更新日:2023/11/06 15:00
経営
人材育成
社員教育の目的と効果・種類を紹介
読了まで約4分
「社員の生産性が上がらない、ミスが多い、自発的に動いてくれない」などの不満を抱えていないでしょうか?
そのような悩みは、適切な社員教育によって解決できる可能性があります。
本記事では、社員教育を行う目的やメリット、社員教育の種類や方法についてわかりやすく解説していきます。
最後に社員教育の導入手順も紹介するので、今後社員教育の計画を立てる際にぜひ参考にしてみてください。
目次
社員教育の必要性
社員教育とは、企業が社員に実施する教育で、企業理念、ルール、業務に必要なスキルや知識などを習得できる機会を提供するものです。
人材不足が続く昨今、少ない人手の中で利益を追求するには、社員一人ひとりの生産性の向上が重要です。
また、社員教育は、単に個々の社員のスキルや知識を高めるだけでなく、社員のリテンション施策としても有効といえます。
国全体でリスキリングを後押しする風潮もあり、社員教育の必要性は高まっていると考えられます。
社員教育の目的
社員教育の主な目的は、企業の生産性や利益の向上です。
業績が悪化すると社員教育のコストを削減する企業もありますが、むしろ予算を増やすことにより、利益が増進する可能性があります。
社員教育によって一人ひとりの技術がアップすることにより、企業全体の生産性向上が期待できるからです。
また、利益を増やすには業務の仕組み化が重要ですが、仕組み化を支えるのも個々の社員です。
社員教育によって社員のスキルが伸びることにより、スムーズな仕組み作りが可能になるでしょう。
社員教育のメリット
社員教育の主なメリットには以下の4つがあります。
・社員の成長・スキル向上
・リスクマネジメント
・ミッション・ビジョン・バリューなどの浸透
・対外的な企業の信頼を獲得できる
それぞれ解説していきます。
社員の成長・スキル向上
社員教育は企業視点だけでなく、社員個人の成長、経験を増やしたり、スキル・技術力を高めるというメリットがあります。
社員の心情として「適切な教育を実施してもらえる」や「成長の機会を与えてくれる」という満足感を得やすいため、従業員エンゲージメントがアップする効果も期待できます。
リスクマネジメント
社員教育は単にスキルアップ、生産性向上につながるだけでなく、不要な損失を防ぐという観点からも実施されます。
個人情報の流出といった情報セキュリティやコンプライアンス違反によって、企業が窮地に追い込まれるケースは少なくありませんが、適切な社員教育を行うことで回避できる可能性が高くなります。
ミッション・ビジョン・バリューなどの浸透
社員教育はMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や行動指針、企業理念、企業の価値観などを社内に浸透させます。
同じ考えを共有し、企業が一丸になることができるため、強固な経営基盤につながります。
また、社員がMVVを理解したうえで業務に取り組むことにより、日々の行動やアウトプットに一貫性が生まれやすいため、商品・サービスの品質向上が期待できます。
対外的な企業の信頼を獲得できる
お客様と直接対峙する社員のスキルを高めることで、企業の印象そのものがよくなります。
社員個人の印象によって企業全体のイメージが決まりやすいからです。
社員教育を通して適切なビジネスマナーを習得させることにより、対外的な信用を得やすくなるでしょう。
また、社員教育に熱心に取り組んでいること自体もPRの要素になります。社員を大切にしている企業と認識されやすいからです。
社員教育のデメリット
社員教育にはメリットがある一方、多少のデメリットも存在します。
例えば一定のコストと時間がかかることや、取り組むテーマを間違えると期待していた効果を得られないこと。
他にも、社員教育によって利益増進が期待できたとしても直接的な売上改善策ではないことや、教育後の振り返り(フィードバック)の工数がかかる点もデメリットといえます。
また、社員教育を実施するには、知識を持った担当者が必要です。
他の業務と兼任して社員教育を行う場合には、担当者に大きな負担がかかります。
社内の教育担当の負担を軽減するためには、外部委託をすることもおすすめです。
社内にはない知識やスキルに関する研修ができ、高い品質が期待できるでしょう。
株式会社武蔵野では、「実践社員塾」や「実践幹部塾」といった社員向けの研修を用意しております。
ご興味のある方はこちらをご覧ください。
社員教育コンサルティング
社員教育の種類
一般的に社員教育を実施する際は、階層別に研修を行います。種類別に研修の特徴をまとめて解説するので参考にしてください。
・内定者・新入社員研修
・若手社員研修
・中堅社員研修
・リーダー研修(係長・課長クラス)
・管理職研修(課長・部長クラス)
内定者・新入社員研修
入社前の内定者に対して実施するのが内定者研修、入社後の早い段階で行う研修が新入社員研修です。
実施する目的は、学生から社会人への気持ちの切り替えや、基礎的なビジネススキルの習得です。
内定者や新入社員の意識改革を行いつつ、名刺交換やOAスキルなど基礎スキルを習得させるために実施します。
主なプログラムには、マインドセット研修、OAスキル研修、ロジカルシンキング研修、ビジネスマナー研修などがあります。
若手社員研修
新入社員として各部署に配属された後、少しずつ仕事に慣れてきた段階で行われるのが若手社員研修です。
基礎的なビジネススキルの底上げとパフォーマンスの向上が、主な実施目的です。
プログラム例としては、ビジネススキル研修、セルフコーチング研修、構造化思考研修などがあります。
中堅社員研修
若手社員という立場から脱却した中堅社員向けに行われる研修です。
若手社員と係長・課長クラスの間のポジションとして、必要なスキルを効率的に身につけるという目的で実施されます。
主なプログラムは各企業によって異なるものの、若手社員研修とリーダー研修を組み合わせた内容が多いです。
先述したビジネススキル研修、セルフコーチング研修、構造化思考研修と、後述するファシリテーション研修、コーチング研修、組織運営研修などがあります。
リーダー研修(係長・課長クラス)
係長・課長クラスに実施するのがリーダー研修です。
プロジェクトリーダーや上司として必要なスキルを身につけるという目的で実施されます。
主なプログラムには、ファシリテーション研修、コーチング研修、組織運営研修があります。
企業によっては、係長・課長クラスに次期管理職も含まれているため、管理職向けのマネジメント研修やリーダーシップ研修もおすすめです。
管理職研修(課長・部長クラス)
一部の課長職や、部長クラスを対象に実施されるのが管理職研修です。
主な目的にマネジメント能力の向上やコンプライアンス強化などが挙げられます。
主なプログラムとして、モチベーションマネジメント研修、プロジェクトマネジメント研修、リーダーシップ研修、コンプライアンス研修などがあります。
なお、経営層向け、役員向けの研修サービスを販売している企業もあります。
社員研修の手法
社員研修カリキュラムの手法は複数ありますが、ここでは代表的な方法として以下の4つを紹介します。
・OJT
・OFF-JT
・集合型研修
・eラーニング
OJT
OJTとは「On the Job Training」の略であり、業務を遂行しながら必要なスキルや知識を習得する方法です。
一般的に直属の上長が教育担当となります。コストを抑えながら即戦力の人材を育成しやすいという特徴があります。
OJT研修について詳しくはこちらの記事をご参照ください。
OJT研修とは?意味や目的・効果を高める方法など詳しく解説
厚生労働省が公表している令和4年度「能力開発基本調査」によると、計画的なOJTを正社員に実施した事業所は60.2%(前年59.1%)、正社員以外に実施した事業所は23.9%(前年25.2%)となっています。
出典:厚生労働省|令和4年度「能力開発基本調査」の結果を公表します
OFF-JT
OFF-JTは「Off the Job Training」の略であり、企業外の研修に参加してスキルや知識を習得する方法です。
近年は対面型の研修以外にオンラインセミナーが増えているという特徴があります。
先述した厚生労働省の統計によると、正社員にOFF-JTを実施した事業所は42.3%、正社員以外に実施した事業所は17.1%となっています。
また、OFF-JT費用を支出した企業は50.3%であり、労働者一人当たりの平均額(令和3年度実績)は1万3,000円となっています。
出典:厚生労働省|令和4年度「能力開発基本調査」の結果を公表します
集合型研修
集合研修とは、社員が同じ場所に集まって受講するセミナー形式の研修です。
先述したOFF-JTで導入されるケースが多いという特徴があります。
一般的に課題解決の方法や、職位別に必要なスキルを習得する内容が多いでしょう。
社員が時間と場所を共有することにより、モチベーションの向上や一体感につながりやすいというメリットがあります。
eラーニング
eラーニングとは、オンライン上で動画やスライドなどを視聴して学ぶことにより、業務に必要な知識やスキルを習得する方法です。
パソコンやスマートフォンによって気軽に受講できるため、時間と場所を選ばずに学べる点が特徴です。
OJTのように上司や先輩が指導する必要もなく、集合型研修のようにセミナー場所を用意する必要もないため、導入する企業が増えています。
社員研修の導入手順
社員研修の導入手順として、まずは課題の明確化が大切です。
どのような課題を解決するために社員教育を実施するのかを考えましょう。
課題の内容は各企業によって異なり、部署や役職によっても抱える問題は異なりますが、例えば「自主的に考える社員が少ない」などがあります。
次に社員教育の目標を設定します。
どのような社員が増えれば、設定した課題を解決できるかどうかを考えるステップです。
先ほどの例でいえば「自分から行動できる社員」になるでしょう。
次に、目標を達成するためのスケジュール作成をします。
「いつまでに、何を、どのくらい実施するのか」を考えるステップです。
最後に社員教育の具体的な内容を策定します。
目標を達成する手段として、OJT、OFF-JT、集合型研修、eラーニングなどを組み合わせながら、最適な実施方法を決めてください。
その後は実際に社員研修を行いつつ、効果測定を重ねることが大切です。
自社の課題にあわせた研修プログラムを策定しよう
社員教育とは、企業が社員に対して、スキルや知識などを習得させるための教育です。
主に企業の生産性(利益)の向上のために実施されます。
社員教育は社員の成長を後押しできるだけでなく、リスクマネジメントや経営理念などの浸透、対外的な企業の信頼獲得が可能です。
階層別の研修として内定者・新入社員研修、中堅社員研修、管理職研修(課長・部長クラス)などがあり、OJT、OFF-JT、集合型研修、eラーニングなど様々な手法で導入できます。
また、社員教育を実施する際には、成功企業の社員教育事例を真似することも良いでしょう。
事例を知りたいという方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
真似から始めてみませんか?成功企業がやっている社員教育の事例
社員研修を導入する際は、すぐに研修サービスを選ぶのではなく、自社の現状の課題を整理して目的を定めることが大切です。
現状のトレンドを考慮し、自社の課題に合った社員教育を行っていきましょう。
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