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MUSASHINO COLUMN

武蔵野コラム

更新日:2024/01/09 10:35

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深耕営業に向いている人・売上アップのコツを解説

読了まで約4分

深耕営業は、お客様と中長期的に信頼関係を築き、継続的フォローを通して利益拡大を目指す営業手法です。
既存お客様に対してアプローチをするため一般的な営業より成功率が高く、売上アップにつなげやすいとして、業界問わず多くの企業に取り入れられています。

ただし、お客様と深い信頼関係を構築する必要があるため、適性のある社員を配置することが大切です。

今回は、深耕営業の意味や重要性といった基礎知識をはじめ、深耕営業に向いている社員の特徴、売上をアップするコツなどを紹介します。

深耕営業の意味とは

深耕営業とは、お客様に継続的なフォローを行って深い関係性を構築し、利益拡大を目指す営業手法です。
「深耕」という言葉には「深く畑を耕す」という意味があり、新規開拓を中心に行う新規営業や、決められたお客様を定期的にフォローするルート営業とは異なる営業手法です。

深耕営業は、お客様との関係性を深める過程で潜在的なニーズを引き出し、新たな取引につなげられる可能性を高めます。
また、長期的に接点を持つことで、成約後に生まれた新たな課題を発見し、適切なタイミングでフォローおよび追加受注を狙える点が強みです。

時間をかけてお客様との感性をキープする必要があるものの、安定した利益獲得につながる手法といえます。

新規営業やルート営業との違い

前述の通り、深耕営業は既存お客様を定期フォローしてクロスセルやアップセルを目指す営業手法です。
一方、新規営業は常に新たなお客様を開拓し続け、契約数の増加による利益拡大を目指します。

一般的な営業でも、契約更新や定期発注による継続取引を目指しますが、「現状の契約内容の継続」ではなく「信頼関係の構築による契約内容の拡大」を目指すのが深耕営業の特徴です。

また、既存お客様を対象とする「ルート営業」も深耕営業とよく混同されることがあります。
ルート営業は決められたルートに所在する既存お客様を順番に訪問する営業方法です。
「ルート上にいるお客様を回る」という営業活動そのものを指しており、深耕営業とは観点が異なります。

 

深耕営業の重要性

深耕営業の最大の目的は、一度取引を行った既存お客様の現状を把握し、新たなビジネスチャンスを逃さないことにあります。

一度契約が成立して自社の商品やサービスを提供しても、それでお客様の課題が全て解決するわけではありません。
お客様が購入した商品を使用する上で問題が発生したり、経営状況が変わって新たな問題が発生したりすることもあるでしょう。
深耕営業を取り入れると、このような時間の経過による新たな課題をタイミングよくフォローでき、お客様からの信頼獲得につながるのです。

また、新規営業よりもコストを抑えられる場合があります。
新規お客様へのアプローチはテレアポや飛び込みなど多大な手間と時間がかかるだけでなく、契約成立に至らない可能性も高いためです。

深耕営業はすでに信頼関係を築けている既存お客様へとアプローチするため、営業にかかるコストを抑えやすいといえます。

 

深耕営業で売上アップさせるコツ

ここでは、深耕営業で売上を高めるための3つのポイントを紹介します。

既存お客様の潜在的な課題を見極める

まずは、お客様と深い信頼関係を構築し、表面上で見えている課題だけでなく潜在的な課題を抽出することがあげられます。
そのためには、徹底的なヒアリングによってお客様の現状を把握し、お客様目線に立って課題や問題に向き合う必要があります。

例えば、お客様が「できるだけコストを抑えてサービスを導入したい」と言っていたとしても、コストを抑えすぎると導入できるサービスの幅が狭まり、結果的に課題解決に至らない可能性もあるでしょう。

お客様の要望をそのまま鵜呑みにしたり、「とにかく自社製品が売れればいい」と考えたりしていては、信頼関係の構築はできません。
お客様の課題を根本的に解決するためには何が必要かを考え、そのために自社ができる最適な提案を模索する意識を持たなくてはなりません。

市場や競合情報など最新知見を提供する

深耕営業ではお客様と継続的に接点を持つことが大切ですが、どのようなタイミングで訪問すればいいのか、何の要件でアポイントを取ればいいのかわからない営業担当者もいるかもしれません。
その場合は、業界や競合企業に関する最新ニュースやデータなどをフックにするといいでしょう。

お客様にとっても、事業に役立つ情報を提供してもらうのはメリットが大きいものです。
常にアンテナを張って業界動向をチェックし、情報収集する習慣を付けるのがおすすめです。

最新のお客様情報を記録・更新し続ける

お客様と深い関係性を築いていく上では、ヒアリングした内容やお客様に関する情報をこまめに記録しておくことが大切です。
お客様の現状や課題の変化を細かく把握しておくと、隠れたニーズの発見につながります。

また、定期的に訪問の機会を持つため、前回どのような話をしたのか覚えておかないと、何度も同じ質問をしてしまう可能性もあります。
お客様から「意味もなく定期訪問しているのではないか」と思われないためにも、お客様の現状を正確に把握し、タイミングの良い提案や有益な情報提供につなげましょう。

 

深耕営業に向いている人とは

数ある営業手法の中でもお客様との関係性構築を重視する深耕営業ですが、どのような社員に任せるのが適切なのでしょうか。
深耕営業に向いている社員の特徴を紹介します。

お客様視点で提案できる

前述の通り、深耕営業ではお客様の抱えた課題を深く理解し、相手の求めているタイミングで提案することが大切です。
そのため、お客様の話を深く理解し、相手の視点に立って物事を考えられる人材が向いています。

また、ヒアリング内容の中からお客様自身も気がついていない課題を発見し、提案につなげられる力も重要です。
課題の根本的な解決に導ければ、自然とお客様満足度が高まり、関係性の強化につながります。

深耕営業は、新規営業のようにキャンペーンなどの販促施策で受注することが難しい営業手法です。
「導入費用が安くなる」といった短期的なメリットではなく、長期的にお客様の利益となる提案を模索し続けられる社員が適しているといえるでしょう。

ヒアリング能力に長けている

深耕営業では、単なる御用聞きではなく、お客様が抱えている課題を根本的に解決することが求められます。
お客様との会話の中から隠れたニーズを見つけ出したり、お客様の状況に合わせて何が必要かを先回りで察知したりなど、ヒアリング能力に長けている人材が深耕営業に向いています。

また、営業トークだけでなく、お客様と気軽に話せる関係性を築いておくことも大切です。
雑談中に意外な本音を聞き出せたり、提案のヒントが得られたりするかもしれません。
軽快な営業トークができることよりも、相手の話を引き出すスキルが求められます。

柔軟なコミュニケーション力がある

お客様の課題に対して適切なタイミングで提案を行うためには、臨機応変な対応が求められます。
時間が経てば成約時とは異なる経営課題が発生しますし、社会情勢などによって急激に経営環境が変化することもあります。
時には、ヒアリングした内容によっては「用意してきた商材がお客様の課題とマッチしていない」という状況になるケースもあるかもしれません。

お客様と信頼関係を深めるためには、しっかりコミュニケーションをとってお客様の変化を敏感にキャッチし、柔軟に対応するスキルが必要です。
「これを売りたい」と自分が考えている商材にこだわらず、その時の状況を適宜判断して、臨機応変な提案ができるスキルが求められるでしょう。

信頼関係を構築できる

お客様との信頼関係を築く上では、課題をヒアリングする能力だけでなく、お客様が相談しやすい・頼りやすい雰囲気を持った人物であることも重要です。

不機嫌そうな顔をしていたり、話を聞いているのかよくわからない態度をとったりする相手には、相談事を持ちかけづらいものです。
言い換えると、いつも表情が明るく、お客様の考えへの共感を示したり、自然な相槌をうったりできる社員はお客様にとっても相談しやすいと考えられます。

また、信頼を得るには基本的なビジネスマナーも必要です。
毎回アポイントの時間に遅刻してくるようでは、お客様から信頼を得ることはできません。
ほかにも、名刺交換や訪問時の正しい振る舞い、敬語の使い方、清潔な身だしなみなど、社会人としての基礎を再度見直してみましょう。

情報収集力がある

前述でも触れた通り、お客様と定期的に接点を持つためには、お客様にとって有益な情報提供を行うことが効果的です。
そのため、深耕営業を担当する社員には業界や競合に関する情報を敏感にキャッチする力も求められます。

単に業界情報を収集するだけでなく、お客様のニーズに合った情報を提供することが大切です。
スピーディな判断力を持っており、素早い対応を得意とする人材は、情報収集力が高い傾向にあります。

情報を取捨選択し、お客様にとって有益な情報を提供できる力を持った社員であれば、お客様からの信頼を獲得できるでしょう。

 

お客様と伴走し本質的な深耕営業を行おう

深耕営業は、お客様との信頼関係を構築することで、安定した利益を得る営業手法です。
お客様との信頼関係を構築する上では、訪問時にヒアリングした情報やデータをこまめに記録し、お客様の情報を正確に把握して潜在的なニーズを発掘することを心がけましょう。

また、相手の視点に経って提案ができる能力やコミュニケーション力、ヒアリング力を持った社員が深耕営業に向いています。
これらの特徴を持った社員を深耕営業担当として配置すると、営業利益のアップにつながるかもしれません。

自社の営業活動や利益拡大についてお悩みがある場合には、経営の相談先として外部のコンサルティングサービスを頼ってみるのも一手です。

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執筆者情報

執筆者の写真

佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役

1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。

経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。

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