更新日:2023/08/25 14:12
採用
採用基準とは?見直しが必要なケースや設定方法・人材を見極めるポイントを解説
読了まで約4分
「自社の採用基準を見直したい」と考えている経営者や代表者の方も多いのではないでしょうか。
採用基準が不明瞭なままでは、自社に見合った人材を採用できない可能性があります。
本記事では、最初に採用基準の概要を説明した後、見直しが必要なケースや設定方法、採用基準から人材を見極めるポイントなどを解説します。
本記事を読むことで採用基準を設定する重要性や注意点などを理解できるでしょう。
目次
採用基準とは
まずは採用基準の概要を説明します。重要性、目的、新卒と中途採用の採用選考基準の順に解説するので参考にしてください。
採用基準の重要性
採用基準(評価基準)とは、候補者を採用するかどうかを判断する指標をいいます。
採用基準は自社にとって最適な人材を採用するために重要な指標です。
採用のミスマッチを減らす効果も期待できます。
人材採用時の判断は面接官によって異なるため、明確な採用基準がないと合否判断が遅れる可能性があります。
しかし採用基準があれば、適切に候補者を評価するための選考基準が明確になるため、合否の判断を素早く行えるでしょう。
また、採用基準によって無駄な選考フェーズを減らせるため、プロセスの効率化につながります。
採用基準の目的
採用基準の目的は、候補者の公平かつ適正な評価です。
複数の面接官が1人の候補者を審査する場合、共通した評価基準があれば主観による判断を避けられます。
なお、主観による評価の例として、ハロー効果、類似性バイアス、対比誤差があります。
ハロー効果とは、候補者の学歴や経歴が優れていたり、話し方や表情が目立っていたりすると、ほかの部分まで優秀だと信じ込む効果のことです。
類似性バイアスは自分と似た要素がある人材を過剰評価する傾向を指し、対比誤差は直前の候補者と比較して優れているかどうかを判断する傾向をいいます。
評価基準があれば客観的な判断が可能になるだけでなく、スムーズに評価を下せるため、候補者に対して素早く採用の可否を伝えることができます。
新卒と中途採用の採用選考基準
新卒と中途採用の選考基準には違いがあります。
新卒採用で求められる主な基準は以下です。
・コミュニケーション能力
・主体性
・チャレンジ精神
上記を図るために、仕事への熱意や向上心、協調性、誠実さを判断できる質問を行うことが大切です。
新卒採用はポテンシャルを評価するケースが多いでしょう。
次に中途採用の主な選考基準は以下です。
・専門分野の知識とスキル
・仕事経験の豊富さ
・応募に至った背景
上記を図るために、業務経験と社会人経験の深掘り、退職理由・転職理由などの質問を行います。
なぜなら中途採用は即戦力を求めるケースが多いからです。
採用基準が明確化していないことで企業に起こり得る問題
採用基準が明確になっていない企業に起こり得る問題に以下があります。
・早期離職の確率を高める
・人事・現場・役員のミスマッチが生じる
それぞれ解説するので参考にしてください。
早期離職の確率を高める
採用基準が不適切な場合、早期離職の確率が高くなります。
例えば新卒採用の面接において、候補者が自身のポテンシャルを評価してもらおうと、必要以上に明るいキャラクターを演じることがあります。
そのような意趣を理解しないまま採用した場合、入社後に社風や業務が合わなかったり、新入社員が素を出せず苦しくなったりと、早期退職につながる懸念があります。
また、企業側が求めるスキルと候補者のスキルに差があるにもかかわらず、主観的な印象で高評価を下して採用した場合、中途採用であっても早期離職につながるかもしれません。採用後に候補者が仕事についていけない可能性があるからです。
面接という限られた時間の中で候補者を判断するには、明確な採用基準が必要になります。
人事・現場・役員のミスマッチが生じる
採用基準が明確になっていない場合、現場と人事の採用基準にミスマッチが生じやすくなります。
それによって採用の通過率が悪くなる懸念があります。
例えば「業務経験が必須」という採用基準がなかった場合、現場としては経験豊富な人材を希望しているものの、人事側は中長期的な視点での採用を考えるかもしれません。その場合、現場と人事で大きなギャップが発生することになります。
通過率が低すぎる場合は母集団形成からやり直す必要があり、採用プロセスの効率が悪化するでしょう。
そのようなギャップを防ぐためにも、明確な採用基準が必要です。
採用基準の見直しが必要なケースとは
採用基準の見直しが必要なケースに以下があります。
・評価が曖昧で明確な採用基準がない
・採用基準が高く選考通過者が少ない
それぞれ解説していきます。
評価が曖昧で明確な採用基準がない
採用基準が不明確なままだと、面接官によって評価にばらつきが生じます。
その結果、自社に必要な人材が不採用になるだけでなく、自社の社風に合わない人材が採用される懸念があるため、採用基準の見直しが必要です。
例えば自社が社員からのアイデアを積極的に採用する社風にもかかわらず、消極的な人材ばかりを採用している場合、採用基準が適切に機能していない可能性が高いでしょう。
すでに採用基準が社内にあったとしても、実情に合っていないケースもあれば、面接に反映されていないケースも考えられます。
そのような問題を解決するには、あらためて採用基準を見直し、現状に合わせることが重要です。
採用基準が高く選考通過者が少ない
転職市場を考慮せずに採用基準が高すぎる場合、本来は自社で能力を発揮できる人材が不採用になっているかもしれません。
そのような人材が同業他社で採用されれば、自社にとっての機会損失につながります。
そのため、採用基準が募集要項に見合っているかどうかや、求人項目が細かくなりすぎていないかどうかといった観点からの見直しが必要になります。
仮に「自社の採用基準が高すぎる」という意識がない場合も、今までに評価基準を見直す機会がなかった場合、やはり転職市場と乖離している可能性があるため見直しの検討が必要です。
採用基準を設定する方法・手順
採用基準を設定する一般的な手順は以下です。
1.採用目的の明確化
2.現場からの情報収集
3.コンピテンシーの明確化
4.基準項目の設定
5.優先順位や選考段階ごとの基準を設定
まずは自社に見合った人材を採用するために目的を明確にします。
ポテンシャルを秘めた第二新卒、実務経験豊富な即戦力といった具体的な人物像です。
次に現場から情報収集を行います。
各部門が希望する人材のスキル、経験、性格などの詳細を聞くようにしましょう。
その後にコンピテンシーを明確にします。
コンピテンシーとは、高いパフォーマンスを発揮している社員に共通している行動特性です。
コンピテンシーを把握することにより、自社で活躍を見込める人材のイメージが固まります。
以上の項目を洗い出した後、採用基準の項目を設定します。
「自社の専門領域を充実させるために、実務経験が豊富な人材を採用する」といった明確な基準です。
その後に優先順位や選考段階ごとの基準として、必須条件と十分条件、優先順位などを設定します。
採用基準を設定する際の注意点
採用基準を設定する際の注意点として、就職差別とみなされる内容は避けなければなりません。
例えば以下の内容を応募用紙やエントリーシートに記入させたり、面接時に質問したりすると就職差別につながるおそれがあります。
・本籍・出生地に関する内容
・家族の職業・賊兵・健康・病歴など
・住宅の間取りや部屋数など
・生活環境・家庭環境に関すること
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観・生活信条に関すること
・尊敬する人物や思想に関すること
・労働組合や社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書に関すること
他にも、採用選考の方法として身元調査の実施や、合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施などに関しても避けなければなりません。
採用基準から人材を見極めるポイント
採用基準から人材を見極めるポイントとして、適性検査と書類選考・面接があります。
それぞれ説明するので参考にしてください。
適性検査
適性検査を実施することで企業と候補者のミスマッチを防ぎやすくなります。
見極め方のポイントとして、候補者のスキル以外に内面や価値観が重要です。
例えばリーダーシップや協調性を評価することにより、自社に合っている人材かどうかや、スムーズにコミュニケーションを取れる人材かどうかがわかります。
ストレス耐性を検査すれば、プレッシャーを受けながら適切に判断できる人材かどうかも見極められるでしょう。
適性検査を実施するタイミングは各企業によって異なりますが、書類選考と同時に行うことにより、面接時に適切な判断をしやすくなります。
書類選考・面接
明確な採用基準があれば、書類選考からスムーズに進められます。
見極め方のポイントとして、評価基準に基づいた質問事項があります。
応募書類の中で質問事項に回答してもらうことにより、自社に合った人材かどうかを判断しやすくなります。
書類選考に合格し、面接に進んだ候補者に対しても採用基準があれば円滑な質疑応答が可能です。
見極めるポイントとして、例えば候補者の協調性を重視している場合、質問に対する反応スピードや表情などから評価しやすくなります。
このように明確な採用基準があれば、淀みなく書類選考や面接を進められるでしょう。
採用基準を見直し自社に合った人材を採用しよう
適切な採用基準を設定することによって、最適な人材を採用しやすくなります。
逆に明確な採用基準がない場合、早期離職の確率が高くなるだけでなく、人事・現場・役員のミスマッチが生じる懸念があります。
採用基準の設定方法として、まずは採用目的を明確にした後、現場からの情報収集、コンピテンシーの明確化、基準項目の設定、優先順位や選考段階ごとの基準設定という流れで進めるのが一般的です。
明確な採用基準があることで、適性検査や書類選考・面接がスムーズに進められるため、まずは自社の基準を見直してみてください。
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