更新日:2022/04/13 07:30
武蔵野社員の奮闘記
禁断の裏技で、無限に契約が取れる!?
社長のサポート事業部部長 玉井賢司
前回に続いて、セールスインストラクター時代の裏話をしましょう。
当時、武蔵野はホームサービスの新規開拓部隊を増員していて、アルバイトを大量に採用していました。
やってくる人は、実にさまざまです。
元テニスインストラクターや元バンドマンといった営業未経験の人もいれば(2人とも現在正社員です)、
元新聞拡張員のように営業経験豊富な人もいました。
未経験の人には、セールスインストラクターが営業の基礎を指導しなくてはいけません。
一方、経験者は経験者で自己流のやり方が染みついていて、新たに武蔵野のやり方をマスターしてもらわないといけない。
どちらにしても大変な仕事でした。
未経験者、経験者、どちらにも共通していたこともあります。
新規開拓のアルバイトはコミッションの割合が高く、結果を出せば社員以上に稼げます。
応募してくる人は十中八九、高給狙いの人たちでした。
そこは未経験者、経験者ともはっきりしていた気がします。
「契約を取ってナンボ」という思いが行き過ぎてしまったこともあります。
当時、武蔵野の新規開拓営業には、「お客様が競合の空気清浄機を使っていれば、同等額で買い取っていい」というルールがありました。
お客様にダスキンの空気清浄機をおすすめしても、「いま使ってるものがある。これが故障してからでいい」と言われることが少なくありません。
しかし、買い取りが可能なら、お客様は故障を待たずに、すぐに乗り換えられます。
当然、私たちも乗り換えで機会損失を防げます。
お客様、私たち、双方にメリットがあるルールでした。
ただ、私も含めて、現場はこのルールを拡大解釈して、モップなどの他の商品でも買い取りをしていました。
買い取りすれば、経費が膨らんで利益は減っていきます。
しかし、アルバイトは新規契約金額でコミッションが決まるため、いちいち利益のことまで考えません。
経費を使ってでも新規契約をとったほうが自分の給料が増えるので、ルールを拡大解釈していたわけです。
上は現場の拡大解釈にうすうす気づきつつも、黙認しているフシがありました。
そこでやめておければよかったのですが、現場はさらに暴走し始めました。
月750円のモップを契約してもらうために、ただの雑巾を1000円で買い取るなど、どんどんエスカレートしていったのです。
お客様から見ると、750円の契約をすれば、雑巾が1000円で売れて、250円が儲かります。
こんなおいしい話はないのでどんどん契約が取れました。
契約が取れるほど武蔵野の持ち出しが増える禁断の裏技ですが、みんなお構いなしでした。
この暴走は、思わぬ形で幕を閉じます。
雑巾の買い取りは一度だけなので、翌月からはお客様はレンタル代金750円を払わなくてはいけません。
もちろん750円を払う価値のあるモップですが、お金に釣られて契約したお客様は750円すら負担に感じます。
その結果、禁断の裏技で獲得したお客様のかなりの割合が翌月に解約しました。
実は新規契約のお客様が翌月に解約する「一発解約」が起きると、アルバイトはコミッションを一部返金しなくてはいけません。
最初は調子よく裏技を使っていた人たちも、翌月には返金の必要に迫られます。
返金は一部ですが、いったん入ったはずのお金が消えていくのはつらい。
みんな、「このやり方ではちっともおいしくない」と気づいて、自然に裏技を使う人はいなくなりました。
さて、こうした迷走があったものの、前回お話ししたランチェスター戦略強化が当たって、ダスキンの新規開拓は数字を伸ばしました。
私も評価してもらえて、セールスインストラクター4年目に、セールス部門のセンター長になりました。
3グループのままでしたが、それまでの「部下なし課長」から「部下がいる課長」へとステップアップです。
ただし、前々回お話ししたように、私は数字や人のマネジメントが大の苦手で、
以前部下を持ったときは降格寸前のところまでいった前科があります。
今回は弱点を克服するチャンスでしたが、結局、苦手意識を払拭できず、
数字の管理は優秀なパートやアルバイトさんに任せきりでした。
それでも最初は何とか回っていました。
しかし、数字の管理を任せていた方が正社員登用されて他部署に異動になり、弱みが一気に露呈しました。
一応引き継ぎをしてもらいましたが、そもそも私がやるべき仕事を押し付けていただけなので、しつこく聞くこともできません。
今までサボっていたツケが回ってきて、セールス部門はボロボロになりました。
今度こそ降格か……。
そう諦めていましたが、私は土壇場でまた救われます。
どんな幸運が舞い込んだのかは、また次回お話ししましょう。
次回は“上司の話し方から財布まですべて真似をした”
次回もお楽しみに!
この記事を読んでいただいている方におススメのセミナー