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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2023/06/22 15:07

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ポジティブアクションとは?推進される背景やメリット・取り組み方をわかりやすく解説

読了まで約4分

 「ポジティブアクションについて詳しく知りたい」「ポジティブアクションのメリットやポイントを理解したい」と考えている経営者や会社代表者も多いのではないでしょうか。

この記事では、ポジティブアクションの概念やメリット、問題点、取り組み方のステップなどを解説します。
ポジティブアクションを推進している企業の事例についても紹介するので参考にしてください。

ポジティブアクションとは

まずはポジティブアクションの意味、目的、推進される背景、アファーマティブアクションとの違いについて解説します。

ポジティブアクションの意味

ポジティブアクションとは、雇用における男女格差を解消し、女性が活躍できるフィールドを広げるための企業の取り組みを意味する言葉です。
たとえば「女性の管理職の割合が男性よりも低い」「男性社員をサポートする業務にのみ女性社員がついている」などの格差があると考えられています。

また、ポジティブアクションは厚生労働省を中心とした行政機関で推進されています。
女性と男性が平等に能力を発揮できる体制を整備し、各企業にとって最適な人材の確保や生産性の向上などにつなげるという思考に基づくものです。

ポジティブアクションの目的

ポジティブアクションの目的として、男女平等に活躍できる社会の実現があります。
働く女性が増えても活躍の場が平等に与えられているとは限りません。
役職の違いからくる賃金格差や、必ずしも平等とは言い切れない業務内容など、さまざまな問題が発生していると考えられています。
このような問題を解決するには、単に女性の雇用率を引き上げるだけでなく、女性が活躍できる社会の実現が重要です。

ほかにもポジティブアクションには、実質的な機会均等と多様性を確保し、企業のさらなる発展につなげるという目的もあります。
社員が適材適所で十分に能力を発揮できれば、生産性の向上や新しいビジネスモデルの創出など、日本経済が活性化する可能性が高くなるでしょう。

【厚生労働省】ポジティブアクションが推進される背景

ポジティブアクションが推進される背景として、「そもそも女性の正社員が少ない」「管理職に占める女性の割合が少ない」など、女性が能力を発揮できていないという課題の解決があります。

1979年に国連総会で採択された「女子差別撤廃条約」を批准するため、日本では「男女雇用機会均等法」が1986年に施行されました。
ただし「男女雇用機会均等法」は雇用の機会に限られており、管理職や部門ごとの男女数の差については規定されていません。

日本の課題に労働力人口の減少があるため、女性の社会進出は重要と考えられています。
しかし欧米では3割を超える女性管理職の割合が日本では1割程度と低い水準に止まっています。

出典:ポジティブアクションとは|厚生労働省

アファーマティブアクション(Affirmative Action)との違い

「ポジティブアクション」と似た用語に「アファーマティブアクション(Affirmative Action)」があります。

アファーマティブアクションとは、マイノリティと呼ばれる人々の教育に関する差別をなくす取り組みを指し、マイノリティには女性も含まれると考えられています。

海外では、ポジティブアクションとアファーマティブアクションを同義で捉えている傾向があります。
その一方、日本では「女性労働者の改善措置=ポジティブアクション」として前面的に打ち出している状況です。

 

企業がポジティブアクションを推進するメリット

企業がポジティブアクションを推進するメリットとして、企業イメージの向上、生産性とモチベーションのアップ、多様な価値観の創造の3つがあります。
それぞれ解説していきます。

企業イメージの向上につながる

ポジティブアクションを推進する企業は、「男女間の差を解消し、社員の能力を均等に発揮させるための試みを行っている」と掲げることができます。
管理職や正社員の大多数が男性の企業と女性が活躍している企業では、必然的に後者の印象のほうがよいでしょう。
その結果、企業イメージの向上につながり、株主、取引先、新卒採用・転職市場などへのアピールが可能になります。

生産性やモチベーションの向上につながる

それぞれの能力が正当に評価されることにより、女性社員だけではなく男性社員の刺激にもなるため、男女ともに仕事への意欲がアップする効果が期待できます。

また、ポジティブアクションを通じて問題点を見つけやすくなり、業務改善に役立ちます。
たとえば従来の業務フローを改善し、女性にとって仕事を進めやすい体制を構築することは生産性の向上につながるでしょう。

また、ポジティブアクションを推進して福利厚生や待遇制度を見直すことにより、社員全体の労働意欲やモチベーションの向上が期待できます。

多様な価値観の創造が期待できる

多様な人材を活用できる社内制度の確立は、多様な価値観の創造につながります。
たとえば商品開発において、男女双方の思考や感覚を積極的に取り入れることにより、商品のターゲット層に合ったヒット商品の開発が期待できます。

さまざまな層の社員からアイデアを採用することで、世間のニーズによりマッチした商品やサービスの創造にもつなげられるでしょう。

 

ポジティブアクション推進の問題点

ポジティブアクションの問題点として、女性の雇用を優遇し過ぎた場合に男性の雇用が減ってしまうことが挙げられます。

また、女性の採用を最優先に考えて生産性が落ちたり、組織内に不協和音や不平等な状態が生まれた結果、男性社員から不満が出るというリスクも考えられるでしょう。

ポジティブアクションを推進する際は女性社員への配慮だけでなく、男性社員の立場や雇用への配慮も必要です。

 

ポジティブアクション取り組み方のステップ

ポジティブアクションへの取り組み方として「経営陣による意思決定」から「振り返りと改善」に至るまでの流れを解説していきます。

1.経営陣による意思決定

事前に経営陣が意思決定し、社内に宣言したうえでポジティブアクションを始めることが大切です。

ポジティブアクションが円滑に機能するかどうかは経営陣の姿勢に左右されます。
経営陣が女性の活躍の重要性を理解し、本気で取り組むことによって、はじめて全社的に浸透する見込みが生まれるからです。

企業としてポジティブアクションに力を入れることが社内に浸透すれば、現場も推進しやすくなるため、スムーズにプロジェクトが前に進みます。

2.問題点の洗い出しと課題の設定

経営陣の意思決定後、社内の現状を分析して問題点を洗い出します。
そのためにさまざまな立場の従業員からヒアリングを行うことが重要です。
正社員や契約社員だけでなく、アルバイト、パートといった非正規雇用の従業員も対象に含めることにより、自社に関する客観的なデータを収集できます。

データ収集の具体的な方法は、個別面談、社内アンケート、グループディスカッションなどです。
その後に問題点を見極めたうえで課題を設定します。

3.目標の設定

課題を明確にした後、目標設定に移行します。
その際は結果にフォーカスし、具体的に言語化することがポイントです。
たとえば以下のようなケースが考えられます。

  • 女性社員の数が少ない

自社の雰囲気や社風に問題がないかどうかを考えて見直す。
その後に女性を増員するための採用を行う。

  • 女性社員の離職率が高い

法律で定められている産休・育休制度以外にも、自社独自の福利厚生を充実させる。
結婚後も安心して働けるようにフレックスタイム制やリモートワークなどを導入する。

4.施策の推進

設定した目標に沿った施策を進めます。
その過程で新たな課題が見つかった場合は、柔軟に計画を修正しながら進めましょう。
課題から目を背けると修正が難しくなります。
そのまま新たな課題が定着するリスクがあるからです。

特に施策を推進するメンバーに男性が多い場合、女性側の意見が少ないため、より客観的な視点が必要です。

5.振り返りと改善

施策を推進しながら一定期間ごとに振り返りを行います。振り返りのポイントは成果と変化です。
「どのような成果が生まれているのか」「どのような変化が起こっているのか」を効果測定することでデータが蓄積されます。
そのデータから改善点を洗い出し、施策に反映させることにより、ポジティブアクションがスムーズに機能するでしょう。

 

ポジティブアクション推進のポイント

ポジティブアクション推進のポイントは「環境の整備」です。
どのような環境を整備するのかについて具体的に解説します。

社内風土を改善するための環境を整える

男女で差が生まれるような古くからの社員制度を払拭するために経営陣の理解を得る必要があります。
まずは社内で権威がある人物がリーダーシップを発揮して、風土の改革や改善へと導くことが大切です。
その際は「なぜポジティブアクションが必要なのか」や「女性の活躍による客観的な効果」などをデータで示し、経営陣に伝える必要があります。

女性社員が意識改革できる環境を整備をする

ポジティブアクションの主役である女性社員の意識改革も大切です。
女性が活躍できる仕組みが整ったとしても将来のライフワークバランスなどに不安を抱えたままでは、ポジティブアクションの真の成果は見込めません。

そのような事態を防止するには、人事や上司による支援が必要です。
たとえば、女性社員に対して明確なキャリアビジョンを示すことや、具体的に担当業務の幅を広げるなどの取り組みが効果的です。

 

ポジティブアクションを推進している企業の事例

ポジティブアクションを推進している企業の事例を紹介します。

情報通信業の事例

ある情報通信業では、採用拡大、管理職登用、職場環境・風土の改善の3つの取り組みを行っています。

具体的な内容として、採用拡大では面接の場への女性参加が挙げられます。
管理職登用では女性社員のキャリアアップ講習への積極的な参加や、管理職に適した女性の積極的な登用などが挙げられます。
職場環境・風土の改善では、幹部と女性スタッフのミーティングや生活上の問題点に関するサポート体制などです。

得られた効果として、 営業、企画立案、制作まですべてを担う女性中心の部門では、顧客ニーズにあった事業展開をしており、売上目標達成率はトップを誇っています。

出典:ポジティブ・アクションの取組事例集|厚生労働省

卸売・小売業の事例

ある卸売・小売業では、採用拡大、職域拡大、管理職登用、職場環境・風土の改善の4つの取り組みを行っています。

具体的な内容として、採用拡大では意欲・能力に応じた男女差別のない採用があります。
職域拡大では重点課題や業績目標を設定したうえで、職務を遂行する仕組みの構築が挙げられます。
管理職登用では上期・下期ごとの販売チーフの任命などです。
職場環境・風土の改善では、1カ月の変形労働時間制、みなし労働制、フレックス制度の導入などが挙げられるでしょう。

得られた効果として、女性の能力を促し、働きやすい職場づくりに尽力した結果、職場全体の志気が向上しています。

出典:ポジティブ・アクションの取組事例集|厚生労働省

 

ポジティブアクションを推進するには社内の環境整備が必要

ポジティブアクションとは、女性が能力を発揮して活躍できる領域を広げるための企業の取り組みです。
推進するメリットには企業イメージの向上、生産性とモチベーションのアップ、多様な価値観の創造の3つがあります。

実際にポジティブアクションを導入するには、経営陣による意思決定、問題点の洗い出しと課題の設定、目標の設定、施策の推進、振り返りと改善という流れで進めましょう。

なお、ポジティブアクションを推進するには社内の環境整備が必要です。
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