することが難しいでしょう。
そのため「どのような成果を対象にするのか」を部署ごとに検討し、公正性を保つことが大切です。

離職率が高い傾向

成果主義の導入によって短絡的な成果を求められた社員が疲弊し、離職するリスクが考えられます。
離職者が増えれば、基本的に社員1人当たりの業務負担は増加するため、さらに離職率がアップして負のスパイラルに突入する懸念もあるでしょう。

離職者が増えれば会社の求人コストも増加するため、成果を出せない社員へのフォロー体制や、人材育成システムの構築が重要です。

 

能力主義・成果主義の概要を理解して制度を見直そう

能力主義とは、成果よりも能力に着目した評価制度です。
メリットとして「優秀な人材の確保」「生産性アップと定着率の改善」などがあり、デメリットには「評価基準の設定難易度の高さ」「終身雇用が前提」があります。

能力主義とよく比較される評価制度が成果主義です。
成果主義のメリットには「年功序列(年功主義)からの脱却」「モチベーション向上」「人材育成・採用」があり、デメリットには「公平な評価の難しさ」と「離職率の高さ」があります。

能力主義と成果主義の大きな違いは「評価の判断基準」ですが、自社に能力主義があっているかどうかに関しては、外部の専門機関に相談するとよいでしょう。
武蔵野では様々なコンサルティングを実施していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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