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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/09 14:38

採用

採用戦略とは?企業が得られるメリットや立て方・ポイントなど詳しく解説

読了まで約3分

採用活動に課題を抱えている経営者や代表者の方は多いのではないでしょうか。
そのような悩みは採用戦略の立て方を知り、ポイントを押さえることで解決する可能性があります。

そこで本記事では、最初に採用戦略の意味を説明した後、採用戦略のメリットや採用戦略の立て方、活用できるフレームワークについて解説します。
採用戦略を実施するポイントも説明するので参考にしてください。

採用戦略の意味

採用戦略とは、自社にとって最適な人材を計画的に採用する戦略のことです。
採用の基準・方針などの軸を定めることを指します。

企業が持続的に成長するには、計画的な人材の採用が欠かせません。
なぜなら、労働力人口の減少によって企業間競争が激しくなっており、応募を待っているだけでは効果的に採用できない可能性が高いからです。

採用戦略を立案しなかった場合、採用の基準や方針における社内の意思統一が難しいため、時間と費用をかけても理想的な人材の採用は難しいでしょう。

採用戦略を立てることで効果的に人材を採用する基礎が整います。
その結果、求人広告の出し方や内容も自然に定まりやすくなるでしょう。

 

採用戦略を立てることで企業が得られるメリット

採用戦略を立てることで企業が得られるメリットに以下があります。

  • 採用コストを抑えられる
  • 早期退職を防げる
  • 多数の応募者を集められる
  • 自社の組織力を高められる

それぞれ詳しく解説します。

採用コストを抑えられる

採用戦略を立てることで採用コストを削減できます。
「どのような人材を採用したいのか」が明確になっているため、無駄な費用をかけることなく適切な手法を選べるからです。

また、採用手法の変更によって費用を減らすことも期待できます。

例えば、採用戦略を立てた結果、求人雑誌に掲載するよりも自社のホームページで募集するほうが適切だとしましょう。
この場合、求人雑誌に掲載する費用を削減できます。

早期退職を防げる

採用戦略を立てて最適な人材を設定することにより、企業と応募者のマッチング精度が向上します。
その結果、採用後のミスマッチと早期退職の防止につながるでしょう。

採用のミスマッチは企業側の時間とリソースが犠牲になるだけでなく、採用された社員にとっても入社後のモチベーション低下につながります。
ミスマッチを避けることで社員は自身の適性に合った業務に取り組みやすくなるため、人材の定着率がアップします。

多数の応募者を集められる

採用戦略を立案することで多くの応募者を集められます。
市場動向や求職者ニーズを考慮しつつ、自社の魅力をスムーズかつ適切に伝えられるからです。

多くの応募者を集めることにより、自社が希望する人材を採用できる確率が高くなります。
事前に応募者数や採用人数を計画することで微調整も可能です。

また、応募者数の増加により、組織改革や問題解決能力の向上も期待できます。
さまざまな人材が交流することで組織が活性化し、新たな視点からのアイデアが生まれやすくなるからです。

自社の組織力を高められる

企業全体で採用戦略を共有することにより、採用や育成への意識が向上します。
採用戦略を構築するプロセスにおいて、希望する人材への価値観やビジョンを共有できるからです。
その結果、組織力全体の強化につながるでしょう。

また、自社にマッチした人材を採用し、その人材にとって最適な業務に取り組んでもらうことにより、生産性の向上も期待できます。

 

【新卒・中途】採用戦略の立て方

新卒・中途採用に共通した採用戦略の流れは下記のとおりです。

1.場環境の変化や経営計画を把握する
2.採用戦略を立案するチームを編成する
3.採用したい人材を明らかにする
4.採用スケジュールを立てる
5.自社や他社の強み・弱みの分析をする
6.採用手法を決める

それぞれステップごとに解説していきます。

1.市場環境の変化や経営計画を把握する

採用戦略の目標を設定する際は、自社の経営計画をベースに考える必要があります。
人材の採用は単体で存在するのではなく、市場の変化を考慮したビジネス領域の拡大や新規事業の開始など、経営計画を実現する一環としてあるからです。

また、競合他社の経営計画に基づく採用ターゲットの分析も大切です。
実際に分析する際は、競合他社が利用している求人媒体や、採用広告の内容に注目しましょう。

2.採用戦略を立案するチームを編成する

採用戦略は企業全体に直接関わるため、部門の垣根を超えたチーム編成がポイントです。
採用戦略を立案するメンバー候補として、人事部の担当者はもちろん、自社の全体像を理解している経営層や、各部署の状態を把握している責任者のアサインも検討してください。

また、チームを編成して採用戦略をスムーズに進めるには、「時間や費用のリソースが十分にあるかどうか」が重要になります。
リソースの確保が難しい場合は、コンサルティング会社のような外部へのアウトソーシングも考えるとよいでしょう。

3.採用したい人材を明らかにする

採用計画の立案とともに、採用したい人物像を明らかにすることが大切です。
自社が求める人材の特徴を洗い出し、名前・性別・年齢・学歴・職歴・スキルといった具体的な人物像(ペルソナ)を作成しましょう。

ペルソナを設定するポイントは、「必ず備えていてほしい経験やスキル」といった必須要件と、「自社に合わない人材」であるNG条件に分けて考えることです。

ただし、必須要件が多いと人材採用自体が難しくなるため、条件をゆるめることも大切です。
例えば「入社後の研修や指導でフォローできる条件は必須要件から外す」といった考え方です。

4.採用スケジュールを立てる

各部署に必要な採用人数を決定したうえで採用までのスケジュールを可視化することにより、効率的な採用活動が行えます。

採用スケジュールで具体的に決定する内容として、説明会の日程と内容、採用手順、書類選考や面接担当者、採用後のフォロー体制などが挙げられます。

実際に採用スケジュールを考える際は、求職者への配慮も大切です。
「求職者にとって余裕ある日程かどうか」や「競合他社の説明会と重なっていないかどうか」も検討しましょう。

5.自社や他社の強み・弱みの分析をする

自社が求める人材の採用につなげるには、他社との差別化が求められます。
他社との差別化を図るためには、採用戦略チームが自社の強みを把握することが重要です。
自社の強みを把握する方法としてフレームワークの活用が挙げられます。フレームワークを活用し、求職者のニーズや自社の特徴などを分析してください。

求職者のニーズを理解し、自社の特徴やアピールポイントを具体的に明示することで、自社が求めている人材からの応募が期待できるでしょう。
なお、採用戦略に活用できる具体的なフレームワークについては後述します。

6.採用手法を決める

最後に採用手法を決定します。
具体的な採用手法の種類として、ハローワーク、民間企業の求人サイト、人材紹介サービス、ソーシャルリクルーティング(SNSを活用した採用活動)、リファラル採用(社員や取引先などから人材を紹介してもらう方法)などが挙げられます。

自社のターゲット・ペルソナによって効果的な採用手法は変わります。
市場ニーズや競合他社の状況も考慮しつつ、採用計画に適した方法を選択することが大切です。
採用手法それぞれで特徴が異なるため、場合によっては人材紹介サービスとリファラル採用の併用など、複数を組み合わせるほうが効果的かもしれません。

 

採用戦略に活用できる2つのフレームワーク

採用戦略に活用できるフレームワークとして、3C分析とSWOT分析の2つを紹介します。

1.3C分析

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合他社)」「Company(自社)」の3つの頭文字を取ったフレームワークであり、各項目を分析する際に使用されます。
採用戦略で利用する際は、「Customer(市場・顧客)」を「求職者」「採用市場」「有効求人倍率」と置き換えてください。

「Customer(求職者・採用市場・有効求人倍率)」を分析することで求職者ニーズや市場の動きが分かります。
また、「Competitor(競合他社)」の分析では他社の採用計画や方法を把握できます。その後に「Company(自社)」を分析することにより、自社の強みや弱みを把握できるため、適切な採用手法の選択が可能です。

2.SWOT分析

SWOT分析とは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの頭文字を取ったフレームワークであり、自社を深く分析する際に活用されます。

採用活動における自社の強みと弱み、機会(外部環境のプラス要因)と脅威(外部環境のマイナス要因)を分析することにより、自社のアピールポイントや課題が明確になります。
その結果、「どのように採用活動を進めればよいか」の指針を得やすくなるでしょう。

 

採用戦略を実施する際のポイント

採用戦略を実施する際のポイントとして以下が挙げられます。

  • 採用戦略は社内で共有する
  • 採用戦略と人事戦略の方針を合わせる
  • PDCAを回して効果検証を行う

それぞれ解説するので参考にしてください。

採用戦略は社内で共有する

採用戦略の立案・実行は採用担当者のみでは難しく、効果的に進めるには社内での連携が欠かせません。
採用戦略の共有によって社内全体の協力体制が生まれるのでスムーズに採用活動を実行できます。

また、採用戦略を社内で共有することで採用後の受け入れ態勢の準備を進めやすくなります。
その結果、社員にとって働きやすい職場環境の構築につながり、早期退職の防止効果が期待できるでしょう。

採用戦略と人事戦略の方針を合わせる

採用戦略は人事戦略の中に含まれるものです。
採用戦略と人事戦略の方針を合わせることにより、一貫した採用活動が可能になります。

例えば、人事戦略として入社後の教育を重視する場合、採用戦略はポテンシャル採用(スキルや経験よりも潜在能力を評価する採用方法)を軸にする、といった考え方が挙げられます。

PDCAを回して効果検証を行う

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったものであり、仮説・検証のプロセスによって業務効率を改善するといった概念を指します。

採用戦略は中長期的な視野で進める必要があるため、最初から全てが順調に進むとは限りません。
採用戦略にPDCAサイクルを導入することにより、採用活動が計画通りに進んでいるかどうかを確認できます。
また、定期的に結果を評価することで改善点が明らかになるため、次回の採用活動に活かせます。

 

自社の強みを活かした採用戦略を立てよう

企業が採用戦略を立案することにより、採用コストの削減や早期退職の防止、応募者数の増加や組織力の向上というメリットが期待できます。

採用後に社員が早期退職した場合、採用戦略が順調に機能しているとはいえません。
したがって、応募者や採用者の数だけでなく、入社後の定着率も含めた確認が重要です。

実際の採用戦略の流れとして、まずは市場環境の変化や経営計画を把握した後、チーム編成、採用する人材の明確化、採用スケジュールの設定、自社と他社の分析の順に進めていきます。
その際は3C分析とSWOT分析というフレームワークを活用するのも一つの方法です。

採用戦略を実施する際のポイントとして、採用戦略の社内共有、採用戦略と人事戦略の方針統一、PDCAによる効果検証の3つが挙げられます。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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