更新日:2023/01/11 14:24
経営
社是の読み方と意味とは?似た言葉との違いや作成・掲げる方法など詳しく解説
読了まで約3分
「社是の意味や効果的な作り方を知りたい」「社是を社内に浸透させる方法を理解したい」と考えている会社経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、最初に社是の読み方、意味、必要性について説明した後、社是に似た用語である「社訓」「経営理念」「クレド」との違い、会社の理念として掲げる方法、具体的な作り方のポイントを解説していきます。
目次
経営方針を示す「社是」とは
社是の正確な読み方は「しゃぜ」です。
また、社是の「是」には「正しい」「道理にかなった」という意味があります。
その「是」という文字の前に会社を示す「社」がついているため、社是全体の意味は、「会社として正しいと考えられる方針や主張」となります。
会社の経営理念をベースにしつつ、経営方針を理解しやすい言葉で表した指針とも言えるでしょう。
つまり社是とは、「会社が何のために存在しているのか」という存在理由を明確にしたうえで、「会社がどのように進んでいるのか」という方向性を明示したものです。
社是の必要性
社是を作る目的・必要性は、前述したように「会社が何のために存在しているのか」を明確にするだけではなく、経営の方向性を社員に浸透させるためです。
ただし、社是のメッセージは会社内だけでなく、世の中や社会全体に対して向けられていることを意識する必要があります。
そのため、必ずしも同義ではありませんが、経営上のミッション(社会で果たすべき使命や役割)に近い言葉と言えます。
社是と似た言葉との違い
社是と混同しやすい言葉として「社訓」「経営理念」「クレド」があります。
社是との違いを中心に解説します。
社訓との違い
社訓とは、全ての従業員に対する理念や心構えを言葉で示したものです。
従業員一人ひとりの行動規範を具体的に定めたものとも考えられます。
社是と社訓の大きな違いは対象です。
社是が従業員だけではなく、顧客や取引先、株主など外部に向けたメッセージという役割を担う一方、社訓は従業員に対してのみ示されます。
また、行動の主体にも違いがあります。
社是の主体は会社なので、「会社」がどのような方針をベースに経営を行うのかを示していますが、社訓の主体は従業員なので、「従業員」がどのように行動するのかについて示されています。
経営理念との違い
社是に近い意味を持つ用語に経営理念がありますが、やや意味が異なります。
社是が会社の経営方針や主張を意味するのに対し、経営理念は会社のベーシックな価値観、信念、精神性、行動基準などを表明したものです。
基本的には「会社としての正しい方針や主張」である社是よりも経営理念のほうが根源的な概念と言えますが、実際は社是をベースにしたうえで具体的な内容を経営理念としてまとめている企業が多い状況です。
このように「社是と経営理念のどちらをベースにするか」によって扱われ方は多少異なりますが、どちらも会社の基礎となるコンセプトです。
クレドとの違い
クレドは会社の信条を表す言葉であり、「私は信じる」という意味があるラテン語のCredoに基づいています。
経営理念と類似した意味で使用されたり、バリュー(価値や価値基準)や社訓のような行動規範として用いられたりするケースがあります。
基本的にクレドは社是をベースに具体化したものであり、従業員にとって実践しやすい指針をまとめているといった特徴があります。
社是を会社の理念として掲げる方法
社是を会社の理念として掲げる方法として、ルールブックの配布、イベントでの発表、制度の見直しの3つがあります。
それぞれ解説していきます。
ルールブックを社員に配布する
ホームページに社是を掲げる会社は多いですが、それだけで社員に浸透するとは限りません。
そもそも頻繁に自社のホームページを確認する社員は少数ではないでしょうか。
社員が社是を意識しながら業務を進めるには、参照したいときに参照できるかどうかが大切なポイントになります。
手元に置いておけるルールブックを配布したり、社是の言葉を載せたカードを携帯させたりといったアプローチが重要です。
また、社是は抽象的な言葉で作成されるケースも多いため、内容をわかりやすく解説したパンフレットの作成も効果的と考えられています。
社員が集まるイベントで発表する
社是を発表するのに適したタイミングとして、社員総会、創立記念日、入社式、全体研修などのイベントが適しています。
このようなイベントで社是を発表することにより、従業員の印象に残りやすいだけではなく、好意的に受け入れてもらえる効果が期待できます。
また、新しい社是をイベントでお披露目することにより、従業員に「これから自分たちの会社が変わるかもしれない」という前向きな感情も抱いてもらいやすいでしょう。
イベントで社是を発表した後、社是の意味・解釈するための研修会の実施や、行動イメージにつなげるブック・ムービーの導入、周囲と認識をすり合わせるメッセージ交換会を導入する企業もあります。
社是の内容に合わせて制度の見直しを行う
社是は一度作成して終わりではなく、会社の状況に合わせた定期的な見直しが大切です。
その際は会社の制度自体も見直す必要があります。
たとえば、「従業員の挑戦を応援する会社」という社是を追加したにもかかわらず、従業員が会議で自由に発言できないようでは矛盾しています。
「従業員の成果をフィードバックする会社」という社是にもかかわらず、給与体系が年功序列という場合も矛盾しているでしょう。
従業員に「社是と制度がかけ離れている」と思われた場合、社内に社是が浸透しづらいだけではなく、離職率の増加も考えられるので注意が必要です。
社是の作り方のポイント
社是の作り方のポイントには次の5つがあります。
- 会社の価値観や考え方の軸を決める
- 伝わりやすい言葉で短い文章にする
- 社是はひとつにまとめて掲げる
- 他社の事例や例文を参考にする
- 外部への発信を意識する
それぞれ解説していきます。
会社の価値観や考え方の軸を決める
社是は会社の正しいあり方や活動の基本となるため、価値観や考え方の軸を決めることが大切です。
経営は常に順風満帆とは限りません。
価値観や考え方の軸が定まっていなければ、従業員が一丸となることができず、困難を乗り越えられない可能性があります。
逆に言うと、明確な軸があれば従業員共通の指針となるため、行動に迷いがなくなります。
価値観の内容に迷った際は、まず自社の経営方針を抽出したうえで、普遍的で重要な事項から並べることを考えてみてください。
伝わりやすい言葉で短い文章にする
社是は会社の考えを社会に知ってもらう目的もあるため、誰が見てもわかりやすい言葉にすることがポイントです。
どれほど志の高い社是であっても言葉が難解だったり、独りよがりな表現を多用していたりすれば、内容はストレートに伝わりません。
長文の社是を採用している会社もありますが、「何が重要なのか」といった本質が曖昧になりやすく従業員の印象に残らないため、組織内に浸透しないリスクがあります。
そのため、社是は可能な限りわかりやすい言葉を使用し、短い言葉でまとめることが大切です。
社是はひとつにまとめて掲げる
社是は1社にひとつが望ましいとされています。
従業員は社是をベースにした行動が求められるため、複数の社是があると混乱するリスクがあるからです。
また、前述したように社是には「社会に自社の考えを知ってもらう」という役割もあるため、社是が複数あるとメッセージの焦点がぼやける可能性があります。
その結果、「結局、何を大切にしている会社なのだろう」と世間に捉えられかねません。
基本的に社是は経営理念を反映させて設定しますが、経営理念には多くの方針が示されているため、そのまま用いると経営の軸がぶれる可能性があります。
経営理念の中から、社是につながる要素をまとめることが大切です。
他社の事例や例文を参考にする
社是に関するルールや決まりは特にないため、「どのように作成すればよいのだろう」と内容に迷うケースが多いかもしれません。
その場合は、他社の事例や例文が参考になります。
各企業のホームページに社是が掲載されていることがあるので確認してみてください。
実際の社是をチェックすると企業ごとに特徴があることがわかります。
短文の社是もあれば長文の社是もありますし、四字熟語、箇条書き、英語を多用している例もあります。
そのような社是を見ながらイメージをふくらませるとよいでしょう。
外部への発信を意識する
社是は社内だけでなく、外部の取引先企業やステークホルダーなどが目にするため、外部への発信も意識して作ることが大切です。
「社是の内容に共感したから」という理由で取引先として選ばれる機会があるかもしれません。
また、社是で自社の存在意義や使命を示すことにより、ブランディング効果の向上も見込めます。
なお、社是は変更ができるため定期的に見直すことにより、その時々の会社の思いを伝えやすくなります。
特に創業時に掲げたまま時間が経っている社是など現代の風潮や会社の現状と合わない場合は、積極的に見直してみてはどうでしょうか。
社是を浸透するには経営計画書の活用がおすすめ
社是(しゃぜ)には「会社として正しいと考えられる方針や主張」という意味があり、自社の社員や社会全体に対して示すという目的があります。
社是を会社の理念として掲げる方法として、ルールブックの配布、イベントでの発表、制度の見直しがあり、作り方のポイントには、価値観や考え方の軸を定める、伝わりやすい言葉で短い文章にする、他社の事例や例文を参考にする、などがあります。
なお、武蔵野が提供している経営計画書は、社員一人ひとりが常に携行し、社長の理念や経営方針を浸透させる重要なツールです。
作成した社是を効率よく従業員に伝えるためにも、ぜひ経営計画書をご活用ください。
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