更新日:2023/07/11 16:57
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タスクフォースとは?日本語での意味やビジネスでの役割・企業の具体例など詳しく解説
読了まで約4分
緊急性が高い問題や課題に悩んでいる経営者や代表者の方もいるのではないでしょうか。
タスクフォースを導入することでスムーズに対処できる可能性があります。
タスクフォースは緊急性が高い課題を解決することを目的とした組織のことです。
本記事では、最初にタスクフォースの概要と役割を説明した後、メリットや結成方法、導入する手順とポイント、企業・組織の具体例を解説します。
本記事を読むことでタスクフォースの本質を理解し、自社に導入しやすくなるでしょう。
目次
タスクフォースとは
タスクフォースとはどのような概念なのでしょうか。
まずは日本語の意味とタスクフォースの目的・役割について確認しましょう。
日本語での意味
タスクフォース(英語ではTask force)は日本語で「機動部隊」を表す言葉であり、「対策本部・特別部隊」とも訳されます。
会社内部で緊急性が高い課題の解決や企画開発などを行うため、短期的に構成されるチームです。
特別な役割を一時的に与えられたメンバーの集合体ともいえます。
タスクフォースは特定の課題に対して全力を尽くす必要があるため、各部門の優秀な人材によって構成されるのが一般的です。
普段は一緒に仕事をしないメンバー同士が協力し合いながら業務をこなしていくという点が特徴的です。
タスクフォースの目的・役割
タスクフォースの目的は会社の課題に優先順位を付け、緊急性の高いものからスピーディーに解決することです。
その結果、よりよい方向へ導くという役割もあります。
また、タスクフォースは課題を解決した時点で解散し、メンバーは日常業務へ戻ります。
あくまでも短期的なチームであるため、ほかのプロジェクトにスキルやノウハウを転用しづらいというデメリットがあります。
その一方で、各部門の精鋭が揃うことで緊急性の高い問題解決を図れるだけでなく、連携力の強化や、課題解決後の全社的なレベルアップなどが期待できます。
タスクフォースと似た用語との違い
タスクフォースと似た用語にプロジェクトチームとワーキンググループがあります。
それぞれタスクフォースとどのような違いがあるのかについて解説します。
プロジェクトチームとの違い
タスクフォースは緊急性が高い問題をスピーディーに解決するチームである一方、プロジェクトチーム(Project team)は中長期的なスパンを想定したチームです。
プロジェクトチームはタスクフォースと同じく、大きな課題を対象にするものの、課題の検証や解決に時間がかかることを想定してじっくりと動くという特徴があります。
スパンの違いによってメンバーの選抜基準が変化することがあります。
短期的な問題解決が得意なタスクフォースに向いているのか、それとも中長期的に取り組むプロジェクトチームに向いているのかで異なるためです。
ただし、タスクフォースもプロジェクトチームも「臨時のチームを結成して課題解決を図る」という共通性があるため、同じ意味で使用しているケースもあります。
ワーキンググループとの違い
ワーキンググループ(Working group)とは、特定の任務やタスクのために設けられた集団を指します。
タスクフォース同様、ワーキンググループも緊急性の高い問題解決に取り組むことがあるため、多くの場合、ワーキンググループとタスクフォースは同義語として使用されます。
双方を明確に区分けしている会社のほうが少ないかもしれません。
ただし、特定の問題を解決する集団がワーキンググループである一方、特定の問題解決に至る個別作業の集団をタスクフォースと定義することがあります。
その場合、ワーキンググループは上位組織、タスクフォースは下位組織というポジションになるでしょう。
タスクフォースを組むことのメリット
タスクフォースを組むメリットとして以下が挙げられます。
- 問題解決に適したメンバーによって高い効果が期待できる
- 各部署から接点のないメンバーを集められる
- 問題解決にリソースを集中させられる
それぞれ解説するので参考にしてください。
問題解決に適したメンバーによって高い効果が期待できる
タスクフォースは解決すべき問題や課題が明確になっているため、最適なメンバーを集められます。
「問題解決に至るスキルには何があるのか」「そのスキルを持った人材は誰なのか」を想定しやすいという点もメリットです。
社内の各部署から精鋭を集め、課題や問題をシェアすることにより解決へと導く最適解が生まれやすくなります。
各部署から接点のないメンバーを集められる
タスクフォースは一時的な組織なので日常業務では接点がないメンバーを各部署から集められます。
部門の垣根を超えるだけでなく、社外からも適した人材を集めることにより、優秀なチームの結成が可能です。
普段は接点がないメンバー同士が協力することにより、新しい着眼点や解決策が生まれ、イノベーションの創出が期待できます。
問題解決にリソースを集中させられる
リソース(経営資源)を問題解決に集中的に活用できる点もタスクフォースのメリットです。
迅速な課題解決という重要な目的があるため、そのためにヒト・モノ・カネ・情報といったリソースを集中しやすくなります。
短期間にリソースを投下することにより、大きな成果が期待できるでしょう。
タスクフォースを組む手順とポイント
タスクフォースを組む手順とポイントは以下です。
- 任務するメンバーを選ぶ
- ゴールや課題・タスクを明確にする
- 課題解決のための権限を与える
各プロセスに沿ってそれぞれ詳しく解説します。
1.任務するメンバーを選ぶ
タスクフォースを結成するメンバーを選ぶポイントとして、タスクを迅速に遂行する能力が挙げられます。
緊急性が高い問題に対して瞬時の判断力と行動力が求められるからです。
ほかにも、課題に関連する専門性や技術力、課題解決につながるノウハウやスキルの習得もポイントです。
基本的にタスクフォースのメンバーは経験が浅い若手社員よりも、セルフマネジメントに長けた中堅以上が望ましいとされています。
また、メンバーの選抜と同時にリーダーを選ぶことも大切です。
リーダーはマネジメント能力に優れているだけでなく、中堅以上の各メンバーに対しても的確に指示を出せる人物が最適です。
2.ゴールや課題・タスクを明確にする
タスクフォースのメンバーに対して課題とゴールを明確にする必要があります。
「現在どのような課題があり、どのような状態がゴールといえるのか」を考えたうえで、ゴールに至るまでのスケジュールを作成しましょう。
また、タスクの割り振りを適切に行うことも大切です。
メンバーに優秀な人材を揃えても適材適所を考慮せずにタスクを振り分ければ、非効率なチームになる懸念があります。
同時にタスクの期間と達成度の指針を伝えることにより、メンバーがスムーズに行動しやすくなります。
課題、ゴール、タスクを明確にした後、意思決定フレームワークであるOODA(ウーダ)ループの導入も効果的といわれています。
OODAループとは、「観察する」「判断する」「決定する」「行動する」という一連のプロセスです。
3.課題解決のための権限を与える
課題解決を進める過程では、タスクフォースに直接関わっていない部署や幹部の承認を得なくてはならない状況も想定されます。
その都度承認を得る場合は課題解決に時間がかかり、タスクフォース本来の機動性を発揮できなくなる可能性があります。
迅速な目標達成を目指すためにも、メンバーに対して適切な権限を与えておくことが大切です。
どの程度まで権限を付与するかは状況によって異なるものの、少なくともタスクフォース全体の流れがストップしないように気を配る必要があります。
例えば各課題に取り組むごとに承認が必要となれば、スピーディーな問題解決が難しくなります。
一定期間や一定のプロセスが完了するまではメンバーが自由に動いたり、タスクフォース外の協力が必要な場合のみ承認制にするなど、機動性が犠牲にならないことを前提に設定するとよいでしょう。
タスクフォースを結成した企業・組織の具体例
最後にタスクフォースを結成した企業・組織として、味の素グループと内閣府の事例を紹介します。
味の素グループ
味の素グループは売上高や事業利益という数値目標から脱却し、食と健康の課題解決のための投下資本効率、およびオーガニック成長を重視する経営への転換を図りました。
そのために結成されたのが全社オペレーション変革タスクフォースです。
タスクフォースを実施した結果、各従業員のビジョンの実現と情熱を高める仕組みとして、マネジメントサイクルの構築が図られています。
内閣府
内閣府では、2030年までに予想される内外環境変化を見すえたうえで目指すべき経済社会の姿に基づく構造改革を設定しています。
タスクフォースの具体的なプロジェクトとして、30代〜40代CEO輩出の応援、教育人材投資の拡充、認知症に起因する問題や高齢者の交通事故の根絶などが挙げられています。
「2023年展望と改革 タスクフォース報告書(概要)」の中で具体的な効果については記載されていないものの、2030年に向けての実現が期待されます。
出典:内閣府「2023年展望と改革 タスクフォース報告書(概要)」
緊急性の高い課題解決にはタスクフォースが活躍
タスクフォースとは、緊急な課題や問題が起こった際に結成される短期的なチームです。
各部門の優秀な人材によって構成され、緊急性の高いものから解決を図ります。
タスクフォースを組むメリットとして、問題解決に適した集団としての効果やイノベーションの創出などが挙げられます
実際にタスクフォースを組む際は、任務するメンバーを選んでゴールや課題・タスクを明確にし、課題解決のための権限を与えることが大切です。
タスクフォースには優秀なメンバーを集める必要がありますが、そのためには普段から人材育成に取り組む必要があります。
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