更新日:2024/01/31 13:00
経営
社長の仕事とは?やるべき仕事と向いている人の特徴
読了まで約4分
社長は会社のトップリーダーとして、経営方針の策定や資金繰りなどさまざまな仕事に携わります。
中小企業の場合は、社員と一緒に実務に携わる場面もみられます。
楽な仕事ではありませんが、社員や顧客・ステークホルダーの信頼を得て事業を継続していくためには、社長がやるべき仕事を確実に遂行することが大切です。
本記事では、社長の仕事内容や社長に向いている人の特徴について解説します。
社長になる方法も紹介するので、これから社長を目指す方もぜひ参考にしてください。
目次
社長の仕事内容
社長の仕事内容は経営計画の作成をはじめ、資金調達・人員計画や新規ビジネスの開拓など多岐にわたります。
会社の運営や事業の遂行に関する決定権を持ち、最終的な責任を負う役割も持っています。
社長の定義は法的に定められていませんが、対外的には会社の代表者として仕事を進める人を指します。
株式会社の場合は代表取締役、合同会社の場合は代表社員が社長を務めることが多いです。
また、グループ企業や大手企業の子会社の社長のように、2社以上で社長を兼任する事例もみられます。
経営方針を決める
社長の仕事の中でも最も重要なのが、経営方針を決めることです。
経営方針とは、会社の基本的な方向性や事業の推進計画を言葉で表したもので、従業員の行動基準としても機能します。
経営方針を決める際は会社の未来像を念頭におき、中長期的な視点を持つことが大切です。
経営方針が明確になっていれば業務に対する社員の考え方が一つにまとまり、生産性の高い会社経営を実現できます。
経営方針をもとに根拠ある目標を設定して、業務の課題を解決しながら会社・社員双方の成長も目指せます。
また、顧客やステークホルダーに会社の考え方が明確に伝わり、信頼の獲得にもつながるでしょう。
会社経営を長く続けるためには、時代の流れや顧客ニーズの変化に応じて柔軟に経営方針を変える姿勢も大切です。
経営方針については、こちらの記事も参考にしてください。
参考:経営方針とは?経営理念との違いや作り方をわかりやすく説明
資金繰り
資金繰りでは、会社の運営に必要な現金が不足しないように収入・支出を管理します。
現金が不足すると取引先への代金支払いや社員の給料支払いに影響が生じ、会社の信頼を損う原因にもつながるので注意が必要です。
財務・経理部門で資金繰りを行っている会社では、必ず社長自身が最終チェックを行うようにしましょう。
資金調達
会社の資金が不足した場合は、主に銀行融資で資金を調達します。
融資を受ける際には社長が銀行の担当者と面談して、事業計画や融資額・返済予定について話し合います。
2014年から中小企業の銀行融資には「経営者保証に関するガイドライン」が適用されていますが、今でも会社が融資を受ける際は社長が連帯保証人となる場合が多いのが実情です。
また、急いで資金調達が必要な場合には社長個人が会社に資金を貸し付けることもあります。
人を雇用し育てる
事業に必要な人材を採用して、育てていく計画を立てることも社長の仕事です。
実際には人事・総務部門が求人募集を行い、現場で教育・研修を行う会社が多いですが、採用・育成の計画を立てる際は何らかの形で社長が関与しています。
会社説明会や採用面接に社長が参加する場面も少なくありません。
また、社員の成長を促す目的で、経営計画発表会やミーティングの中で社長が講話する企業もみられます。
さらに社長には、安全な労働環境を整える義務や社員の雇用を守る責任が求められています。
安心して働ける環境が整っていなければ社員の離職につながり、事業の運営に支障をきたすからです。
社長が高齢の場合には、後継者の育成についても検討しておく必要があるでしょう。
ビジネスの創造・改良をし続ける
競争に勝ち残って企業が存続し続けるためには、既存のビジネスを改良するのはもちろん、市場のニーズに合った新しいビジネスを創造する姿勢が大切です。
現場の社員から業務改善や新たな企画について提案される場合もありますが、社長が率先して現場とコミュニケーションをとり、改善のチャンスをつかむ姿勢が必要です。
ビジネスの創造・改良のきっかけをつかむには、幅広い視点と想像力が求められます。
ビジネスチャンスを広げられるよう協力会社・取引先との関係性を深めることも社長にとっては大切な仕事です。
また、自分自身が成長できるようにセミナーや講演会などを通じて学び続けることも、新たな発想を生み出すために必要な取り組みでしょう。
社長はどこまで仕事をすべきか?
社員と信頼関係を築きながら業績を高めていくためには、社長が率先して仕事をすることが大切です。
しかし、社長は経営戦略の策定など会社経営に関する業務にも携わっているため、多忙な日々が続く時期があります。
顧客・取引先や社員に対する最終的な責任も背負っているなかで、すべての業務を1人で抱え込むことは危険です。
社長が仕事をする範囲を次のように線引きすると、社長にしかできない業務に専念できるでしょう。
(1)経営戦略の立案や資金繰りの確認など、社長でなければできない業務に集中する
(2)社長が実務に関与する範囲は、交渉やトップセールスなどに絞り込む
(3)定期的に現場を巡回して、社員とコミュニケーションをとる
社長が持つ技術・ノウハウを積極的に現場に伝えるようにすると、社長が現場に出向く機会を減らせるだけでなく、社員への技術継承にもつながります。
社長に向いている人とは?
社長は、会社経営のあらゆる場面で最終的な判断を下していきます。
時には素早い判断を求められる場面もあるため、柔軟かつ果敢な姿勢が求められます。
中小企業の場合は経営に関する業務だけでなく、現場の実務に関与する場合もあります。
何らかの得意分野を持っていれば社員からの信頼が高まり、会社の成長にもつなげられるでしょう。
社長に向いている人の主な特徴を3つ紹介します。
決断力がある
物事の本質を的確に判断し、素早く決断できる人は社長に向いています。
物事を決めるのに時間がかかると競合相手に先を越され、事業の展開に影響を及ぼす恐れがあるからです。
社内の業務が停滞する一因となり、生産性が下がる懸念も生じます。
経営戦略をはじめ人員計画やトラブル時の対応方針など、会社経営に関する重要事項はすべて社長が決断します。
内容によっては、管理職などの関係者に相談する前に社長が判断する場面もあるでしょう。
多くの情報や意見を短時間で分析した上で果敢に決断する意志と、決断した結果に責任を持つ態度が社長には求められます。
営業や技術力など得意分野がある
得意分野を強みとして事業を展開できる人も、社長には向いています。
特に中小企業や零細企業などの社長は営業力やマーケティング力・技術力など、特定の分野で優れた能力を持っている人が多い傾向です。
状況の許す範囲で実務に携わることで社員との強いチームワークが生まれ、会社の業績を伸ばせる可能性も生まれます。
経営のすべてに精通しているのが理想ですが、事業の中で社長の強みを発揮できれば会社経営を継続していく上でのメリットになるでしょう。
総務・経理の担当者が経営面の知識を補ってくれる場合もあります。
プレッシャーに強い
厳しい直面下でも、プレッシャーに強い人は社長に向いています。会社のトップとして、その責任の大きさから社長であることにストレスを感じる人も多いでしょう。厳しい状況下でも理性的かつ冷静に対処できることが求められます。社員に支えられながら適切に立ち回れるのが望ましいでしょう。
ですが、プレッシャーに誰もが強いわけではありません。プレッシャーのかかる状況に直面する前に、自分自身を正しい意志や考え方を設定することが重要です。たとえ失敗しても、毎回落ち込んでいては社長は務まりません。失敗を財産と考え、次の決断の材料にしたり、どうやったら上手くいくのか考え行動に起こす必要があります。
社長と経営者の違い
社長と経営者は同じように見られがちですが、厳密には意味合いが異なります。
社長は会社の中で定められた役職の一つで、組織の代表者として位置づけられています。
そのため、株式会社では代表取締役、合同会社では代表社員が社長を務めるのが一般的です。
個人事業主の場合も、事業を取り仕切る人という意味合いで社長と呼ばれることがあります。
一方、経営者は会社の経営そのものに携わる人で、会社の代表者とは限りません。
経営戦略や目標を立て、達成度合いや経理状況を確認しながら会社の業績向上を目指す役割を持っています。
会社では取締役や執行役員・業務執行社員が経営者にあたりますが、部門の管理職も経営者に含める場合もあります。
社長の仕事を進めるうえで重要なポイント
社長の仕事の重要性を周知し、最優先する
社員の多くは、社長の仕事内容について理解がない場合がほとんどです。
社長の仕事内容や重要性、そして仕事を円滑に進めるには社員の協力が必要であることをあらかじめ周知しておく必要があります。
周知した上で、社長の仕事を最優先で行いましょう。社長の仕事は社長にしかできません。社長が倒れてしまったら、経営もまたおぼつかなくなってしまいますから、社員を路頭に迷わせないためにも社長の仕事を優先すべきです。
行動する前に考える
社長の仕事は決断することが多く求められます。現場で作業するよりもはるかに疲れる仕事のため、どうしてもカラダを動かすほうが頭を使うよりも楽なので、現場の仕事をやろうとする社長がいます。
しかし、社長が社長の仕事をしなければ、誰も会社をよくしてはくれません。社長は行動する前に考える仕事をすることが必要です。
考えるうえで必要な材料を集める
考えたり判断したりするのに必要なものは、材料となる情報です。最終的には社長自身の判断となりますが、その判断のもととなる情報を、本、インターネット、セミナーなど、多方面から常に情報収集をします。
周囲への感謝を忘れない
社長が自分の仕事に集中するためには、社員に協力してもらう場面が増えてくるでしょう。社長は、目に見える形で社員のおかげで自分が仕事に集中できていることへの感謝を示すことが大切です。
感謝の気持ちを伝え、社員が進んで協力したくなるような雰囲気を作れるように努力しましょう。
社長になるには
法人の社長になるにはどんな方法があるのかを、簡単に紹介します。
人事異動
役員や管理職が人事異動によって子会社・関連会社の社長に抜擢される方法です。
近年では、後継者や企業幹部を育成する「サクセッションプラン」の参加者からも子会社・関連会社の社長に就任する事例もみられます。
新たに法人を設立する
会社を退職した後に独立開業して、代表者として商業登記の手続きをとる方法です。
フランチャイズへ加盟するにあたって、法人の設立を求める本部も増えています。
事業を継承する
親族が経営する会社を引き継いだり、M&Aで会社を買収したりして社長に就任する方法です。
社長(経営者)を目指す方法については、こちらの記事も参考にしてください。
参考:経営者になるには?経営者の役割や仕事内容・なり方や求められる素質を解説
中小企業の社長ならではの仕事
中小企業の社長は大企業とは異なり、率先して現場に出ることが多いです。
そのため、普段から経営方針に沿った行動を実践して、従業員の信頼を高める意識が求められます。
例えば、売上アップを目標に設定した場合は社長自身が営業活動を行い、社員だけの力では獲得が難しい内容や規模の取引先を開拓します。
社長が持っている技術やノウハウを積極的に社員に教育し、業務にチャレンジする機会を提供することも中小企業だからこそできる社長の仕事の一つです。
また、会社経営に関連する情報を可能な限り全社員に共有して、業務改善に関する提案など主体的な行動を促す取り組みも重要です。
社長の仕事力を高めるなら武蔵野の経営コンサルティング
社長の仕事は経営方針の作成はもちろん、資金繰り・人材計画やビジネスモデルの改善など多岐にわたります。
社長1人ですべての業務を担当することは難しいため、社員とコミュニケーションを取りながら現場業務と経営業務の線引きをしておくと、社長の本来業務に専念できます。
必要な情報を迅速に分析し、果敢に判断する姿勢も社長にとっては大切な姿勢です。
これから社長を目指す方にとっては、今回ご紹介した社長の仕事内容について概要はつかめたが、具体的にどう仕事を進めたらよいかわからないといった方もいるのではないでしょうか。
以下で紹介する株式会社武蔵野の「経営計画書」は、社長の仕事の中でも重要な経営計画・経営方針の作成に関してわかりやすく解説しておりますので、一度目を通していただければ、具体的な行動イメージを掴んでいただけるかと思います。
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執筆者情報
佐藤 義昭 / 株式会社武蔵野 常務取締役
1971年、東京都生まれ。
1990年、武蔵野にアルバイトとして入社、ダスキン事業から新規事業まで経験。
2007年、経営サポート事業本部の本部長を経て2015年11月取締役に就任。
2021年、6月常務取締役に就任。
経営者向けに年間100回以上の講演実績があり、企業文化を強化する経営計画書作成法を伝授。
年に一度行われる社内経営計画書アセスメントの方針作りや、小山昇の実践経営塾の合宿では、経営者向けに経営計画書作成や短期計画作成を支援している。
おもな講演テーマに『経営計画書を作るには』、『手書きによる短期計画作成方法』などがある。
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