更新日:2022/01/26 07:30
武蔵野社員の奮闘記
新卒社員がふてくされた理由
ケアサービス事業本部部長 光本恵里香
第二支店に2年いた後、家庭用のインストラクターになりました。
この異動は想定内でした。
家庭用のルートで成果を出した場合、女性はインストラクターか経営サポート、男性は業務用か経営サポートに異動するパターンがほとんどです。
私はA評価を取れたので、次はインストラクターか経営サポートだろうなと予想していました。
ただ、インストラクターの仕事は想像を超えて大変でした。
私が担当したのは、2016年新卒の新入社員たちでした。
同時期にインストラクターになったMさん(現在は退職)と半分ずつ分担したので、私は16人中8人の指導にあたりました。
その8人に、いろいろ手を焼かされたのです。
基本的には、私が上司から教えてもらったことをそのまま教えればいいと思っていました。
実際、インストラクターの仕事の9割はそれで済んだと思います。
大変だったのは、残り1割のクレーム対応です。
自分が経験したことなら教えられるのですが、16年新卒が引き起こすクレームの中身は千差万別で、「えっ、なんで?」というものもありました。
たとえばお客様と約束した時間に行かなかったり、お客様に挨拶をしなかったり……。
「教えるまでもないでしょ」という基本中の基本ができていなくてクレームになることが多く、途方に暮れていたのです。
もっとも、私も入社したばかりの時期は似たようなものでした。
同じお客様に3回連続で間違った商品を配達して、店長の牛島に一緒に謝りにいってもらったこともあります。
それを思い出すと、「誰でも最初は間違えるよね」と余裕を持って指導できるようになりました。
具体的にいうと、基本中の基本ができていない新卒に対しては、指差し確認のように一つ一つ確認しながら指導しました。
できていない新卒も、もとからできないわけではありません。
新しい環境に戸惑って視野が狭くなっているだけなので、ゆっくり確認しながら進めていけば、すぐ基礎ができるようになりました。
私が経験したことがないクレームが発生して対処法に迷ったら、その社員が所属する支店の店長に素直に教えを請いに行きました。
みなさん嫌な顔をしないで教えてくださり、私自身、とても勉強になりました。
そういう姿勢を評価してもらえたのでしょうか。
インストラクターを4カ月やって新卒たちが一人前になった後は、3グループに昇格して国分寺支店家庭用の店長になりました。
店長になった後は、さまざまな店長業務が待っていました。
ただ、私はマネジメントより現場の仕事が好きなタイプです。
管理業務は最低限にして、結局、「指導」と称して部下の営業に同行してばかりいました。
新しい年度になって、2017年新卒の梅澤さんと長瀬さんが配属されてきました。
当時の上司から「まずは新卒を育ててあげなさい」と言われていたので、私は「待ってました」とばかりに同行することに。
ただ、一度に二人に同行することはできません。
そこでまず長瀬さんに集中的に同行して早々に昇格させ、その後に梅澤さんの同行をする予定を立てていました。
この順番に深い意味はありません。
長瀬さんのほうがやる気を見せていたので、その気持ちが萎えないうちに育成しようと考えただけです。
実際、長瀬さんは期待通りに成果を出して、いきなり新人賞を取りました。
最初の半期の評価はA。店長としても鼻高々です。
一方、クレーム続出だったのが梅澤さんでした。
クレームは新人がみんな経験することなので、別にかまいません。
しかし、梅澤さんにはどこかふてくされたところがありました。
そうした態度でお客様にも接するので、他の新人よりクレームが多いのも当然でした。
ただ、もとをただすと、梅澤さんがふてくされた原因は私にありました。
最初の半期の評価面談で、「光本さんはどうせ長瀬さんがかわいいんですよね」と梅澤さんに指摘されてしまったのです。
前述のように、私は仕方なく後先の順番はつけたものの、どちらかを贔屓する意図はありませんでした。
しかし、そのことを説明しないで長瀬さんばかりに同行していたら、梅澤さんがへそをまげるのはあたりまえです。
コミュニケーションを怠っていた私のミスです。
私はびっくりして、その面談でも自分の考えをうまく説明できませんでした。
下期は梅澤さんにびっしり同行したものの、簡単には溝が埋まりません。
やはり言葉できちんと表現しないと伝わらないと悟り、同行した車の中で「梅澤さんにはこうなってほしい」と自分の思いを伝えました。
すると、梅澤さんも自分の思いを話してくれて、そこからは一緒に頑張ろうというムードになってきました。
結果、梅澤さんは下期にA評価を取りました。
そしていまは店長として活躍しています。
いまの活躍ぶりからわかるように、梅澤さんはやればできる人でした。
それなのに、私がコミュニケーションの重要性を理解していなかったせいで、危うくつぶしてしまうところでした。
人を育てることは本当に難しいと痛感した出来事でした。
ちなみのこの顛末は、現在、武蔵野流の部下育成術を教える「新任幹部塾」でもお話しさせてもらっています。
最後は宣伝になってしまいますが、私の失敗談をもっと詳しくお聞きになりたい方がいれば、ぜひ受講をお願いします(笑)
今回で私の担当は終わりです。
4回に渡っておつきあいただき、ありがとうございました!
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