更新日:2023/10/25 14:06
経営
人材育成
スペシャリストとは?ゼネラリストとの違いや求められる背景・雇用や育成のポイントを解説
読了まで約3分
「スペシャリストを雇用するメリットを知りたい」「スペシャリストを雇用・育成するポイントを理解したい」と考えている経営者の方や代表者の方もいるのではないでしょうか。
スペシャリストを雇用して育成することにより、自社の課題を解決できる可能性があります。
そこで本記事では、最初にスペシャリストの概要を説明した後、ゼネラリストとの違い、企業がスペシャリストを求める背景、スペシャリストを雇用するメリット、雇用・育成のポイントについて詳しく解説していきます。
目次
スペシャリストとは
まずは「スペシャリストとはなにか」をテーマに以下を解説します。
・スペシャリストの意味
・スペシャリストの具体的な仕事
スペシャリストを雇用するメリットをスムーズに把握するためにも、最初に概要を押さえてください。
スペシャリストの意味
スペシャリストは専門家とも呼ばれることがあり、特定分野における深い知識、スキル、経験を備えた人材を指します。
特定分野とは、仕事や研究の担当分野、技術領域、資格に関する内容などさまざまです。
また、スペシャリストは常に知識とスキルの向上に努めているという特徴があります。
スペシャリストの具体的な仕事
スペシャリストと呼ばれる主な仕事には以下があります。
・技術者
・特定分野の研究に携わる研究者
・特定の機器開発を行うエンジニア
・証券アナリスト
・エコノミスト
・小説家
・作曲家
・思想家
上記のほかにも、資格がなければ携われない業務を行う人材もスペシャリストに分類されます。以下のような仕事です。
・弁護士
・弁理士
・不動産鑑定士
・公認会計士
・税理士
・社会保険労務士
・医師
・看護師
・薬剤師
このように一口にスペシャリストと言っても、仕事内容は幅広いことが分かります。
対義語となるゼネラリストとは
スペシャリストの対義語となるゼネラリストについて解説します。
以下の2つを説明するので押さえてください。
・ゼネラリストの意味
・ゼネラリストの例
ゼネラリストの意味
ゼネラリストはジェネラリストとも呼ばれることがあり、広範囲に渡る技術やスキルを有した人材を指す言葉です。
プロデューサー、マネージャー、経営層など、主に部下やチームを管理する立場が該当します。
ゼネラリストにはコミュニケーション力、俯瞰で物事を見る力、行動力、人材を取り込む力などが求められます。
特定分野の専門知識やスキルを深く掘り下げるスペシャリストに対して、技術やスキルを横に広げる役割を持つのがゼネラリストといえるでしょう。
ゼネラリストの例
ゼネラリストはどのような人材を指し、どのような経緯でなれるのでしょうか。
例えば、幹部候補生が営業・事務・技術開発など、さまざまな業務に従事して経験を重ねることでゼネラリストとしての下地が培われます。
幅広いスキルが身に付くからです。
社長兼営業兼技術者もゼネラリストの側面があると言えます。
スペシャリストとよく似た言葉との違い
スペシャリストとよく似た言葉に以下があります。
・プロフェッショナル
・ベテラン
・エキスパート
それぞれ解説するので参考にしてください。
プロフェッショナルとの違い
プロフェッショナルとは、レベルの高いスキルや知識などを持った人材を指す言葉です。
専門的な能力を高い精度で発揮できるのがプロフェッショナルとも言えます。
プロフェッショナルの対義語はアマチュアです。
スペシャリストが知識やスキルを深く追求する一方、プロフェッショナルはより広い概念を含んでいます。
例えばプロ野球選手の中には、バントのスペシャリストもいれば、盗塁のスペシャリストもいるというイメージです。
ベテランとの違い
ベテランとは、豊富な経験がある人を指す言葉です。
ベテランスポーツ選手、ベテラン俳優、ベテラン歌手など、多様な分野で用いられています。
スペシャリストが特定分野において高度な技術力がある人材を指す一方、ベテランは必ずしも高いスキルを備えているとは限りません。
単に年数が長いだけでもベテランに含まれるケースがあるからです。
エキスパートとの違い
エキスパートの日本語訳は熟練者です。
特定分野の経験、知識、技術などを併せ持ち、実績と経験が傑出している専門家を指します。
スペシャリストが特定分野の経験や知識を深掘りする一方、エキスパートはさらに熟練した経験や知識を持つ人材という違いがあります。
スペシャリストの中にエキスパートが含まれているイメージです。
企業がスペシャリストを求めている背景
企業がスペシャリストを求める背景には以下があります。
・転職市場の活性化
・先進技術の発展
それぞれ解説していきます。
転職市場の活性化
近年、転職に対する考え方が変化しています。
従来の日本企業は終身雇用がメインでしたが、転職によるキャリア形成を考える人が増えた結果、転職市場が活性化している状況です。
それに伴ってスペシャリストを雇用する必要性が高くなり、ニーズが増していると言えます。
また、一度スペシャリストを雇用できたとしても、同じ理由からいつまでも社内に留めておくことは難しいでしょう。
常に新たな人材を探す必要があることも企業がスペシャリストを求める背景となっています。
先進技術の発展
先進技術の急速な発展も企業がスペシャリストを求める理由として挙げられます。
インターネットの普及、IT技術の発展などにより、専門知識を持つ人材の需要が高まった結果、スペシャリストの必要性が増している状況です。
特に社内でスペシャリストを育成する時間がない企業にとっては、外部から積極的に雇用する必要があります。
今後さらなる先進技術の発展が予想されており、他社との競争に負けないためにも、企業にとってスペシャリストの獲得は命題です。
スペシャリストを雇用するメリット
スペシャリストを雇用するメリットとして以下の3つが挙げられます。
・即戦力としての活躍が見込める
・社内に新たな技術を取り入れられる
・事業拡大につなげられる
それぞれ説明するので参考にしてください。
即戦力としての活躍が見込める
スペシャリストは専門知識を持っているため、新入社員と比較して育成に必要なコストを削減できます。
例えば、自社で高いレベルの技術者を育てるとしましょう。
この場合、ゼロから育成するには長い時間がかかります。
一方、外部の技術者を雇用すれば、即戦力として活躍を見込めます。
雇用した人材がスペシャリストの知識を活かしつつ、企業にとって必要な能力を習得してもらうことにより、大きな戦力となるでしょう。
社内に新たな技術を取り入れられる
企業によっては特定分野に関する十分な技術が蓄積されていないかもしれません。
その場合にスペシャリストを雇用することで、より多くの技術を社内で確保できます。
企業が持続的に成長・発展を遂げるには、優れたノウハウや技術の存在が重要です。
特に競合他社と比較してノウハウや技術が不足している場合、社内でスペシャリストを育成する前に、外部からのスペシャリストの採用を考える必要があります。
事業拡大につなげられる
IT関連の技術をスムーズに導入することにより、事業拡大につながるかもしれません。
特に社内のDX化・オンライン業務に関するスペシャリストを雇用できれば、大きなビジネスチャンスをつかめる可能性があります。
例えば、今まで店頭でのみ販売していた商品を、オンライン業務のスペシャリストがネット通販化することにより、売上が爆発的に増えるかもしれません。
すでに他社で実績があるスペシャリストを採用すれば、スムーズに販路が拡大する可能性があります。
スペシャリストを雇用・育成するポイント
スペシャリストを雇用・育成するポイントには以下があります。
・業務に必要なスキルを明確に示す
・スキルに見合った評価基準を設定する
・入社後のキャリアパスを充実させる
それぞれ解説するので参考にしてください。
業務に必要なスキルを明確に示す
スペシャリストが持つ専門性をスムーズに発揮できるように、会社として任せる業務内容と必要なスキルを詳細に示すことが大切です。
専門性に乏しい業務ばかりでは、スペシャリストのモチベーションが低下する懸念があります。
業務に必要な専門スキルを明確に示すことにより、スペシャリストは育ちやすくなります。
スキルに見合った評価基準を設定する
スペシャリストに対して正しい評価を行うため、それぞれのスキルに見合った評価基準を設定することが大切です。
評価方法を誤ると業務意欲が低下し、退職につながるかもしれません。
スペシャリストは専門性が高いため、正しい評価を下すのは難しいという側面はあるものの、適切な評価と報酬制度の構築が重要です。
入社後のキャリアパスを充実させる
スペシャリストは自身のキャリアに強い関心を持っています。
入社後のキャリアパスが不明瞭な場合、「この会社で働いてもプラスにならないのでは」と判断されるかもしれません。
したがって、採用面接の場で具体的なキャリアパスを提示することを検討してください。
スペシャリストの採用自体が目的ではなく、入社後の活躍を前提とした条件提示が大切です。
スペシャリストの雇用・育成ができる環境を整えよう
スペシャリストとは、特定分野において専門的な知識、スキル、経験を備えた人材を指します。
企業がスペシャリストを求める背景として、転職市場の活性化と先進技術の発展があります。
また、スペシャリストを雇用するメリットには、即戦力としての活躍、新たな技術の導入、事業拡大の3つが挙げられます。
スムーズにスペシャリストを雇用・育成するには、業務に必要なスキルを明確に示し、スキルに見合った評価基準を設定し、入社後のキャリアパスを充実させることが大切です。
自社内にスペシャリストを雇用する環境を構築するには、武蔵野の経営計画書が役立ちます。
経営計画書とは、中期経営計画をはじめとする会社の方針、スケジュール、数字などをまとめることが可能な手帳型のルールブックです。
社員と経営計画書を共有することにより、社長の思いや考え方を従業員に言葉で伝え、会社(=社長)の価値観を浸透させ社員教育が見込めるだけでなく、「経営に参画している」という意識も芽生えやすくなります。
執筆者情報
佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役
1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。
経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。
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