更新日:2024/03/04 12:53
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SCMシステムとは?導入メリットや企業の事例など詳しく解説
読了まで約5分
「製品の安定供給やコスト削減の問題を解決したい」と考えている経営者や代表者は多いのではないでしょうか。SCM(サプライチェーンマネジメント)システムの導入は、リードタイムの削減や最適な在庫管理につながります。
SCMとは、調達から消費までのモノ、カネ、情報の流れを管理し、全プロセスの最適化を図る経営管理方法です。
本記事では、SCMの定義・目的、企業に注目されている背景、導入するメリット、おすすめのSCMシステムツールを解説します。最後にSCMシステムの導入事例についても紹介するので参考にして下さい。
目次
SCM(サプライチェーンマネジメント)の定義・目的
SCMのサプライチェーンとは、原材料の調達から始まり、消費者の手元に到達するまでのモノ・カネ・情報の流れを指す言葉です。
具体的なプロセスは「調達 → 生産 → 保管 → 物流 → 販売 → 消費」で、主な目的は、サプライチェーン全体の情報共有と最適化です。SCMによって需要予測と過剰在庫の回避が可能になるため、適切な供給体制の構築につながります。
SCMシステムが企業に注目されている背景
SCMシステムが企業に注目されている背景には以下があります。
- 企業のグローバル化の進展
- 消費者ニーズの多様化
- ビジネス環境の変化
- 労働環境の変化
それぞれ解説するので参考にして下さい。
企業のグローバル化の進展
企業のグローバル化により、世界規模で生産、調達、販売が展開されています。競合他社に遅れを取らないためには、サプライチェーンの各プロセスの情報を一元管理し、最適化を図ることが大切です。
SCMシステムはサプライチェーン全体の業務プロセスを最適化できるため、企業からの注目を集めている状況です。
消費者ニーズの多様化
インターネットやスマートフォンの普及により、消費者は能動的に情報収集し、ニーズに合った商品やサービスを選択しています。
このように多様化する消費者ニーズに対応する方法として、SCMシステムが注目されている状況です。SCMシステムは需要と供給のバランスを取り、必要な商品を必要な分だけ生産できるため、消費者ニーズに的確に対応できると考えられています。
ビジネス環境の変化
インターネットの普及によってビジネス環境が変化しています。多くの企業がネット通販やネットショップを展開し、販売と配送が一体化している中、さまざまな商品を取り扱うECモールだけでなく、アパレルブランド、家具や家電、フードデリバリーなど、多数の業者が参入するようになりました。
このようなビジネス環境において、販売と配送を切り離すことは難しく、総合的な管理システムの構築が求められています。販売と配送はサプライチェーンのプロセスに含まれるため、SCMの導入により、お客様はほしい商品をほしい時に手に入れられるでしょう。
労働環境の変化
SCMシステムが求められている背景には労働環境の変化もあります。例えば、労働人口の減少による人材不足の深刻化や、労働条件に起因する配達員の不足などの課題です。企業は物流の効率を向上させる必要性に迫られていると言えるでしょう。
SCMシステムは適正な仕入れ量を実現して無駄な物流を削減できるため、卸売企業や販売店舗への配達タイミングの最適化に効果的です。効率的な物流プロセスの構築により、人手不足に対処できます。
SCMシステムを導入するメリット
SCMシステムを導入するメリットは下記の通りです。
- リードタイムの削減につながる
- 最適な在庫の管理ができる
- 必要なリソースを合理的に活用できる
それぞれ解説していきます。
リードタイムの削減につながる
SCMシステムの導入は、リードタイム(生産、製造、発注、納品に必要な期間)の削減につながります。受注状況をベースにした需要予測をサプライチェーンの各プロセスに活用することで、無駄な工程を省けるからです。
また、SCMシステムで配送の遅れを解消すれば、消費者のもとに素早く商品を届けられるため、お客様満足度の向上も期待できます。
最適な在庫の管理ができる
販売時期や需要の判断ミスによって過剰在庫が発生した場合、売れ残りによる損失が経営状況を圧迫する懸念があります。逆に在庫が少な過ぎる場合は、需要の増加に供給が追いつかず、本来得られたはずの利益を失いかねません。
SCMシステムの導入によって迅速な需要予測と情報共有が可能です。市場の状況に適した在庫量を保持できるため、機会損失の防止と利益の確保につながります。
必要なリソースを合理的に活用できる
SCMシステムの採用でリソース(ヒト、モノ、カネ)を可視化することにより、市場の変化や需要の増大をスムーズに把握できます。それにより、適切なタイミングで必要なリソースの投入が可能です。
また、SCMシステムは人的リソースの効率的な活用を実現します。需要が少ない時期にスタッフを過剰に配置したり、繁忙期に人手不足に陥ったりという不均衡な状態を回避できるでしょう。
おすすめのSCMシステムツール6選を比較
おすすめのSCMシステムツールには以下があります。
- mcframe 7 SCM
- SynapseSUITE
- SAP SCMソリューション
- クラウド型間接材調達支援サービス
- Oracle Supply Chain Management
- 楽々ProcurementII
それぞれの基本的な特徴や機能を解説するので参考にして下さい。
1.mcframe 7 SCM
mcframe7は、ビジネスエンジニアリング株式会社が提供しているSCMシステムです。主な内容に以下があります。
- 特徴:製造業の生産形態に対応、国内外で利用可能
- 機能:BOM&MRP、EDI連携、PLM連携など
- 料金:問い合わせが必要(2024年1月時点)
mcframe7は製造業の生産管理、見込み生産、受注生産など、さまざまな生産形態に対応しています。国内外で利用可能なので、グローバル展開を行っている企業も導入しやすいでしょう。
主な機能として受注業務や納期回答の迅速化につながるEDI連携や、設計情報の反映や半見込み生産化が可能なPLM連携があります。
詳細は以下で確認して下さい。
mcframe7 公式サイト
2.SynapseSUITE
SynapseSUITEは、株式会社日立ソリューションズ東日本によるSCMシステムです。主な内容に以下があります。
- 特徴:計画系のソリューションが主力分野
- 製品:需要予測、発注管理、生産計画など
- 料金:問い合わせが必要(2024年1月時点)
SynapseSUITEはサプライチェーンプランニング(SCP)という計画系のソリューションに強みを発揮するツールです。需給予測の「Forecast Pro」、発注管理の「SynCAS」、生産計画の「SynPIX」など多様な製品が揃っています。
詳細は以下で確認して下さい。
SynapseSUITE 公式サイト
3.SAP SCMソリューション
SAP SCMソリューションは、SAP株式会社によるSCMシステムです。主な内容に以下があります。
- 特徴:サプライチェーンの変化に対応、持続可能な成長の促進
- 機能:AIや機械学習による需要予測、エコシステムとの連携など
- 料金:問い合わせが必要(2024年1月時点)
SAP SCMソリューションはサプライチェーンの変化に対応し、懸念点を軽減することで持続可能な成長を期待できるツールです。積極的にAIを活用しているという特徴もあります。
詳細は以下で確認して下さい。
SAP SCMソリューション 公式サイト
4.クラウド型間接材調達支援サービス
クラウド型間接材調達支援サービスは富士通コワーコ株式会社によるSCMシステムです。主な内容に以下があります。
- 特徴:調達業務の一元化、削減コンサルティングサービス
- 機能:ワークフロー機能、専用カタログ機能など
- 料金:問い合わせが必要(2024年1月時点)
クラウド型間接材調達支援サービスは、調達業務をクラウドサービスに一元化することで業務効率化とコスト削減を実現しています。専任コンサルタントによるコンサルティングサービスも特徴的です。柔軟なワークフロー機能や、企業や部署ごとに専用のカタログを作成できる機能を備えています。
詳細は以下で確認して下さい。
クラウド型間接材調達支援サービス 公式サイト
5.Oracle Supply Chain Management
Oracle Supply Chain Managementは日本オラクル株式会社によるSCMシステムです。主な内容に以下があります。
- 特徴:状況へのスムーズな対応、シームレスな接続
- 機能:在庫管理、販売管理など
- 料金:問い合わせが必要(2024年1月時点)
Oracle Supply Chain Managementは需要、供給、市場の状況にスムーズに対応できます。サプライチェーンのシームレスな接続も特徴的です。主な機能として、在庫管理、販売管理、ロジスティクスなどを備えています。
詳細は以下で確認して下さい。
Oracle Supply Chain Management 公式サイト
6.楽々Procurement II
楽々Procurement IIは住友電工情報システム株式会社によるSCMシステムです。主な内容に以下があります。
- 特徴:多様な品目、業務フローへの対応
- 機能:ワークフロー機能、他システムとの連携など
- 料金:問い合わせが必要(2024年1月時点)
楽々Procurement IIは、多様な品目と業務フローに対応しています。購買管理の各業務に対応したワークフロー機能や、会計システムや人事システムとの連携機能を備えています。
詳細は以下で確認して下さい。
楽々Procurement II 公式サイト
【業種別】SCMシステム企業の導入事例
SCMシステム企業の導入事例を業種別に紹介します。
事例1.電気通信機器・電子部品の開発・販売
まず初めに、液晶、半導体、ハードウエア、ソフトウエア、コンテンツなどを手がけている電子機器企業の事例をご紹介します。
SCMの取り組み内容として、1990年代後半にSCMプロジェクトを立ち上げた後、国内の商品系事務所への展開をスタートさせました。海外生販拠点への導入も進行中です。
SCMの導入により、リードタイムの短縮、不良在庫の顕在化と削減などの効果につながっています。
事例2.自動車製造・販売
続いて、自動車製造・販売の事例です。事業分野として乗用車、RV車、ミニバン、トラックなどの設計や製造、販売を行っています。
国内外の補給部品を対象にSCMに取り組んだ結果、仕入れ先の納期遵守率の徹底や、在庫削減、調達リードタイムの短縮につながりました。
事例3.食品・飲料
食品・飲料の事例です。事業分野として清涼飲料水などの製造や販売を中心としている企業です。
2000年4月からSCMを導入した結果、在庫削減に効果を発揮しています。他にも、コスト削減や生産能力の最適化、品質管理とフレッシュネスの向上、環境負担の軽減などの成果につながっています。
SCMシステムを導入し利益拡大につなげよう
SCMツールの導入は、サプライチェーン全体の情報共有と最適化に効果的です。企業にSCMシステムが注目されている背景として、企業のグローバル化の進展、消費者ニーズの多様化、ビジネス環境の変化、労働環境の変化があります。
また、SCMシステムを導入するメリットは、リードタイムの削減、最適な在庫管理、必要なリソースの合理的な活用です。
自社でSCMシステムの導入を検討する際は、会社の状況を整理することが重要です。サプライチェーンの課題や改善点を理解するには、外部の客観的な視点やアドバイスを利用するのも一つの方法です。
コンサルティングサービスを提供している武蔵野では、「会社を変える仕組み」のノウハウが詰まった資料を無料でご提供しています。
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執筆者情報
佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役
1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。
経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。
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