更新日:2022/03/23 07:30
武蔵野社員の奮闘記
パートなのにサービス残業した理由
全社管理本部売掛課部長 沖野祐美
2002年、私がいた営業事務部門は、コールセンターと事務の二つの部署に分離されることになりました。
どちらの部署に行くかと上司に聞かれて、私は「事務がいいです」と即答。
事務が好きだったわけではありません。コールセンター業務がつらかったのです。
コールセンターで受ける電話は、ご注文やお問い合わせだけではありません。
精神的につらいのは、やはりクレームの電話です。
「約束の時間にこない」「違う商品が入っていた」「ルートマンの態度が悪い」……。
お客様の怒りはもっともなのですが、お客様を怒らせたのは私ではなくルートマンです。
それなのに、なぜ私が怒られなくてはいけないのか。
それも仕事のうちだと頭では理解していても、気持ちがなかなかついていきませんでした。
ちなみにお客様からいただいたクレームは担当者に伝えて、担当者はお客様に直接対応します。
その後、対応済みになったという報告をコールセンターにしてくれるのですが、たいていは「お客様、そんなに怒ってなかったよ」と言ってきます。
じつはこれにもカチンときていました。
お客様が怒っていないのは、すでに私たちに電話口で怒りをぶつけてスッキリしているからです。
そのことを理解して、「悪かったね」とねぎらってくれる社員もいました。
しかし、「たいしたことなかったよ」という社員も多く、そのたびに「誰のおかげだと思ってるのよ!」と言いたくなりました。
みなさん、コールセンターのスタッフにはぜひ優しくしてくださいね!
さて、そうしたストレスが嫌で、私はコールセンターではなく事務を選択しました。
ストレスの発生源が切り離されたとはいえ、仕事が楽になったわけではありません。
営業事務で私が担当していたのはハーティー部門の精算処理でした。
しかし分離後はダスキンの他の事務もやるようになり、仕事量はむしろ増えていました。
たいへんだった理由はもう一つあります。
実は当時は事務のマニュアルが存在しませんでした。
いや、正確にいえば、一人ひとりが自分の担当業務についてマニュアルのようなものをつくっていました。
そして異動や退職があれば、後任にマニュアルを引き継ぐことはもありません。
必要なことは口頭で伝えますが、教える人によって内容はバラバラ。
マニュアルは担当者のものであり、部署としてみんなで共有するものではありませんでした。
なぜ部署としてマニュアルがないと大変なのか。
忙しくなっても他の人に仕事を渡せないからです。
当初、私は週3でパートに入っていました。
子どもが成長してきたこと、そして仕事量が増えてきたこともあって勤務日を増やすことも考えましたが、
基本的には主人の扶養の範囲を超えて働くつもりはありませんでした。
困ったのは、仕事が時間内に終わらないときです。
マニュアルがあれば他の人に任せて帰るところですが、マニュアルがないため残業です。
そのまま残業をつけると扶養を外れてしまうため、パートなのに自主的にサービス残業することに……。
そういうものだと諦めながら働いていましたが、上野さんが課長としてやってきて流れが変わりました。
それ以前から私は実行計画づくりにかかわっていましたが、上野さんがパート全員を関わらせるようになり、
その手始めにマニュアル作成が行われたのです。
当初、パートたちは実行計画にかかわることを嫌がっていました。
実行計画のアセスメントは土曜日で、昔は時給も出なかったからです(今はきちんと時給が出ます)。
しかし、自分たちが仕事のやり方について意見を言えて、実際に仕組みが変わることがわかると、みんな積極的にかかわり始めました。
そうした中で部署の共通マニュアルができあがりました。
マニュアルができたことで、仕事の平準化が進みました。
それまでは「Aさんは忙しいが、Bさんは暇」という状況がよく生まれていましたが、
マニュアルがあればAさんの仕事をBさんに渡すことができます。
おかげで私自身もサービス残業から解放されました。
ダブルチェックができるようになったことも大きかったです。
それまでは担当者しかその業務を理解していないので、上司も中身をチェックできませんでした。
ダブルチェックが利くようになったことで、事務のミスが減り、全体の生産性が高まりました。
生産性が向上したことを評価されて、2009年には内勤部門として初めて優秀事業部賞をもらいました。
小山さんは成果が出ることが大好きです。
事務で成果が出たので、以降は他の事業部でもパートを実行計画づくりに参加させる方針が打ち出されました。
実行計画にパートを参加させる会社は珍しいと思いますが、そのきっかけをつくったのは当時の私たちだったのです。
次回は“ただのパートが課長、そして部長に”です。
次回もお楽しみに!
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